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サラっと観ただけなので注意点がいくつかあります。
)(サラっとどころか別の作業の時にBGVとしてつけていただけ、みたいなもの)(とは言うが、2回転半くらい回してもいるので案外わかってるかも)
ストーリー
エリサは母親との折り合いが悪く、口論の末、二人の息子を連れ家を飛び出した。頼れるものといったら愛人だけだったが、その男も結局は甘いセリフをその場しのぎに吐いていただけだった。
エリサは親友ルルといっしょにモンテビデオ市内に美容院を開くという夢を叶えたい一心でクラブホステスとして働き始めるが、娼婦に転身するのに時間はかからなかった。
その世界で彼女はプラシドという男と知り合い、やがては強く惹かれる。実業家だというその男はスペインとウルグアイを行き来していてずいぶんと手広く商いをしているらしかった。エリサとルルはプラシドの手引きでバルセロナに渡る。空港ではパスポートの偽造が見破られそうになったが幸い入国を許可された。
子供をウルグアイの知人に預けてきたことは身を裂かれるような思いであったが、バルセロナでは一晩に何百ドルも稼げると、夢と野心で胸は膨らむ。
しかし間もなくエリサとルルは立ちんぼとしての悲惨な現実に直面する。二人は離れて立っていろ、誰ともしゃべるな、客とは7分で終わらせろ……。苛酷な生活が始まった。
バルセロナの売春街の一角ではウルグアイ人娼婦とブラジル人トランスベスタイトの間で縄張り争いが烈しくなっていた。小競り合いの中でプラシドの撃った銃が一人の娼婦の命を奪う。刑事のマルセロはプラシドを捕えるが、凶器の拳銃が見つからないうえ、売春街に巣食う人々の口は堅く聞き込みも思ったようにいかない。
エリサが何か知っているとにらんだマルセロと、プラシドを早く釈放してほしいと願うエリサの利害が一致し、ある取引が成立した。
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たぶん今年最大のいわゆる「祭り」は、毎日新聞が多くの日本人から「売日新聞」と呼ばれるに至った『変態事変』だったと思うのだけど、あの騒擾の中で、「米州機構が公式文書にて問題の変態記者ライアン・コネルの記事を引用していたこと」もちょっと話題になったこと、覚えていますか。毎日新聞まとめwikiの該当のページをさらっと読んでください。
この時に私が苛立ったのは、なぜアニータみたいな女の事例が、回り回って、言うに事欠いて「人身売買」と表現されたのか、という点でした。
世の中には売春を正業としている人がいるでしょう。副業かもしれないけどな。なんだ? その報告書だかなんだかで取りざたされていた娼婦たちは、‘ロープー’だったんじゃないのか。承知の上で、やる気で日本に来ていたんじゃないのか。どうなんだ。
『ヒューマン・トラフィック』の前半だけ観たことがある。あの映画で性奴と形容するのがふさわしい境遇に閉じ込められていた娼婦たちは、外国への家族旅行で商店街でウィンドウショッピング中に白昼堂々と掻っ攫われていたり、ふつうに恋愛関係を構築した(と思った)上で出かけた旅先で、愛したはずのその男によって組織に売り飛ばされたり、そういった形で苦界に身を沈めた女たちだよ。
『ヒューマン・トラフィック』で描かれた拉致被害者と、我が国で業としての売春に従事している、「アニータ」でシンボライズされるような女たちとがおんなじように語られることに、私は違和感を覚えたわけだ。
あの手の女は「日本という国での滞在」を違法に取得しているんだよ。どこの国の人がどこの国を訪れるのであれ、「外国で過ごす期間とその過ごし方」というのは盗むことが許されるものではない。「旅行」と言って「90日」許可された入国ならば、旅行者として90日を超えないように過ごさなければならないものだ。それが社会のルールである。
それを外れるのは盗人以外のなにものでもない。
このところ毎日・TBSなんかがやたら後押ししているように見受けられるカルデロンの一件なんかもそう。その両親は「他人名義の旅券で入国」までしたんだろう。計画犯罪上等ではないか。
この一家をめぐっては嘆願書まで出されているらしいが、とんでもない話だ。そんなものに署名した人間は、あれです、「犬」って貼ってあるみたいに、玄関にシールかなんかつけといてほしいくらいだ。「へー。そーゆー人が住んでるんだな」って、私が理解した上で街を歩くことができるように。
こういうのを「かわいそー」で語るオメデタイ人間が私の周りにすぐには見当たらないことを願います。『おなじ月の下で』でも言ったけど、こういうのはかわいそーとかいう問題ではない。
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で、何の話かと言うと、エリサには同情できないという話。
初めは、もう男に体を利用されてばかりもいないぞとばかり力強く立ち上がったヒロインが、自分の夢のために泥水もガブガブ飲んでピカレスクに世を渡っていく痛快な話かと期待していたんだが、ただ、頭の悪い娼婦の話だった。
経済状況が悪くて、学のない女が、ましてや子供を二人も抱えた女が生きて行くことが日本とは比べられないほどに難しい、ほとんど不可能なのかもしれない国のお話であるというのはわかってる。それを頭に入れてもなお、この女は馬鹿だと私は思う。
エリサは売春が正業だった。
そういう世界に出入りしているプラシドという男が羽振りがいいのはいったいどんなビジネスを展開しているからなのか、見当もつかなかったとは言わせない。第一、偽造旅券の入手をあっさりとプラシドに頼んでいたじゃないですか、エリサは。
よその国での滞在を盗むにあたり良心の呵責はこれっぽっちも無かったでしょう、貴女。
そうして潜り込んだスペインではプラシドにカジノに連れていってもらって、派手に遊ばせてもらって、豪華なディナーも御馳走してもらう。自分がそうやってたかっている遊興費の出所が自分と同じような売春婦たちからのピンハネであろうと想像できなかったとでも言ってのけるつもりか。
この女のようなのはあまり「被害者」と思わない。だからエリサが訴えた主張も胸には響かず、むしろ「アニータ」へ憤りを覚えた時のような苛立ちを抱かせるものだったし、この映画のラストで示されるアピール自体にも私はほとんど心を動かされなかった。
私がこの映画から受け取ったメッセージは「外国での売春婦のおかれた状況がひどい、こんな社会を許すまじ!」ではなくて、「外国に売春しに来るようなビッチ、許すまじ!」だった。
そういう意味では私にとっては強いメッセージとなった。はからずも。
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