Saturday, November 21, 2009

La teta asustada / 悲しみのミルク [ペルー映画]

tetaBerlinale 第59回ベルリン国際映画祭の金熊賞受賞作品です。今日始まったTOKYO FILMeXでも上映されます。

FILMeXのサイトから紹介文:
1976年生まれの女性監督による2作目で、ベルリン映画祭で金熊賞を受賞した。メイドとして働き始めた若い女性の日常を通して、1980~2000年にペルー農村部を襲ったゲリラによるテロがもたらしたトラウマを静かに描いた秀作


……という作品です。モチーフがモチーフだけに、私は苦手なのでは?といささか不安でしたが、気に入って鑑賞を終えました。いや、正直なところ、冒頭に母子が口ずさむ歌の詞を読んでいる段階から、なんか、もう、眩暈がしちゃって具合悪くなっちゃってそこで停止ボタンを押してしまう、というのをこの数週間で何度か繰り返していたのですがね。

アノニマさんから、あの冒頭を乗り越えてしまえば大丈夫と教えてもらったので、今日は最後まで観てみました。

見終わる時に自分が比較的穏やかな表情を浮かべているとは予想していませんでした。よかったです。生と死の対比が。

FILMeXでも何度か上映されるので是非観てください。それを逃したら12月上旬のミニスペイン映画祭で是非。


(コメント欄になにか書きます)

La teta asustada@IMDb (The Milk of Sorrow)
直訳: わななく乳、おびえる乳、おののく乳、とかそういう感じか

監督・脚本: Claudia Llosa クラウディア・リョサ

出演:
Magaly Solier マガリ・ソリエル ... Fausta Isidora Janán Pachauca ファウスタ(イシドラと呼ばれるシーンもあったかと思う)
Marino Ballón マリノ・バジョン ... Tío Lúcido ルシド: ファウスタのおじ
Susi Sánchez スシ・サンチェス ... Aída アイーダ: ファウスタがメイドにあがる邸宅の女主人
Efraín Solís エフライン・ソリス ... Noé ノエ: 邸宅の通いの庭師


ちょっとwikipediaなどからの引用で申し訳ないけど:
主演のマガリ・ソリエルの生まれ故郷も、ファウスタ(とその母)の村と同じようにテロリストの暴虐非道に苦しめられた過去があるようです。

クラウディア・リョサ監督は前作『マデイヌサ』に出演できる子を探していた時にマガリ・ソリエルに出会ったようですが、それ以前にはマガリは地元のフェスティバルで歌唱賞を獲ったりしていたようですね。

そんな彼女は歌手としても本格デビューです。アルバムは『Warmi』。「mujer(女)」を意味するそうです。

Magaly Solier - Sitio Oficial -

『La teta asustada』で女主人アイーダに歌を歌うように言われても拒んでいたファウスタが初めて歌ってきかせるシーン(そしてその曲をマガリ・ソリエルがアカペラで歌っています):

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Sunday, January 29, 2006

Pantaleón y las Visitadoras / 囚われの女たち [ペルー映画]

パンタレオン・パントハ大尉は士官学校時代からの輝かしい経歴で知られる優秀な軍人である。文武両道で品行方正な人格者で、公私共に充実しており、非の打ち所が無い。

パンタレオンは将軍から昇進と新任務を知らされた。最高機密だ、重要任務だ、軍の威信だと将軍は言う。事情をよく呑み込めぬままにパンタレオンは任地であるジャングルへ向かった。

その地域では兵士による強姦事件が多発しており、重罰を科したところで収まるものではなく、軍当局は激しい批判に晒されていた。そこで講じられた抜本的対策というのが、「兵士の欲求を満たすための奉仕活動に従事する女性訪問者組織」であった。

「駐屯地に娼館があれば兵士は民間人をレイプしなくなる」。このことである。


その最高責任者 ―― 上官の言葉を借りれば「セックス商人師団長」 ―― に任ぜられたと知り、謹厳実直なパンタレオンはひどく動揺したが、軍人である彼がそのポストを拒むことができるはずもなかった。

これが自分達の発案による軍務であるという事実をあくまでも伏せたい将軍たちはパンタレオンが今後軍本部へ近付くことも軍服を着ることをも禁じた。

パンタレオンは孤軍奮闘を強いられる。
部下として選んだのは‘異性に興味の無い’カイウアスとリオアルトの二人。密林の奥で見つけた荒れ果てた廃墟を3人で片づけに片づけ、「我が軍のどんな施設にも劣らない」売春宿にリフォームしてしまった。閉店を決心したばかりの歓楽街の売春宿の女主人チュチュペを説得し、彼女の経営手腕ごとジャングル奥地へ移すという合意を得た。

極上の妓(おんな)たちも揃った。売春婦、ではない。ここでは妓たちは‘ビジター(訪問者)’と呼ばれる。アマゾンに点在する駐屯地を小船で巡って訪問する形態をとっているからである。

パンタレオンは彼女たちを前に愛国心と犠牲精神と団結を熱く語った。円陣を組み手を重ね合わせる。「陸軍に栄光あれ!」。重大な隠密任務がいよいよ始まる。
______

友人benitaさんが最近この映画のことを話していたので、私も観てみました。あぁ、もう、ほんと、これはいい作品だ。(※コメント欄で詳しく) 「あの人にもぜひ観てもらいたい」と思い浮かぶ友人の顔がたくさん。benitaさんに感謝。

さて。
Amazonのベストレビュアーであるyukkiebeerさんも『囚われの女たち DVD』でハッキリと「私は怒っています」とおっしゃっているが、全面的に同意です。私の言いたいことはそこにあるとおり。

私の長広舌は不要だ。
まぁ、ちょっとこれを見てくれ。わかるでしょう。
↓↓↓↓
pantaleon アメリカ

・たぶんアメリカ地域ではこのパッケージ写真。
・119分?
・IMDbやamazonのジャンル表示は「Comedy / Drama」

・パンタレオン大尉の写真の上にぶっちゅ~とつけられた口紅の痕は、鑑賞途中で時折思い出され、そのたびに微笑みがこぼれるのですよ。そういう、少なくとも私にとっては意味のある写真だ、これは。

ヨーロッパ

・おそらくヨーロッパ地域ではこれじゃないかな。
・144分だとか131分だとか?
・YahooスペインのCineのジャンル表示は「コメディ」

日本

・日本………… orz

・95分とか96分とか

allcinemaでは「エロティック/ドラマ」
DISCASでは「エロティック
・amazon.co.jpでは「エロス作品」「官能サスペンス

・販売元ジェネオン エンタテインメントからして「エロス」と分類


原作者Mario Vargas Llosaのサイトにおける著書紹介では、「ユーモアに溢れ、同時に、軍隊と売春宿という我々の社会が有する二大制度への強烈な批判に満ちた小説である。」とあるのよ。


それを、官能だぁエロスだぁサスペンスだぁ………。


ほんと、ふ・ざ・け・ん・な。


バルガス=リョサに怒られろ、あんたたち。

Pantaleón y las visitadoras @IMDb
・英題 Captain Pantoja and the Special Services
囚われの女たち @映画生活
囚われの女たち@シネマカフェ
(・1975年にもバルガス=リョサ自ら監督していたのですかな?)

監督: フランシスコ・J・ロンバルディ
製作総指揮: マリエラ・ベスイエフスキー Mariela Besuievski
原作: マリオ・バルガス=リョサ Mario Vargas Llosa
脚本: エンリケ・モンクロア ジョヴァンナ・ポラローロ
撮影: テオ・デルガド
 
出演:
サルバドール・デル・ソラール
アンジー・セペダ
モニカ・サンチェス

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