Sunday, February 14, 2010

Sin Nombre / 闇の列車、光の旅 [メキシコ映画]

sin nombre公式サイト(邦題『闇の列車、光の旅』)からストーリー紹介:
ホンジュラスに住む少女サイラ。よりよい未来を求め父とアメリカを目指すことにした彼女は、移民たちがひしめきあう列車の屋根の上で、カスペルというメキシコ人少年と運命の出会いを果たす。彼は、強盗目的で列車に乗り込んだギャングの一員だが……略…………hairsalon

サンダンス映画祭 監督賞・撮影監督賞 受賞作品

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


紹介文に「カスペルはギャングの一員」とありますが、それがつまりこないだちょっと書いたマラ・サルバトルーチャです。あれはこの作品を観るにあたってちょっと助けになると思う。

ただ『Sin nombre / 闇の列車、光の旅』という映画はマラ・サルバトルーチャの構成員の生き方ばっかりではなくて、中米の人々が北米への不法入国を目指す様をも同時に説明しています。

『闇の列車、光の旅』は今年の初夏に全国順次公開です。面白いです。是非。


とても佳い作品であるのはたしかだけれども、私の好き嫌いを言うなら、苦手といえば苦手ジャンルですということ。私は苛酷な現代事情を描き出すといった作品はなるべく観ないようにしているので。観たくないんだよ、私は映画の中では人々は浮かれてて欲しい。

それから私は不法移民という事象に対しては非情とも言えるスタンスを保つことにしているので、このようなテーマの映画を観て悲しいなどと感じることを日頃から自身に許していないというのもまた「苦手」とした理由の一つではあります。


人が絶望したり死んだりする絵図は見ていればそれは悲しいものでしょう。私だってこの映画の何箇所で泣いたかしれない。

それでも、「かなしい……」「かわいそう……」というその感想は、たとえば我が国の不法滞在者にまつわる社会問題とは切り離して考えなければならないでしょ。この映画で映し出される移民がかわいそうに思えるということと、現実に我が国に在る不法外国人がかわいそうなのかどうかというのは全く別モノであるということ。そこのところはハッキリと自分の中で分けておきたい。そういうのはうっかり混ぜちゃダメなの。「混ぜるな危険!」なの。

……って、こんなこと言ってる私がむしろ誰よりも混ぜてるのかもしれんがね。



より大きな地図で Sin Nombre 闇の列車、光の旅 を表示

(つづきはコメント欄で。私はあまり書けないけどたぶんアリ・ババ39さんたちが書いてくださる)

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Tuesday, December 29, 2009

Rudo y Cursi / ルドandクルシ [メキシコ映画]

rudo cursi 映画『ルドandクルシ』公式サイトよりストーリー紹介:
diamondそれなりに幸せ!diamond メキシコの片田舎のバナナ園で、喧嘩しながらも楽しく働く兄弟の生活はまさにそんなものだった。兄のベトは妻子もいてバナナ園の作業長も務めているが、ギャンブル好きの乱暴なゴールキーパー。その性格と荒っぽいプレースタイルによって‘ルド’(=タフな乱暴者)と呼ばれている。弟のタトは優秀なストライカーだが、本当は歌手になりたいと夢見ている。

日々、草サッカーに明け暮れる二人の前に、ある日偶然、サッカー・スカウトの‘バトゥータ’が現れた。ところがPK対決で兄に勝ったタトだけが選ばれ、メキシコシティに赴くことに。……略……hairsalon


さらっと一度観たときの印象は『Y tu mamá también / 天国の口、終りの楽園。』と似ていたな。『天国の口~』の脚本を書いたカルロス・クアロンが本作では監督を務めている。

『天国の口~』は、「どうせ、ただの男アイドルの筆下ろし物語なんだろ」と高を括っていたのに実際に観てみたらけーーーっこうシリアスに社会を描出していて面白かった。『ルドandクルシ』も同じ印象で見終えました。

男ペネロペ’=ガエル・ガルシア・ベルナルやディエゴ・ルナが可愛いとか萌えるとかいうだけの作品ではけっしてなく、陽気な煙幕を張っておいて深刻な社会事情にさらっと触れている。

danger ‘男ペネロペ’っていうのは私の友人がガエルを形容した一語。


犬のシャンプーをしながらとかいう「~ながら」の時にBGVとしてDVDを回しておくというスタイルで5回まわし、プラス、一回はふつうに観てみましたが、観るたんびに、ラストは彼らが愛しくてしょうがなくなるわけです。‘ラストは’ね。

じゃぁラストに至るまでは?っていうと、毎回毎回いらいらいらいらしたわ。何に?って、田舎っ兵衛にね。誰も彼も田舎っ兵衛なんだわ。

でも「いなかっぺ」っていうのは出身地をどうこういうものではないと思うわ。ひとが「いなかっぺ」であるかどうかには出身地なんか関係ない。「かっぺ性」というものは精神の、性根の問題である、と。ひとは田舎っぺとして生まれるのではない、田舎っぺになるのだ、と。

いや、あるいは逆かもしれないな。つまり、ひとは皆いなかっぺとして生まれて来るが、いなかっぺ根性のままの者がいなかっぺなのだ、と。

何を言ってんだか、自分でもよくわからない。


(つづきはコメント欄で正月にでも)

主人公タトは歌手としての成功を夢見ているのだが、もう、なんと言ったらよいか………ヒドすぎてあたしは目が覚めてしまった、この『Quiero que me quieras』。このヒドさは素晴らしいよ、ガエル・ガルシア・ベルナル。BGVとしてDVDを回しっぱなしにしていて画面はろくに見ていないという方法で再生していた時、あまりのヒドさに、思わず二度見したわ。

゚ ゚   ( д )   
な゛ん゛じゃごり゛ゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っですわ。
「『I want you to want me』に何てことしてくれるんだ!」ですわ。


スポーツ選手とかが歌なんかに手ぇ出すとこうなっちゃうのかね。スペインの闘牛士ヘスリンの歌とかってこういう立ち位置だったのかしら。「Jesulin cancion」でググったら一発で「Las 100 canciones mas odiosas de la historia歴史上もっとも忌むべき曲百選)」とかいうブログがヒットするくらいだし。

しかし、ガエル・ガルシア・ベルナル演ずるタトの歌う『Quiero que me quieras』を見たあとでは、口パクとは言えヘスリンの方がよっぽどマシだわい。ガエルさん、凄いよ、偉いよ、あの「歌の才能の無さ」演技は。


お口直しにやっぱりここはひとつ王子様、ロビン様を。
⇒ Cheap Trick  【I WANT YOU TO WANT ME】【SURRENDER】

外タレで様つけていいのは、ぶっちゃけロビン様だけなのだよ。


なんかわからないけど、泣けてしょうがなかったわ、私、これ。

わかんない。昭和の香りかなあ。ノスタルジー。武道館がBUDOKANとして燦めいて聳えていた時代への追懐の情とやらいうものなんだろうか。私がもう人生折り返したように自覚しているからか。

で、なんの話だったか。そうそう、Rudo y cursi。
『ルドandクルシ』の話は、コメント欄で加筆していきます。

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Saturday, September 19, 2009

Los bastardos / よそ者 [メキシコ映画]

Bastardos開催中のLatin Beat Film Festival 09 / ラテンビートフィルムフェスティバル2009 / 第6回スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映された作品。

LBFF公式サイトの紹介文より
ロスで暮らすメキシコ人不法移民のヘススとファウストは、日雇いの仕事が舞い込むのを路上で待つだけの生活を送る。しかしその日、ヘススはいつものデイパックに銃を忍ばせていた---。……(中略)……ある日変貌したヘススとファウストの鬱屈した日常の先に待つ衝撃のラストは。end

Los Bastardos@IMDb
Los Bastardos 公式

監督: Amat Escalante アマ・エスカランテ
脚本: Amat Escalante  Martín Escalante マルティン・エスカランテ

出演:
Jesus Moises Rodriguez ヘスス・モイセス・ロドリゲス ... Jesús ヘスス
Rubén Sosa ルベン・ソサ ... Fausto ファウスト

Nina Zavarin ニーナ・サヴァリン ... Karen カレン: 白人女
Trevor Glen Campbell ... Trevor トレボー: その息子

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Saturday, May 30, 2009

Arráncame la vida / 命を燃やして [メキシコ映画]

arrancame la vidaストーリー
1932年、メキシコ、プエブラ州。カタリーナ・グスマンが町で姉や男の子たちと遊んでいるところへ男が近づいてきた。アンドレス・アセンシオというその男は30歳をこえたころだろうか。カタリーナはというと、まだ15歳であった。

アンドレスはカタリーナたちを車で家まで送ってくれた。姉が後でそっとカタリーナに尋ねる。「あの人のどこが気に入ったの? ずいぶん年上よ」。「でも、あの人の目が好きなの。手も好きだわ」。

その日からアンドレスはカタリーナの家を頻繁に訪れた。彼は俗っぽい武勇伝をあれこれと語ったものだ。カタリーナの家族の心を掴んでしまうのにそう時間はかからなかった。

アンドレスにはあちらこちらに数えきれないほどの女がいるのだとか、奴は犯罪者だとか、いろいろおぞましい噂も耳に入っては来た。いつか家族みなが後悔するだろうと言われたこともある。

「たしかに私たちは後悔することになったのです。でも、それは何年も経ってから。」


16歳のカタリーナはアンドレスに嫁ぐ。

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メキシコ版『風と共に去りぬかぜ』という印象。

大河ドラマのようでもあり(描かれているのはカタリーナの15歳から30歳までだけなので、大河ドラマというにはちょっと短いかもしれないけれど)、テレノベラてれ的でもある。イサベル・アジェンデいさをふと思い出したり、『赤い薔薇ソースの伝説』を連想したりもした。

と、とりあえず断片的な記憶をしぼって知った風な口をきいてみましたが、最終的には、あれです、『人形の家にん』だと思う。25年前に読んだだけなのでうろ覚えだけど。


私、『風と共に去りぬ』のひと、好きじゃないんだよね。16歳のときに観て「なんだろう、この女 ( `_ゝ´)」と思ったっきりだ。それ以降、大人の気持ちで見なおしていればまた違った印象を持っただろうとは強く思うのだが、あいにく機会に恵まれず、したがって「なんなんだ、この女」のまんまなのです、あのひとは。←名前が出てこないくらい。

しかし、私自身が‘メキシコ版・風と共に去りぬ’であろうかと言った本作のカタリーナは好きだよ。彼女が15の時から30の時までおおむね好印象を受けたし、幸せを噛みしめているであろう彼女の心の中を想像して涙がこぼれたくだりもある。


男と女の寂しさと悲しさと嘆きと諦めと愛と力とがうねっている作品です。


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(つづきはコメント欄で)

Arráncame la vida 公式
Arráncame la vida@IMDb
英題: Tear This Heart Out

観始めるときにメッセンジャーの名前表示の欄に『Arráncame la vida』と入れておいた。(観ている作品タイトルをそうやって記入しておくと、スペイン語人の友人があれこれとコメントをくれるから、いつもそうしている)

するとすぐにスペインの友人が、「Menuda frase te acabas de poner, qué dramática これまたなんちゅうフレーズを。ドラマティックだな!」というメッセージを送ってきた。

「いや、これ映画のタイトルなんだけど、……え? そんなに?」と聞いたところ、「pues significa ‘quítame la vida violentamente’. tus amigos se van a asustar. ‘私の命を奪って’じゃないか。君の友達はみんなビックリしちゃうぞ」。

・原作: Ángeles Mastrettaあんへれす

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Sunday, April 05, 2009

Sólo con tu pareja / 最も危険な愛し方 [メキシコ映画]

soloストーリー
トマスは女たらし。女をとっかえひっかえ家に連れ込み、することはさんざんして、朝になって別れ際に女の名前を間違えているような男。相手かまわずTPOなどわきまえず喰い散らかしてきた。しかも、この男、相手の女にコンドームをつけるよう言われても「え? だってピルは飲んでるんでしょ?」と聞き返すようなろくでなし。

そんなトマスだったが体調不良が続き、友人であり隣人である医師マテオのクリニックで血液検査をしてもらうことになる。検査結果をマテオはトマスに伝えたのだが……。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


solo・そこそこ面白い。気楽に観られる。

・どちらかと言ったらシリアスな作品で冷酷非情な役柄を演じることが多いのかなと思ってきたDaniel Giménez Cachoの若い頃の作品で、こんなドタバタ喜劇に彼が出ていたのだと知って意外な気がした。しかも、何よこの端整な顔立ちは。いや、たしかに中年になってからの彼も綺麗っちゃぁ綺麗ですけどさ。

・二人の日本人(医師)が登場する。(俳優さんはおそらく日系の人; Toshiro Alberto HISAKIとCarlos NAKASONE)

・夢だか悪夢だかの中の世界がカオティックで笑える。

・全編( ̄ー ̄)ニヤリとさせられる。


させられるけれども、け・れ・ど・も、

・序盤から中盤にかけてのコント的展開がやや冗漫。
・中盤のコント的展開も冗漫。
・終盤のコント的展開も冗漫。

まぁ、つまりだいたい冗漫だ。馬鹿げてて面白いんだけども。


(つづきはコメント欄)(観てから3週間くらい経っちゃったのでとにかく書いてスッキリしたい)

Sólo con tu pareja@IMDb
直訳: 恋人とだけ

最も危険な愛し方@ぽすれん
最も危険な愛し方@映画生活

監督: Alfonso Cuarón アルフォンソ・クアロン

脚本: Alfonso Cuarón  Carlos Cuarón カルロス・クアロン

出演: (役名でけっこう言葉遊びをしている感じ)
Daniel Giménez Cacho ダニエル・ヒメネス・カチョ ... Tomás Tomás トマス
Luis de Icaza ... Mateo Mateos マテオ: 隣人、友人、医師
Astrid Hadad ... Teresa de Teresa テレサ: その妻
Dobrina Liubomirova ... Silvia Silva シルビア: マテオのクリニックの看護師

Claudia Ramírez クラウディア・ラミレス ... Clarisa Negrete クラリサ: トマスとマテオのマンションに越してきた女性
Ricardo Dalmacci ... Carlos カルロス: その同棲相手

Isabel Benet ... Gloria Gold グロリア: トマスの仕事相手; 広告代理店かな

Toshirô Hisaki ... Takeshi タケシ: 日本人
Carlos Nakasone ... Koyi コージ: 日本人

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Saturday, December 06, 2008

KM 31: Kilometro 31 / 31km [メキシコ映画]

km31danger サラっと観ただけなので注意点がいくつかありますdanger)(サラっとどころか別の作業の時にBGVとしてつけていただけ、みたいなもの)


アマゾン商品ページから紹介文(mix)
アガタとカタリーナの双子の姉妹。アガタはカタリーナの元へ車で向う途中、子供を轢いてしまう。事故を確認しようと車から出るが、逆にアガタが後続車に轢かれてしまう。カタリーナが病院に駆けつけるが、アガタは昏睡状態となっていた…。死亡事故が多発する高速7号線・31km地点で不可思議な現象を体験したカタリーナは、真相を調べるため現場に車を走らせる。だが、そこで彼女を待っていたのは恐るべき真実とさらなる恐怖だった。end


アマゾンだと★が少ないけど、あたし、すごく怖かったからもっと★多くてもいいよ。 そもそもホラーが得意分野の人にとってはどういう作品が★いっぱいつくのでしょうか。その辺が私にはわからなくてすみません。私はホラー音痴です。

「(おばけみたいな、変なもんが)きっと出る、出る」って思ったから横目で観るようにして十分警戒していたのに、いざ出てくるとやっぱり「ぅゎひゃ゛っ」みたいな変な悲鳴を上げてしまったわ。ほんと、文字に起こすと「ぅゎひゃ゛っ」。おまけにその時は漫画のように体をガクガクッとさせたよ。膝上でゴロゴロ和んでいた黒猫氏だって、びっくりして飛び降りて逃げていってしまったわ。


km31
〔……ここからしばらく略…… (略1)〕(コメント欄へ移した)

ほんと、死むよ。なんだよ。おばけみたいの、出てくんなよー。あと、音楽、音が急にデッカくなるとかそういうので脅かすのやめてよ。こんな、比較的評価の低いと見受けられる作品ですら、私、見事に驚くんだからさー。

ホラー業界にとって私はものすごい簡単な客なんだよ。鴨がサダコ背負ってやってくるみたいなもんだよ。


寝る前に観始めちゃったのだが、途中25分くらいのとこで一回切った。その時のメモ⇒ 「ダメだ。夜はダメ、こういうの。明日昼観るわ。」

そして翌日まだ明るい時間帯にふたたび観はじめたが、猫はあらかじめ部屋から追い出しておいた。急に膝に飛び乗ってきたりして怖いから。姪っ子たちには「これからしばらくおばちゃんの部屋に近づかないで」と命じておいた。(急に開けられたり大声で呼ばれたりしたら心臓に悪いからだ) 


それでも怖いのでなるべく画面を見ないようにした。(←観てないじゃん!)

告白すると、薄目で細目で横目で観てばっかりいたので最後の方は何が起きていたんだか、ちょっとあんまり……。すみません。人の細かい表情や顔の造形が見えていなかったもので。


(語句メモはコメント欄)


監督・脚本: Rigoberto Castañeda リゴベルト・カスタニェーダ

出演:
Iliana Fox イリアナ・フォックス ... Agata / Catalina (二役)アガタ、カタリーナ
Adrià Collado アドリア・コジャード ... Nuno ヌーノ: カタリーナの友達
Raúl Méndez ラウル・メンデス ... Omar オマール: アガタの彼氏
Carlos Aragon カルロス・アラゴン ... Ugalde: ウガルデ刑事

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Sunday, November 09, 2008

El Laberinto del Fauno / Pan's Labyrinth / パンズ・ラビリンス [メキシコ映画][スペイン映画]

laberinto laberinto laberinto

私はこのブログで映画作品についてだらだらと長ったらしい文を書いていますが、ストーリーのポイントにはほとんど触れないように腐心してきたつもりです。私はここで書くにあたって「如何に書かないか」を練るのに最も時間を割いている。

昨日(土曜)の朝、どうやら情報番組で『永遠のこどもたち』が紹介されたらしく、その時間帯のアクセス数が突出していた。検索ワードに「永遠のこどもたち ネタバレ」「スペイン 映画 永遠 結末」などと探して来ているのも少なからずあった。

「なめんな」と思った。これから日本で公開される作品について早々にネタバレするような人間がいると思ってこのブログにアクセスされるのは心外だ。


laberintoしかし『パンズ・ラビリンス』についてはもうかなり多くの人が観た後だろうと思うので、今回は私は、ネタバレしないようにという配慮をたぶんいつもよりは少なめに書きます。そのつもりで進んでください。(まぁ、ネタバレと言っても私のネタバレなんて可愛いもんだから)

パンズ・ラビリンス@gooからあらすじ
1944年、内戦終決後のスペイン。父を亡くした少女オフェリアは、身重の母と共にゲリラが潜む山奥で暮らし始める。そこは母が再婚したフランス軍のビダル大尉の駐屯地だった。体調の思わしくない母を労りながらも、冷酷な義父にどうしても馴染めないでいた彼女の前に妖精が現れ、森の中の迷宮へと導く。そこではパン(牧神)が王女の帰還を待っていた。オフェリアは魔法の王国に戻るために3つの試練を与えられるのだった。end


映画を観てここに書き終えるまでは情報を完全に排除したいと願っている私ですが、『パンズ・ラビリンス』に関してはRSSで拾えてしまうブログ概要などでもいやでも目に入ってしまっていたので、「口を縫う」シーンがあるっていうことだけは知っていました。だからずっと避けていた。「口縫うって何!」と、身震いしていた。

「ぜーーーったい観ない」とほぼ決めていた。(貸してくれたAbetchyも「あーた、これ、無理かもよ」と言ってくれてたことだし…)

しかし先日、IMDbで「言語にスペイン語が含まれている作品」をざっと5600作品くらい拾い集めて、さらにそこから1600作品くらいにまで削って私なりのリストを作って眺めてみたところ、得票数は『パンズ~』がダントツの1位だった。そのリストにおいては二位の作品の優にダブルスコア以上の票を集めていた。

やっぱりこれはいつまでも逃げ回ってなどいられない作品なのですねとそこで観念した。


途中何度か画面を手で覆い隠したけれども、最後まで辿り着きました。終盤はえっくえっく泣いた。登場人物が声を上げて泣き出すシーンで、私も同じタイミング・同じ調子で泣いていた。映画館でこれを鑑賞するのは私にはとても無理だったろう。

泣いて泣いて、観てからすぐに風呂に入ったがそこでもしゃくり上げて。ひっくひっくしすぎて物理的に胸が痛んだよ。悲しい悲しい現代史だった。


「いっそ殺してくれ」と乞う人がいた。「いっしょに連れて逃げてくれ」とすがる人もいた。「死んだ方がまし」というのが軽口でもぼやきでもなくて現実であり日常だった時代が、ついこないだまでスペインにあったのだね。

El laberinto del fauno/ Pan's Labyrinth ペーパーバック
Pan's Labyrinth [Soundtrack] [Import] [from UK]
Pan's Labyrinth [Soundtrack]

監督・脚本: Guillermo del Toro ギジェルモ・デル・トロ

出演:
Ivana Baquero イバナ・バケーロ ... Ofelia オフェリア
Ariadna Gil アリアドナ・ヒル ... Carmen Vidal カルメン: オフェリアの母

Sergi López セルジ・ロペス ... Captain Vidal ビダル大尉
Manolo Solo マノーロ・ソロ ... Garcés ガルセス: 部下
César Vea セサル・ベア ... Serrano セラーノ: 部下

Álex Angulo アレックス・アングーロ ... Doctor フェレイロ医師
Maribel Verdú マリベル・ベルドゥ ... Mercedes メルセデス
Roger Casamajor ... Pedro ペドロ: メルセデスの弟
Ivan Massagué ... El Tarta タルタ: 吃音の人
Gonzalo Uriarte ... Francés フランセス: 脚を悪くしている人

Doug Jones ... Fauno / Pale Man パン

(コメント欄につづく)

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Monday, November 03, 2008

La Zona [メキシコ映画]

la zonadanger わりとサラっと観たので注意点がいくつかありますdanger


始まってすぐに、「ああ、これはそういう地域の話か。それでタイトルが‘La Zona (地区)’なのか」と理解した。

「ゲーテッドコミュニティー」(時代を読む新語辞典より): 防犯のため地域全体を塀で囲んで、中に入れる人を制限する住宅地

そういう‘地区’を舞台に展開する社会派サスペンス。


おはなし
暴風雨の夜、巨大広告を留めていたワイヤが切れた。倒れた看板は高級住宅街の発電装置を直撃し、一帯の電気を停めた。すぐ近くのスラム街の廃車に屯して暇をつぶしていた少年3人が、この停電の間にこの‘要塞街’に忍び込んだ。

3人はある屋敷を物色中にその家の女主人に見つかって銃を向けられる。まもなく地区一帯に警報が鳴り響いた。

この騒ぎで目を覚ましたアレハンドロ少年がベッドを抜け出し廊下に出てみると、父ダニエルが銃を携えて表に出ようというところだった。事件のあった家には既に地域住民たちが集まって来ていた。アレハンドロ少年はそこで二人のスラム街の少年とガードマン一人の射殺死体を目撃する。

ダニエルたちの質問に被害に遭った家のメイドが答える。「侵入したのは3人でした。一人足りません」。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


生活圏が機械で制御されていて、ひょっとしたら外の世界を知らずに一生を終えることだって可能かもしれない、ひとたび中に入り込んでしまったらそのガードを破って出ることはできない、人々の一挙手一投足が監視され録画されていて、そこには独自のルールが形成されていて逃れられる者はいない……なんて、二昔前なら「それは星新一? 『ゆきとどいた生活』みたいなもの?」と思ったのかもしれないけれども、こういう生活はそろそろ現実になりうるのね?


うちの近くにだだっ広い土地が空いている。アメリカの巨額な宝くじでも当たったらそこを買い取ろうと思う(!)。それで、あぁ、そうか、地区全体をフェンスで囲ってしまえばこれはなんとたいそうなセキュリティーだこと! なんて安全な街かしら。街区、売れ売れでウハウハかな。あぁ、宝くじ300億円くらい早いとこ当てないと。

って前々から思ってたんだよね。←思ってたのか……。


だけどこの『La zona』なんて観てしまうと、やっぱりこういう街作りは考えものかもねと思わされる。そういう(高級)住宅街に住む人がみな善良で廉潔な人かって言ったら、そうでもないもんね、言われてみれば。

お金を持っていればイコール善い人かって、それ違うからね。お金があって品性下劣なんて下種はいくらでもいるので、そんな連中にこんなコミュニティに籠られて自警団でも作られた日には。

外の法が及ばないようなことを中でやらかされた場合どうするのって。こわくて不快だね。


La Zona@IMDb
直訳: 地区
『La Zona』公式というか…仏語サイト

監督: Rodrigo Plá ロドリゴ・プラ
脚本: Rodrigo Plá  Laura Santullo ラウラ・サントゥージョ

出演:
Daniel Giménez Cacho ダニエル・ヒメネス・カチョ ... Daniel ダニエル:
高級住宅街に居を構える。「警察は役に立たない」という。昔、普通に‘外界’で暮らしていた頃、兄が真昼間に撃たれたが、警察はなかなか現場に来ず、結局兄は出血多量で路上で絶命した。その後、ダニエル自身が犯人を見つけ出し警察に突き出したが、収監されたはずの犯人がなぜか3か月後には娑婆に出てき、そしてまたなぜかダニエルの前に現れた。ダニエルは激しい暴行を加えられ、肋骨三本と鎖骨を骨折、手指の骨をつぶされ、眼を殴られて網膜剥離を起こした。「奴らに私の住所を教えたのは誰だと思う」

Maribel Verdú マリベル・ベルドゥ ... Mariana マリアナ: その妻
Daniel Tovar ダニエル・トバル ... Alejandro アレハンドロ: 息子

Alan Chávez アラン・チャベス ... Miguel ミゲル: スラム街の少年

Carlos Bardem カルロス・バルデム ... Gerardo ヘラルド: 我々には武器があるじゃないか、それを使いましょうよ、正当防衛だと主張する強硬派住民。やがては、警察に通報した人間が自治会内にいるはずで、どの人がいちばん怪しいと思うかを投票しようとまで言い出す。

Marina de Tavira マリーナ・デ・タビラ ... Andrea アンドレア: 警察にお金を払えば事件は消えるものだと主張する強硬派住民。

Andrés Montiel アンドレス・モンティエル ... Diego ディエゴ: 武力を行使してでも自分たちで犯人を捕まえようと加熱する自治会において、非暴力的な解決を試みようと主張しつづけた極めて少数派の住民。

Blanca Guerra ブランカ・ゲラ ... Lucía ルシア: いったんは空気に押されるように「犯人追及」に賛成票を投じたが迷いもあり、やはり警察になにもかも話すべきではないかと提案する住民。

Mario Zaragoza マリオ・サラゴサ ... Comandante Rigoberto リゴベルト: 警察。「3人の友達があの停電の夜に高級住宅街に侵入していったけれどもそれから出てこないの」と訴えてきたスラム街の少女の証言などをもとに、ゲーテッドコミュニティーの堅牢な塀の内部を探ろうと独り立ち向かうが……


この辺の書籍はどうかな
ゲーテッド・コミュニティ―米国の要塞都市
集合住宅デモクラシー―新たなコミュニティ・ガバナンスのかたち (SEKAISHISO SEMINAR)
コミュニティ 安全と自由の戦場

というか、リストが作られていた

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Thursday, October 16, 2008

La ley de Herodes [メキシコ映画]

ley de herodesdanger わりとサラっと観たので注意点がいくつかありますdanger

あらすじ
1949年、ミゲル・アレマン大統領の任期中、サン・ペドロ・デ・なんたらという名の片田舎の鄙びた村の村長が、腐敗政治の挙句に現地住民たちによるリンチに遭い首を斬りおとされて死んだ。ちょうど選挙準備にかかろうかという時期だったもので、県知事としてはそんな政治スキャンダルはできるだけ早いうちに片付けてしまう必要があった。

知事はさっそく書記官のロペスに、問題の僻村に誰か臨時の村長を送りこんでおくよう強く命じた。ロペスは秘書のラミレスが推薦するフアン・バルガスという党員に目をつけた。こうして、凡庸で馬鹿正直なその男が村に送り込まれた。

バルガス自身は近代化と社会正義をこの村にもたらすと意気軒昂であったが……

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


面白いな。
音楽にひきずられてついつい笑ってしまったような箇所もあるけど、全編通してニヤニヤしながら観ていられる作品。私はすぐ眠くなるから三日に分けて観たけど、正直、途中で止めるのが惜しくて無理矢理見続けちゃおうかなと思ったりした。

テーマは普遍的だよね。
もしかしたら実際にこの大統領の時に特にこれこれこういう世相だったのですなどという社会的・歴史的背景もちゃんとあって、メキシコに詳しい人ならその辺はすぐにぽんぽん出てくるのかもしれませんが、それらをひとまず脇に置いて、単にユニバーサルな劇として観ているだけでも楽しい。

政治も宗教も腐りきっている図とか、中央が地方を実際は舐めきっているんじゃないかという気色とか、人民を従わせるのは結局は法と武力なのかねぇ、悪法も法ってか!という諦観とか、いや武力次第で法だっていくらでもデフォルメできちゃう危うさとか、そういうもろもろを描いた風刺画として。

そしてまた、別にこれ、悪代官と悪徳坊主と非情な女郎屋のおかみと……そんな連中が蠢く、そちも悪よのぉ・山吹色の菓子・何をなさいます、ご無体なーといった大江戸パターンに脳内で変換してもふつうに観ていられるのだわ。


オチは早くから読めるけど、それでいい、そこがいい。

面白いのにどうしてアマゾン(日)ではビデオでしか手に入らないのかね。もったいないね。

(※amazon.comにあるDVDはリージョンが1かもしれない)

La ley de Herodes@IMDb
タイトルは『Herod's Law』、つまり「ヘロデの法」と訳せるわけだが。

たとえばこういうスレッドを見かけた: 「ついつい笑っちゃうようなスペイン語のフレーズって何かありますか

その11ページ目にこうある: 「la ley de herodes, o te chingas o te jodes...esto es hablando de cuando uno no tiene alternativa (選択肢が無い様子を表す)」

「究極の選択」みたいな感じだろうか。(……ふと思ったが若い人は1989年頃に「究極の選択」っていう概念(?)が流行したことなど知らないんだろうな)


監督: Luis Estrada ルイス・エストラーダ
脚本: Luis Estrada 他

出演:
Damián Alcázar ダミアン・アルカサル ... Juan Vargas フアン・バルガス: くりくりお目目が可愛らしい。途中からだんだん猪口才。この人、いろんな役を演じられるんだねえ。それが役者というものですと言われればそうですけども。

Leticia Huijara レティシア・ウイハラ ... Gloria グロリア: 妻

Salvador Sánchez サルバドール・サンチェス ... Pek ペック: フアンの秘書
Alex Cox ... Gringo アメリカ人
Guillermo Gil ... Cura 司祭
Eduardo López Rojas ... Doctor 医師
Isela Vega ... Doña Lupe ドニャ・ルーペ: 女郎屋の女将

Pedro Armendáriz Jr. ペドロ・アルメンダリス ... López ロペス書記官
Juan Carlos Colombo ... Ramírez ラミレス: 秘書; フアンとは入党の同期(じゃなかったかな)

Ernesto Gómez Cruz ... Gobernador 知事
Luis de Icaza ... Alcalde Alfredo García 前知事


語彙はメキシコの言い回しが多いとは思うけどしゃべるスピードは速くないので聞きとりはさほどつらくない。わりとはっきり聞こえると思うよ。

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Thursday, October 09, 2008

El orfanato / 永遠のこどもたち [スペイン映画][メキシコ映画]

el orfanatoこれはたとえばネットに上げられちゃってるものをチマチマと観るような作品ではなくて、きちんと映画館で観るべき作品。あるいはDVDを迷わず買っちゃうべき作品。そのように純正のものを正当に観なかったら後悔する作品。


セリフや音やカットの一つ一つがラストに向かって丁寧に組み立てられていて実におもしろい。いや、映画ってそういうものなのだろうけども、それにしても。


「怖い」という意味でとてもおもしろい。一度観終わってからも何度も確認しに戻りたくなる。戻っては「むぅ」と唸り、「ほぅ…(ここにも伏線があったのか)」と呻いては戻り。

私がホラーにぜんぜん慣れていないからかもしれないけれども、Σ(゚Д゚;)ギクッとか((((;゚Д゚))))ブルブルとかはもちろん、二三度はぞわゎぁぁっと鳥肌が立っちゃった。

ホラーだなんだというジャンルをとっぱらって、私にとっては、これまでに観てきた百数十作品の中で考えても、好きな作品の上位に入ったのでした。¡Bravo!


「べき」「べき」言うべきでないとは思うけど、今回は「べき」「べき」言っておこう。


1. まずは大阪ヨーロッパ映画祭で観るべき
11月22日15:00~

於 リサイタルホール

大きな地図で見る

映画祭による紹介記事:
ラウラは医師の夫と養子のシモンをつれ、少女時代を送った孤児院の建物へ戻ってくる。彼女には、そこで家族と一緒に、障害のある子どもたちの施設を営む計画があった。到着早々、目に見えない奇妙な「友人ら」について語り始めたシモンは、知り得ないはずの自身の出自や病気について、ラウラを問い詰めるようになる。そして、外部から子どもたちがくる日、彼はパーティーの途中で忽然と姿を消す。そして、シモン捜索中に孤児院にまつわる封印された事実が明らかに。スペインで記録的な大ヒットと評価を受けた話題作。

監督も来日するようです


2. 12月の公開を待って観に行くべき
シネカノン有楽町1丁目、渋谷アミューズCQNなどで上映ですって。


3. DVDを買って観るべき
スペイン版をスペインから通販で買うと、9ユーロくらいから32ユーロくらいまで、バージョン違いで各種あるようだ。

 

あるいは、amazonUSからリージョン2を買ってしまうか。


4. というか日本版がDVD化されて世に出るのを待つのも賢明だと思う。


それまでは、この作品についての情報を見聞きしないようにするべき。ここのコメント欄もまだ読まないべき


 ←2009.05.22 発売

Orfanato スペイン公式
El Orfanato@IMDb
直訳: 孤児院

永遠のこどもたち@映画生活
永遠のこどもたち@CinemaCafe

監督: Juan Antonio Bayona フアン・アントニオ・バヨーナ (上述の映画祭に来るようだ)
脚本: Sergio G. Sánchez セルヒオ・G・サンチェス

出演:
Belén Rueda ベレン・ルエダ ... Laura ラウラ
Fernando Cayo フェルナンド・カジョ ... Carlos カルロス: 夫
Roger Príncep ... Simón シモン: 息子

Montserrat Carulla モンセラット・カルーリャ ... Benigna Escobedo ベニグナ・エスコベード: 来訪者

Mabel Rivera マベル・リベラ ... Pilar ピラル: 警察に協力する精神科医
Edgar Vivar ... Prof. Leo Bálaban レオ・バラバン教授
Andrés Gertrúdix アンドレス・ヘルトゥルーディス ... Enrique エンリケ: 教授の助手
Geraldine Chaplin ジェラルディン・チャップリン ... Aurora アウローラ: 霊媒

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