Sunday, October 09, 2011

Balada triste de trompeta / 気狂いピエロの決闘 / The Last Circus [スペイン映画]

premios goyaLatin Beat Film Festival 2011 / 第8回ラテンビート映画祭 / ラテンビートフィルムフェスティバル2011 / スペイン・ラテンアメリカ映画祭: Cabinaの上映作品。

第8回 ラテンビート映画祭 | LATIN BEAT FILM FESTIVAL 2011 in TOKYO, YOKOHAMA & KYOTOより:
スペイン映画界のヒットメーカー、イグレシア監督が手掛けた異色のラブ・ストーリー。イグレシア監督は、スペインで名誉ある「最優秀映画監督賞」を受賞。また、2010年のベネチア国際映画祭ではコンペ部門審査委員長のタランティーノから絶賛され、見事、銀獅子賞と脚本賞をダブル受賞した。


おはなし
1937年、ハビエル少年の父はサーカスの人気道化師であった。父は内戦の渦に飲み込まれるようにして共和国側で戦うことを余儀なくされ、捕らえられて“戦没者の谷”建設の強制労働に従事する中、ハビエルの眼前で無残な死を遂げた。

1973年、中年にさしかかったハビエルは、父の面影を胸にサーカスで“泣き虫ピエロ”として働くようになっていた。サーカスで一番の人気者、“陽気なピエロ”を演じるのはセルヒオという男であった。酒を飲むたびに残忍な性格を剥き出しにするこの男は、恋人であるエアリアルパフォーマーのナタリアにも容赦なく暴力をふるう。しかし、子どもたちの人気を集める彼には団長もものを言うことができずにいる。

ハビエルはよりによって、このナタリアに恋心を抱いてしまった。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


twitter 先日のツイート
忙しい時は何かの作業中にBG“V”としてDVDを繰り返し再生するという形で“鑑賞”するしかない。そんな“チラ見”の時にも“Balada triste ~(The Last Circus)”のOPには釘付けになったよ。凄くかっこいいだろ

オープニングタイトルがとても気に入った。こういうことはこれまであまりコメントしたことがないな。これは惹かれたよ。「ああ、きっと私はこの作品を気に入るし、知人のあの人やあの人にも薦めよう」と、OPを見ただけでも強く思ったわ。


アレックス・デ・ラ・イグレシアの作品なので、ちょっと痛みを感じる作りになっています。人の体に傷がつく音が、生理的な恐怖を与えてくれるというか。その代わりというか色合いは抑えてくれてあったので、私のように血が嫌いな人でもあんまり抵抗無く見ていられる。


ハビエルの父が、泣き虫ピエロのマヌエルと組んで子どもたちを笑わせ喜ばせているシーンから映画は始まる。

爆撃の音が轟きその笑い声を掻き消す。と、そこへ殺気立った兵士の一団が乗り込んで来る。庶民の暮らしをぶち壊してなだれ込んできて、子どもたちの笑顔を恐怖と涙で塗りつぶし夢も希望も踏みにじり、大人達を次々と殺戮に駆り立てる……という描かれ方をしているのが、フランコ側ではなくて共和国側であることがおもしろい。アリ・ババ39さんはこれをアレックス・デ・ラ・イグレシアの「バランス感覚」なのだとおっしゃった。

そうだと思う。こういうシーンでフランコ側を狂った狼のように、そして共和国側をぷるぷる震える白い子ウサギのように描くことは、ある意味―――乱暴に言えば―――“馬鹿の一つ覚え”だろうとも思う。

共和国側のエンリケ・リステル大佐が叫んでいたでしょう、「我々につかない者は反乱軍の者とみなす ……略…… あの扉を開けたら、ヤツらをぶっ殺すんだ、ぶっ殺さないと俺たちがぶっ殺されるんだからな。簡単な話だ」って。殺るか殺られるかだから。そして、同じ国の民同士、へたすれば親子・兄弟の間でさえも敵味方にわかれて裏切り合い殺し合わなきゃいけないのが内戦のむごさ・痛ましさでしょう。

だから我が国も、内戦は「ダメ。ゼッタイ。」



DVDやラテンビート映画祭で何度か観ているんだが、この作品、考える時間が必要な作品だよね。私はまだぼんやりとしかわかってないな。見終わるたびになんだかしくしく泣いているにもかかわらず、どうして泣いているのかハッキリとわかっていない。

ハビエルという青年の悲しみに満ちた人生と狂気、セルヒオという男の残虐と絶望、間に立つナタリアという女の弱さと狡さと浮気癖。……これらを内戦以後のスペインにあてはめて考えればいいと思うのだけど、それでもまだところどころわからなくなってしまう。やや消化不良気味だけど、今回はこの辺で。


一つ思ったのは、「アレックス・デ・ラ・イグレシアは高さのあるところでの大立ち回りが好きなんだよな」ということ。


いくつかメモ
映画『気狂いピエロの決闘』 - シネマトゥデイ
気狂いピエロの決闘 - goo 映画


戦没者の谷(バリェ・デ・ロス・カイードス)

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映画館 Cine Luchana's 

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Saturday, November 24, 2007

¡Ay, Carmela! / 歌姫カルメーラ [スペイン映画]

carmelaどの国のいつの時代の話でも、魂を売らされる人の姿は悲しい。


90年代半ばにスペインの学校の授業で(何度か)見た。当時スペインで購入したVHS(PALをNTSCに変換したもの)なので、今日久々に見てみて懐かしさが胸にグッと来たが、経年劣化はその分悲しかった。画質・音質共につらいものがあった。私は自分のテレビの音は普段は行っても「5」、深夜なら「1」でも十分に聞けるのだが、このビデオの場合はヘッドホンをした上で「38」にしなければならなかった。ちょっと辛かったね。

メモ
DVDなら字幕は英・仏つき。今ならDVDGOで11.99ユーロ。
この映画は途中からイタリア訛りのスペイン語、怪しげなイタリア語、怪しげなスペイン語、それらのちゃんぽんの会話が続きます。DVDだとそれをどう字幕で示してくれてるのかな? いつかそれは確認したいものである。

だけども、たぶんこれ、よしんば字幕が無くても言ってることは分かるようにできてるから安心してていいです。文脈がわかりやすくできているから、イタリア語部分も理解できます。だいじょぶ。


今日の私は体調が悪いので、あらすじはgooから拝借
1938年、スペイン内戦期。
共和派とファシスト勢力の争いの中、旅芸人の一座が、兵士たちと市民の慰問に前線をまわっていた。一座の花カルメーラ(カルメン・マウラ)と、内縁の夫パウリーノ(アンドレス・パハーレス)、そして戦争孤児となった口のきけない青年グスタベーテ(ガビーノ・ディエゴ)である。

前線の街は空爆に脅かされ、3人はバレンシアへ向かうことにする。途中、フランコ勢力真っただ中の地に迷い込み、3人は捕えられて監獄に入れられる。カルメーラはそこでポーランドの捕虜たちと出会い、親しく言葉を交わす。

突然、カルメーラとパウリーノはイタリア人のリパモンテ大尉(マウリツィオ・ディ・ラッツァ)から呼び出され、捕虜と兵士のために舞台を見せることを命じられる。生き延びるために必死のパウリーノは一も二もなく承諾するが、カルメーラは……略…… (※一部人名修正)
______________________


フランコ側兵士の戦意高揚のための芝居の幕が開いてからの約30分は長いと感じるかもしれない。しかし、その30分は真剣に楽しむとよい。どさ回りの女芸人のカルメーラの根性をかみ締める30分。カルメーラという女性の華やかさに見惚れ、彼女のやるせなさを汲み取る30分。そしてまたカルメーラを演じる女優カルメン・マウラの魂に圧倒される30分。芸を楽しんでいる自分と、祈るように見守る自分と、その二人が並んで一つの画面を見ているのに気づくでしょう。芸を楽しんでいると言っても、いったい誰の芸を? 自分の目が追っているのがカルメーラなのかカルメン・マウラなのかわからなくなった頃、映画は悲壮なラストを迎えます。


悲壮とは「美的範疇の一。悲劇性の中に生じる崇高美」なり。


(コメント欄に大事なことをたくさんメモします)

監督: Carlos Saura カルロス・サウラ
戯作: José Sanchís Sinisterra ホセ・サンチス・シニステラ
脚本: Rafael Azcona ラファエル・アスコーナ  José Sanchís Sinisterra  Carlos Saura

出演:
Carmen Maura カルメン・マウラ ... Carmela カルメラ
Andrés Pajares アンドレス・パハーレス ... Paulino パウリーノ
Gabino Diego ガビーノ・ディエゴ ... Gustavete グスタベテ
Maurizio De Razza マウリツィオ・デ・ラッツァ ... Lt. Ripamonte リパモンテ大尉

(スペイン映画)
¡Ay, Carmela!(サウラ監督のサイト内)
¡Ay, Carmela! @IMDb
歌姫カルメーラ@goo

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Monday, March 12, 2007

Belle Epoque / ベル・エポック [スペイン映画]

belleepoqueあらすじ:
1930年代初頭。マドリードの兵舎から脱走してきた若く魅力的な兵士フェルナンドは田園ののどかな村に辿り着くが行くあてもなく、偶然に知り合った老画家マノロの屋敷で世話になる。一宿一飯の恩義と、すぐにでも立ち去るつもりでいたフェルナンドであったが、マノロの4人の娘たちが都会の騒擾を逃れて村に戻って来たのを偶然見かけその美しさに目を奪われ、吸い寄せられるようにふらふらとマノロ邸に舞い戻り、しばし逗留する。4人の娘はそれぞれフェルナンドに関心を寄せる。

『ベル・エポック』についての過去記事
Tuno Negro / 殺しのセレナーデ
pelis recomendadas / おすすめスペイン映画
películas en español / amazonでスペイン映画

belleepoque初めて観たのは10数年前、スペイン(の学校の授業)で。スペインにいる間に3回~4回ほど観たか。何度観ようが、合点が行ったためしがない。わからなかった。作品の意味も、これがアカデミー賞外国語映画賞を獲得したわけも。

このたび友人abetchyが貸してくれたので観てみることにした。先に言っちゃうと、この作品はタイトル(=『Belle Epoque』; The Age of Beauty 英題 / Una bella época アルゼンチン副題)の意味を探りながら観ると理解を深めることができるのだと思う。何がどう‘佳き時代’なのかって。

今からザーっといろいろ注釈します。

のどかなオープニング。字幕による説明。
「1930年冬 ハカで王制への反乱が失敗した直後のこと ひとりの若い兵隊が兵舎を抜け出し 自由な人生を求め 田舎をさまよっていた そして1931年2月 スペインのどこか)」

belleepoque1) 脱走兵のフェルナンドは村はずれの一本道でguardia civilに捕まった。
guardia civilとは:
(スペインの)治安警備隊; 治安警備隊員.◆1844年,農村部の秩序を保つためと,海岸部・国境地帯・街道筋・鉄道を監視するために創設.また治安警察としてFranco独裁体制を支えた.

2) 捕まったときフェルナンドは「¡Viva Galán y García Hernández! ガランとエルナンデス、万歳!」と叫び、「Yo estoy a favor de la república. 僕は共和派だ」と言う。
Fermín Galán フェルミン・ガランÁngel García Hernández アンヘル・ガルシア・エルナンデスは1930年12月12日にハカで蜂起し共和制を宣言するも失敗、両名とも処刑。

3) 警備隊員がフェルナンドの荷物を調べ聖書を発見する。「共和派のくせに聖書を持ってるとは妙だな」と呟く。


19世紀末~20世紀にかけての‘教会’を取り巻く状況について『スペインハンドブック(三省堂)』から拾ってみる:

「……略……組織化に専念した。……略……社会的影響力を利用して中・上流階級に対する宗教教育を通して……略……1876年から1887年にかけて教会は,自由主義者や左翼勢力をおびやかすほどに自らの立場を堅固なものとした.1900年には上流・中流階級の大多数が教会の施設で教育を受けることになるが,労働者階級への影響は希薄であった.

……略……教会は社会的勢力を増し続け,プリモ・デ・リベーラ将軍独裁の時代,カトリックに対する特権的優遇はこの時期の頂点に達した.しかしながら,教会が勢力を拡大していく一方で,教権主義や既存の国家制度に対する反発は政党や国民の間でますます激しさを加えていった.

……略……都市や農村のプロレタリアートの教会に対する過激きわまりない行動……略……

……略……聖職者の特権的地位,中産階級の子弟に対する階級教育,既成の権力に協力し屈従する教会の体質などに対する反感,あるいは資本主義的生産体制と新しい大衆社会が要求する近代精神および諸慣習の世俗化を受け入れない教会の態度に対する反発……略……」


みたいな世相だったようです。以上、『宗教』の章より。また、『歴史』の章からもちょっと拾う:

「(1930年)12月にはハカで共和制を要求するクーデタが宣言された.反乱は失敗したが(Reine注: 『ベル・エポック』における‘現在’は、つまりこの直後),これを契機に共和制を望む声は一段と高まった.

1931年4月12日,地方議会選挙が実施された.農村部では王政支持派が優勢であったが,大都市や工業地帯では共和制支持の諸党派が圧倒的勝利を収めた.(Reine注: 映画後半ではこの選挙も扱われている)……略……

……略……第二共和制の最初の2年間(1931年7月~1933年)は「改革の二年間」と呼ばれている.この間に首相となった左派共和主義者のアサーニャは,社会主義者の指示を受けて多方面にわたる改革に取り組んだ.

アサーニャ政府が最も重視したのは宗教問題であった.自由結婚と離婚が認められ(Reine注: 共和派になったら離婚もできるし云々というシーンもあったね),学校から十字架が取り外され,墓地が世俗化された.……略……熱狂した群衆による教会施設の焼き打ちが広がった.この結果,共和政府は,教会に代表された伝統的諸勢力との間に超え難い溝を作り出した」


長くなりましたが、まぁこういう状況なので、共和派を表明するフェルナンドが聖書を携えているのが警官の目には奇異に映ったのです。よね。


belleepoque4) 彼を連行する途中、一人が「コイツ逃がしちゃおうか」と言い出したため警官コンビは激しい口論になる。

A「じきに共和制になるんだしさー」、B「しかし祖国は祖国だ」、A「いやぁ、祖国イコール政府だろ。その政府がそろそろ倒れそうなんだから、勝ちそうな側についておいた方がいいじゃん」、B「治安を守るべきだと軍規にもあるんだぞ」、A「あー、言ってろ、言ってろ」

5) 駅の壁に落書き。「Muera el rei (「王政くたばれ」か)」

6) 神父さんと金持ちのぼんぼんフアニートが訪ねて来たのを見て、老マノロが「教会と資本はいつも一緒だな」と呟いてた。


7) この映画のお話の‘その後’に相当する時期について,「『スペインハンドブック』の歴史の章(立石博高先生)の年表から抜粋:

1931年 
5.10 マドリードで王党派と共和派の衝突(翌日,修道院焼き打ちが広がる)  6.28 憲法制定議会選挙の実施(社会党,共和派諸党が過半数を制する)  12.9 第二共和国憲法の公布:ワイマール憲法を模範とした民主主義的憲法  12.31 カスティルブランコ(バダホス県)事件:農民と治安警備隊の衝突

1932年 
1. 国家を教会から分離する諸法:離婚の自由,イエズス会士追放など 各地で住民と治安警備隊の衝突事件おこる  8.10 セビーヤでサンフルホ将軍の反共和制のクーデタ(失敗)

1933年 1.12 カーサス・ビエハス(カディス県)事件:アナーキスト農民を過酷に鎮圧  4. 地方議会選挙:右翼諸政党の躍進が目立つ  6.2 宗教団体法の制定:宗教団体による中等教育の停止(カトリックの共和制への反感強まる)  11.19 総選挙の実施(…略…):右翼諸政党の勝利

みたいな感じで、「1936年 7.17 モロッコのメリーヤで軍隊の蜂起(スペイン内戦始まる)」までの数年間、右と左の綱引きが激しくてシーソーがめまぐるしいです。そして結局、「1939年 4.1 フランコの戦勝式典:内戦の終結を宣言」ときて、「1975年 11.20 フランコ没」まで長い長い時代です。  

以上。


どうすかね。『ベル・エポック』は、時代と時代が入れ替わるちょうど狭間の数ヶ月の出来事であると思って観ると、作品の意義が少しずつわかってくるような。

そう思って観ると、フェルナンドが4姉妹に魅了され、そのつど夢中になって、「初めから君が好きだったんだ」と口走ってみて、至福を味わったかと思いきやたちまち裏切られ絶望し、嫌気が差して立ち去ろうと思ってもまた新たに誘惑され、幸福と安定と未来を求めて翻弄されっぱなしであるのも何か意味深長と思えてくるし、ラストシーンなんて各人の表情からいろいろ想像させられるよね。

わかったよ。前言を撤回しますよ。これはいい作品です。いま書いててやっとグッと来たよ。「その後」を思うと胸に迫る。

(スペイン映画)(コメント欄にメモあり)

監督: Fernando Trueba フェルナンド・トルエバ
脚本: Rafael Azcona ラファエル・アスコナ José Luis García Sánchez ホセ・ルイス・ガルシア・サンチェス Fernando Trueba フェルナンド・トルエバ

出演:
Jorge Sanz ホルヘ・サンス: Fernando フェルナンド
Penélope Cruz ペネロペ・クルス: Luz ルス(四女)
Miriam Díaz Aroca ミリアム・ディアス・アロカ: Clara クララ(長女; 未亡人)
Ariadna Gil アリアドナ・ヒル: Violeta ビオレタ(次女; 性同一性障害)
Maribel Verdú マリベル・ベルドゥ: Rocío ロシオ(三女; フアニートと婚約???)
Gabino Diego ガビーノ・ディエゴ: Juanito フアニート(金持ちのぼん)
Fernando Fernán Gómez フェルナンド・フェルナン・ゴメス: Manolo マノーロ(老父; 画家)
Agustín González アグスティン・ゴンサレス: Don Luis ドン・ルイス(神父)
Chus Lampreave チュス・ランプレアベ: Doña Asun ドニャ・アスン(フアニートを溺愛する母親)

Belle Epoque @IMDb
ベルエポック@映画生活
ベル・エポック @ぽすれん
ベルエポック@シネマカフェ

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Saturday, September 02, 2006

El Viaje de Carol / キャロルの初恋 [スペイン映画]

(※フアン・ホセ・バジェスタつながり

carol先日の『デビルズ・バックボーン』の冒頭の内戦の図式をもう一度。

でも、この作品ではオープニングで説明してくれるから便利です(英文は割愛):
1936年スペインで内戦が勃発。1939年まで続いた。フランコ将軍が共和国政府に反旗を翻したのである。ドイツ(ヒットラー)とイタリア(ムッソリーニ)が反乱軍を支持、共和国側についた各国の人々が義勇兵として国際旅団を結成し参戦した。一方、疎開地では日々の生活が続いていた。(内戦について詳しくはこちら
________

キャロル12歳。アメリカ人の父とスペイン人の母のもと、N.Y.で育った。父がInternational Brigades(国際旅団)に参加するためスペインに渡り、母はキャロルを連れて故郷の北スペインの村に身を寄せた。キャロルの言動は保守的なこの村のあちこちで物議を醸す。ガキ大将のトミーチェとも衝突したが、決闘を経て付き合いを深め、恋をも育むにつれて、村での生活にぐいぐいと慣れ親しんでいくキャロルであった。戦局は大詰めを迎えている。大人の理不尽な諍いから子どもたちは守られるのだろうか。


えーっとですね。子どもモノ(ましてや初恋モノ)は大好きな私ですが、戦争モノは話が別だ。特に内戦モノなんてダメだよ。辛く悲しく苦しいだろ、だって。私がどうして『蝶の舌』を何年も棚に置きっぱなしにしてるかって。どうせ悲しいからですよ。

『キャロルの初恋』では、大人たちの表情に差す暗い影、社会全体を覆う圧迫感とは無縁であるかのように、子どもたちのわくわく冒険譚とほのぼの初恋物語が進行します。それはいいんだけど、もうね、後半、あーー、んーー、まぁここは黙っとくか。

とにかくやっぱりNGだわ。主人公たちがどんなに微笑んでくれていても、だ。

『キャロルの初恋』は、それでも、のどかな景色の中、可愛らしく微笑ましく嬉しい初恋なども描かれていたから救いがある方だったよ。第一、キャロルが裕福な側の人間だしね。こないだの『デビルズ・バックボーン』の孤児たちとは明らかに境遇が違うからね。

でも、内戦前~中~後の数十年の間に、どれだけの子どもがボロ雑巾のように汚され絞られ棄てられたのかと想像すると、苦しくてね。『デビルズ・バックボーン』でも、孤児が子どもの頃の家族写真を見て言ってたでしょう、「これが僕の父だ。会計士をしていた。な、エレガントだろ」って。

キャロルだって他の子だって、この映画の「この後」、どうなるかわからないじゃないか。

それを想像するのが苦しいので ――そんなこと言ってたらどんな映画だって苦しいってことになっちゃうんだけど―― 戦争ものはダメだ。内戦ものは特にダメだ。苦しすぎる。やるもんじゃないな、戦争、特に内戦はダメだ。イクナイ。ものすごく辛いもんな、たぶん。

carol(コメント欄へつづく)

El Viaje de Carol @IMDb
(英題: Carol's Journey)(邦題: キャロルの初恋)
キャロルの初恋 @映画生活
キャロルの初恋 @ぽすれん
キャロルの初恋 @象のロケット
キャロルの初恋 @シネマトゥデイ
キャロル~@シネマカフェ
キャロル~@goo映画


監督: Imanol Uribe イマノル・ウリベ
脚本: Ángel García Roldán アンヘル・ガルシア・ロルダン
小説: 『A boca de noche』 
制作: Fernando Bovaira フェルナンド・ボバイラ
音楽: Bingen Mendizábal ビンゲン・メンディサバル
撮影: Gonzalo F. Berridi ゴンサロ・F・ベリディ

出演:
Clara Lago クララ・ラゴ (Carol キャロル/カロル)
Juan José Ballesta フアン・ホセ・バジェスタ (Tomiche トミーチェ)
Álvaro de Luna アルバロ・デ・ルナ (Don Amalio アマリオお祖父さん)
María Barranco マリア・バランコ (Aurora アウローラ母さん)
Rosa Maria Sardà ロサ・マリア・サルダ (Maruja マルハ先生)

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Wednesday, August 30, 2006

El Espinazo del Diablo / デビルズ・バックボーン [メキシコ映画]

espinazoまず、スペイン内戦についてちょっとだけ読んでからこの作品を観た方がちょっとだけbetterだと思うよ。説明サイトはいろいろあるだろうけど、とりあえず検索の最上位を:

スペイン内戦 @wikipediaの冒頭より:

人民戦線政府 ⇔ 反乱軍
(左; アサーニャ大統領) ⇔ (フランコ将軍; 右)
(ソビエトの支援) ⇔ (ファシズム独伊の支援)

という対立の構図だけでもいいや。これで映画の理解がちょっとUPすると思うよ。ちょっとだけどね。(スペイン内戦について詳しく知る場合はこちらへ
____________________

荒涼たる地、乾いた風。町までは丸一日歩き続けなければならないような僻地。そこにぽつりと孤児院がたっていた。中庭のど真ん中には不発弾がめり込んでいる。カルロス少年は知り合いのアジャラ先生に連れられてこの孤児院にやってきた。

中庭から調理場の暗がりを何気なく見遣った時、カルロスはこちらを見つめて立っている男の子に気づいた。

新入りを目の敵として意地悪をしかけてくる‘先輩’たちに悩まされるカルロスではあったが、そこは子供同士のこと、やがて打ち解けるだろう。カサレス先生も静かにではあるが見守り支えてくれている。

espinazoカルロスの割り当てられた12番ベッドの脇の壁に、何かで引っ掻いたような文字が這っている。「…サン…ティ…」。Santi(サンティ)という子が前に使っていたのか。

夜毎、カルロスの名を呼ぶ囁き声が聞こえてくる。仕切りカーテンの向こうで人影が動く。そして影が廊下を走って遠ざかっていく。

誰か居るのかい? カルロスは日増しにその子のことが気にかかる。その子を探したい気持ちが募るが、用務員のハシントの厳しい見張りに阻まれる。‘厳しい’、そう、この容姿端麗な青年の眼差しは何と厳しいのだろう。

espinazo(コメント欄にメモあり)

El Espinazo del Diablo 公式
El Espinazo del diablo @IMDb
(英題: The Devil's Backbone)(和訳: 悪魔の背骨)
デビルズ・バックボーン 日本公式(音注意)
デビルズ・バックボーン @映画生活
デビルズ・バックボーン @象のロケット
デビルズ・バックボーン @goo映画
デビルズ・バックボーン @ぽすれん
デビルズ・バックボーン @シネマトゥデイ
デビルズ~@シネマカフェ

監督: Guillermo del Toro ギジェルモ・デル・トロ
製作: Pedro Almodóvar ペドロ・アルモドバル ギジェルモ・デル・トロ
製作総指揮: Agustín Almodóvar アグスティン・アルモドバル  Bertha Navarro  ベルサ・ナバロ
脚本: Guillermo del Toro ギジェルモ・デル・トロ  Antonio Trashorras アントニオ・トラショラス  David Muñoz  ダビッド・ムニョス
撮影: Guillermo Navarro ギジェルモ・ナバロ
音楽: Javier Navarrete ハビエル・ナバレテ
 
出演:
Jacinto(ハシント): Eduardo Noriega エドゥアルド・ノリエガ
Carmen(カルメン院長): Marisa Paredes マリサ・パレデス
Casares(カサレス先生): Federico Luppi フェデリコ・ルッピ
Carlos(カルロス): Fernando Tielve フェルナンド・ティエルべ
Jaime(ハイメ): Íñigo Garcés イニーゴ・ガルセス
Conchita(コンチータ): Irene Visedo イレーネ・ビセド

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Friday, February 13, 2004

Guerra Civil

スペイン映画の少なからぬ作品の前提となっているのがスペイン内戦。私も恥ずかしながらよくわかっていないので、ちょっとメモ。
amazonトラップ(だ・か・ら・罠なのかよ)満載で申し訳ない。
※表示されない場合は何度かリロードしてればいつかはきっと

スペイン内戦関連

guerra civil espanola関連

spanish civil war関連



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