Estrellas de la Línea / 線路と娼婦とサッカーボール [スペイン映画]
【冒頭、テロップ】
Junto a la vía del tren que atraviesa la ciudad de Guatemala, en un lugar llamado La Línea, trabajan doscientas prostitutas que son habitualmente maltratadas y asesinadas con impunidad. グアテマラシティを横切る線路沿いに‘ラ・リネア(ライン,路線)’と呼ばれる地区がある。その界隈で働く200人ほどの売春婦は日々暴力に晒されており、こういった女たちを殺した者が罰せられもしないことなどしばしばである。
Un grupo de ellas, con el fin de llamar la atención y reclamar sus derechos, formaron un equipo de fútbol, entrenaron durante semanas y se apuntaron a un torneo local. Esta es su historia. 問題提起をし人権尊重を訴えようと、彼女たちはサッカーチームを結成した。トレーニングを積み、地元のトーナメントに登録した。
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登録はすんなりと受け付けられたが、ふたを開けてみて売春婦だと知ったとたんに事務局はこのチームを締め出しにかかった。対戦相手からも排除の要望が提出されるなど、売春婦に対する根強い偏見と差別を彼女たちはグラウンド内外で実感することとなる。しかし、ここで退いてしまったら何も変わらない。彼女たちはマスコミを通して社会に訴える。
売春婦たちは練習グラウンド――と言えるほど立派ではない空き地――の片隅でチーム名を話し合う。「‘線路沿いの売春婦’でよくない?」「F.C.はつかないの? F.C.は」「私たちが売春婦だってことは誰でも知ってるんだから、わざわざ売春婦って名乗らなくていいんじゃない?」「じゃあ、‘線路沿いの星 (レイルロード・オールスターズ)’は?」
こういう会話をしている時の彼女たちの表情は明るい。大きな口を開けて、目尻のしわを気にもせず、三段腹をよじり、みんなで大笑い。「娼婦、バンザイ、いぇ~い!」と気炎万丈。売春婦を母親に持つ子供も明るく優しい目をしている。このラ・リネアという地区は、グアテマラ(というか、中南米)に行ったことのない私の目には、とても寂れているようにも見えるが、一つ一つの壁の色づかいがとても鮮やかなので、町の景色もまた‘明るい’ものとして目に入ってくる。
けれども、それぞれの個室に戻ったとき彼女たちがカメラに語る身の上話は、暗すぎて辛すぎてにわかには信じがたく、スペイン語を聞き間違えたのかと何度も巻き戻し、あるいは英語字幕を何度も確かめたほど、私には‘よその国の話’だった。いっそ‘よその星の話’と思いたいくらいだったが、これはどこかの国の現在であって、私はそれをどうすることもできない。
昔、ジョージ秋山の『浮浪雲』をたけしと大原麗子でドラマ化してたとき、なんだったかなぁ……女郎屋の主人が極悪で労働条件が劣悪で、そこの妓を一人救出しようとするんだけど、あと一歩足を踏み出せば逃げ出せるというところでその妓が立ち止まり、「私が逃げられても仲間はどうにもならない」ようなことを言って部屋に戻ってしまう話があったような気がする。記憶曖昧。
『Estrellas de la Línea』はそれと似たやるせなさが残る作品でした。この人を一人救出し、このサッカーチーム一つにスポットライトが当たっても、そのあとは? そのほかは?って。私は今は自分の頭のハエを追うことでいっぱいだから、手が出せない。出さない。
でも、彼女たちのことを知るだけでもいいんだよな。と思うことにした。だから年末に観られたら観てください。今私にできるのはこうして書いておくことくらい。
もしも私の周りからハエがいなくなったら、そうね、何がいいのかな、やっぱり教育なのかな。『ビンタと最高のアイディア』でも書いたけど、たぶん近道なんだと思う。それについて考えていけたらいい。でも、ほんと、今はハエ。
娼婦の息子が小学校から落伍しかけていた。母親は「まだまだ学校を辞めるなんて言う齢じゃないわよ」と諭していたけど、ホントにそう。「やめるな」と彼に伝えたかった。お母さんのためにも、そして君の次の世代のためにも。
監督・脚本: Chema Rodríguez チェマ・ロドリゲス
・一昨日スペインラテンアメリカ映画祭で上映された作品
・DVD(スペインから購入; 15.47ユーロ)
・Estrellas de La Línea @IMDb 7.4 (ジャンル: ドキュメンタリー)
・『レイルロード・オールスターズ』
・制作会社のサイトにトレーラーなどあり(TOP ⇒ CATALOGO ⇒ largos)
・日本公式 (邦題: 線路と娼婦とサッカーボール)
・スペイン映画(グアテマラ映画)
・マラガ映画祭参加作品(2006年に‘Menciones especiales’)
・線路と娼婦とサッカーボール@ウーマンエキサイト
・線路と娼婦とサッカーボール@CinemaCafe
・線路と娼婦とサッカーボール@goo
・線路と娼婦とサッカーボール@映画生活
(コメント欄に語句メモ等)
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