Friday, January 20, 2012

¿Y tú quién eres? [スペイン映画]

わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります

おはなし
アナは公証人の資格試験にむけて勉強に励んでいる。我が子をぜひとも公証人にというのは父ルイスの悲願でもあった。

受験勉強に精を出すアナを一人マドリードに残し、家族は避暑地サンセバスティアンのリゾートホテルへ行く。しかし今年はいつもの夏とは違う。最近アルツハイマーの初期症状が見られる祖父のリカルドは一緒ではないのだ。

リカルドを施設に預けていくという両親のことばにアナは反発を覚えるのであった。

マドリードに残ったアナは特別養護老人ホームに祖父を見舞ううちアルツハイマー型認知症患者が直面するさまざまな問題を目の当たりにする。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


いつも言うことだけど、私はこのブログで取り上げる作品に滅多にペケ(×)をつけない。たいていは「好き」か「ものすごく好き」だ。今、イベロアメリカ映画(スペイン語映画・ポルトガル語映画) 索引を見てみたが、これまでに合計で265作品くらい紹介してきたようだ。そしてペケをつけた作品はと言えば、5%も無いんじゃないの? いや5%(13作品)くらいはさすがにいってるかな。

さて私がこんな前置きをする時は、そうです、俺はこれからペケをつけるぞという挨拶です。


この作品はダメだ。ペケつけることしか見えてこない。私の大大大好きなマヌエル・アレクサンドレとホセ・ルイス・ロペス・バスケスが起用されているというのに、だ。


アントニオ・メルセロ監督といえば、2年前のゴヤ賞では栄誉賞を贈られた人です。(→ Premios Goya 2010: palmareses / 第24回ゴヤ賞発表: Cabina

あの当日のアリ・ババ39さんのコメントがこちらです:
自宅で名誉賞のゴヤ像を会長から手渡された唯一の人がアントニオ・メルセロ監督、アルツハイマー病でガラには出られなかった。代わりにステージには二人の息子が登壇、父親を称える素晴らしいスピーチをした。どんなふうに素晴らしかったか? そうね、アイタナ・サンチェス・ヒホン以下観衆の涙を見れば充分だよ。名誉賞では毎回目がウルウルするのだが、今年はもらい泣きしてしまいました。これが三つ目のサプライズでした。


偉大な監督なのだろうとは私も思います。実際、1972年の中編『La cabina [スペイン映画]: Cabina』もとても面白かった。

だけど私は、小児ガン病棟で闘病する子どもたちを描いた同監督の『Planta 4ª [スペイン映画]: Cabina』はけっこう冷淡に書いたと思う。あの作品については、

・闘病ですね、ってだけの話ですね
・オーソドックス過ぎるだろ
・テレビドラマでこういうのあるよね
・実は演技がかなーり棒じゃない?
・この登場人物は今おもしろいことを言っていますよ・やっていますよという見せ方が定石すぎて、そういう意味ではすごいよね

ってことをやんわりと冷たく書いたと思う。


今回の『¿Y tú quién eres?』についても私はおんなじことを言うわ。そしてそれをもっと苛烈に言わなきゃいけない作品だった。

長くなると思うのでつづきはコメント欄に。軽くサラッと観たつもりなのに、こんなに長く文句を言わなきゃいけないなんて。

マヌエル・アレクサンドレとホセ・ルイス・ロペス・バスケスの壮大な無駄遣い。


¿Y tú quién eres? (2007) - IMDb
直訳: で、どちらさんでしたかな?

監督・脚本: Antonio Mercero アントニオ・メルセロ

出演:
Manuel Alexandre マヌエル・アレクサンドレ ... Abuelo 祖父リカルド
Cristina Brondo クリスティーナ・ブロンド ... Ana アナ: 孫娘
José Luis López Vázquez ホセ・ルイス・ロペス・バスケス ... Andrés リカルドの医療ホームでの同室者

Monti Castiñeiras モンティ・カスティニェイラス ... Fernando Castañeda 担当医師
Amparo Moreno アンパロ・モレーノ ... Alicia アリシア: 担当ヘルパー
Álvaro de Luna アルバロ・デ・ルナ ... Luis ルイス: アナの父親
Ángeles Macua アンヘレス・マクア ... Enriqueta エンリケタ: アナの母

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Wednesday, May 04, 2011

Yo, también [スペイン映画]

Yo tambienおはなし
ダニエルは34歳。セビーリャっ子の彼は、ヨーロッパにおいては大学の学位を取得した最初のダウン症者である。障害者支援の機関で働き始めた彼は職場の同僚ラウラに惹かれる。二人の友達づきあいが深まると、職場や私生活で注目を集めるようになるのに時間は掛からなかった。ダニエルはラウラに恋愛感情を抱くようになるが、それがラウラを当惑させる。

ラウラは孤独で、常識などかなぐり捨てているようにもみえる女だったが、これまでの人生で誰からも感じ得なかった愛情や友情をダニエルの中に見いだすのだった。

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Premios Goya 2010: candidatos / 第24回ゴヤ賞ノミネート作品。ダウン症候群の成人の性を描く。

一方、“健常者”という人々の心の陰の部分も映し出す。果たしてそこに温かい光が注ぐ時が来るのかどうか。観客はそれもまた見守ることになる。

意欲的にテーマに取り組んだと思う。高く評価されたことだろう。

面白いがやや冗長で散漫かな。もう少しつまむことは可能だったと思う。映画作品としての“粗”があったにせよ、ダニエルを演じたパブロ・ピネーダという人自身の存在が放つ力が強いので無事にエンディングまで漕ぎ着けたように思う。

それから私は前からローラ・ドゥエニャスの演技はいいんだか悪いんだかよくわからなくてただただ困っていたのだけど、今回もその悩みは継続です。ただ、彼女はこの作品の出演で―――『アレクサンドリア』のレイチェル・ワイズと競った上で―――ゴヤ賞主演女優賞を獲りました

...。oо○**○оo。...。oо○**○оo。...。oо○**○оo。


YO, TAMBIÉN | Una película de Álvaro Pastor y Antonio Naharro 公式
Yo, también (2009) - IMDb
英題: Me too

監督・脚本: Antonio Naharro アントニオ・ナアーロ  Álvaro Pastor アルバロ・パストール

出演:
Lola Dueñas ローラ・ドゥエニャス ... Laura Valiente ラウラ

Pablo Pineda パブロ・ピネーダ ... Daniel ダニエル
Isabel García Lorca ... Mª Ángeles マリア・アンヘレス: ダニエルの母
Pedro Álvarez-Ossorio ... Bernabé ベルナベー: ダニエルの父

Antonio Naharro(監督自身) ... Santi サンティ: ダニエルの兄 
María Bravo ... Reyes レジェス: その嫁

サンティとレジェスが(知的)障害を持つ人のためのダンスのワークショップなどを運営しているが、モデルとなっているのはこの学校だろう: Escuela de Danza --- DANZA MOBILE ---

Daniel Parejo ... Pedro ペドロ: ダンススクールに入った子
Ana Peregrina ... Encarni エンカルニ: その姉だったかな

Lourdes Naharro ... Luisa ルイサ: ダンススクールの子
Catalina Lladó ... Pilar ピラール: ルイサのお母さん

Ramiro Alonso ... Quique Valiente キケ: ラウラの長兄
Susana Monje ... Nuria Valiente ヌリア: その嫁
Peio Arzak ... Miguel Valiente ミゲル: ラウラの次兄


アントニオ・ナアーロが脚本も書いて監督もしてここに出演もしているとなると、それじゃあ身内にきっとダウン症の人がいるんだろうなと思ったらやっぱりそうだった。これを書いていてわかったが、ルイサを演じたのがナアーロ監督の実妹だった。(⇒ ここに書いてある: YO, TAMBIÉN. Equipo técnico. Los directores | Una película de Álvaro Pastor y Antonio Naharro

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Thursday, February 10, 2011

María y yo [スペイン映画]

Maria y yo このあいだスペインで友人と泣きながら観たドキュメンタリー。この下書きをする間もぽろぽろ涙がこぼれてしかたなかった。しあさって発表されるゴヤ賞のドキュメンタリー賞にノミネートされています。

おはなし
漫画『MAKOKI』を世に送り出したミゲル・ガリャルド。彼の14歳になる娘マリアはいわゆる自閉症児である。マリアはミゲルの住むバルセロナからは3000km離れたカナリアに母マイと暮らしている。ミゲルは時々娘を訪ねてカナリアに行き、リゾート地で二人っきりの時間を楽しむ。

ミゲルとマイが自閉症児との生活をカメラの前で語る。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

たぶん7割くらい書いてしまいます

↓↓↓↓

今日はけっこう書くからね

↓↓↓↓

マリアが生まれた直後からミゲルはその姿を描き始めた。「よそのお父さんは写真を撮るところだろうが、私は絵を描いていた。職業病というやつだろう」。マリアの一コマ一コマを描いたそのノートブックには「○ヶ月と▲日、初めて風邪をひきました」など日常が詳細に綴られており、赤ちゃんを見つめる両親の眼差しの優しさにつられてこちらも微笑んでしまう。

どこか少し違うようだと初めに気づいたのは母親のマイだった。
「マリアは私のことが好きじゃないみたい」とマイは言った。ミゲルは「赤ちゃんが君のことを好きじゃないなんて、ありえないだろ」と返した。

「そういうことじゃないの。なにか違うと思うの」。発達障害という認識があったわけではないが、歳の離れた弟やいとこの世話をしてきたマイの目には我が子マリアは少し“違う”のだった。

ミゲルは言う。「正直言って僕はなにも気づかなかったんだ。小児科医などの診断を経て心配をしはじめたわけです。そうしてようやく僕はどうやらマイの話を真剣に聞いていなかったのだと悟りました」。


生後10ヶ月、マリアの発達には通常と明らかな差がみられた。生後11ヶ月でマリアは6ヶ月児の発達程度であった。マイは「どうしてかしら。どこで私はいけないことをしてしまったのか。どうして私の赤ちゃんが?」という罪悪感にも似た感情に囚われたと言う。1歳の誕生日は「悲しいお誕生日でしたね……」。


マリアは、あの子は、波の向こうに見える島のようだ。ふだんは辿り着けない。潮が引いた時だけそばに行ける」。


8歳で最終的な診断がなされた。そのあいだミゲルたちは自閉症児の子育てをする仲間に支えられて歩んだ。苦悩で眠れぬ夜を過ごし、答えの見つかるはずもない自問を繰り返し、自分だけが異形の者であるように感じた。どこの親もそうだろう。「でも皆さんから僕らは魂を学び取りました。前へ進もうという意欲と、無限の愛と無尽蔵の忍耐力を」。

歩き方を覚えるのも他の子と比べたらそれはそれは“ゆっくりさん”だったマリア。勿論、しゃべることも遅かった。それが今、マリアはのべつ誰かに話しかけている。

「『マリア、おねがい、ちょっと黙っててくれる?』なんて言う日が来るなんて、昔は夢にも思いませんでした」と母親のマイは喜びを隠しきれない表情で語る。「それに、他人に反応するようになりましたよね。マリアなりの返し方ではありますけどね。特定の物事に興味を示すようにもなりました。あの子はものすごく努力してここまでできるようになったんですよ。私にとってあの子はチャンピオンなんです」。

マリアは人前で照れるとか恥じらうということがない。人がいようがいまいが奇声をあげるときはあげる。人々の視線が瞬時にマリアに注がれる。好奇の目、憐憫の目、そして時に慈愛の目。マリアを見遣るときの人々の表情がミゲルを閉口させることもある。「鬱陶しく、そして悲しくなることもありますよ」。


学齢期を迎えた頃のマリアは普通学級に通わせる状態に達しているとは言い難かった。両親はマリアを障害児学校に通わせる選択をする。「あの子には専門家が必要だと思いました」とマイは振り返る。「教職員のスタッフの中にたとえば言語療法士や理学療法士、特別支援教育の先生がいてくれる学校がよかった」。


ミゲルは言う。
「現代社会の傾向として、あるじゃないですか、平等絶対主義というんでしょうか。みんな平等で、機会均等でって。マリアがふつうの子とおんなじ学校に行く意味はないですよ。だってそこには相互関係が築かれはしないんですから。それに子供というのは特に残酷なものでしょう……子供はね、障害をもったりした子からは距離を置こうとするものですよ。ほんの僅かな差異であってもね。

僕はマリアが他の子と同等の機会を与えられるようであってほしいとは思いません。そうじゃなくてより多くの機会を与えてやってくれと思っているんです。あの子にはその資格があるから。あの子には必要なことだから。マリアをふつうの子と同じように扱ってくれと言うんでもない。僕はね、あの子が大事に大事に扱われますようにって願っています。あの子の行く先々にレッドカーペットを敷くぐらいにね(笑 

僕が四六時中そばにいてやってやれることはなんだってしてやりたい。

僕はマリアが他の子と同等になれなんて願っていない。マリアをふつうの子らしく見せるように躍起になったりもしないし、マリアにそう要求するはずもない。ただただあの子があの子なりの小さな世界で幸せであってくれと望むだけです。あの子なりのペースでいいから少しずつ進んでいってくれって。僕はあの子にとって不可能な目標を掲げたりはしませんから」


母親のマイが言う。
「マリア自身は自分が他人と違うとは気づいていません。それでよかったと思います。だからあの子は幸せに暮らしているのだと思うんですよ。ええ、私はそう思っています。あの子はとても幸せな女の子。周りから愛されてね。ううん、他者から愛されているから幸せだっていうのは違いますね。好かれているのに幸せじゃないってことだってありますものね。

……あの子は一日中微笑んでいるんです。学校のお友達、新しく知り合った人たち、前からのお友達、バルセロナの家族・親戚、とにかくみんなとのふれあいをこよなく愛しているの。うん。私思うんですよ。あの子は幸せな子だって」


友達の親御さんたちとミゲルがいつも漠然と共有している感覚というものがある。あたりを漂っているおぞましく厭わしい感覚。「自分たちがあとに死ねたら……という思いです」とミゲル。

子供たちを自分の命の続く限りいつまでも守り続けたいと願う親の気持ち。自分が先にいなくなって子供が後に残されることになってしまったらという親の憂い。我が子のことを誰よりもよく理解しているのは自分なのだという親の自信。ミゲルら、親の心の中にそういった感情がないまぜになっている。

「誰かマリアの世話をしてやってほしいと切に願っています。世話といっても物質的な意味ではなくて、マリアの衣食住が足りてる足りていないの問題ではなくて、私が言いたいのは、私がもはやこの世にはいないとなった時、マリアのことを愛し続けてくれる誰かがいてほしいということなのです。あの子を愛して、理解してくれる人が。……そのことを考えています。この先、マリアにそのような人が現われますように、って」。これがマイの願いである。

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Sunday, September 19, 2010

Bicicleta, cullera, poma / Bicicleta, cuchara, manzana [スペイン映画]

bici bici bici

「これから単語を三つ言います。『自転車、スプーン、りんご』。あとでまた聞きますから覚えておいてくださいね」。

1982~1997年までバルセロナ市長、2003~2006年までカタルーニャ自治州知事を務めたパスクアル・マラガイは2007年の秋、アルツハイマーとの診断を受ける。ショックを乗り越え、マラガイは家族とともにアルツハイマー病と闘っていくことを公表したのだった。

マラガイは知性、誠実さ、そしてユーモアのセンスに溢れていた。彼は世界中のアルツハイマー疾患が5倍、10倍と増えてしまうよりも前に根本的な治療法が発見されるようにと自身を研究者の手に委ねる。

そんなマラガイと家族、そして医師への2年におよぶ綿密な取材により彼の闘病生活を詳細に記録することに成功した本作は、悲しくもオプティミスティックなドキュメンタリーである。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


鑑賞翌日のツイート
ツイッター昨日『"Bicicleta, cullera, poma』鑑賞。バルセロナ五輪の時の市長(のちにカタルーニャ自治州知事)のアルツハイマー発表後の闘病生活、家族に支えられた生活、支える家族、葛藤、などなどを描いたドキュメンタリー。泣き笑い。まさに泣かされ笑わされの連続。ツイッター

そこにあるように、いろいろなシーンで多くの観客が笑っていた。笑い声が何度もあがった。泣き声はというと、声が聞こえてくるものではないから「どれくらい」の判断はつきにくいけれども、断言します、泣いていたのは私だけではないです。

上映後、出待ちの人々の前にマラガイとその家族が姿をあらわすと、他の作品の上映後よりも何割か増しの大喝采と拍手の嵐でした。感極まったとみえる若い女性が脇から飛び出してきてマラガイに抱きつく一幕もありました(警備面からするとヒヤッとする瞬間ではあったけれど)。

そのあいだマラガイは映画の中でもそうであったように終始笑顔で、無邪気とすらいえるその表情に人々の拍手と声援がふりそそぐ様を見ていたら、やっと引っ込んだと思った涙が再び溢れてくるのでした。


Bicicleta, cullera, poma 公式
Bicicleta, cullera, poma@IMDb

パスクアル・マラガイ 公式

監督・脚本: Carles Bosch カルラス・ボスク (Hispanic Beat Film Festival 04 / ヒスパニックビートフィルムフェスティバル2004 / 第1回スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映された『Balseros / ボート・ピープル』の監督)


バルセロナオリンピックの開会式でのマラガイ

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Friday, September 11, 2009

El truco del manco / クアホ、逆手のトリック [スペイン映画]

truco del manco来たる9月のLatin Beat Film Festival 09 / ラテンビートフィルムフェスティバル2009 / 第6回スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映される作品なので、細かいことはそれが済んだら書きます。


LBFF公式サイトの紹介文より
スペインの貧困地区。不正取引で稼ぐクアホは、脳性麻痺の不自由な身体を懸命に動かし、今日も友人アドルフォを熱心に口説いていた。「ヒップホップを思う存分やれるスタジオを作ろう」。半信半疑のアドルフォを強引に引っ張り込み、店舗を確保したクアホは………(中略)………人気ヒップホップ・グループ“ラ・エセプシオン”のリーダー、エル・ランギが体を張って訴えるのは、絶対にあきらめない“不屈の精神”だ! 

El truco del manco@IMDb
英題: The One-Handed Trick
直訳: 隻腕のトリック(まあ、他にも何とでも訳せるので)
EL TRUCO DEL MANCO - Un Film de Santiago A. Zannou

監督: Santiago Zannou サンティアゴ・サノウ
脚本: Iván Morales イバン・モラレス  Santiago Zannou

出演:
El Langui エル・ランギ (Juan Manuel Montilla ‘Langui’ フアン・マヌエル・モンティーリャ) ... Cuajo クアホ
Ovono Candela オボノ・カンデラ ... Adolfo アドルフォ

Alicia Orozco アリシア・オロスコ ... Madre de Cuajo クアホのお母さん
Miquel Cors ミケル・コルス ... Padre de Cuajo クアホのお父さん
Elio Toffana エリオ・トファーナ ... Galleta ガジェタ

Javier I. Bustamante ハビエル・イグレシアス・ブスタマンテ ... Chacho チャチョ
Juan Navarro ... Marquitos マルキートス

Francesc Garrido フランセスク・ガリード ... 「車をどかせ」の相手

Fanny Gatibelza ... Cristina クリスティーナ: よくいくバルの店員
Mala Rodríguez ... Tsunami ツナミ


いま作品タイトルでも監督名でもamazon.co.jp内に商品が見あたらないので、La Excepción関連商品を

ゴヤ賞でオリジナル歌謡賞を獲得した『A tientas』についてはこちら
公式サイト Descargate ‘A Tientas’
tientas Langui - A Tientas [BSO] EL TRUCO DEL MANCO

ゴヤ賞の受賞の様子
tube GOYA 2009 Mejor Cancion Original (オリジナル歌謡賞)
tube El Langui gana 2 premios Goya (新人男優賞)


それから、クアホの弟を演じたElio Toffanaの映像はこちら
Elio Elio Toffana - Hijos Bastardos

それから、ツナミを演じたMala Rodriguezについてはこちら。(ツナミ: よそのグループともめて頭に来ているクアホに対して「あんまりカッカしなさんな」と大人の対応をしていた粋な姐さん)
・公式 Malamarismo
mala LA MALA: Volveréとか


(つづきはコメント欄で)

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Friday, December 23, 2005

Mar Adentro / 海を飛ぶ夢 [スペイン映画]

mar adentro「内なる海へ / 内なる海へ / 無重力の奥底へ / 夢が叶えられる場所で / 一つの願いを叶えるために / 2つの魂が出逢う / 君の視線と僕の視線とが / 幾重にも重なる / ことばはいらない / 奥深くへ、内奥へ / 血も骨も超えた遥か彼方へ / しかし僕は目を覚ます / そして僕は死を望む / 僕の唇が / 君の髪の毛を捕らえて離さぬように」

30年近く、自宅で寝たきりのラモン。窓から見える景色こそが彼にとっての全世界。丘の向こうに海があるだろう。かつては船乗りとして世界中の海をラモンは旅した。しかし慣れ親しんだはずの海で首の骨を折り青春を失った。四肢麻痺の体で尊厳死だけを望み今日まで生きてきた。

しかし、二人の女性が現れ、ラモンの世界に変化が生じる。Juliaはラモンの尊厳死を求める闘いを支えたいという弁護士。Rosaは近隣の町の娘で、生きることには意味があるのだとラモンに語りかける。JuliaとRosaはラモンの人柄に惹かれる。いま、彼女たち自身も生の原点を見つめなければならない。ラモンの生の探求を真実の愛で支えるのは誰だろうか。


昨年スペイン人の友人から薦められたんだが、皆がこの作品はMUSTだと言っていたのがわかったように思います。(アカデミー賞を獲ったのもね) これ見よがしな「悲しいよー、ハンカチ必携ー、泣いてねー」では無いです。だけどちゃんと悲しい。逆に、障害と生きる主人公から‘元気をもらいました!’的な嘘クセー明るさに満ちているわけでもないです。だけど、vidaあるいはlifeとかいて人生/生命/生……が感じられるのでした。

Amenábar監督のサイトで最初に読まされるフレーズは、"Mi cine no es un cine de respuestas sino de preguntas. (My movies are not movies of answers but of questions.)"である。彼の作品は回答を提示してくれはしない、逆に問いかけられるので観る者が答えを追究していかなければならない。ってことだろうか。


1) 弁護士フリアが最初にラモンにインタビューするシーン:

ラ: 僕にとってこういう状態で生きることは……こういう人生は……尊厳とは言えないから。こんなことを言ってしまうと他の四肢麻痺患者が気を悪くするかもしれないけれど。僕は誰のことをどうこう言うつもりもない。生きたいと願う人々のことをとやかく言えるわけがない。俺はいったい何様だって。でも、だから、僕や僕が死ぬのを手伝ってくれる人のことも決して非難されたくはない。

ラ: 手伝ってくれるかどうかはその人が恐れに打ち克つことができるかどうかにかかってるかな。だけど死なんてそんなに恐れるほどのことでもないんだ。だって死はいつだっていつまでだってそこら辺に在るものだよ、最終的には誰のところにだって訪れるものだ。死は我々の一部なんだよ。なのに、僕が死にたいと口にすると、どうして皆、まるで伝染病かなにかのようにパニックを起こすんだろうね。

ラ: 車椅子に乗るのは、言うなれば自由の残滓を受け取ってしまうようなものだよ。そうだな、いいかい、君はそこに座ってるよね、2メートルも無いよね。その2メートルがどういうことかわかる? 普通の人にとっては何てことの無い移動だろう。でも、僕にとってこの2メートルは、君に近付くための、そして君に触れるためのこの2メートルは、不可能な道のりなんだ。想像の世界、夢で終わるんだよ。だから僕は死にたい。


2) 「尊厳死の会」という団体の職員のジェネが、「あなたたちは自殺したい人の手伝いをしてくれるんでしょ?」と問われ:

「まさか。違うわ。悩み事を抱えてる人のところに行っちゃぁ『あなた死んだ方がいいですよ』ってアタシが言って回ってるとでも? そうじゃないでしょ。私たちは自由を後押ししているの。生きる自由と死ぬ自由、それは違うものなのよ」


3) テレビの取材を受けるラモン、「あなたはどうしてそんなに笑みを絶やさないのですか」と問われ:

「逃げ出すこともできず常に周りの人々の世話に頼らなければならない場合、人は誰でも微笑みで涙を隠す術を身につけるのですよ」


4) 老父
「我が子を亡くすことよりも辛いことがある: 我が子が自ら死を望んだという事実だ」


5) 缶詰工場で働くRosaは、ラモンを追ったドキュメンタリー番組を偶然目にし、テレビの前で身動きもできなかった。自転車で森を抜け、坂道を押して、ラモンの家にやって来てしまった。

ロ: あなたの話を聞いたわ。あなたの目の美しさに気づいたの。そして考えたの、こんなに目の美しい人が死を望むなんて、って。ねぇ、誰でもみんな苦しみは抱えてるものよ、だけど逃げ出しちゃいけないのよ。
ラ: 何を言ってるんだ。僕は逃げ出そうとはしていない。逆だよ。

ロ: ううん。逃げてるわ。だからこうして来たの。
ラ: 何のために?

ロ: んーー。生きる望みを持ってもらいたくて。人生って、
ラ: 人生がなんだって?

ロ: 人生って、生きる価値があるでしょって言いたくて。
ラ: 君がここへ来た本当の理由を話そうじゃないか。君は挫折続きの女で、自分の人生の意味を見つけたくて土曜の朝から起き出したに過ぎないってことをさ。


6) 弁護士フリアが裁判の準備のために過去のことを尋ねる。

フ: 過去を振り返るのは好きじゃないみたいね。
ラ: もちろん。僕は未来を見つめてるんだ。
フ: じゃぁあなたにとって未来って何?
ラ: 死だよ。


7) (※こりゃネタバレだと思いなおしたのでコメント欄へ移しておきます)


7') そして、ラモンはインタビューを結ぶ:
「僕はあの時に死ぬべきだった」 


8) どうせ却下されるのだから裁判はムダではないかと思うラモンに対し、義姉マヌエラ:

「たとえば今のあなたにとってはムダになるかもしれないけど、あなたのしたことがいつか他の人の役に立つ」

※義姉マヌエラは素晴らしかった。胸を打つものがあった。ラモンを世話することに自分の存在意義を見てしまっているような面も、そりゃ無かったとは言わないけどさ。ラモンは「海」へ旅立ちたかったようだけれども、マヌエラはラモンを慈しみ続けた「母なる海」でしたよ。マヌエラは自分のもとでラモンにいつまでも揺蕩うていて欲しかったのかなとも思いましたよ。


9) 裁判所に到着し、マスコミに囲まれる:
「安楽死を公的に求めたのは私が初めてだが、秘密裡に死を選んだ人は他にもたくさんいたでしょう」


10) そしてラモン:
「僕をほんとうに愛してくれる人というのは、僕の願いを手伝ってくれる人だよ」


(つづきはコメント欄で)
(スペイン映画; フランス、イタリア)
sea inside・英題 The Sea Inside
海を飛ぶ夢 日本公式
Mar Adentro スペイン公式(アメナーバル監督のサイト内)
海を飛ぶ夢 @みんなのシネマレビュー
海を飛ぶ夢 @goo 映画
Mar Adentro @IMDb
Mar Adentro la película de Alejandro Amenábar @Yahoo! Cine
海を飛ぶ夢@シネマカフェ
海を飛ぶ夢@映画生活
海を飛ぶ夢@ぽすれん
海を飛ぶ夢@象のロケット
海を飛ぶ夢@シネマトゥデイ

海を飛ぶ夢監督: アレハンドロ・アメナーバル Alejandro Amenabar
製作総指揮: アレハンドロ・アメナーバル Alejandro Amenabar フェルナンド・ボバイラ Fernando Bovaira
脚本: アレハンドロ・アメナーバル Alejandro Amenabar マテオ・ヒル Mateo Gil
撮影: ハビエル・アギーレサロベ Javier Aguirresarobe
プロダクションデザイン: ベンハミン・フェルナンデス Benjamin Fernandez
編集: アレハンドロ・アメナーバル Alejandro Amenabar
音楽: アレハンドロ・アメナーバル Alejandro Amenabar

出演:
ハビエル・バルデム Javier Bardem
ベレン・ルエダ Belen Rueda
ロラ・ドゥエニャス Lola Duenas
クララ・セグラ Clara Segura
マベル・リベラ Mabel Rivera
セルソ・ブガージョ Celso Bugallo
タマル・ノバス Tamar Novas
ジョアン・ダルマウ Joan Dalmau
フランセスク・ガリード Francesc Garrido

海を飛ぶ夢【字幕版】 [VHS]
Mar Adentro (Guion Cinematografico) (ペーパーバック)
海を飛ぶ夢【日本語吹替版】 [VHS]
海を飛ぶ夢 [DVD]
Cartas Desde El Infierno/letters from Hell (ペーパーバック)

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