左肩・左腕の具合もよくなってきたから今週末は映画感想文にかかろうかと思ってる。連休だし。途中まで観てある作品がゴロゴロしてていいかげん終わらせたいので。
一つ、南米のね、ロマンティックなラブストーリーっぽい作品ね、それ最初の五分の一くらいまで観てあるんだけどもね。つまり全く、あれなんだよ、愛の物語っぽいわけよ? 美しいお話なんじゃないかと、とてもワクワクしてるわけです。政体にまつわる直接的な描写なんて五分の一までで全然出てきてないし、この後もきっと出てこないだろうと思われるし。でもやっぱりさ、時代背景にちょっと思いを馳せようもんなら、途端にやっぱり独裁政権がどうだこうだ、圧制がどうで検閲がこうで…といった事柄を調べないといかんのかなぁという気がしちゃうわけ。
恋愛模様を観てジヮーーンとしたいってのに、やっぱりその辺を調べたほうがいいの?と思い浮かんだ時点で気持ちいいウタタ寝から揺り起こされちゃう感じなんだよね。冷や水というか。あぁ、そんなこと調べようなんて思いつかなきゃよかったのにロマンス気分が台無しだわと、┐(´д`)┌ヤレヤレな気持ちである。
翌日私はスペイン語学科卒の知人をつかまえて愚痴るように問いました。
「どうしてさぁ、中南米のあちこちの国にはさぁ、軍事独裁政権だの検閲だの拷問だのの歴史があったわけ? あたしは愛の物語をただ観たいわけなのにさぁ、うっとりほのぼのしてるような映画でもどうしたって薄っすらとそういう背景を描いてあるもんだから、結局そういう知りたくもない事を調べさせられて、ちょっとゲンナリすんのよ。あたしはそういうの忘れてラブストーリーにうっとりしたいのに。なに? なんであの人たち拷問してたわけ? 何がしたいの? なんであんな残酷なことできるの? 何がいけないの? なんで?」と。
そんなこといきなり聞かれても困ったでしょうが彼は仕事の手を止めて、
「‘なんで’って……Ummmm……‘なんで’っつうか………あぁ。あのさ、スクール・オブ・ジ・アメリカズってのがあったでしょ。あれでアメリカがさ、中南米の軍人たちにまとめてそういうノウハウを教えたでしょ。南米にああいうやり方が広まった経緯なんてのは、その辺の事情もあるんじゃん?」
と教えてくれた。
そう言われて思い出すのは『マチュカ(チリ映画)』のときにもちょっと書きましたが、『セプテンバー11』のケン・ローチの作品ね。それ(たまたまポルトガル語字幕バージョン)なんか見るとさ、やっぱり「合衆国で訓練された軍人が仕切っている拷問所」って言ってるもんね。
なるほどね。φ(`д´)メモメモ...
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私はSkypeをつけていてもほっとんど呼びかけに応じません。反応することはほとんどゼロです。すみません。というかいつ誰に話しかけられてるんだか、その気づき方がよくわかってないのです。なんか私は設定を間違ってるんだな? 全然わからんぞ? 時々覗くとメッセージが何十件と溜まってたりしてワケがわからない。いつも首をひねっている。
こないだ珍しく呼びかけに気づいて、これまた珍しく応える気になった。先方はアルゼンチンで生まれ15歳でイタリアに移り、34歳の今はスペインに暮らして数年が経つという人だった。なので、挨拶もそこそこに、いきなりで申し訳ないんだけどちょっとおたずねしたいことがあると切り出した。「なんでもどうぞ」と言うので聞いてみた。
私: ビデラ政権の頃のことを何か覚えてます?
彼: うん。僕が住んでいた地区では軍隊が家々にやってきて部屋を借りて、体制にとって危険だと思われる人々を監視できるようにしてたと思う。僕はまだ小さくてね、ある日、母が薬局から出てくるのを待っていた。待ってるあいだ僕はゲームセンターに入ってみたんだけど、そこに突然兵士がなだれ込んできて僕達を全部バスに詰め込んだんだ。僕は泣き出して、隣の薬局にママがいるから下ろしてくれって叫んだ。それで下ろしてもらえたのはラッキーだったね。そうだね、あの頃、表に出るのはそういう風に危険な場合もあったかな。今すぐ君に語れることってこれぐらいしかないよ!
(※このくだり、彼の書く行を追ってるだけでゾッとしたよ。「…え゛。その状況、ものすごくヤバくないの?」と)
私: ありがとう。本当にありがとう。
彼: 君はアルゼンチンで何かそういう体験でも?
私: Noooooooo. ただ、中南米の映画にはそういう政権下での事が描かれていることがよくあるなぁと思って。最近、その辺のことをぐるぐると考えてたもので。
彼: そうですね。
私: あなた、でも、小さかったでしょ? 何が起きてるかわかってましたか?
彼: うん。家では両親が軍部についてなどしゃべってたから。でもそういうことは家の中だけ。あの頃からアルゼンチンは変わってしまったんだよね。昔はリッチな国だったのに。
私: こんな質問に本当にありがとう。しゃべりたくないかもと心配でした。
彼: いや、もっといろいろしゃべってあげたいですよ。でも両親にきいてみないと;-)
私: あの時代さ、怖くなかったの? 私なんて映画観てるだけでおぞましく感じるんだけど。いや、観るまでもなく、映画作品についてちょっとinfoを集めただけで身震いする。
彼: 『La noche de los lapices』とかそういう?
私: そう!それとか!
彼: たしかにゾッとするよね。
……略……
彼: 日本は?
私: 1930年代かな、プロレタリア文学の人が殺されたりしてる。とか、第二次大戦中はあったでしょう。
彼: ちがーう! もっと現代の話で。
私: ピノチェトとかビデラとかそういう時代?
彼: そう
私: それくらいの時代なら‘無い’と思う。
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私とほぼ同世代の人でも、ちょっと尋ねただけなのにやっぱりこういうエピソードをツルツルツルって即答するんだもんなぁ。話がリアルでビックリした。ゲーセンに居たのは若い人たちでしょうに、バスに乗せられて下ろしてもらえなかった彼らはその後どうなったんだろう……?
これからも私は幾つか中南米の作品を観るだろうよね。シリアスなものは徹頭徹尾避けるつもりでいるけど、ラブものだと思ってうっとりと観てても、こういう‘現代史’がフッと透けて見えたりするから始末が悪い。私はこれっぽっちも知りたくないのに、調べなきゃ映画が本当には理解できないのかもしれないなら、やっぱり調べちゃうかもしれないじゃない。非常に頭が痛いところである。
というわけで、書籍などをメモるくらいはしておこうと。
誰か、こういうの↓読んだり観たりした後にものすごくマイルドな言葉に置き換えてピー音を随所にかぶせて私に説明してくれるとありがたいです。私、たぶん自力では挑めません。ムリ。ゾッとする。
(※最後のはおまけで)(※大学1年の夏休みの宿題だったな。キツいだろうに、私ちゃんと最後まで読めたのかね?)
・旧称: SOA
↓
・現在: 西半球なんたら長い名前
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