Xingu / シングー [ブラジル映画]
Latin Beat Film Festival 2012 / 第9回ラテンビート映画祭 / ラテンビートフィルムフェスティバル2012 / スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映。
映画祭の作品紹介ページ(Xingu / シングー)よりストーリー:
1940年代、ブラジル内陸部マトグロッソ州の開発隊に参加したヴィラス・ボアス三兄弟は、アマゾン川支流のシングー川流域で暮らす先住民族インディオと遭遇し、友情を育くむ。キリスト教や森林開発、疫病といった外圧から、彼らの生活を守るため、3兄弟は行動を起こすことを決意する。
先住民族保護に生涯をささげたヴィラス・ボアス三兄弟の苦難の日々を描いた感動作。……略……
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佳かったです。
いつものように私は何も知らずに観ましたが、話はわかりやすい。復習がしたくなる作品。
途中、展開が早くて説明的だなとか逆にちょっとテンポがゆっくりかなと感じるところもありましたが、前者については伝記ものならしかたないね。バルト9では10/4(木)の21:00からまた上映されるのでどうぞ。
次男(めがね) Claudio Villas Boas: 1916~1998
三男 Leonardo Villas Boas: 1918~1961
長男 Orlando Villas Boas: 1914~2002
次男クラウジオが26歳の時(ということは1942年か)に物語は始まります。ホンカドール・シングー開発隊(Expedição Roncador-Xingu)のことを新聞で知った次男が三男とともに、開発隊に応募する人の列に並ぶのです。自分の名前を書くこともできないといった無学の人を装った二人は無事に(?)採用され、サンパウロで会社勤めをしていた長兄のオルランドも呼び寄せるのでした。
(Morre o sertanista brasileiro Orlando Villas-Boas - Que Dia é Hoje? - Oi Educaによればオルランドは多国籍企業に勤めていたようだが、これでサクッとホワイトカラーの職を捨てて弟二人に合流しちゃうのがおもしろい)
『ブラジル学を学ぶ人のために』と『現代ブラジル事典』にその頃の社会の動きについて書いてあります。二つの本の該当箇所の筆者が同じなのでだいたいおなじことが書いてありますが、前者から引用してみます:
第Ⅰ部 開発と社会 第一章 開発と環境保護への取り組み
1 開発と森林破壊 アマゾンへの開発の訪れ
……略……マタ・アトランティカの開発に比べるとアマゾン(正確にはアマゾン河流域アマゾニア)の開発は新しく、せいぜいがこの1世紀のことである。その鬱蒼とした森林が人を寄せ付けず、また植民者にとって経済的利益がなかったからである。アマゾンには多様な自然が存在しているが、……略……つまり農耕には不適な土地がほとんどを占めている。先住民であるインディオはこうした森で焼畑を営んでいたが、それは人類学者B・J・メガーズによって自然の植生の模倣といわれたものであり、貧弱なアマゾンの優れた利用法であった。
19世紀末になってアマゾンの深い眠りは突然醒まされることになった。ゴムブームの到来である。アマゾンを原産とする天然ゴムが自動車のタイヤ、軍事用に大量に需要された。……略……
……略……アマゾンに再び開発が訪れるのは1940年以降のことである。この年ブラジル大統領として初めてアマゾンを訪れたジェトゥリオ・ヴァルガスは文明の名でアマゾン征服を宣言した。アマゾン開発は中央集権的な政治を目指すヴァルガス政権にとって国家統合の手段の一つであった。53年にはアマゾン経済開発庁(SPVEA)を設立し、「法定アマゾン」という地域区分を定めた。しかしヴァルガスの時代はアマゾン開発の前奏にすぎなかった。現実に開発が進むのは64年の軍事クーデター以降であった。……略……
たしか映画で描かれたのは1942年からこのぐらいまでだったと思う。(「1971年にノーベル平和賞候補になった」などはおはなしの中では描かれておらず、テロップでの説明)
ひきつづき同書:
3 貧困と環境破壊 開発の犠牲者
開発は、先住民であるインディオを危機に追いやった。インディオ人口は植民以来過重な労働、混血、残虐行為によって減少してきたが、森林破壊がそれに拍車をかけた。……略……開発はインディオの文化とアイデンティティを失わせている。政府は1973年にインディオ法を制定しインディオの文化の保護を図った。88年憲法は伝統的にインディオが住む土地について不可侵を定めた。政府は、インディオ法と96年の政令第1775号によって、インディオ居住区の確定を進めた。
……略……しかし、現実に居住区として制度化されたものは数が少ない。加えて開発の浸透は、インディオを森の奥へと追いやり、あるいは文明の受け入れと固有の土地の放棄を促すことによって、確定すべき土地を事実上狭めている。さらに確定した土地についても牧畜業者、砂金採集人(ガリンペイロ)が不法に侵入しつつある。
(コメント欄につづく)
amazon.co.jpを「シングー」で検索してヒットするのは←こちらの本。
『アマゾン、シングーへ続く森の道』白石絢子著 地球の裏側から問い返される - エンタメ - 47NEWS(よんななニュース)
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