Saturday, September 29, 2012

Xingu / シングー [ブラジル映画]

LBFF 2012 Latin Beat Film Festival 2012 / 第9回ラテンビート映画祭 / ラテンビートフィルムフェスティバル2012 / スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映。

映画祭の作品紹介ページ(Xingu / シングー)よりストーリー
hairsalon1940年代、ブラジル内陸部マトグロッソ州の開発隊に参加したヴィラス・ボアス三兄弟は、アマゾン川支流のシングー川流域で暮らす先住民族インディオと遭遇し、友情を育くむ。キリスト教や森林開発、疫病といった外圧から、彼らの生活を守るため、3兄弟は行動を起こすことを決意する。

先住民族保護に生涯をささげたヴィラス・ボアス三兄弟の苦難の日々を描いた感動作。……略……hairsalon

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

佳かったです。
いつものように私は何も知らずに観ましたが、話はわかりやすい。復習がしたくなる作品。

途中、展開が早くて説明的だなとか逆にちょっとテンポがゆっくりかなと感じるところもありましたが、前者については伝記ものならしかたないね。バルト9では10/4(木)の21:00からまた上映されるのでどうぞ。


次男(めがね) Claudio Villas Boas: 1916~1998
三男 Leonardo Villas Boas: 1918~1961
長男 Orlando Villas Boas: 1914~2002

次男クラウジオが26歳の時(ということは1942年か)に物語は始まります。ホンカドール・シングー開発隊(Expedição Roncador-Xingu)のことを新聞で知った次男が三男とともに、開発隊に応募する人の列に並ぶのです。自分の名前を書くこともできないといった無学の人を装った二人は無事に(?)採用され、サンパウロで会社勤めをしていた長兄のオルランドも呼び寄せるのでした。

Morre o sertanista brasileiro Orlando Villas-Boas - Que Dia é Hoje? - Oi Educaによればオルランドは多国籍企業に勤めていたようだが、これでサクッとホワイトカラーの職を捨てて弟二人に合流しちゃうのがおもしろい)


bookブラジル学を学ぶ人のために』と『現代ブラジル事典』にその頃の社会の動きについて書いてあります。二つの本の該当箇所の筆者が同じなのでだいたいおなじことが書いてありますが、前者から引用してみます:

hairsalon 第Ⅰ部 開発と社会  第一章 開発と環境保護への取り組み  
1 開発と森林破壊  アマゾンへの開発の訪れ
……略……マタ・アトランティカの開発に比べるとアマゾン(正確にはアマゾン河流域アマゾニア)の開発は新しく、せいぜいがこの1世紀のことである。その鬱蒼とした森林が人を寄せ付けず、また植民者にとって経済的利益がなかったからである。アマゾンには多様な自然が存在しているが、……略……つまり農耕には不適な土地がほとんどを占めている。先住民であるインディオはこうした森で焼畑を営んでいたが、それは人類学者B・J・メガーズによって自然の植生の模倣といわれたものであり、貧弱なアマゾンの優れた利用法であった。

19世紀末になってアマゾンの深い眠りは突然醒まされることになった。ゴムブームの到来である。アマゾンを原産とする天然ゴムが自動車のタイヤ、軍事用に大量に需要された。……略……

……略……アマゾンに再び開発が訪れるのは1940年以降のことである。この年ブラジル大統領として初めてアマゾンを訪れたジェトゥリオ・ヴァルガスは文明の名でアマゾン征服を宣言した。アマゾン開発は中央集権的な政治を目指すヴァルガス政権にとって国家統合の手段の一つであった。53年にはアマゾン経済開発庁(SPVEA)を設立し、「法定アマゾン」という地域区分を定めた。しかしヴァルガスの時代はアマゾン開発の前奏にすぎなかった。現実に開発が進むのは64年の軍事クーデター以降であった。……略……hairsalon


たしか映画で描かれたのは1942年からこのぐらいまでだったと思う。(「1971年にノーベル平和賞候補になった」などはおはなしの中では描かれておらず、テロップでの説明)


book ひきつづき同書:
3 貧困と環境破壊 開発の犠牲者
開発は、先住民であるインディオを危機に追いやった。インディオ人口は植民以来過重な労働、混血、残虐行為によって減少してきたが、森林破壊がそれに拍車をかけた。……略……開発はインディオの文化とアイデンティティを失わせている。政府は1973年にインディオ法を制定しインディオの文化の保護を図った。88年憲法は伝統的にインディオが住む土地について不可侵を定めた。政府は、インディオ法と96年の政令第1775号によって、インディオ居住区の確定を進めた。

……略……しかし、現実に居住区として制度化されたものは数が少ない。加えて開発の浸透は、インディオを森の奥へと追いやり、あるいは文明の受け入れと固有の土地の放棄を促すことによって、確定すべき土地を事実上狭めている。さらに確定した土地についても牧畜業者、砂金採集人(ガリンペイロ)が不法に侵入しつつある。hairsalon


(コメント欄につづく)

amazon.co.jpを「シングー」で検索してヒットするのは←こちらの本。

『アマゾン、シングーへ続く森の道』白石絢子著 地球の裏側から問い返される - エンタメ - 47NEWS(よんななニュース)

アマゾン、シングーへ続く森の道 一般書籍 ほんの木「自然なくらし」

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Thursday, June 30, 2011

Tropa de Elite 2 - O Inimigo Agora É Outro / エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE [ブラジル映画]

tropa de elite 2今日までにこのブログではちょうど250のイベロアメリカ映画作品を扱ってきたようだ。私はそのうち95%は「好き」か「すごく好き」になって鑑賞を終えていると思う。たいていは好きになりそうな作品を探し回って観ているんだから、当然といえば当然か。

そんな中でも「もう本当にすごく好き」という作品は幾つかに絞られる。2007年のブラジル作品、『Tropa de Elite [ブラジル映画]: Cabina』がその一つ。今回はその続編である。


おはなし
“ナシメント大尉”とは、ジョゼ・パヂーリャが監督し2008年のベルリン映画祭で金熊賞を獲得した作品『Tropa de Elite』の主人公であり、演者ヴァギネル・モウラの経歴に燦然と輝くキャラクターである。

その続編『Tropa de Elite 2』では前作から十年後の、出世したナシメントを描いている。BOPEの司令官を経て公安部の次官となった彼は、BOPEの組織力の増強と麻薬密売組織の撲滅に心血を注いでいるが、それこそが真の敵にエサをやっているというからくりにはまだ気づいていないのであった。汚職警官と政治屋どもが選挙の裏でほくそ笑む。

今度の敵は凶悪だ。

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前作を観ていなくてこの作品だけを観るのであっても理解にそう大きい支障はないと思う。もちろん前作を観てあった方が良いけれど。前作には若きマチアスの人となり、彼がBOPEを志願した経緯―――それはすなわちマチアスとナシメントの出会いの経緯でもあるのだけど―――や、そもそもBOPEとは何であるのか、彼らはどのようにBOPEの一員となりどのようにBOPEの一員であり続けるのか、などが丁寧に描かれているからね。

(……私のブログ(『Tropa de Elite [ブラジル映画]: Cabina』)ではだいたいの流れがわかるように書いてしまってあります)


今度は別の奴が敵だ」という意味の副題があるので、それは誰だと言うのかと考えながら見始める。電車の中で観ていたのだが、15分辺りで早くも暴力描写に狼狽し「ひゃっ」って画面を閉じた。刑務所内の暴力が映し出されていた。停止ボタンをドタバタオロオロと大慌てで探したよ。向かいの席の乗客が怪訝そうだった。

前作ではPM(軍警)の腐敗っぷりを描いていたけど、じゃあ今回は刑務所の汚れを描いていくのかしら?とまずは思った。でもそんなシンプルなわけないわね。


刑務所で発生した暴動を鎮めるため、フラガという学者が交渉人として呼ばれる。ナシメントはフラガのことをこう説明してくれる:
「面倒なのは、犯罪者を擁護することで生計を立てていらっしゃるサヨクのお利口さんたちだ。そしてああいった連中からいらんことを吹き込まれてしまう人がこの世には大勢いるってことも厄介だ。フラガは俺のことをファシストと呼んでいたが、それを俺に面と向かって言うほど度胸のある奴じゃあなかった。表向きは俺に敬意を払っていたよ。俺も奴に対してそうしなきゃいけなかったから胸糞が悪かった」。

ああ、じゃあ今回は、そういう連中こそが国家・社会の敵ではないかと訴えていくつもりだろうか?と思った。ああ、そうかもしれん。まさにああいう奴どもこそが敵たりうると日頃から私は考えているから。そういう連中ほどタチの悪いものは無しと、私は苦々しく忌々しく思ってきたから。

だが、この作品の狙いはそこでも無いようだ。


それではいったいどこの誰がナシメントの真の敵だと言うのでしょうか。つまりブラジルの民の真の敵とは、いったい社会のどのようなからくりに巣喰っていると言うのでしょうか。それを115分かけて抉り出すように見せていく迫力の作品です。


映画冒頭に緊張感漂うシークエンスが映し出され、そこに至るまでの歳月をじっくり描いていき、ついには冒頭のシーンに戻ってくるっていう作りは前作とおなじ。おはなしは前作よりは難しいかもしれないな。前作の方が《敵》の正体も《敵》が肥大化するからくりもシンプルだった。そして今回は社会のインフラまでもが《敵》に利するような構図なので、前作にも増して恐ろしい。兇悪な敵の姿が浮かび上がってきて、観ている者を戦慄させる。正直なところ、私はあの社会で生き延びていく自信はない。

敵が手強いだけに、前作よりも今作の方がイライラ、ジリジリさせられると思う。「ナシメント、頼むよ、こいつらみんな始末してくれよな」と願いながら辛抱して見続けたよ。



TROPA DE ELITE 2 - Site Oficial
Tropa de Elite 2 - O Inimigo Agora É Outro (2010) - IMDb
エリート・スクワッド ~ブラジル特殊部隊BOPE~ - DVDレンタル ぽすれん

2011.09.29 加筆
前作(第一作)と合わせてDVD発売だって。
キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!

なぜ邦題を素直に「エリート・スクワッド 2」としてくれなかったのか、よくわかんないんだけど、まあ観られるだけいいか。でも、この邦題じゃ、先にこっちを観ちゃってワケわかんなくなる人、続出だと思うわ。やっぱり前作を先に観た方がいいのよ。(⇒あっちを先に観て! エリート・スクワッド [DVD]

(語句メモなどはコメント欄に)


序盤で舞台となるのは刑務所: Penitenciária Laércio da Costa Pellegrino (通称: Bangu 1)。ここで4年前に起きたある‘事件’からストーリーは始まります。

大きな地図で見る

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Tuesday, May 17, 2011

O homem que copiava / コピーオペレーター [ブラジル映画]

 ブラジル映画祭2006上映作品

公式サイトより あらすじ紹介
アンドレは、文房具店で働く“コピーオペレーター”。彼は向かいに住む女の子に夢中で、彼女を振り向かせるためにはどうしても38レアルが必要だ。友人の協力を得て様々な計画を立てる彼。万事うまくいくかに見えたのだが、次々と問題が現れ始める。

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のんびりと始まる作品。最初の、えーっと何分くらいだったかな、20分かそれ以上の間はほとんど主人公アンドレのモノローグで展開する。いつまでこの紙芝居スタイルが続くのかとちょっと戸惑った。

しかしもうその頃にはアンドレという青年のやや間抜けで気弱な性格が十分に見えているので、なんだかこいつを見守ってあげないといかんのじゃないかという気持ちになってしまっているのである。

間抜けな主人公が陥りがちなのは、ちょっとでもうまくいくと調子に乗ってしまうということ、そしてやがて相当に痛い目に遭うというパターンである。のび太のように。のび太にはそれでもドラえもんがついていたからいいが、アンドレについているのはカルドーゾという、猿知恵が少しは働くようだがあまり頼りになりそうにない、せいぜいが磯野カツオ程度の相棒なのだから、我々としてはまだまだ目が離せない。


ブラジル映画ではストーリーが軽妙に進んでいても最後の最後に急にどんよりさせられた記憶が無いではないので、この作品だって油断はならねえぞと用心しながら鑑賞を続けるのであった。

そしてちょっと強引にいろいろ片付けちゃぁいなかったかと苦笑しながら見終わった時には……かなりの人が巻き戻したと思う。巻き戻したでしょ? (巻き戻すって言うか…) 


O Homem Que Copiava (2003) - IMDb
直訳: コピーした男


監督・脚本: Jorge Furtado ジョルジ・フルタード

出演:
Lázaro Ramos ラザロ・ハモス ... André アンドレ: 文具店のコピー係
Leandra Leal ... Sílvia シルヴィア: アンドレが惚れてしまっている女の子
Luana Piovani ... Marinês マリネーズ: アンドレとおなじ文具店に勤める美女。「イイ女なんだけど、残念なのは自分がイイ女だってわかっちゃってるところ」。
Pedro Cardoso ... Cardoso カルドーゾ: “骨董を商っている”らしい
Carlos Cunha ... Antunes: シルヴィアの父
Júlio Andrade ... Feitosa: なにやら犯罪に手を染めているらしい知人

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Sunday, February 20, 2011

O Cheiro do Ralo / 下水って、匂う。 / 尻に憑かれた男 [ブラジル映画]

O cheiro do Ralo 2008年のブラジル映画祭で上映、2009年のブラジル映画祭で再上映された作品。

映画祭公式サイトによるストーリー紹介
「いやなにおいがしないか?下水のにおいだ」ロウレンソの営む骨董店では下水のにおいが充満中。金に困り骨董を売りにくる客を冷たくあしらうロウレンソの人生は、ある女性の尻に魅了されてから狂いはじめる。

監督はその突飛な発想で“下水のにおい”に「誰もが隠してきた場所、人間の陰の部分」を描き出す。

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Cheiro do raloリオ在住のウルグアイ人の友人が公開当時からわりと勧めてくれた作品。ブラジル映画祭に行くことができず、モタモタしていたらありがたいことにDVDをプレゼントしてくれた。やっと時間ができたので今週観てみました。

彼は『Estômago / イブクロ ある美食物語 』も勧めてくれた。彼も私もこの2作品は面白かったと思っていますが、2作品とも会う人会う人みんなに薦められる作品だとは思ってないです。

そういった趣の作品です。一応そのようにことわっておこうと思います。私のこのニュアンスを酌み取って、観るか観ないか、好きそうか嫌いそうかなどの判断材料の一つとされるのであれば幸いです。


あと数日で日本でも発売になるようです。

アマゾンより
傲岸不遜な男が“完璧な尻”との出会いをきっかけに変わっていく姿を描いたコメディ。骨董屋を営むロウレンソは客の品を二束三文で買い叩き、屈辱を味わわせることに楽しみを見出していた。そんな折、彼は偶然出会ったウェイトレスの尻に魅了され…。

アマゾンより
倒錯のエロティシズム“尻フェチ”男の頓狂な顛末を描いた異色作。骨董屋を営むロウレンソは、金に困って店に来る客の品を二束三文に買い叩き、屈辱を味わわせることに無上の楽しみを見出していた。だがある日、ランチをとる店のウェイトレスの美しく豊かな完璧な尻に魅了されてから、彼の人生は数奇な道を辿り始める…。


んーーー、どうだったかな……。上記の三つのストーリー紹介文、私がDVDから受け取った印象とはどこかちょっと違っているように感じる。特に三つ目。ミスリードっぽいなと思わないでもない。

dangerでも、ポル語音声+英語字幕で観て、しかも二三日かけて途切れ途切れに観たものだから私の頭の中が整理されてないだけかもしれない。あるいは私の「フェティシズム」に対するビジョンが、この作品を“尻フェチ”男の物語だとするビジョンとはちょっと違っていて、違和感はそこから生じているのかもしれない。

(コメント欄に語句メモなど)

こうやっていろんな人々が物を売りに来ます。
Cheiro
Cheiro

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Saturday, January 15, 2011

Os Famosos e os Duendes da Morte / 名前のない少年、脚のない少女 [ブラジル映画]

Os Famosos e os Duendes da Morte2010年のブラジル映画祭の作品紹介文:
ブラジル南部の小さな町に母親と二人で暮らす16歳の少年。彼の夢はボブ・ディランのコンサートへ行くこと。学校にも家庭にも居場所を見つけられない少年は、現実から逃避するようにミスター・タンブリンマンというハンドルネームで日夜インターネットに耽溺している。ある日、彼はネット上で奇妙な動画と写真を見つける。そのどちらにも同じ神秘的な女性が写っていた…。end

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序盤、「これはもしや私があまり好きにならない“オサレ”系か」と身構えたが、次に気づいた頃には画面を凝視しているわ、涙が頬を伝っているわで、だいぶ熱心に観ていた。しかし私はリリカルな作品をリリカルな文章で薦めるのが苦手なので、こういうときは「気に入ったよ」くらいしか言えないんだ、情けないことですが。

でも昨年のブラジル映画祭でも上映されたらしいから、既にきっとそういった情感豊かなサイトは多くあるだろうと思う。そして来月からは全国で順次公開となるようだから、あと数週間もすればもっとまっとうにこの作品を褒めて薦めてくれるサイトやブログが一気に増えると思う。

私からはあまり書くことが無い。
セリフも少なめだし。
というかそもそもポルトガル語は私はほとんどお手上げなのだし。

でもね、お薦めします。近日公開のようです。是非


私がこれまでに観てきたブラジル映画とはタッチが違う。私がこれまでに頭の中で醸造してきてしまったブラジル像・ブラジル人像から離れた情景を見せてもらえて、単純に嬉しいと思った。


pen あと大事なことはすこしコメント欄で)

ロケ地はRio Grande do Sul州のこの辺りか


Visualizar Os famosos e os duendes da morte em um mapa maior

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Sunday, August 15, 2010

Manda bala / 撃て! [ブラジル映画]

manda balaLatin Beat Film Festival 07 / ラテンビートフィルムフェスティバル2007 / 第4回スペイン・ラテンアメリカ映画祭 で上映されたブラジル-USA制作のドキュメンタリー作品。

ブラジル中部にある世界最大級のカエルの養殖場が映される。「……なんでカエルのはなし?」ときょとんとしたが、そこから展開される大勢の人へのインタビュー映像がブラジルの現状を見せつけ、観る者を震撼させる造りとなっている。


ラテンビート映画祭サイトによるストーリー紹介
ブラジルのイメージと言えば、美しいビーチ、豊かな森、混ざり合う多様な文化。しかし同時に、多発する誘拐事件、美容整形技術の発展、大規模な汚職もまた、近年ブラジルが持つ別の顔だ。本作では一見無関係に見えるこれらの出来事が、実は巧妙に絡み合った悲劇の連鎖となっている事実を暴く。

誘拐犯、犯罪被害者、警察官、政治家などへのインタビューは、汚職が貧困を増長し、貧困が人々を犯罪へと駆り立ててゆく姿と、富める者と貧しき者が互いに異なる“暴力” で富を奪い合う構造をスタイリッシュにあぶり出す。必見の傑作ドキュメンタリー!hairsalon

Manda bala@IMDb
Manda bala 公式

この作品は若干軽く鑑賞した。コメント欄で少しだけ細かくメモしていこうと思う。

我が身に降りかかったなら…と想像するだけで気を失いそうな恐怖が描かれていた。誘拐の経緯を事細かに説明してくれるシーンで特に身震いする。また、警察・検察関係者のおかれている恒常的に緊迫した状況も恐ろしかった。彼らの毎日の緊張感を想像すると、頭がおかしくなりそうである。


一部直視できない手術シーンなどもあった。手で画面を隠した。困ったことにわりと長回しだった気がする。

しかしサントラはとってもとっても気分がいい。稲川淳二風に言えば「ごきげん」。

第4回LBFF当時も、この作品の絵図は(/ω\)イヤンだけど音楽は気に入ったという人はきっといただろうと思ってググったら仁さんも「耳は大満足」と書いていらっしゃるので微笑んだ。


ラストシーン、「子ども?9人いるよ。こんど10人目が生まれる。やめるわけにはいかねえだろ、ブラジルの発展ってやつだから。いつか俺の子供が大統領になる日が来るかもしれないだろ」の言葉を聞いた瞬間、“Ordem e Progresso 秩序と進歩”の旗がたなびく映像、そしてかぶさってくるNovos Baianosの『Dê Um Rolê』

クッと息が停まってしまう感覚と同時に軽いめまいを覚えた。

作品冒頭に《ブラジルでは上映できない》と示されていたのももっともか。強烈な作品。

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Sunday, August 01, 2010

Lula, o Filho do Brasil / ルラ、ブラジルの息子 [ブラジル映画]

Lula
9/16からのラテンビート映画祭
で上映される作品。

ブラジルの大統領、ルイス・イナシオ・“ルーラ”・ダ・シルヴァの生まれた時(1945年)から1980年くらいに労働組合の大規模行動を組織するまでの半生を描いた作品。

リオ在住の友人が贈って(送って)くれたので鑑賞してみました。
ある人の生い立ちをこうして『知ってるつもり』のように見せてもらえるという点では面白かったし、社会科の授業を受けるような気持ちでも楽しんだけれども、映画の一作品としては面白いのかどうか、また映画祭で上映するのに向いている作品なのかどうかなどについてはクエスチョンマークが拭えずにいます。

私がもともとbiopic(人物伝もの)を求めていない映画鑑賞者だから、そもそもピンと来ないのでしょう。伝記ものの楽しみ方を私はよくわかっていない。さらに言うと、生きている人の話だしね。存命も存命、現在進行形の人物の―――ましてや政治家の―――おはなしだからね。心を揺さぶられるという境地に達することは難しいと思う。 

そういうジャンルって一歩退いたところから冷淡に観ようと心がけてしまうでしょう。心を動かされまいとする意思が働いてしまう。「美化しようったってそうはいかないからな」なんて警戒しながら観てしまう。美化されてたら美化されてたで鼻白んじゃうわけだし。うっとりするように作られていたらそれはそれで危なっかしい。

頭は冷めちゃうんだよね、こういうジャンルは。だから、さすがの私も無表情に見終わってしまった。観る作品、観る作品、毎回「泣いちゃったあ」なんて言っている、さながら泣き女のような私だというのに。


ポスターにグロリア・ピレスが大写しだから、母が子に注ぐ愛情の深さがどうのこうのというおはなしだろうとは思うのだけど、その辺も………はて……どうだったかなあ。どうも印象が薄い。細切れにいろいろな調べ事をしながらの鑑賞だったせいだとは思うが。

もう一度きちんと鑑賞して感じられるものは感じたいと思います。


年を示すのに曲が使われているのでメモcd

ルーラがクラブで2対2でナンパした時にかかっている曲はAltemar Dutraの『Sentimental demais』。たぶんだけど『O Inesquecivel Altemar Dutra』には収められてる。1964年の曲かね。ルーラ19歳。


チークダンスするのはTim Maiaの『Você』。たぶん『Vou Pedir Pra Voce Voltar: O Melhor De』に収録されてる。


ルーラがバルにいる時にかかってる曲(軍警が合わせて口ずさんでいる曲)は『PRA FRENTE BRASIL』 (1970年W杯のブラジルの応援歌らしい)(注: このyoutubeの↓は、オリジナル音源ではないようです)

バルの表にはPMの車輌が停めてあって警棒で市民を殴りつけて拘束する姿も見られる。(店内の軍警は気分上々で歌を歌い続けている、という図)(その辺の社会事情も合わせて学習するのがこのテの作品の楽しみ方の一つかも)

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Wednesday, October 07, 2009

Se Eu Fosse Você 1. 2. / 逆転夫婦!? 1. 2. [ブラジル映画]

bra2009ブラジル映画祭2009
ブラジル映画祭2008

公式サイトから、あらすじ
理解し合えない妻と夫というのは、映画や芸術の世界で幾度となく取り上げられてきたテーマだろう。この作品では、トニー・ハモスとグローリア・ピレスというブラジルTV界の才気あふれる二人のベテラン俳優が、体が入れ替わってしまう夫婦を生き生きと演じている。彼らのドタバタ劇が観客の笑いを誘う。end

Se Eu Fosse Você (2006)@IMDb
Se Eu Fosse Você 公式

監督: Daniel Filho ダニエル・フィーリョ
原案?: Roberto Frota  
脚本: Rene Belmonte  Iafa Britz  Adriana Falcão  Daniel Filho  Carlos Gregório

出演:
Tony Ramos トニー・ハモス ... Cláudio クラウディオ
Glória Pires グローリア・ピーレス ... Helena エレナ
Lara Rodrigues ... Bia ビア: 娘
Maria Gladys ... Cida シダ: お手伝いさん
Glória Menezes ... Vivinha エレナのお母さんかな。

Thiago Lacerda ... Marcos マルコス: クラウディオの会社の筆頭株主
Thomas Morkos ... Cauê カウエ: ビアの彼氏
Ary Fontoura ... Padre Henrique エンリケ神父


bra2009公式サイトからあらすじ
お互いの体が入れ替わるという奇妙な体験によって夫婦の絆を取り戻したクラウディオとエレナ。それから数年後、クラウディオが他の女性といる所を目撃したエレーナは離婚を決意。離婚調停で激しく相手をなじる二人の体がまたしても入れ替わってしまう。さらには18歳の愛娘ビアの妊娠が発覚。……略……

ブラジルで2005年に公開されその年最大のヒットを記録した「逆転夫婦!?」の続編となる本作は、ブラジルで公開されるや否や次々にブラジル映画の興行収入記録を塗り替えたメガヒット作品。……略……end

Se Eu Fosse Você 2@IMDb
Se Eu Fosse Você 2 公式

監督: Daniel Filho
脚本: Rene Belmonte  Adriana Falcão   Euclydes Marinho
原案?: Daniel Filho

出演: Glória Pires ... Helena
Tony Ramos ... Cláudio
Isabelle Drummond ... Bia ビア: 娘

Cássio Gabus Mendes ... Nelsinho ネルシーニョ: 弁護士、クラウディオの親友
Marcos Paulo ... João Paulo: エレナの側の弁護士

Bernardo Mendes ... Olavinho: ビアの婚約相手
Chico Anysio ... Olavo: その父親で大企業経営者
Maria Luisa Mendonça ... Denise: その若い妻、Olavinhoの母親

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Sunday, October 04, 2009

O signo da cidade / 星の導き [ブラジル映画]

brasilブラジル映画祭

映画祭公式サイトから、あらすじ:
……略……巨大都市サンパウロで暮らしながらも避けられない孤独感に悩み、生と死を見つめる人。そしてバラバラだったそれぞれの人生が交差していく。救いを求める中で見出したわずかな希望の光とは-。孤独に生きる人々をオムニバス・タッチで描く。

……略……サンパウロという大都市の希薄な人間関係、そしてブラジル社会に色濃く残る差別と貧困。孤独がゆえに人のぬくもりを求め誰ともつながっていないようでありながら、つながっているという大都市の人間関係を描く。end

O Signo da Cidade@IMDb
英題: O Signo da Cidade
O Signo da Cidade 公式

監督: Carlos Alberto Riccelli カルロス・アルベルト・ヒチェッリ
脚本: Bruna Lombardi ブルーナ・ロンバルディ


出演: (danger とにかく人物が多すぎる。人物把握には神経をつかう。ちょっと自信がないけど以下に説明をdanger

Bruna Lombardi ブルーナ・ロンバルディ ... Teca テカ(テレザ):
「cartomante(トランプ占い師)ですよね」と聞かれた時に「astróloga(占星術者)です」と答えている。ラジオの深夜番組での人生相談も担当している。

Malvino Salvador マルヴィノ・サルヴァドール ... Gil ジル:
テカの隣の部屋に越してきた男性。家具職人だと名乗る。

Denise Fraga ... Lydia リディア:
その妻。テカに悩み相談をする。

Juca de Oliveira ジュカ・デ・オリヴェイラ ... Aníbal アニバル:
テカの父親。病院に収容されている。女好きとのこと。テカが言うには、アニバルはテカが11歳の時に女を作って出て行ったっきり何も連絡をよこさなかったらしい。

Graziela Moretto ... Mônica モニカ:
テカの友人であり、テカのラジオ番組のスタッフ。路上強盗に遭った時に機転をきかし、それがきっかけでDevanirと親しくなる。(※この女優は、『シティ・オブ・ゴッド』のブスカペの初体験の相手役だよね。「新聞記者がいいセックスできるわけないだろ」と後でブスカペに言われてた)

Fernando Alves Pinto ... Devanir
たまたまモニカといっしょに路上強盗に遭って以来親しく付き合うようになる。旅行代理店をやっているとかで羽振りはいいようである。

Luis Miranda ... Sombra ソンブラ(ジャンゴ): 看護士。
Marcelo Lazzaratto ... Rafa ハファエル: 看護士。

Rogério Brito ... Orievaldo (←公式サイトの表記):
子供が高熱を出して病院に駆け込むが誰も助けてくれない。そんな時に適切な処置をしてくれたのがソンブラだった。

Eva Wilma ... Adélia アデリア:
テカの亡くなった母親(エレナ)の親友。エレナ亡き後、テカの面倒をみてきた。テカの“育ての親”。

Selma Egrei ... Celeste セレステ:
アデリアのところでお茶を出してくれたりする女性。

Bethito Tavares ... Biô ビオ:
モニカとともにテカのラジオ番組のスタッフとして勤務している。(だったと思う)。

Sidney Santiago ... Josi:
トランスヴェスタイトで、ビオの恋人。だと思う。それでテカの番組にも一度電話で人生を語っていた。と思う。神父から性的虐待を受けていたことを告白したりなどしていたのが彼。だと思うのだけど。

Ana Rosa ... Mâe de Biô ビオの母親:
早く孫の顔が見たい。

Irene Stefânia ... Isadora イザドラ:
テカの番組に電話してきた中年の女性。もう生きていく希望を失ったと言う。息子のガブリエルだけが心のよりどころであると。

Kim Riccelli ... Gabriel ガブリエル:
イザドラの息子。母親にカンクン旅行をプレゼントしてあげようと計画を進めている。(そのお金を捻出するのにギターを売ったんじゃないかな)

Thiago Pinheiro ... Luís ルイス:
テカに占ってもらいに日参する男の子。リストカットを繰り返している。テカの占星術に依存してしまった状態と見受けられる。

Laís Marques ... Júlia ジュリア
ルイスのメモ類などをたよりにテカが探し当てた少女。


(人物がやっぱり多すぎると思う。それで散漫になっていた感もある。あちこち焦点が飛び回るせいでむしろ冗長にも感じられ、見終わってから長さを調べて95分と知った時はたいそう驚いた。観ながら132分くらいだと感じていたから)

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Friday, August 28, 2009

Festival Cinema Brasil 2009 / ブラジル映画祭2009

公式サイト ブラジル映画祭2009へようこそ

Festival Cinema Brasil 2008 / ブラジル映画祭2008で上映された作品:
・カルトーラ~サンビスタの物語 / Cartola - Música Para Os Olhos
逆転夫婦!? / Se Eu Fosse Você
下水って、匂う。 / O Cheiro do Ralo  などなどや、もっと前の年に上映された作品なども。


danger 数字などはわたくし用メモなので気にしないでください)

cinema brasil 09
O Signo da Cidade (2007)@IMDb
6.8/80 Drama

2009年10月3日 観ました


cinema brasil 09
O Mistério do Samba (2008)@IMDb
7.2/11 Documentary

O Mistério do Samba 公式


cinema brasil 09
Se Eu Fosse Você 2 (2009) @IMDb
6.2/255 Comedy

2009年10月3日 観ました.


cinema brasil 09
Durval Discos (2002)@IMDb
6.9/351 Comedy | Drama | Music | Thriller

Durval Discos 公式


cinema brasil 09
Zuzu Angel (2006) @IMDb
7.1/317 Drama

Zuzu Angel 公式

この作品についてはさちさんが書いてらしたのを思い出した。


cinema brasil 09
Doutores da Alegria (2005)@IMDb
7.5/36 Documentary

Doutores da Alegria 製作会社サイト


cinema brasil 09 cinema brasil 09
O Céu de Suely (2006) @IMDb
7.1/494 Drama

・O Céu de Suely 公式サイトはブラジル・日本ともにもう行けないみたいだな。
・これは長いこと借りっぱなしになってるのだけど、時間がなくて観られずに来ちゃってる。


e_mさんやリオ在住の男友達から『Madame Satã』を薦められた
こともあって私がこのところ気になっているKarim AinouzKarimの監督作品であると、ついこないだ気づいた。


cinema brasil 09
・私は幸せ
これは、『I am happy』(Eu sou feliz)で、Princeton - Weekly Bulletin 2006/03/27 ― Labouisse Prize winners to work in Brazil and India next yearですね? 

cf. PDFファイル→ I am Happy
cf.Henry Richardson Labouisse '26 Prize


・ペルティフィカンド~僕の中にあるブラジル音楽を辿る旅~

こっ……これは……昔馴染だらけだな……。

pertificando.blogspot.com/ (←製作の方のブログと思料)
doyobossa.exblog.jp/8543849/ (←こちらも同じ方のブログだろうか)(間違ってたらすみません)

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