Sunday, September 23, 2012

EVA / エヴァ [スペイン映画]

EVA わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります

Latin Beat Film Festival 2012 / 第9回ラテンビート映画祭 / ラテンビートフィルムフェスティバル2012 / スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映される。


映画祭の作品紹介ページ(『EVA < エヴァ >』)よりストーリー
舞台は近未来の2041年。エンジニアのアレックスは、雪に閉ざされたサンタイレーネのロボット研究所に10年ぶりに戻り、少年のロボットの製作にとりかかる。

一方、かつての恋人ラナは、兄ダビッドと結婚。一人娘エヴァを授かっていた。エヴァの個性にひかれたアレックスは、彼女をモデルにロボットを作りたいと願うが…。

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オープニングCGの出来栄えが評判となった作品です。

この作品については今年初めのゴヤ賞の記事でも少し書きました:
Premios Goya 2012: candidatos / 第26回ゴヤ賞ノミネート : Cabina
Premios Goya 2012: palmareses / 第26回ゴヤ賞発表: Cabina


2012年10月27日(土)シアターN渋谷梅田ガーデンシネマにて公開

(つづきはコメント欄で)


EVAをエヴァと書くのは私はどうしたって抵抗があるが、まあ勝手にすればという気分です。舞台はどこでもありうるのだし。

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Saturday, April 07, 2012

Los peores años de nuestra vida [スペイン映画]

 ( 95年くらいから今日までに何度も観た作品だけどサラっと書きます。注意点がいくつかあります


おはなし
まるで冴えない弟とイケメンで女たらしの兄が、美しい画学生に二人して惹かれてしまう。弟の恋心をみてとった兄は手を貸そうとするが、自虐的なピエロを演じがちな弟とは噛み合わず、なかなかうまく事が運ばない。彼女との出会いが兄弟それぞれの内面にもたらす変化を軽妙に描いた作品。

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この作品、もう書いちゃおう、今日こそ書いちゃおうって、何度回したかわからない。

「何度も観た」というのは、つまり何度も観られるくらい気軽・気楽な作品であるということ。しかし何度観たところで、鑑賞後ただちに熱のこもったブログを書きたくなるほどの感興は得られなかったからこそ、結局何度も観なくちゃいけなくて、だから何度も観たのだということ。遅くとも3年前の時点でも「観たけど書けてない」というメモをしてあったもんね ⇒ descanso : Cabina


なんていうの、「軽妙」と言い表されるように作ってみましたという感じの作品で、別につまらなくはないしセリフが―――特にお父さんのセリフが―――面白いし、ほのぼのするしあんまり誰もボロボロに傷つくでもないし、“わるもん”らしき人がそんなにいるわけでもなし、いいっちゃあいいし、好きは好きだけれども……、すごく小さい世界で小さいことをテーマに作られている作品だと思う。凡庸って言っちゃえばそれまで。ストーリーや人物像なんかも、別に映画にする必要は無いんじゃないかという、トレンディードラマに毛が生えた作品。

こんなわけだから何度観てもブログを書くに至らなかったんだと思う。私を突き動かすものがない。


ただ、何度も言うけど、無理矢理フォローしているわけじゃないけど、つまらなくはないんですよ。それからスペイン語はたいへん聞き取りやすい。

Los peores años de nuestra vida (1994) - IMDb 
直訳: 僕らの人生の最悪の時期
英題: The Worst Years of Our Lives 

監督: Emilio Martínez Lázaro エミリオ・マルティネス・ラサロ
脚本: David Trueba ダビ・トゥルエバ

出演:
Gabino Diego ガビーノ・ディエゴ ... Alberto アルベルト
残念な弟; 女性との付き合い方において頭でっかちの理論ばかりこねくり回すタイプ; 「どうせ君も僕をフるんだよね」と女の子に面と向かって聞いてみたりする鬱陶しいタイプ; 顔もイケてないわSEXすれば早漏だわ、冴えない、冴えなすぎる; 小説家志望だとかで出版社に原稿を送りつけては送り返され落胆する日々; 浮かんで来る言葉をいちいちレコーダーに録音している; 父親にはきちんと金になる仕事に就くよう再三言われている; 英語が得意(?)

Jorge Sanz ホルヘ・サンツ ... Roberto ロベルト
アルベルトの兄; できすぎた兄; いけめんで女に全く不自由しない兄; 女はすぐ落とせる; 銀行での仕事も決まったところ; アルベルトが世間のイケてる男たちを「顔ばっかり良くて脳みそからっぽな連中」と腐す時はたいていこの兄に対するあてこすり

Ariadna Gil アリアドナ・ヒル ... María マリア
美術学生; 絵画を学ぶためアルベルト・ロベルト兄弟のマンションの上階にある老画家のアトリエに通ってきている。二十歳ほども歳の離れた彫刻家サンティアゴとは不倫の仲; 最近その不倫関係をサンティアゴの妻に知られてしまった

Agustín González アグスティン・ゴンサレス ... Father 兄弟の父親
ベランダで鶏を飼うのが趣味で一羽ずつ名前をつけて健康まで気遣うほどの可愛がりよう; 次男のアルベルトのニートぶりに気を揉む日々; 家業のインテリア店を手伝わせようと考える; 強圧的な父親というわけではけっしてなく、若者への理解はあるほうだ

Maite Blasco マイテ・ブラスコ ... Madre 母親
優しい母親; 「あなたはまだ成長期なんだからちゃんとお食べ」などと、いい歳をした次男のアルベルトの世話を焼く; 夫の趣味のニワトリにはもうウンザリ

Carme Elias カルメ・エリアス ... Carola カローラ
ロベルトの職場の上司; 年頃の娘と連れだってナイトクラビングにくりだす; 逆ナンも一度二度ではない

Jorge de Juan ホルヘ・デ・フアン ... Santiago サンティアゴ
マリアの不倫相手の彫刻家; たぶんアルベルトはこの人のことを「cursiな奴」と苦々しく思っているだろう、陰で口真似とかしていたくらいだから

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Thursday, April 05, 2012

Mientras duermes / スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜 [スペイン映画]

わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります

『REC / レック』シリーズなどで知られるスパニッシュホラーの旗手、ジャウマ・バラゲロ監督の最新作。


おはなし
早朝、ラジオの人生相談番組のパーソナリティーがリスナーに話しかける。「幸せになる術はかならずあります。それを見つけ出すんですよ」。

「……俺は幸せにはなれない。幸せだったことがない。幸せになる能力が無いんだ」とひとりごつセサルは、四十がらみでいかつい容貌の寡黙な男。マンションの住み込み管理人をしている。住人からはそれなりに信頼されているが、オーナーの受けは極めて悪い。

セサルは一日の大半をこの建物で過ごす。寝たきりの母をときおり病院に見舞う他には街に出かける用も無く、趣味があるわけでもない。

三階に住む老女ベロニカのたわいないおしゃべりにつきあい、彼女の留守中の犬の世話を引き受け、住人宛ての郵便物の処理をして、詰まった水道管の掃除を頼まれ、表の掃き掃除をし……、セサルの日常は過ぎてゆく。

彼は若く美しいクララの住む五階の一室を夜毎訪れる。昏々と眠り続けるクララのそばで息を潜め、セサルは夜の闇を共有する。

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めいっぱい詳述していながらネタバレらしきネタバレはしませんよというのを信条としている私にしては珍しく全部つるっと書いちゃってるようなストーリー紹介文ですが、これ、しょうがないんだよね。今書いたことは、最初の数分であっさりと見せられちゃう事ばかりだから。もう冒頭からこういう話です。タイトルが「君の寝ている間に / Mientras duermes / While you Sleep」だし。

この後の展開をお楽しみください。


どうだろな。3回ほど回してみた感じ、可もなく不可もなくといったところ。別に怖くはない。……いや怖いけど。怖いと言っても、ほら、「こわい話」も細分化できるでしょ。これは恐怖感ではなくて嫌悪感を抱かせるタイプの「こわい話」。イヤ~な気持ちになる。女の人は特に受け付けないかも。


Mientras duermes (2011) - IMDb 
直訳: 君の寝ている間に
英題: Sleep Tight (ぐっすりお休み)

公式 Mientras Duermes – 14 de octubre estreno en cines

2012.07.31 加筆
「スリーピングタイト 白肌の美女の異常な夜」8/11(土)シアターN渋谷にて妄想解禁レイトショー!

スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜 - goo 映画
スリーピング タイト 白肌の美女の異常な夜@ぴあ映画生活作品情報


監督: Jaume Balagueró ジャウマ・バラゲロ
脚本: Alberto Marini アルベルト・マリーニ

出演:
Luis Tosar ルイス・トサル ... César セサル: 潔癖症気味か?

Marta Etura マリア・エトゥラ ... Clara クララ: 一人暮らしの女性。
Alberto San Juan アルベルト・サン・フアン ... Marcos マルコス: クララの彼氏

Petra Martínez ペトラ・マルティネス ... Sra. Verónica ベロニカさん: 老婦人。3階の住人。犬を二匹飼っているが一匹はこのところ体調が悪い。

Amparo Fernández アンパロ・フェルナンデス ... 清掃婦; 夜間にやって来る
Roger Morilla ... その息子で手伝いに来ている

Iris Almeida ... Úrsula ウルスラ: 少女
Pep Tosar ... Padre de Úrsula: その父

Margarita Rosed ... セサルの母親; 病院で寝たきり


スペイン人のレビューにザッと目を通したら、『Mientras duermes』はヒラリー・スワンク主演の『ストーカー / The Resident (2011) - IMDb』(スペインでのタイトル“La víctima perfecta”)のパクりじゃないかなどというコメントがありました。私はそちらは観ていないから何とも言えないけど、こういうのって、もうしょうがないんじゃないの? 似ちゃったところで。映画って、完全に新しいものなんてもう作れないんじゃないかと私は思っているんだけど。なにかしらカブるのってしょうがないでしょ。

ちなみに公開時期はどうなってるのか。『ストーカー』が映画見本市に出たのが2010年11月3日で(The Resident (2011) - Release dates)?、『Mientras duermes』が映画祭に出たのがその一年後の2011年9月23日だって(Mientras duermes (2011) - Release dates
 


セサルが買い物袋を手に提げて管理人室に戻ってきて洗面所に直行する。袋から取り出した物を化粧棚に並べ始める。几帳面に並べるのである。



最初、「わ。TENGAいっぱい集めてる。気持ち悪い」って思ったんだけど、制汗剤・防臭剤だった。ロールでくるくる塗るタイプの。

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Friday, January 20, 2012

¿Y tú quién eres? [スペイン映画]

わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります

おはなし
アナは公証人の資格試験にむけて勉強に励んでいる。我が子をぜひとも公証人にというのは父ルイスの悲願でもあった。

受験勉強に精を出すアナを一人マドリードに残し、家族は避暑地サンセバスティアンのリゾートホテルへ行く。しかし今年はいつもの夏とは違う。最近アルツハイマーの初期症状が見られる祖父のリカルドは一緒ではないのだ。

リカルドを施設に預けていくという両親のことばにアナは反発を覚えるのであった。

マドリードに残ったアナは特別養護老人ホームに祖父を見舞ううちアルツハイマー型認知症患者が直面するさまざまな問題を目の当たりにする。

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いつも言うことだけど、私はこのブログで取り上げる作品に滅多にペケ(×)をつけない。たいていは「好き」か「ものすごく好き」だ。今、イベロアメリカ映画(スペイン語映画・ポルトガル語映画) 索引を見てみたが、これまでに合計で265作品くらい紹介してきたようだ。そしてペケをつけた作品はと言えば、5%も無いんじゃないの? いや5%(13作品)くらいはさすがにいってるかな。

さて私がこんな前置きをする時は、そうです、俺はこれからペケをつけるぞという挨拶です。


この作品はダメだ。ペケつけることしか見えてこない。私の大大大好きなマヌエル・アレクサンドレとホセ・ルイス・ロペス・バスケスが起用されているというのに、だ。


アントニオ・メルセロ監督といえば、2年前のゴヤ賞では栄誉賞を贈られた人です。(→ Premios Goya 2010: palmareses / 第24回ゴヤ賞発表: Cabina

あの当日のアリ・ババ39さんのコメントがこちらです:
自宅で名誉賞のゴヤ像を会長から手渡された唯一の人がアントニオ・メルセロ監督、アルツハイマー病でガラには出られなかった。代わりにステージには二人の息子が登壇、父親を称える素晴らしいスピーチをした。どんなふうに素晴らしかったか? そうね、アイタナ・サンチェス・ヒホン以下観衆の涙を見れば充分だよ。名誉賞では毎回目がウルウルするのだが、今年はもらい泣きしてしまいました。これが三つ目のサプライズでした。


偉大な監督なのだろうとは私も思います。実際、1972年の中編『La cabina [スペイン映画]: Cabina』もとても面白かった。

だけど私は、小児ガン病棟で闘病する子どもたちを描いた同監督の『Planta 4ª [スペイン映画]: Cabina』はけっこう冷淡に書いたと思う。あの作品については、

・闘病ですね、ってだけの話ですね
・オーソドックス過ぎるだろ
・テレビドラマでこういうのあるよね
・実は演技がかなーり棒じゃない?
・この登場人物は今おもしろいことを言っていますよ・やっていますよという見せ方が定石すぎて、そういう意味ではすごいよね

ってことをやんわりと冷たく書いたと思う。


今回の『¿Y tú quién eres?』についても私はおんなじことを言うわ。そしてそれをもっと苛烈に言わなきゃいけない作品だった。

長くなると思うのでつづきはコメント欄に。軽くサラッと観たつもりなのに、こんなに長く文句を言わなきゃいけないなんて。

マヌエル・アレクサンドレとホセ・ルイス・ロペス・バスケスの壮大な無駄遣い。


¿Y tú quién eres? (2007) - IMDb
直訳: で、どちらさんでしたかな?

監督・脚本: Antonio Mercero アントニオ・メルセロ

出演:
Manuel Alexandre マヌエル・アレクサンドレ ... Abuelo 祖父リカルド
Cristina Brondo クリスティーナ・ブロンド ... Ana アナ: 孫娘
José Luis López Vázquez ホセ・ルイス・ロペス・バスケス ... Andrés リカルドの医療ホームでの同室者

Monti Castiñeiras モンティ・カスティニェイラス ... Fernando Castañeda 担当医師
Amparo Moreno アンパロ・モレーノ ... Alicia アリシア: 担当ヘルパー
Álvaro de Luna アルバロ・デ・ルナ ... Luis ルイス: アナの父親
Ángeles Macua アンヘレス・マクア ... Enriqueta エンリケタ: アナの母

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Thursday, August 11, 2011

Primos / マルティナの住む街 [スペイン映画]

わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります

おはなし
結婚式の直前に婚約者から別れを切り出されうちひしがれるディエゴ。いとこのフリアンとホセ・ミゲルが元気づけようとするがディエゴの嘆きはそう簡単に薄らぐものでもないようだ。

やがてホセ・ミゲルが一人の女性のことを思い出す。「マルティナ……」。10年前、ディエゴが童貞を喪った相手である。この従兄弟三人組が子どものころに夏ごとに避暑に行っていた村、コミーリャス。そこでディエゴはマルティナに恋をして、永遠の愛を誓った。

マルティナを探しに行こう―――。三人はコミーリャスに向かう。

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来たるLatin Beat Film Festival 2011 / 第8回ラテンビート映画祭 / ラテンビートフィルムフェスティバル2011 / スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映される作品。


私はイベロアメリカ映画を観る人が増えてくれた方が嬉しいから、たとえば『Mentiras y gordas / セックスとパーティーと嘘 [スペイン映画]』でも映画祭の前に悪く書くことはなかった。でもこの作品は、何度かBG“V”として再生を終えた現時点では、あまり褒めようという気がしていない。残念なことだ。

ダニエル・サンチェス・アレバロ監督や主演のキム・グティエレスの仕事を離れたところでの親しげな関わり合い方をいつも微笑ましく思っているから、そういう個人感情からもあまりネガティブなことは書きにくいわけだけれども、でもやっぱりこれは『Azuloscurocasinegro / 漆黒のような深い青 [スペイン映画]』ほど好きではない。監督、プロデューサー、撮影、キャストの幾人もが重なってはいるけれど、出来栄えが大きく違う。


日ごろから私は劇中で主人公がステージに上がって歌ったり踊ったり、そして観客がヒューヒュー、ヤンヤヤンヤというシーンを含む作品は好きではないので、その点でもこの作品が肌に合わなかったのかな。ああいうの、寒いっていうか痛いっていうか片腹痛いっていうか、「目のやり場に困る感じ」でダメなんだよ、私。土ワイのファッションショーみたいな寒々しさを感じてしまうんだよ。(『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は除く)


言葉は面白い。ただ、こないだ友人が言っていたことだけれども、セリフの面白さが字幕に入りきるだろうかという懸念があります。一つ一つのセリフの単語数が多いからね(短い時間に速く詰め込んである)。聞き取りは楽なレベルではないと思う。

万一セリフのおかしみやテンポの良さが字幕では伝わらなかった場合、この作品に他にどれだけの魅力の貯金があるだろうか。私はそれをハラハラと見守るような気分です。

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Sunday, July 31, 2011

No-Do / ゴースト・オブ・チャイルド [スペイン映画]

no-do01 no-do02 わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります

おはなし(amazonの商品ページから)
出産を終え子育てに専念したいと思い、郊外の邸宅に引っ越してきた元小児科医のフランチェスカ(アナ・トレント)と旦那のペドロ。
多少の修繕は必要だったが、この邸宅を2人は気に入りすぐに引っ越して来た。しかしその日から、フランチェスカの回りで不思議なことが起こり始める。誰もいない深夜の2階で物音がしたり、見知らぬ老女が家の周りに出没し、意味ありげなことを告げたり、遂には子供たちの亡霊までもが見えてしまう。周囲の人達には育児ノイローゼによる幻覚を見ているのだと思われていたが・・・・。

誰にも信じてもらえない彼女は、この家の秘密を探り始める。すると……略……

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今日の時点では走り書きメモ程度です。少なくとももう1回は観ます。観る(再生する)だけの時間はとれても書く時間がとれないという作品がもう十作品は頭の中にたまっていて、そういう頭の中のカオスがストレスなので、いいかげんこんなメモ程度であってもいったんブログに移しておきたいのです。だから今はメモだけ。


・ヒロインのフランチェスカを演じるのは言わずとしれたアナ・トレント。

・夫ペドロを演じるのはフランシスコ・ボイラ。IMDbの記載上の話になるが、ボイラの名がこんなに上位に来ているのは滅多に無いんじゃないか、というのがまず思ったこと。

・フランシスコ・ボイラは『Taxi / タクシー: Cabina』の冒頭で主人公女子を振って去っていく彼氏だった人。そして『La Mala Educación / バッド・エデュケーション [スペイン映画]: Cabina』での彼を覚えている人は多いのではないかな。

・以前Mixiのスペイン映画コミュニティでフランシスコ・ボイラのことを知りたがっている人がいた。あの人がこの『ゴースト・オブ・チャイルド』を観てくれるといいのですが。この作品ではボイラがたくさんきちんと映っています。

・ホラー映画としての仕掛けは、たぶんフランチェスカ&ペドロ夫婦が屋敷に来た時にはもうわかる。

・『El orfanato / 永遠のこどもたち [スペイン映画][メキシコ映画]: Cabina』を連想しない人はいないんじゃないかと思うほど、私は連想した。それから、『La habitación del niño / スパニッシュ・ホラー・プロジェクト ベビー・ルーム [スペイン映画]: Cabina』。それと、屋敷などの雰囲気は『Aquella casa en las afueras [スペイン映画]: Cabina』に似ていなくもない。あとは、“仕掛け”はもう「あの作品だよね」というのがあるけど、それを言ったらイクナイから書かない。

・タイトルにもなっている‘no-do’は(スペインの)スペイン語学習者なら耳にしたことのある単語だと思う。この作品中でも何度か繰り返されるとおり、“Noticiarios y Documentales”という二語の頭文字をつないだ単語。

DRAE
En las salas de cine de España entre 1943 y 1981, cortometraje documental que se exhibía antes de la proyección de las películas.

Noticiario de exhibición obligatoria en las salas de cine españolas entre 1942 y 1976. という説明も他所で見かけた。

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Sunday, May 01, 2011

Aquella casa en las afueras [スペイン映画]

わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります)(監督名も作品タイトルも聞いたことの無い作品をネットで見かけたのでどんなものかと覗いてみた、といった鑑賞)


おはなし
マドリード郊外の林を車で抜けて、ニエベスは荒れ果てた屋敷の前に立った。

「わたしは町外れのあの家に戻ってきた。あの出来事から5年も経ったなんて。あの家はあばら屋となっている。がらんとした空き家。戻ってこなければと何度も思ったもののなかなか勇気が出なかった。今日またあの庭を、窓を、そして扉をこうして眺めていることがまだ信じられない。5年前彼に呼び寄せられてこの家に来た時、庭には花が咲き乱れていた。家は修繕から間もない様子で、新しい住人を心待ちにしているように見えた。『僕ら二人にぴったりの家を見つけることができて本当にラッキーだったよ』と彼は言ったのよね」。

5年前、ニエベスは駅で夫のホアキンを待っていた。身重のニエベスが出産までの数週間を穏やかに過ごせるようにと、ホアキンがマドリード郊外にちょうどいい屋敷を見つけてくれたのだった。いざ屋敷へと車を走らせながらホアキンはその物件の素晴らしさを語って聞かせる。ニエベスの目も期待に輝く。「あのカーブを曲がったらすぐ見えてくるから目を閉じて。いいと言うまで目を開けちゃだめだよ」。

やがて車が停まった。目を開けたニエベスの表情がみるみる凍り付く。彼女はその家に見覚えがあったのだ。夫のいない隙にニエベスは友人に電話をかける。

「貴女、マドリードまで私に付き添ってくれた時のこと、覚えてる? ……ええ、そう、私の“例のこと”で……あの場所の正確な所在地がわかるかしら?……覚えてないのね……私?覚えてないわ。だってあの夜は私、ほら、ひどい状態だったし……」。

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私はホラー映画をほとんど知らないからその辺の定義付けはよくわかっていないけど、この作品は“ホラー映画”という分類だと思う。そして“ホラー映画”としてはとても薄味なのだと思う。『Regreso a Moira / スパニッシュ・ホラー・プロジェクト エル・タロット』の時に、「こんなに広がりに満ちた題材を取り上げながらなぜもっと怖く撮らない!」と歯痒い思いをしたが、それと似た感触だった。“オカルト力”が足りていない、と。ただ、同系統の『La culpa / スパニッシュ・ホラー・プロジェクト 産婦人科』よりは品が良く、ずっと面白い作品です。雰囲気の作り方とか館の使い方なんか、高い評価を得ている『La residencia / 象牙色のアイドル』よりも優れているんじゃないかと思ったほど。


でももっとできる。もっとできたはずだ!もっと怖く、もっと気味悪く!


『Aquella casa en las afueras』は1980年の作品だが、90年の『ミザリー』を連想させるシーンがあった。小道具が『ミザリー』におけるそれと同様に狂気を説明するのに使われていた。そういうところがなかなか面白いと思う。もっと言えば、この作品の冒頭は、意外なことに『クリミナル・マインド シーズン2』の第22話《出口のない迷路》(Legacy)の冒頭を思い出させるものだった。巧いと思う。

監督はEugenio Martín エウヘニオ・マルティン。恥ずかしながら全く知らなかったのでいろいろ調べてみたら、他にはたとえばこういう作品を撮っているらしい:
・『ガンクレイジー 』(El precio de un hombre (1967) - IMDb
・『ホラー・エクスプレス/ゾンビ特急“地獄”行』(Horror Express (1972) - IMDb


こうして監督の名前を今日覚えたわけだが、もう一つ私が不明を恥じたのは「屋敷の所有者で上階に住んでいるおばさん」を演じていたAlida Valli アリダ・ヴァリのこと。この作品ではいかつい顔をしたパンチパーマのおばさんといったルックスなのだが、「この人、誰だろう?」とIMDbを開いてみてその美貌に驚いたのでした。

Alida Valli - IMDb
・公式サイトもちゃんとある⇒ ALIDA VALLI
・Wikipedia(日本語)もある ⇒ アリダ・ヴァリ - Wikipedia
アリダ・ヴァリ(Alida Valli) のプロフィール - allcinema

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Saturday, March 05, 2011

Rabia / 激情 [メキシコ映画][コロンビア映画][スペイン映画]

rabia TIFF 第22回東京国際映画祭の上映作品

東京国際映画祭 | 激情の作品紹介ページより:

[解説]
肉体労働者と住み込みのメイドの関係は、男の起こした事件で終わったかに見えた。しかし、男は女の側にいることを決意する。想像を超えた方法で…。卓越した映画技法と役者の渾身の演技が光る激情的ラブストーリー。

[あらすじ]
移民の建設作業員ホセ・マリアは……略……建設現場の監督と対立し、暴力を振るったすえに殺害してしまう。

……略……廃墟と化した広い屋根裏部屋に身を隠したホセは、まるで覗き魔か、もしくは幽霊のように……略……

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rabia わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります

3回転半くらい再生してチラチラ観た。
だいたいどんな作品も観ているうちに「これを書こう」「これに触れておこう」「この言い回しは説明しよう」などと浮かんでくるもので、一回りまたは二回り見終わる頃にはだいたい文章は頭の中でできあがっているものなのだが、この作品は3回転してもめぼしい思いつきが得られず困った。

十分に悲しいし可哀想だし、ホセ・マリアの憤りに共感もする。破滅的で自滅的で破壊的で、窒息しそうな感覚に襲われもするが少しの希望は残されていて、

・貧困
・南米移民への蔑視
・本国でも移民先の国でも踏みにじられる尊厳
・生殺与奪を握られた移民が曝される苛酷な現実
・移民労働者の悲惨な日常生活

といった事柄が描かれているのだけれども、「それらが描かれていますね」とここで述べるのは、陳腐で凡庸でたまらなく気恥ずかしい。だから書くことがなくなって困ってしまったわけである。


主役のホセ・マリアを演じたGustavo Sánchez Parra グスタボ・サンチェス・パラの半分人間でなくなってしまったような形相に息をのんだ。グスタボ・サンチェス・パラのあの姿がこの作品の収穫の一つ。

一度目の再生をしている間は他の事をしていて、目の隅で画面をとらえていてチラ見をするような格好だったのだが、妖怪みたいなホセ・マリアが姿を見せたとき私は絵に描いたような“二度見”をした。以後何度か再生した時もそのシーンになると「来るぞ、来るぞ」と待ち構えたものである。


グスタボ・サンチェス・パラは14kgの減量をして撮影に臨んだらしい。終盤を撮ってから序盤へと戻ったのだろうなと思ったが、やはりそうだったみたい。まあそうだよね。
Gustavo Sánchez Parra bajó 14 kilos por "Rabia" - Instituto Mexicano de Cinematografía, Imcine

そして下記の記事だと温情の女主人を演じたコンチャ・ベラスコが「彼は40kgも痩せたのよ。31kgのところから撮影を開始したの」と言っているが、40kgはさすがにヤバいだろ???
Videochat de Martina García y Concha Velasco Sur.es

何kgだ、何kg減らしたんだ!?もともと細身だった彼にとっては、これほどの急激な肉体的変化は精神面にも厳しく作用したらしい。
'Rabia' lleva cine del bueno a la sección oficial | Andalucía-Málaga | elmundo.es

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Monday, February 14, 2011

El arte de morir / 惨劇の週末 [スペイン映画]

El arte de morir わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります

このブログではこれまでにスペイン語圏・ポルトガル語圏の映画をたぶん220~230作品取り上げてきたのだけど、私はめったに×(ペケ)をつけない。たいていの作品は好きか大好きになるので。「よくない」といった作品はたぶん5%も無いんじゃないかな

だけど今日のこれはダメだ。くだらない。というかつまらないといった方がいいのかな。とにかくつまらない。20分を過ぎた辺りから退屈すぎて苦痛。DVDの残量時間表示がうらめしかった。

これ、公開時、つまり11年前に観ていたなら斬新なストーリー展開とでも感じられたんだろうか? ニュータイプのスリラーあるいはサスペンスって、少しはわくわくできたんだろうか? いやあ、いつ観たって私はこんな感想だったと思うわ。


観る意味があるのかはなはだ疑問。というか作る意味があったのかが疑問。作る意味があったと思うかと、作った人たち・作るのにお金を出した人たちに聞いて回りたいくらい。何がしたかったのか。死生観がどうだこうだとか哲学的な話する? Ars moriendiって? ¡Uy, no por favor! それ、ほんと? ほんとに後付けじゃない?

“I Know What You Did Last Summer(『ラストサマー』)”みたいなパターンだが、ひたひたと迫り来る恐怖があるでもない、殺され方が残忍であったりド派手であったり独創的であったりするのを楽しめるでもない、『ファイナル・デスティネーション』シリーズのような「あるある……かもしれない」殺され方・死に方を味わうでもない、真犯人はひょっとしてこの人かしらという謎解きを楽しむでもない。主人公たちの怯え方は中途半端だわ、どいつもこいつもキーキーうるせえわ、うるせえわりに怒り方も中途半端だわ。

それから女がぶさいくだ。つまらない作品ならせめて女をもっとエエ感じに映してくれよ。マリア・エステベ、もうちょっと撮りようがあっただろう。杉兵助師匠じゃないか。


馬鹿野郎どもは何年経っても馬鹿野郎でしたっていう映画。で、ほんとに「言うのが遅い」。


『惨劇の週末』って………これを観てしまった私の週末が惨劇だろう。この監督の1992年のショートの『El Columpio』は面白かったんだぞ。どうしちゃったんだ、いったい。


さて、ここまでケチつけたわりにはずいぶん失敬な話なのだが、うむ、これは謝るべきだと思うのだが、白状すると最初の方、私は『殺しのセレナーデ [DVD]』を観ているつもりでいたんだ。シルケがなかなか出て来ないなあとか思ってた。これは私が悪かったと思う。

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Thursday, January 13, 2011

Tocar el cielo [アルゼンチン映画]

tocar el cieloおはなし
ブエノスアイレスとマドリード。大西洋を挟んだ二つの街のクリスマスの夜空に風船が高く上っていく。ブエノスアイレスでは女たらしのサンティアゴとインペリオお婆ちゃんが、マドリードではペドロとグロリアが、それぞれの願いを書き込んだ短冊をつけて風船を空へ放つ。

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まず最初に言っておかないと:
今現在IMDbの『Tocar el cielo』のページにあるポスターは違う作品の写真です。

make a wish『Tocar el cielo』の英題の一つに『Make a Wish』というものがあり、そのタイトルのVシネマの写真(右図)が間違って掲載されているわけです。あんまり品のない画でしょう? このVシネ作品には『Lesbian Psycho』というタイトルもあり、さあ、ホラー映画なんでしょうかね。とにかく、『Tocar el cielo』とはまったく別の作品です ⇒ Make a Wish@IMDbMake A Wish@amazon


私が観たのはアルゼンチン映画の『Tocar el cielo』。


わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります


Elsa y Fred / エルサ& フレド』のマルコス・カルネバーレ監督がエルサを演じたチナ・ソリージャを起用して撮った作品。そのほか『Azuloscurocasinegro / 漆黒のような深い青』のラウル・アレバロ、アナ・ワヘネル、『Reinas』のベティアナ・ブルムといったキャストを見れば、それはそれは心温まるコメディだろうと思えるわけです。その面々でつまらない作品ができあがるわけがないって。

そして実際に観てみたらたしかに愛が描かれているコメディだし、クスッとかニヤリと笑えるし、好きは好きなのだけどちょっと私には期待外れだったかな。期待がべらぼうに大きすぎたんだと思う。

チナ・ソリージャの可愛らしく憎たらしいお婆さん像や、グロリアを演じたベティアナ・ブルムの熱演は素晴らしかったけれども、偏屈で愛情の示し方がわからず息子とも老母ともまったくうまくいっていないというペドロのキャラクター設定など、いろいろな人物の設定が説得力を欠いていたように思う。

彼らの言動も現実味があるとは言い難く、どうもね、好意的に見られなかった。


私は二十歳過ぎた頃から涙腺がぶっ壊れていて、たいがいの‘おはなし’で泣けてしまう。30過ぎてからは日常のニュースで涙ぐんでるから涙が追いつかない。人が殺されたと聞いて泣き、自殺報道で泣き、タイガーマスクのランドセルで泣き、倒れた大銀杏が再生していますと聞けば泣き。

そんな具合で、映画なんて観たらどうせ泣く私だからこそ、‘泣ける作品’というコトバに対しては懐疑的で冷笑的なのだと思う。‘泣ける作品’って何なのか、映画というものは観客が泣くに至りさえすれば佳いとでもいうのか?というツッコミの分を映画の感興から差っ引くべきだって、日頃自分に言い聞かせている。

登場人物が誰か死ねば、そりゃ泣くさ。泣くだろうよ。でも死というものは一般につらい出来事であるから私は人として泣いているのであって、映画の観客として泣いているわけじゃぁない。人物が死んで私が泣いたからってその作品が佳いかどうかは、私は知らない。


登場人物が死ねばいいってものじゃないし、観客が泣けばいいってものでもない。そういう引き算をしていったら、思ったほどお釣りが残らない作品だったというわけだ。私が期待をしすぎた。


(語句メモなどはコメント欄で)

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