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Saturday, June 11, 2011

La caja 507 / 貸し金庫507 [スペイン映画]

おはなし
炎暑の南スペイン。テレビはツール・ド・フランスのアレックス・ツェーレとミゲル・インドゥラインの攻防を伝えている。友達とキャンプに行くと言い玄関に向かう娘のマリアに、モデストは父親らしい一言を投げかけた。マリアはそれきり帰らなかった。その夜、キャンプ先の山火事で焼け死んだのだ。マリアのたばこの火の不始末が原因とされた。

それから7年、アンダルシアにまた厳しい暑さが訪れる。

その日、銀行の支店長を務めるモデストのもとに一本の電話がかかってきた。モデストは娘の死の真相を知ることとなる。金庫室の507番ボックスに長いこと隠されていた陰謀を。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


twitter https://twitter.com/reneyama/status/73025110692478976
もう何度かDVDはBG“V”としてかけてあって、けっこう面白いじゃないか!って気に入った作品。今夜は本格的に観てブログにササっと書いちゃおうって張り切って見始めたんだけど、いざ見始めたら、人物が多くしかも顔が似ていておまけにド売れっ子じゃない俳優ばかりなので、把握に手こずってる。twitter

twitter https://twitter.com/reneyama/status/73026543592542208
鑑賞からブログUPまでは時間をかけようと思えば何時間でもかけちゃうので、最近はなるべく時間をかけずに観るよう心がけている。正座して鑑賞する時間がとれず「BG‘V’として再生しておく」感じのことも少なくない。でも、そんな見方でも面白い作品はわかるもんだ。ってことが最近わかってきた。twitter


先日こうツイートしたのがこの作品。面白かった。


たしか東京の大きくない映画祭で上映されたはず……と思ったが、www.liberarte.jp スペイン語の映画 2003というページにあるように2003年のバスクフィルムフェスティバルでかかった作品だそうです。その映画祭の直後、私は知り合いのスペイン人のおっさんと食事だったのだけど、「どうだった?」って聞いたら彼が、「ああ、面白かったよ」って即答。しかし「だいたいどんな話?」って聞いたら、「銀行があって、貸金庫がどうしたこうした、って話」という。

どんなだよ。

でもこれ仕方ないんだね。私もこのたび何度か観てみたけど、ちゃんと把握するのはたった一回では無理だ。人間関係が複雑で。だってその関係図の全貌を明らかにしていくストーリーなんだから、それがわかりやすくても困っちゃうしね。

主役の二人以外は、ドドーンとメジャーな男優じゃあない。舞台などで活躍する役者が多いのではないかな―――いや知らないけど―――。控えめな悪相揃いで実に渋い仕上がり。商業的な成功なんて度外視していたんじゃないかって思ってしまうよ。血はあっても乳は無し。安易に集客に走らないこの作品の気骨が感じられるではありませんか。


「スペインのヤクザ」ってどういうものなの?っていうのは私は相変わらずわかっていない。(参照: La Espalda de Dios [スペイン映画]: CabinaVengo / ベンゴ [スペイン映画]: Cabina) たまにスペインに遊びに行くだけだし、行ったってもう夜の街に繰り出すことすらしない、きわめて健全な爽やかなスペイン像だけを楽しみ慈しむ滞在スタイルだし。覗かないからね、そんな世界。

この作品を観て「あ、これがスペインのヤクザ界かしらΣ(゚∀゚ノ)ノ」とわくわくした。ハードボイルド? フィルム・ノワール? 

面白いよ。私のお気に入りのホセ・コロナードの、文太以来の角刈りまで楽しめる。……ただ……よくよく考えてみれば、イタリアマフィアがアンダルシアにいるというストーリーだから、厳密にはこれはスペインヤクザ界を描いた作品ではない……? 


La caja 507 (2002) - IMDb
直訳 金庫507

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Comments

語句メモ
・raso, sa: 4. adj. Dicho de la atmósfera: Que está libre y desembarazada de nubes y nieblas.

・híper: 1. m. coloq. hipermercado. 略

・desvalijar:
1. tr. Quitar o robar el contenido de una maleta o valija.
2. tr. Robar todo o gran parte de lo que hay en una casa o en cualquier lugar cerrado.

・cripta:

・dormir: 9. tr. Hacer que alguien se duerma.
例) Dormir a un niño, a un paciente.


・vete tú, vaya usted, etc., a saber.
1. exprs. U. para manifestar duda o incertidumbre ante algo que, a veces, en forma de sospecha, se ha expresado en el coloquio.
例) —A lo mejor, ni siquiera estuvo allí, vete tú a saber.
例) —Dice que ese dinero procede de una herencia, vete tú a saber.
2. exprs. U., seguida de una oración encabezada por las partículas si o si no, para expresar en tono de sospecha, duda o incertidumbre lo que esta oración dice.
例) Vete tú a saber si (no) nos está engañando a todos.


・ronda de reconocimiento:
→・ronda: 4 Cada una de las veces en que tienen lugar ciertas cosas:
例) "Mañana comienza una nueva ronda de negociaciones".

・Quisiera consultar el expediente de una parcela. 土地登記簿謄本というのかね


・Pon las manos en la nuca o te dispararé.
→・接続詞oの使い方。英語のorとおなじ。

book 中級スペイン文法 / Gramática de la Lengua Española / : Cabina 
命令文+o 「……しなさい,さもないと」
Ven pronto o perderás el tren. 早く来い.そうでないと汽車に乗り遅れるぞ.


・モロッコ側にフェリーで渡ってから飲んでいた水はSidi Ali(Les Eaux Minérales d’Oulmès)。スペインの飲料品ではない。


・このあいだ、ホテルなんかの部屋番号の三桁の数字をどう読むのって聞かれて咄嗟に『Celda 211/ 第211号監房 / プリズン211』のことを例に挙げた。「あれはニーイチイチではなくニヒャクジュウイチ式に読んでいましたよ」と。

この507もゴーゼロナナではなくゴヒャクナナ式に読んでいた。

Posted by: Reine | Saturday, June 11, 2011 at 17:08

肝心の人物紹介
すでに何度か観てあって、いよいよこの下書きを仕上げるのにもう一度IMDbのキャスト紹介欄と首っ引きで観たけど、それでも役と役者を結んでいく作業がたいへんだった。

監督・脚本: Enrique Urbizu エンリケ・ウルビス
脚本: Michel Gaztambide

出演:
Antonio Resines アントニオ・レシネス ... Modesto Pardo モデスト・パルド: 銀行の支店長
Dafne Fernández ... María Pardo Muñoz マリア・パルド・ムニョス: モデストの娘で96年夏、山火事で死亡

Miriam Montilla ... Ángela アンヘラ: モデストの愛妻

Juan Fernández ... Regueira レゲイラ: 銀行強盗団のボス 
Javier Coromina ... Toni Lomas トニー・ロマス: 銀行強盗団の一味; アンヘラを人質にとり見張る役目
Sarina Röhr ... Mujer Rubia : 一味の金髪の女
Antonio Mora ... Juan フアン: 一味の若者
Younes Bachir ... Khaled: 一味のモロッコ人

Michele Nicholson ... Mujer Francesa フランス人女性: 美術品を貸金庫に預けに来たフランスの御婦人

José Coronado ホセ・コロナード ... Rafael Mazas ラファエル・マサス: 元警察署長。山火事のあった当時の市長の右腕とも言われた男。警察を辞めた今はイタリアマフィアのマルセロの右腕。
Goya Toledo ゴヤ・トレド ... Mónica Vega モニカ・ベガ: その情婦; アル中気味でラファエルは手を焼いている

Luciano Federico ... Marcelo Crecci マルセロ: イタリアマフィアの男; ミランの法廷で証言をすることになっているがそれを阻止したい従兄のパオロらから命を狙われているためアンダルシアに身を隠している

Jorge Calvo ホルヘ・カルボ ... Aguiló アギロー: マルセロの取引相手の代理として交渉の席に現われた醜男。マルセロの代理であるラファエルに対しはじめのうちは木で鼻を括ったような態度をとり、土地の売値を強引に釣り上げにかかる。


coldsweats02さあ……ここからが厄介だ……coldsweats02

Xavier Serrat ... Roberto Crecci: マルセロの弟かな。そばにいる気味悪い男。ただの禿げた小太りのおっさんに見えるけど気性が荒いんだろう。サクッと人を殺すみたいだ。

ラファエルが「No me amenaces, Gianni. 俺を脅してるつもりか、ジャンニ」と言ったイタリア訛りの若い男はどれだろう? イタリアにいるパオロがスペインに送り込んできた男だ。ローマからボディーガードを伴って到着した、小柄で女みたいにソフトに話す男。

Juan Carlos Gascón ... Gafitas: これとしか思えないんだがな。これかな。これだろう。

Alberto Murroni ... Hombre Largo: イタリアから来たその男(とボディーガード)を空港で出迎えて自分の経営するレストランまで連れていった。ラファエルはこの男のことを陰ではIndioって呼んでいた。

Manuel Brun ... Sánchez サンチェス: 元盗っ人。金庫破りに定評があったんだろう。今は妻子とまじめに暮らしているというが、このたびの強盗にも一枚噛んでいるのかいないのか。ラファエルが問い詰める。

Sancho Gracia ... Santos Guijuelo サントス・ギフエロ: くだんの山火事の起きた当時の消防署長。
Enrique Martínez ... Pichín Rivera ピチン・リベラ: 娼館のチンピラ。ラファエルが問い詰める。

Ismael Martínez ... Javier Landa ハビエル・ランダ: 『エウロパ・スル』という新聞の記者; マドリードから来てまだ何年も経っていないので火事のこと自体は知らない。
Héctor Colomé ... Director Europa Sur エウロパ・スル紙の編集長ラモン
Antonio Canal ... Hombrecillo: 新聞社を含む企業グループのトップ

Paco Cambres ... Gerardo de la Hoz ドン・ヘラルド・デ・ラ・オス 前市長で今は開発会社の社長におさまっている。


2011.06.13 追記
ラファエルに「俺を脅してるつもりかよ、ジャンニ」と言われていた、イタリアから送り込まれてきた猫撫で声のうらなりのヤサオトコを演じていたのはやっぱりJuan Carlos Gascónでいいんだわ。

でも……ん……? なにこのちょっとイケメン
CARLOS GASCÓN: CINE

演じてたジャンニというイタリア男はにちゃにちゃしてて気持ち悪かったけど、なんなのよ、このちょっとイケメン。迂闊だったわ。私のイケメンセンサーがぴこんぴこん言わなかったじゃないの。

Posted by: Reine | Saturday, June 11, 2011 at 17:47

マルベーリャ市のヘスス・ヒル市長(1991年~2003年)がモデルだったりするのかな? 

ヒルに実刑判決 – UEFA.com

【訃報/サッカー】アトレティコのヒル元会長が死去


ちなみに、私はいつも映画の中で知っている場所を探すが、この作品に関してはそういった具体的な地点を特定できるお店やストリートの名前はほとんど見えなかったように思う。「La Lineaの男だよ」というセリフがあったのでLa Línea de la Concepciónなんだけど、もっと細かい撮影地点の特定がほとんどできなかった。いつもだったらバス停だのストリート名のプレートなどからグーグルマップでココ!というのを探し出すのを楽しむのだけど。

Posted by: Reine | Saturday, June 11, 2011 at 18:01

お気に入りのホセ・コロナードについてのツイート集:

José Coronado recibirá el Premio de Honor del Festival de Cine de Alicante http://t.co/0IzKz78 : Lo considero muy sexy. ホセ・コロナード、セクシーだと思うわ。

だってもうどうすんだよ、これ。José Coronadoのこの色っぽさ。なんだ、この50歳(当時) http://bit.ly/jjNCZM こっちは45歳くらいの時 http://bit.ly/j8b8h2 http://bit.ly/l8WhzT

・息子がまた、すんごいんだよ、なんだよこのポテンシャル http://bit.ly/myYbHx

・これとかな。なんなんだよ、この造形は http://bit.ly/mqGsjq

・どうか演技がそこそこ上手かすごく上手であってくれますようにと願っています。有名芸能家系のサラブレッド的な子で、しかもこの顔と上背ならいけそうな気がしています。もうちょっと、広背筋だかなに筋だかわかりませんが、その辺を広くしてもらいたいと思います(←うるさいわw)

Posted by: Reine | Saturday, June 11, 2011 at 19:37

danger 一晩迷ったけどやっぱりもうちょっと説明をしておこうと思う。一度観た人の答え合わせのために。たとえネタバレっぽくても danger

capricornusモデストの行動capricornus
1.事情聴取⇒病院⇒警察が用意してくれたホテル
2.支店長室からラファエルとモニカを視認
3.レンタカーを借りて“あの現場”へ行ってみる
4.役場で土地登記簿謄本
5.消防署長の名をつきとめる
6.フランス人の御婦人の家
7.消防署長ギフエロの家
8.病院に見舞い
9.新聞社へ
10.開発会社の式典へ
11.墓地でマルセロと対談
12.ラファエルの自宅で電話
13.病室(※このシーン、涙を拭きながらトイレから出てくるモデスト=アントニオ・レシネスがたまらなく可愛いんだわ)
14.病室に新聞社のトップが来る
……以下略……


leoラファエルの行動leo
1.マルセロの代理でアギローと会い、タフネゴシエーション
2.自宅に急いで帰る
3.マルセロの豪邸でミーティング
4.ケバブ屋で刑事の一人から捜査状況を聞き出す
5.銀行で被害確認
6.モニカに張り手
7.空港でイタリアからの“客人”らを見張る
8.“客人”とレストランでミーティング
9.自宅でマルセロと電話
10.サンチェスの解体工場でトニー・ロマスの名を聞き出す
11.トニー・ロマスの家(だと思う)に行く
12.ピチンの娼館でレゲイラの工場を聞き出す
13.工場にフアンが来る
14.モロッコに渡る
15.一味と会う
16.病室で電話
17.自宅へ
……以下略……


以上、主役二人は太字の箇所でニアミスあるいは接触あるいは会話をしている。

Posted by: Reine | Sunday, June 12, 2011 at 10:19

書くか書くまいか悩んでいたんだけど、やっぱりちょっとメモしておいた方がいいと思う

・昨日たまたま見かけた記事
España, ¿una crisis a la japonesa? · ELPAÍS.com
プラザ合意のことからバブル経済への流れを説明。se produjo una explosión de la burbuja inmobiliaria y bursátil……略……los japoneses, en lugar de intentar mejorar la competitividad perdida aumentando la productividad de su tejido empresarial, compraron viviendas


2002年の作品である『La Caja 507』も、90年代末~今世紀初めにかけたスペインの土地投機熱が背景に描かれています。―――“も”というほど土地バブル的側面に的を絞った作品ではないけれど。

このmarcoELEという(スペイン語教授法や学習法)のサイトにあった資料によると、『La Caja 507』で描かれていた社会問題や事件・現象は、90年代後半から2000年代のスペインで実際に起きたようですよ。

Desarticulada una banda de atracadores de bancos que actuó en Málaga . SUR.es

Políticos de la Costa del Sol ayudaron a mafiosos a blanquear dinero del narcotráfico | Nacional | Sucesos - Abc.es

Piden que no se pueda recalificar en Marbella el suelo de uso hotelero - La Opinión de Málaga

La Costa del Sol sufre el cierre de los hoteles de lujo controlados por 'ladrilleros' y especuladores - Cotizalia.com

El dinero negro se hace fuerte en España · ELPAÍS.com

La urbanización de la costa española crece casi un 22% en sólo seis años - 20minutos.es - El medio social

Diario de Cádiz - Nuevo ajuste de cuentas en la Costa del Sol al morir abatido...

El alcalde de Pozuelo, imputado por corrupción · ELPAÍS.com

Golpe contra la corrupción en Murcia · ELPAÍS.com

作品の公開は2002~2004年で、上記の実際のニュースはみなそれよりも後のものなのだから、エンリケ・ウルビス監督は先見の明があったというべきか、それとも……これらはまったく“よくある”汚職の構図だったからウルビスは制作当時の現実を表現してみたに過ぎないのか……。

Posted by: Reine | Tuesday, June 21, 2011 at 00:12

diamond デビュー作はコメディ

A: エンリケ・ウルビスの作品がミニ映画祭とはいえ字幕入りで紹介されたのは画期的なことでした。バスクの同世代の監督たち、フリオ・メデムやアレックス・デ・ラ・イグレシア、フアンマ・バホ・ウリョアに比べて出遅れ感がありましたから。本作が長編6作目になります。

B: 時代を反映した土地投機と警察汚職が絡んだ本格派スリラー物ですが、デビュー作はなんとコメディなんですね。

A: ウルビスはコメディとスリラーの二つの路線を撮っています。若干25歳で撮ったデビュー作“Tu novia está loca (1988) - IMDb”(仮題「君のカノジョはクレージー」)は、ヨーロッパ風のコメディとはちょっと毛色の違ったドタバタ、1930年代後半のハリウッド喜劇がベースにあります。(例えば、ジョージ・キューカーの『フィラデルフィア物語』(1940)ハワード・ホークスの『赤ちゃん教育』(1938)など。ケーリー・グラントとキャサリン・ヘップバーンのコンビで大いに笑わせてくれた女性上位が巻き起こすスクリューボール・コメディ。) 1980年代にバスクで製作された映画35本のうちコメディはこれ1本しかない。これがコメディを選んだ理由の一つだそうです。文化省の資金援助があった。

B: ユーモアに乏しいのが特徴みたいなバスク映画ですが、ここでは観客はよく笑う。笑わせてやろうと意気込んでいるところもありますが観客を白けさせない。

A: クラシックな遺産をきちんと受け継ぎ、その時代性をうまく調和させているからでしょう。キャストの面々、アントニオ・レシネス、アナ・グラシア、サンティアゴ・ラモス、長編デビューのマリア・バランコにマリサ・パレデスにはびっくりするでしょう。第2作がスリラー“Todo por la pasta (1991) - IMDb”です。ここの‘pasta’は「お金」のことで、大金強奪の実行犯はチンピラだが、裏で糸を引く真犯人は警察官という構図、警察汚職という今日的テーマは本作にも流れ込んでいる。

B: 顔が覚えられないうちに登場人物がバタバタ消えてしまうのも似ています。両作に出演していて、本作では主人公バンコソル支店長モデストに扮したのがアントニオ・レシネスですね。

A: しぶとく優しく、カメレオン俳優とはこの人のためにできた言葉。

B: もう一方の元警察署長ラファエル役のホセ・コロナドはウルビス作品には初登場。

A: 次作“La Vida mancha (2003)”の主役、今秋9月にスペイン公開予定の最新作“No habrá paz para los malvados (2011)”にも出演している。

Posted by: アリ・ババ39 | Wednesday, August 17, 2011 at 11:26

B: 二人がいつ対決するのか固唾をのんで待ちますが、最後まで直接には接触しない。ホームドラマ風の出だしと終わり方ながら、先が読めない鮮やかなプロット展開に感心しました。

A: 「エル・パイス」「エル・ムンド」の二大紙がこぞって、高レベルのスリラー、優れたプロット、ここ数年スペインでは見られなかったスリラーと賞讃した。結果はゴヤ賞を含めて沢山受賞しました。

B: モデストの妻に瀕死の重傷を負わせ、彼を金庫室に閉じ込めた金庫破りの犯人逮捕が映画の本命でないというのも異色なら、犯人を追う二人の目的がそれぞれ別というのも面白い。

A: スペインのスリラーとしては異色ずくめです。一口に群集劇といってもこれほど多数の人物を泳がせるのは大変だが、これだけ盛大に人が死ぬのでは観客だって目が離せない。意識不明になった奥さんはどうなるのか、幸せに見放されたようなラファエルのアル中の愛人はどうなるのか、とそっちも気になるし。


B: かなり疲れます。アクションはハリウッド的ですが、プロットはそうじゃない。監督志望ならスーパー8ミリ少年は珍しくありませんが、コミック少年というのは時代を感じさせます。

A: 大変な読書家、ロバート・スティーヴンソン、レイモンド・チャンドラー、ダシール・ハメットと英米の古典的ハードボイルドの作品が愛読書だそうです。日本でも翻訳書が出ているジム・トンプスンやチェスター・ハイムズのようなアメリカの推理小説もかなり若いときから読んでいる。トンプスンの“The criminal”(1953)の映画化が夢だったらしく、後に具体化の話があったが製作側との調整がつかず頓挫してしまった。

B: 結局そういう努力の蓄積がいざというとき物をいうわけだ。

A: 古典的手法と現代をうまく噛みあわせて映画を作っている。現実に軸足をおいて脚本作りをするので、新聞の切り抜きは欠かせない作業だと語っています。

B: レシネスとコロナドの演技を褒める人は多いと思うが、撮影監督カルレス・グシもよかった。(⇒ Carles Gusi - IMDb

A: カルレシ・グシはウルビスの第1作と2作、“La vida mancha”、ほかにフリオ・メデムの「バカス」(1992)、デ・ラ・イグレシア『ハイル・ミュタンテ!電撃XX作戦』(1992)、イシアル・ボリャイン「テイク・マイ・アイズ」(2003)、ダニエル・モンソンの『プリズン211』(2009)も撮っている実力派。

Posted by: アリ・ババ39 | Wednesday, August 17, 2011 at 11:28

B: 脚本の共同執筆者Michel Gaztambideはどういう人ですか。

A: まず、この変わった苗字はなんて読むんですかね!? 1958年プロヴァンス地方のヴォークリューズ生れ。詩人、映画脚本家、脚本の教師、監督と多才。先ほどのメデムの「バカス」に共同執筆、未公開ですがNHK(BS2)で放映された。

B: 本作に続いて“La vida mancha”、今秋公開の“No habrá paz para los malvados”もそうですね。

A: 最初から脚本家を目指していたわけではないらしく、脚本家は画家や作家のような芸術家だとは思っていないと語っている。フェリーニの脚本を買ってきて勉強したとも。共同執筆のやり方は相手によるが、例えばメデムやウルビスの時は休みを交替でとりながら書きすすめた。やはり「バカス」や「貸し金庫507」はコマーシャル・ベースにも乗った成功作だから印象深いらしい。

Posted by: アリ・ババ39 | Wednesday, August 17, 2011 at 11:29

diamond コロナドの髪型は文太の角刈りを真似した?

B: カビナさんがコロナドの髪型は文太以来と言ってますが、これはスペインでも話題になった。

A: アルゼンチン代表にもなったサッカー選手エクトル・ラウル・クペル(Héctor Raul Cúper)に体形までそっくり。選手としては「ウラカン」が最後のチーム、現役引退後は「マジョルカ」の監督になったからスペイン人にはお馴染み。コロナドは角刈りにするため一旦丸坊主になって生えてくるのを待って調髪したらしい。監督自身は公開時にはイタリアのセリエA「インテル」に移っていたから、あちらで見たかな。

B: テマヒマかけているんですね。ツタヤの長寿作品『仁義なき戦い』、菅原文太の普段の髪はふさふさしていたから山村組のモデルに合わせて角刈りにしたのか。体形も10歳以上若く見られたのもコロナドと同じ(笑)。

A: 山火事を報じた「エウロパ・スル」紙の写真も角刈り、その後の“La vida mancha”も角刈りということは、本人が気に入ったということね。


B: いつもは場所が大体特定できるのに今回はできなかったとも。

A: 当時、実際に起きていた地方政治家を巻き込んだ土地投機と警察の癒着が背景にあるので、わざと分からないようにしたということです。舞台をアンダルシア南部のコスタ・デル・ソルとしただけにとどめた。

B: 見る人が見れば分かるのでしょうが、カビナさんが指摘していたマルベーリャ市はコスタ・デル・ソルでも有数の観光地ですね。

A: 反対にLa Entidad Bancosolバンコソルは、ロゴマークは異なるが実在の銀行だそうです。


B: 登場人物が多くて名前と役柄が一致しません。

A: サントス・ギフエロ消防署長のサンチョ・グラシアは、デ・ラ・イグレシアの『800発の銃弾』にウエスタン・ショーの座長役で出ていたベテラン、他に同監督『みんなの幸せ』(2000)『ベビー・ルーム』(2006)、最新作“Balada triste de trompeta”(2010)にも顔をだしている。

B: 体形が似ているので相性がいいのでしょう。娼館のチンピラ役エンリケ・マルティネスも『800発~』ではショー一座の一人、もっとも馬に引きずられる危険な役だったのでスタントマンがやるのを見ていただけとか。

A: モデストの娘になるダフネ・フェルナンデスは、1985年マドリード生れ。だから映画とだいたい同じ年齢を演じたわけです。サウラの「パハリーコ-小鳥-」(1997、スペイン映画祭‘98上映)、『ゴヤ』(99、DVD)に出演している。テレビやモデルとしても活躍。モニカ役のゴヤ・トレドは、2009年ラテンビート上映作品「ヌード狂時代/S指定」(2008)で紹介しました。そこでもウルビスの本作を宣伝したんでした。

Posted by: アリ・ババ39 | Wednesday, August 17, 2011 at 11:31

diamond バスク映画祭2003で上映されたスリラー

B: ヴァージンシネマズ六本木ヒルズ(旧称)で開催されたバスク映画祭2003についてちょっと触れましょうか。驚きのラインナップです。

A: スペイン公開に先立って上映された作品もあった。ウルビスの「貸し金庫507」以外に、デ・ラ・イグレシアの「800ビュレット」(『800発の銃弾』‘05年公開)。この映画祭には監督も来日しました。

B: フリオ・メデムの「ルシアとSEX」(同タイトルで‘04DVD)、フェルナンド・レオン・デ・アラノア「月曜日にひなたぼっこ」、パブロ・ベルヘルの「トレモリノス73」、ハビエル・レボーリョ「殺人依存症主婦」、エロイ・デ・ラ・イグレシアの遺作「ブルガリアの愛人」エトセトラ。

A: エロイ・デ・ラ・イグレシアについては、サウラの『急げ、急げ』でちょっと触れましたが、彼以外は若いバスクの監督ばかり(pencil)。イバン・スエルタ(1943~2009)の代表作「エクスタシー」(“Arrebato”1979)が特別上映されるという豪華版でした。フェルナンド・レオンだけマドリード生れですが、母親がバスク出身、父親がソリアの人ですから「北の家族」ね。


pencilエンリケ・ウルビス:1962年ビルバオ
アレックス・デ・ラ・イグレシア:1965年ビルバオ
フリオ・メデム:1958年サン・セバスチャン
フェルナンド・レオン・デ・アラノア:1968年マドリード
パブロ・ベルヘル:1963年ビルバオ
ハビエル・レボーリョ:1960年ビルバオ

Posted by: アリ・ババ39 | Wednesday, August 17, 2011 at 11:32

アリ・ババ39さん、コメントありがとうございます。この作品が当時そんなに評価が良かったとは知りませんでした。ほんとに面白いですよね、これ。

そしてコロナードの角刈りが当時スペインでも話題になっているというのも知りませんでした。気に入ってたのですかね(笑 

上の方でも紹介しましたが、これ見て見て ⇒ Poker en la película "La vida mancha" - YouTube 気に入ってたんだね、髪型。(最近のも、まあ、それはそれでいいけど、Coronado celebra sus 54 y el éxito de "Oleanna" - YouTube やっぱり短髪がいいよ、コロナード)(こっちだよ、そうだよ、こっちだってば 34º Festival Internacional de Teatro Clásico de Almagro - YouTube ←私、この人の笑った顔を初めて見た気がする)


それからそのバスク映画祭2003、すごいラインナップだったのですね。見逃していたなんて、もったいないことをしました。

Posted by: Reine | Wednesday, August 17, 2011 at 19:46

KLE4cさんのブログにおもしろい記事の紹介があったので:

恋人がFacebookに載せた写真でマフィア幹部逮捕 - KLE4cの日記

Posted by: Reine | Sunday, August 28, 2011 at 08:40

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» No habra paz para los malvados / 悪人に平穏なし [スペイン映画] [Cabina]
Latin Beat Film Festival 2012 / 第9回ラテンビート映画祭 / ラテンビートフィルムフェスティバル2012 / スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映される。 この作品は、私、断言するけど、一回観ただけで話の流れ・登場人物の関係を把握できる(日本)人はいないね。エンリケ・ウルビス監督の過去の作品、『La caja 507 / 貸し金庫507 [スペイン映画]』でも同じようなことをボヤいたけど、これはもっともっと難しかった。大仕事だったよ。 だからとにかくそれを追います... [Read More]

Tracked on Sunday, September 09, 2012 at 18:02

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