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Sunday, May 01, 2011

Aquella casa en las afueras [スペイン映画]

danger わりとサラっと観たので注意点がいくつかありますdanger)(監督名も作品タイトルも聞いたことの無い作品をネットで見かけたのでどんなものかと覗いてみた、といった鑑賞)


おはなし
マドリード郊外の林を車で抜けて、ニエベスは荒れ果てた屋敷の前に立った。

「わたしは町外れのあの家に戻ってきた。あの出来事から5年も経ったなんて。あの家はあばら屋となっている。がらんとした空き家。戻ってこなければと何度も思ったもののなかなか勇気が出なかった。今日またあの庭を、窓を、そして扉をこうして眺めていることがまだ信じられない。5年前彼に呼び寄せられてこの家に来た時、庭には花が咲き乱れていた。家は修繕から間もない様子で、新しい住人を心待ちにしているように見えた。『僕ら二人にぴったりの家を見つけることができて本当にラッキーだったよ』と彼は言ったのよね」。

5年前、ニエベスは駅で夫のホアキンを待っていた。身重のニエベスが出産までの数週間を穏やかに過ごせるようにと、ホアキンがマドリード郊外にちょうどいい屋敷を見つけてくれたのだった。いざ屋敷へと車を走らせながらホアキンはその物件の素晴らしさを語って聞かせる。ニエベスの目も期待に輝く。「あのカーブを曲がったらすぐ見えてくるから目を閉じて。いいと言うまで目を開けちゃだめだよ」。

やがて車が停まった。目を開けたニエベスの表情がみるみる凍り付く。彼女はその家に見覚えがあったのだ。夫のいない隙にニエベスは友人に電話をかける。

「貴女、マドリードまで私に付き添ってくれた時のこと、覚えてる? ……ええ、そう、私の“例のこと”で……あの場所の正確な所在地がわかるかしら?……覚えてないのね……私?覚えてないわ。だってあの夜は私、ほら、ひどい状態だったし……」。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


私はホラー映画をほとんど知らないからその辺の定義付けはよくわかっていないけど、この作品は“ホラー映画”という分類だと思う。そして“ホラー映画”としてはとても薄味なのだと思う。『Regreso a Moira / スパニッシュ・ホラー・プロジェクト エル・タロット』の時に、「こんなに広がりに満ちた題材を取り上げながらなぜもっと怖く撮らない!」と歯痒い思いをしたが、それと似た感触だった。“オカルト力”が足りていない、と。ただ、同系統の『La culpa / スパニッシュ・ホラー・プロジェクト 産婦人科』よりは品が良く、ずっと面白い作品です。雰囲気の作り方とか館の使い方なんか、高い評価を得ている『La residencia / 象牙色のアイドル』よりも優れているんじゃないかと思ったほど。


でももっとできる。もっとできたはずだ!もっと怖く、もっと気味悪く!


『Aquella casa en las afueras』は1980年の作品だが、90年の『ミザリー』を連想させるシーンがあった。小道具が『ミザリー』におけるそれと同様に狂気を説明するのに使われていた。そういうところがなかなか面白いと思う。もっと言えば、この作品の冒頭は、意外なことに『クリミナル・マインド シーズン2』の第22話《出口のない迷路》(Legacy)の冒頭を思い出させるものだった。巧いと思う。

監督はEugenio Martín エウヘニオ・マルティン。恥ずかしながら全く知らなかったのでいろいろ調べてみたら、他にはたとえばこういう作品を撮っているらしい:
・『ガンクレイジー 』(El precio de un hombre (1967) - IMDb
・『ホラー・エクスプレス/ゾンビ特急“地獄”行』(Horror Express (1972) - IMDb


こうして監督の名前を今日覚えたわけだが、もう一つ私が不明を恥じたのは「屋敷の所有者で上階に住んでいるおばさん」を演じていたAlida Valli アリダ・ヴァリのこと。この作品ではいかつい顔をしたパンチパーマのおばさんといったルックスなのだが、「この人、誰だろう?」とIMDbを開いてみてその美貌に驚いたのでした。

Alida Valli - IMDb
・公式サイトもちゃんとある⇒ ALIDA VALLI
・Wikipedia(日本語)もある ⇒ アリダ・ヴァリ - Wikipedia
アリダ・ヴァリ(Alida Valli) のプロフィール - allcinema

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Comments

Aquella casa en las afueras (1980) - Full cast and crew
直訳: 町外れのあの家

監督・脚本: Eugenio Martín エウヘニオ・マルティン
脚本: Antonio Cuevas アントニオ・クエバス  J.M. González Castrillo J.M.ゴンサレス・カストリーリョ  Eugenio Martín  
Manolo Matji  Manuel Summers  Eduardo Álvarez

出演
Javier Escrivá ハビエル・エスクリバ ... Joaquin ホアキン
Silvia Aguilar シルビア・アギラール ... Nieves ニエベス

Alida Valli アリダ・ヴァリ ... Isabel イサベル: 屋敷の所有者で上の階に住んでいる。ニエベスの世話もしてくれる

Mara Goyanes マーラ・ゴヤネス ... Charo チャロ: 屋敷の隣で幼稚園を運営している
Carmen Maura カルメン・マウラ ... ソーシャルワーカー


音楽は綺麗は綺麗なんだけど入れ方がどうも気に入らない。って、いつも私はスペイン映画についてはそこのところの不満を口にしているな。いろいろスペイン映画を見てきてそろそろ結論に辿り着いたような気がするんだけど、スペイン映画って音楽の用い方がうまくないと思うんだよ。もう伝統的に“大味”だと思う。

Posted by: Reine | Sunday, May 01, 2011 at 10:18

book PDF注意bomb: これ、随分古い(1978年くらいの?)論文だと思うけど: 『妊娠中絶と最近の各国立法  小泉英一
>ベルギー,オランダ,スペイン,ポルトガル,イタリー,ギリシャ,オーストリヤおよびスイスでは,妊娠中絶は原則としては非合法で医学的適応症だけが合法とされる。


book PDF注意 bomb もう一つ論文: 「経済の発展・衰退・再生に関する研究会」報告書 : 財務総合政策研究所から、『第5章 スペイン 戸門一衛(神田外語大学外国学部教授)
>(b)社会労働党政権の対応
転機は社会労働党が総選挙に大勝して政権に就いた1982年に訪れた。社会労働党は社会主義政党から社会民主主義政党にすでに脱皮し、政策面でも国民各層から広く支持を得る包括政党Catch-all party に変貌していた。社会政策では社会保障の拡充、教育改革、妊娠中絶合法化などの面で左翼色の強い政策を推進したが、経済面では前政権が遺した負の遺産を解消することが急務であった。


book現代スペイン情報ハンドブック
>リプラダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する権利)については1978年に避妊具の販売が許可され、1985年、堕胎罪の廃止と共に妊娠中絶が一部合法化された。もっとも女性の自由意思による妊娠中絶は法案として何度となく提出されたが、これまでのところ否決されている。……略……このように100年前に比べれば飛躍的に女性の活動範囲は広がり、法的にも整備されつつある。だが、ジェンダーの視点からみれば疑問の余地は依然として小さくない。……略……


book 人工妊娠中絶緩和のスペイン新法が成立教会猛反発 ――― 2010/03/03
>スペインで、人工妊娠中絶への規制を緩和する新法が成立した。新法では女性の権利を宣言し、投獄への恐れを排除した。この左派政権の政策のひとつである新法は、人工妊娠中絶に反対する保守派や教会の怒りを買っている。新法では、妊娠14週までの人工妊娠中絶を無条件化し、16-17歳に親の同意がなくても人工妊娠中絶を行える権利を付与した。上院の承認で法案の成立となる。この法案で、スペインは北欧のより非宗教的な近隣諸国に足並みをそろえることになる。そして、この法案は、左派政権をになうホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ首相が2004年に就任以来これまで、この保守的なカトリック国で議論を巻き起こしてきた政策のひとつである。……略……

Posted by: Reine | Sunday, May 01, 2011 at 10:21

あと一つ、danger たぶんこれは書かない方がいいと思うことを書く danger

「5年前」っていうキーワードが“事件”の前後で出てくるのでわかりにくいんだよ。でも、きっと狙ってそのようにしているのだと思う。

私は最初混乱したんだけど、序盤も序盤でニエベスが「あの出来事から5年も経ったなんて……」と独白しているその瞬間が1980年だとすると、“あの出来事”というのは1975年に起きたわけで、それこそがこの映画で長々と語られる“出来事”である。

そしてその“出来事”の中でさらにニエベスが「5年前のことなんだけど私は…」と過去を語るのは、それでは1970年の出来事だったということになる。

過去を二重に振り返り、振り返る時間の幅が二つとも“5年前”なので、もうちょっとなんとかなんないかと思った。でもこういう混乱を意図していたと思う。(…って、これを私がこうして解読しちゃあいけないんじゃないかとも思う)


上の方で私はニエベスが友人に電話をかけて云々と書いた。このセリフ
↓↓↓
「貴女、マドリードまで私に付き添ってくれた時のこと、覚えてる? 」

このセリフは実際には「貴女、5年前にマドリードまで私に付き添ってくれた時のこと、覚えてる?」なのだ。だけども、“5年前”が二重に出てきてしまっているので無駄な混乱を避けるために私はあえてそこは“5年前”を訳さないでおいた。


私のあらすじ紹介文だと整理されちゃっててよくないのかもしれない。混乱するように書いておいた方がよかったのかもな。

Posted by: Reine | Sunday, May 01, 2011 at 10:37

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([E:danger] わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります。[E:danger]) おはなし(amazonの商品ページから) 出産を終え子育てに専念したいと思い、郊外の邸宅に引っ越してきた元小児科医のフランチェスカ(アナ・トレント)と旦那のペドロ。 多少の修繕は必要だったが、この邸宅を2人は気に入りすぐに引っ越して来た。しかしその日から、フランチェスカの回りで不思議なことが起こり始める。誰もいない深夜の2階で物音がしたり、見知らぬ老女が家の周りに出没し、意味ありげなことを告げたり、遂... [Read More]

Tracked on Sunday, July 31, 2011 at 10:49

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