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Tuesday, January 04, 2011

Tres días / アルマゲドン・パニック [スペイン映画]

tres diasこの邦題と、これがスペイン映画であるという情報はネットで目にしていたけども、このような邦題やジャケット写真で紹介されるようなスペイン映画作品が私の記憶には無かったので、きっとスペイン資本もちょっとだけ入ったどこかの国のC級作品かなにかだろう、それが“スペイン映画”と表示されているのだろうと考えていた。

今日アマゾンの『アルマゲドン・パニック [DVD]』の商品ページでビクトル・クラビホという名を見て、「おい、“Tres días”だったのかよ!」と驚いた。

tres dias驚いたあとは呆れ、呆れたあとは憤った。

“Tres días”とわかってあらためてアマゾンを眺めると、酷いな、これは。「内容(「キネマ旬報社」データベースより)」っていうところの紹介文、これはいったいどこに責任があるんだよ?販売元か?誰が書いたんだ?西暦2060年っていうのはどっから出てきてんの???(これについてはコメント欄参照

上の日本版ジャケ写なんて、苦笑いしか出てこない。眉間に深い皺だ。「大嘘をついてるわけでもない」からタチが悪い。

“Tres días”はディザスタームービーの仮面をかぶっているけど、サスペンス・スリラー味の濃い、哲学的な問いかけをぶつけてくる作品だよ。


私はこの作品を大大大好きになったわけではない。心の奥の奥までズキンと響いたわけではないからムリヤリ絶賛しようとも思っていない。だけども、スペイン語の映画がこういう風にインチキな紹介をされているのは気分が悪い。

このDVDを手に取った人の予想を裏切るであろうことは想像できる。その人にも詐欺的な失礼を働いているわけだし、作品に対しては冒涜的に失礼でしょうが。本気でこの作品を良いと思って、この作品に或いは日本の観客に良かれと思って日本に持ってくるのだったら、そのような紹介の仕方ってもんがあるだろうよ。

こういう売り方からは作品への敬意も愛も感じられない。


おはなし
巨大隕石が72時間後に地球に衝突するという発表があり、絶望と混乱が瞬く間に世界中に拡がった。ラグーナというアンダルシアの寂れた町の住民もこのニュースを知って恐慌を来す。ラグーナは昔“ソロ”という連続幼児殺人犯の逮捕劇があった町である。

主人公アレは32歳。人生は挫折の連続で、いっしょに暮らす母親とも日頃から口論が絶えない。アレは日々つまらぬ雑用をして端金を得ている。彼は最期の72時間をひたすら大酒を喰らい音楽を聴いて過ごすことに決めた。しかし母親のロサはアレの兄トマスの子どもたちを守ろうと決死の覚悟である。甥姪を可愛がることなどアレは苦手だが、仕方なく母親に付き添って兄の家に向かう。

何時間経った頃か、家の前に車が停まり見慣れぬ男が降り立つ。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


Tres días@IMDb
直訳: 三日
英題: Before the Fall

Tres días 公式
アルマゲドン・パニック@ぽすれん

監督: F. Javier Gutiérrez フランシスコ・ハビエル・グティエレス
脚本: F. Javier Gutiérrez   Juan Velarde フアン・ベラルデ


出演:
Víctor Clavijo ビクトル・クラビホ ... Ale アレ
Mariana Cordero マリアナ・コルデロ ... Rosa ロサ: 母親

Daniel Casadellà ダニエル・カサデラ ... Emilio エミリオ: 兄のところの長男
Ana de las Cuevas アナ・デ・ラス・クエバス ... Raquel ラケル: 長女(公式サイトでは12歳とあるが、作品中の会話ではたしか15歳; あるいは背伸びして嘘の年齢を答えたのかもしれないが)
Elvira de Armiñán エルビラ・デ・アルミニャン ... Clara クララ: 次女
Juan Galván フアン・ガルバン ... Nico ニコ: 末っ子

Eduard Fernández エドゥアルド・フェルナンデス ... Lucio ルシオ: 訪問者

Vicente Romero ビセンテ・ロメロ ... Marcial マルシアル: アレの友人

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Comments

いま一つだけ急いでメモしておくと、スペイン語のヒアリングの練習のために観るというのに適した作品じゃあないと思う、という点。

出てくる車がセビーリャナンバー、コルドバナンバーだという点からも察しがつきますがアンダルシアが舞台で、一番セリフが多いであろう主人公アレを演じているクラビホもアンダルシア弁なので、聞き取りやすい会話とは言えないと思うよ。

というか、そもそも会話が少ない。


(まあ、こういうことなんか考えると、語学留学の滞在先としてはアンダルシアは有意義な選択肢だと私は思ってるよ)

Posted by: Reine | Wednesday, January 05, 2011 18:35

どこへ逃げようというのか、アレたちの乗った車を他の車が猛スピードで追い抜いていく。「ああ、先に行けよ、先に」とアレはどんどん道を譲る。「Os va a caer encima vayais a donde vayais. 君らがどこに行こうが(どうせ隕石は)落っこちてくるんだ」


こないだスペインに行った時、‘ファミリー’の次女が私に週末の予定を尋ねた。三女の彼氏が写真好きで、植物園に撮影に行くのでいっしょに行くかというのである。

私は、しかし、別の友人にムルシアのフラメンコのカンテの大会に連れて行ってもらうことになっていたので、返事に困った。

いろいろ考えてやっぱりムルシアに行くことに決めたので、植物園には行けないって三女の彼氏に伝えてくれるように次女に頼んだ。

彼が私が楽しめるようにわざわざアイディアを出してくれたのなら申し訳ないので、「私が行こうと行くまいと彼は植物園には行くつもりだったんだろうか?」と私は念のため次女に尋ねた。「そうだよ、そうだよ、貴女が行っても行かなくても同じ。あの子はいずれにせよ植物園には行ったの。いつもあちこち一人でも写真撮りに行く子なの」と。


ああそれならよかったですと、次女と私は会話を続けた。そのとき私はしみじみ言ったんだ:

「さっき私は、『私が行こうが行くまいが』って言ったけどね、ああいう言い回しを覚える以前は、そういうことを表現したい時にいったいどうしゃべっていたのかと、その頃の苦労と絶望を想像すると身震いするよ。このような事をこの言い回しを用いずに表現するなんて、いまの私には思いつかない」。


だから《譲歩》の表現を今日はまとめておこう。

と思ったんだけど、御近所さんから電話があって、そこのお宅にホームステイしているメキシコ人男子高校生を連れて近所の史跡に行くことになったので、いったんここで。

Posted by: Reine | Sunday, January 09, 2011 12:02

コメント欄に書くには長くなってしまったので、一つ所にまとめておいた ⇒ concesiva / 譲歩の表現

Posted by: Reine | Saturday, January 15, 2011 14:47

“西暦2060年”について監督に確認した。「あなたあのストーリーを西暦2060年のつもりで書きましたか?」

「いいや。amazonなどにみられる表記は間違ってます。2060年では無いですよ。

実際のところハッキリと○○年が舞台とはしていないんです。まあ、70年代を思わせるようなレトロな雰囲気とでも言おうかな」

だそうです。

Posted by: Reine | Wednesday, January 19, 2011 09:04

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» concesiva / 譲歩の表現 [Cabina]
スペイン映画『Tres días / アルマゲドン・パニック』で「Os va a caer encima vayais a donde vayais. 君らがどこに行こうが(どうせ隕石は)落っこちてくるんだ」というセリフがあったので、‘vayais a donde vayaisみたいな造りの表現’についてわたくし用の例文メモ。 『Metodo de Espanol para Extranjeros (Nivel Superior)』には記載なし。ザッとみたところ、無い。あったら... [Read More]

Tracked on Saturday, January 15, 2011 14:43

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