Tocar el cielo [アルゼンチン映画]
おはなし
ブエノスアイレスとマドリード。大西洋を挟んだ二つの街のクリスマスの夜空に風船が高く上っていく。ブエノスアイレスでは女たらしのサンティアゴとインペリオお婆ちゃんが、マドリードではペドロとグロリアが、それぞれの願いを書き込んだ短冊をつけて風船を空へ放つ。
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まず最初に言っておかないと:
今現在IMDbの『Tocar el cielo』のページにあるポスターは違う作品の写真です。
『Tocar el cielo』の英題の一つに『Make a Wish』というものがあり、そのタイトルのVシネマの写真(右図)が間違って掲載されているわけです。あんまり品のない画でしょう? このVシネ作品には『Lesbian Psycho』というタイトルもあり、さあ、ホラー映画なんでしょうかね。とにかく、『Tocar el cielo』とはまったく別の作品です ⇒ Make a Wish@IMDb、Make A Wish@amazon
私が観たのはアルゼンチン映画の『Tocar el cielo』。
( わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります。)
『Elsa y Fred / エルサ& フレド』のマルコス・カルネバーレ監督がエルサを演じたチナ・ソリージャを起用して撮った作品。そのほか『Azuloscurocasinegro / 漆黒のような深い青』のラウル・アレバロ、アナ・ワヘネル、『Reinas』のベティアナ・ブルムといったキャストを見れば、それはそれは心温まるコメディだろうと思えるわけです。その面々でつまらない作品ができあがるわけがないって。
そして実際に観てみたらたしかに愛が描かれているコメディだし、クスッとかニヤリと笑えるし、好きは好きなのだけどちょっと私には期待外れだったかな。期待がべらぼうに大きすぎたんだと思う。
チナ・ソリージャの可愛らしく憎たらしいお婆さん像や、グロリアを演じたベティアナ・ブルムの熱演は素晴らしかったけれども、偏屈で愛情の示し方がわからず息子とも老母ともまったくうまくいっていないというペドロのキャラクター設定など、いろいろな人物の設定が説得力を欠いていたように思う。
彼らの言動も現実味があるとは言い難く、どうもね、好意的に見られなかった。
私は二十歳過ぎた頃から涙腺がぶっ壊れていて、たいがいの‘おはなし’で泣けてしまう。30過ぎてからは日常のニュースで涙ぐんでるから涙が追いつかない。人が殺されたと聞いて泣き、自殺報道で泣き、タイガーマスクのランドセルで泣き、倒れた大銀杏が再生していますと聞けば泣き。
そんな具合で、映画なんて観たらどうせ泣く私だからこそ、‘泣ける作品’というコトバに対しては懐疑的で冷笑的なのだと思う。‘泣ける作品’って何なのか、映画というものは観客が泣くに至りさえすれば佳いとでもいうのか?というツッコミの分を映画の感興から差っ引くべきだって、日頃自分に言い聞かせている。
登場人物が誰か死ねば、そりゃ泣くさ。泣くだろうよ。でも死というものは一般につらい出来事であるから私は人として泣いているのであって、映画の観客として泣いているわけじゃぁない。人物が死んで私が泣いたからってその作品が佳いかどうかは、私は知らない。
登場人物が死ねばいいってものじゃないし、観客が泣けばいいってものでもない。そういう引き算をしていったら、思ったほどお釣りが残らない作品だったというわけだ。私が期待をしすぎた。
(語句メモなどはコメント欄で)
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Comments
・Tocar el cielo@IMDb
監督: Marcos Carnevale マルコス・カルネバレ
脚本: Marcos Carnevale José Antonio Félez ホセ・アントニオ・フェレス Andrés Gelós アンドレス・ヘロス Lily Ann Martin リリ・アン・マルティン
出演:
《マドリードの人々》
Chete Lera チェテ・レラ ... Pedro ペドロ
Betiana Blum ベティアナ・ブルム ... Gloria グロリア(ペドロとは長年の友達; ペドロに言わせるとグロリアはいつもいつもペドロを誘惑してきたらしい)
Raúl Arévalo ラウル・アレバロ ... Fidel フィデル(ペドロの息子)
Verónica Echegui ベロニカ・エチェギ ... Elena エレナ(フィデルの学校の友達)
《ブエノス・アイレスの人々》
China Zorrilla チナ・ソリーリャ ... Imperio インペリオ(ペドロの老いた母親)
Facundo Arana ファクンド・アラナ ... Santiago サンティアゴ(ひどい女たらし; 幼いときに両親を事故で亡くした; インペリオの孫、ペドロにとっては甥っ子、フィデルにとっては従兄; グロリアはサンティアゴの両親を知っておりサンティアゴを我が子同然に可愛がってきた)
Montse Germán モンツェ・ヘルマン ... Amparo アンパロ(どうしても子供が欲しく養子を望んでいるが父親役が必要なので友人であるサンティアゴと偽装結婚をする)
Posted by: Reine | Saturday, January 15, 2011 15:47
語句メモ
・mucamo, ma: 1. m. y f. Arg., Bol., Chile, Cuba, Par. y Ur. criado (ǁ persona empleada en el servicio doméstico).
・Los Cárpatos: カルパティア山脈(カルパチア山脈)
・macana:
4. f. Arg., Perú y Ur. Hecho o situación que produce incomodidad o disgusto.
5. f. coloq. Arg., Bol., Par., Perú y Ur. Mentira, desatino.
・「champúを持ってきたのさ」と孫が言うとお婆ちゃんが「champúなんて安っぽいことばだこと!」とチクリと嫌味を言う。
→こんなスレッドがあった: El/la champán/champaña/champagne
「 En la Argentina desde hace algunos años dicen champú. 近年アルゼンチンではchampúと言うんですよ」「Sí, claro, en lunfardo, champú. そうだね、ルンファルド(スラング)ではそう言うね」という書き込みあり。
・Chicle Jirafa(パッケージにキリンの絵が描かれた長~いガム)
・charco:
1. m. Agua, u otro líquido, detenida en un hoyo o cavidad de la tierra o del piso.
2. m. Col. Remanso de un río.
・feúcho, cha: 1. adj. despect. coloq. U. para encarecer y motejar la fealdad de alguien o algo. U. t. en sent. afect.
・jactar: 2. prnl. Dicho de una persona: Alabarse excesiva y presuntuosamente, con fundamento o sin él y aun de acciones criminales o vergonzosas. (Era usado también como transitivo)
例) Jactar valor. Jactar linajes.
・A mi padre un día le dio por cultivar marihuana en la terraza.
→・darle a alguien por algo: 1. fr. Entrarle muy vivo interés por ello.
Posted by: Reine | Saturday, January 15, 2011 16:03