Spanish Movie / 最終爆笑計画 [スペイン映画]
なんだか、パロディー映画には『最なんたらほにゃらら計画』という邦題をつける決まりでもあるのか、類似のタイトルの作品は山ほどある
のだけど、『最終爆笑計画』は原題にも“Spanish Movie”とあるとおりスペイン映画をいくつも組み合わせたパロディー映画。最近10年ぐらいの作品ばかりなのは仕方ないでしょう、若い層に向けた作品なのだろうから。
スペイン映画を多く観てきた人にはそれなりに楽しい作品だけど、それは本歌取りに気づくのが楽しいのであって作品自体が諧謔に富んでいるかどうかはまた別の問題。
というわけで、いつもならここでストーリー紹介文を書くのにたいへん苦労するところだけど、今回はそんなことをしなくていいだろう。楽だ。
・Spanish Movie@IMDb
・最終爆笑計画@ぽすれん
監督: Javier Ruiz Caldera ハビエル・ルイス・カルデラ
脚本: Paco Cabezas パコ・カベサス Eneko Lizarraga エネコ・リサラーガ
ここからコメント欄まで使ってキャストを紹介していくけれどもネタバレの可能性あり
Alexandra Jiménez ... Ramira ラミラ
まず着ている服が『Volver / ボルベール 帰郷』のペネロペ・クルスの劣化コピー。ラミラという名前もペネロペの演じた“ライムンダ”に似てる。また、終盤にはラミラが服を脱ぎ捨てていった結果、『Abre los Ojos / オープン・ユア・アイズ』でやはりペネロペが演じた“ソフィア”の服装に替わる。
Sílvia Abril ... Laura ラウラ
役回りとしては『アザーズ』でニコール・キッドマンが演じた“グレース”と『El orfanato / 永遠のこどもたち』でベレン・ルエダが演じた“ラウラ”。エンディングのNG集は日本盤にもあるのだろうか? そのNG集を見ていて笑えるのは、この女優がこんな生真面目な顔つきでいながらかなり“ゲスい”ことをやらかしている点。
Carlos Areces ... Pedro San Antón ペドロ
『Mar Adentro / 海を飛ぶ夢』でハビエル・バルデムが演じた“ラモン”。『ノーカントリー』でハビエル・バルデムが演じていたおかっぱもこの人だったかな。
あと、作品の中で『Los Lunes al Sol / 月曜日にひなたぼっこ』をパロった『Los Lunes Alcohol 月曜日はアルコール』という作品が公開されるとかでCMが流れるのだけど、その中のバルで飲んだくれている野郎の一人もこの人が演じている。
Laia Alda ... Ofendia オフェンディア
『El Laberinto del Fauno / Pan's Labyrinth / パンズ・ラビリンス』の美少女“オフェリア”をパロった登場人物だが、“オフェンディア”という名前はオフェンシヴ(不快)な少女と言いたいのだろうか。ほかに『パンズ~』からは妖精もパンも出演。
Óscar Lara ... Simeón シメオン
『永遠のこどもたち』で行方不明になった子は“シモン”だがこの子は“シメオン”。母親“ラウラ”は“シメオン”を一生懸命探しているようだが、いつまでもいつまでも息子の名前を間違い続ける。
(つづきはコメント欄)
ラミラとペドロの初対面の時にかかるロマンティックな歌: Rocio Jurado - Como una ola
ディエゴが戦地から帰ってきたといってピアノで二人でいちゃいちゃしながら歌い出す歌: La 5ta Estación - Me Muero
http://www.youtube.com/watch?v=6JMwqP72XIM
(つまりこのシーンは『アラトリステ』と『永遠のこどもたち』を合わせたパロディ)
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Comments
つづき
Eduardo Gómez ... Diego ディエゴ
『Alatriste / アラトリステ』の“ディエゴ”のつもりか。
『永遠のこどもたち』でジェラルディン・チャップリンが演じた霊媒。名前はジェラルディンをパロってるのかなと思った
『永遠のこどもたち』で唐突に家を訪れた奇っ怪なお婆さん(Benigna Escobedo)がいたけれども、そのパロディー。笑いどころは、『永遠~』では“ベニグナ”だった彼女の名前がこちらでは“マリグナ”になっているところ。benigno, naとmaligno, naは良と悪だから。真逆。
(Benignoって名前についてはむかし『Hable con Ella / トーク・トゥ・ハー』で少しふれた)
『ボルベール』でアントニオ・デ・ラ・トーレが演じた“パコ”のつもり。確認してないけどジャージもおんなじようなの着てるんじゃないか? ルイス・サエラがアントニオ・デ・ラ・トーレに似てるなんて考えたこともなかったけど、こうして演じてみると似てるのが可笑しい
『REC / レック』の女性リポーターのパロディ。ここのシーンの女優の汚し方が下手なんだよな。もっとサラッと攻めた方が笑いは増幅するはずなのに。そこの笑わせ方が下手なんだよ。
『ボルベール』でカルメン・マウラの演じた“イレーネ(死んだ母親)”のパロディ。この婆さんが「ボールペンのインクが出ねえんだよっ」と言ったシーンがややクスッと笑えた。
『ボルベール』でブランカ・ポルティーリョが演じた“アグスティナ”のつもり。
この二人のいわゆる‘DQN’が出てくるシーンは『Yo soy la Juani / 女が男を捨てるとき
合掌。
Posted by: Reine | Sunday, January 02, 2011 20:46
他に、映画監督が幾人も出演している。
(これは全然パロディ云々ではないんだけど: 『La Espalda de Dios』で日本人観光客がカモられているようなシーンがあったけど、ああいうカードをつかったいかさま師をtrileroと言うのだな。いま知った。φ(..)メモメモ )
あと、大事なことと言ったら
本作の“ラウラ”がアダルトグッズの収納棚を開けるシーンがあるんだが、たいそう素晴らしい品揃えで、どれだけハードプレイヤーなのかと突っ込みたくなるんだけど、―――“突っ込みたくなる”っつったってソッチじゃなくて―――そこにNintendo Wiiのようなゲーム機のような箱があり、その箱にプリントされていたのがナッチョ・ビダル。
商品名はPorno Guii。なんか、ジョイスティックを模したバイブでも握っているようなポーズだったと思う。―――まさに悦びの棒だね。
って、正月二日から私はなにを言わされてんだよ。
Posted by: Reine | Sunday, January 02, 2011 20:49
あとは『ミラクル・ペティント
』とか『皆殺しの天使 [DVD]
』もなぞっているようだよ。
・それからラミラ、ラウラ、オフェンディアが車で故郷に帰った時だったと思うけど、車窓から通りを眺めていたラミラが急に「その手を放しなよ、神父さん!」と叫ぶシーンがある。視線の先にはギターを抱えた神父さんと少年。
それは『La Mala Educación / バッド・エデュケーション』のこと。
・『海を飛ぶ夢』のラモンをパロった本作のペドロがビデオカメラの前で自分で死を選ぶと宣言するシーン。ペドロはまちがえて「Me llamo Pedro, me van a matar. 私はペドロ、私は殺されます」と言ってしまう。「カーット、カット、カット!」と撮影が停められると「あれ?セリフこれじゃなかったっけ?」と言う。「そっちじゃない、そっちじゃない」と撮影陣の声が聞こえる。
これは『Tesis / 殺人論文・次に私が殺される』でスナッフムービーを撮られる時にアンヘラが言うあまりにも有名なセリフのパロディ。
Me llamo Ángela, me van a matar. 何年経っても痺れるね、このセリフ。
Posted by: Reine | Sunday, January 02, 2011 21:09