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Sunday, August 15, 2010

Manda bala / 撃て! [ブラジル映画]

manda balaLatin Beat Film Festival 07 / ラテンビートフィルムフェスティバル2007 / 第4回スペイン・ラテンアメリカ映画祭 で上映されたブラジル-USA制作のドキュメンタリー作品。

ブラジル中部にある世界最大級のカエルの養殖場が映される。「……なんでカエルのはなし?」ときょとんとしたが、そこから展開される大勢の人へのインタビュー映像がブラジルの現状を見せつけ、観る者を震撼させる造りとなっている。


ラテンビート映画祭サイトによるストーリー紹介
ブラジルのイメージと言えば、美しいビーチ、豊かな森、混ざり合う多様な文化。しかし同時に、多発する誘拐事件、美容整形技術の発展、大規模な汚職もまた、近年ブラジルが持つ別の顔だ。本作では一見無関係に見えるこれらの出来事が、実は巧妙に絡み合った悲劇の連鎖となっている事実を暴く。

誘拐犯、犯罪被害者、警察官、政治家などへのインタビューは、汚職が貧困を増長し、貧困が人々を犯罪へと駆り立ててゆく姿と、富める者と貧しき者が互いに異なる“暴力” で富を奪い合う構造をスタイリッシュにあぶり出す。必見の傑作ドキュメンタリー!hairsalon

Manda bala@IMDb
Manda bala 公式

この作品は若干軽く鑑賞した。コメント欄で少しだけ細かくメモしていこうと思う。

我が身に降りかかったなら…と想像するだけで気を失いそうな恐怖が描かれていた。誘拐の経緯を事細かに説明してくれるシーンで特に身震いする。また、警察・検察関係者のおかれている恒常的に緊迫した状況も恐ろしかった。彼らの毎日の緊張感を想像すると、頭がおかしくなりそうである。


一部直視できない手術シーンなどもあった。手で画面を隠した。困ったことにわりと長回しだった気がする。

しかしサントラはとってもとっても気分がいい。稲川淳二風に言えば「ごきげん」。

第4回LBFF当時も、この作品の絵図は(/ω\)イヤンだけど音楽は気に入ったという人はきっといただろうと思ってググったら仁さんも「耳は大満足」と書いていらっしゃるので微笑んだ。


ラストシーン、「子ども?9人いるよ。こんど10人目が生まれる。やめるわけにはいかねえだろ、ブラジルの発展ってやつだから。いつか俺の子供が大統領になる日が来るかもしれないだろ」の言葉を聞いた瞬間、“Ordem e Progresso 秩序と進歩”の旗がたなびく映像、そしてかぶさってくるNovos Baianosの『Dê Um Rolê』

クッと息が停まってしまう感覚と同時に軽いめまいを覚えた。

作品冒頭に《ブラジルでは上映できない》と示されていたのももっともか。強烈な作品。

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Comments

サントラをググってみて、曲目リストを幾つかのサイトで見かけました。このようなラインアップだそうです。

A Barca do Sol - Fantasma Da Opera (Olívia Byington)
A Barca do Sol - Fantasma da Ópera
Alceu Valença - São Jorge de Ilhéus
Baden Powell - Canto de Ossanha
Baden Powell & Vinicius de Moraes - canto de ossanha
Caetano Veloso & Gal Costa - Baby
Egberto Gismonti - Salvador
Jorge Ben - Chove Chuva
Jorge Ben - Quem Cochicha o Rabo Espicha
Jorge Ben - Quero Esquecer Você
Jorge Mautner - Estrela da Noite
Lô Borges - Eu Sou Como Você É
Mutantes - El Justiciero
Novos Baianos - Dê um Rolê
Paulo Diniz - Quero Volta Pra Bahia
Simone, Roberto Ribeiro & João de Aquino - Berimbau
Tim Maia - Nobody Can Live For Ever
Tim Maia - Quer Queira, Quer Não Queira
Tom Zé - Dor e Dor
Tom Zé - Emerê
Tom Zé - Ma
Tom Zé - Toc
Tom Zé e Zé Miguel Wisnik - Canudos
Trio Mocotó - Nagô

あと、「Force Theory and Mike Gamble - Felicidade da Batida」っていうのも画面から読めたけど、これはLast.fmでしか見かけてないです

「Nossa Melodia Amarela - 同じく」。この人たちの名は“Original Music”としてクレジットされてた。

それからこれ何だろ? 1年以上前にメモしたものだから自分のメモの意味がわからない。これも最後のクレジットで確認できましたよ、ということなのか。
・「You don't know me - Caetano Veloso」(performed by Os Fantasmas)
・「Procisso O Dos Mortos - Marcus Vinicius」(performed by Papete)

Posted by: Reine | Sunday, August 15, 2010 at 13:10

いま時間が十分でないので、手短にいくつかコメント

karaoke取材対象はこういった人々:
カエルの養殖業者
ビジネスマン
弁護士や検事
警察官
誘拐の被害者女性
誘拐対策の専従捜査官
美容整形外科医
誘拐対策の防弾加工車運転技術講習会
皮下埋め込み型GPS機能付マイクロチップの開発会社
誘拐犯
汚職政治家………

Posted by: Reine | Sunday, August 15, 2010 at 13:17

まとまりのないまま幾つか走り書き

・カエルの養殖業者
Jader Barbalhoのスキャンダルがありましたね」と話しかけられ、人の好さそうな笑顔で―――しかしたぶん目は笑っていなかっただろうが―――「知人もあれこれ巻き込まれている事なのでねえ……喋れませんよ。ちょっとカメラ止めてくれますか」と言う。

あれ、実際あの人の立場だったら冷や汗なんてもんじゃ済まないと思うんだよね。あんなインタビューに応じるだけでも度胸が要ったと思う。


・(話者は忘れた)
ブラジルの歩んできた道は悲しく危険で暗いものだったけど状況はもっと悪くなるよ。もっともっと。


・ビジネスマン、ミスターM
昼間の一時ですよ、車に乗っているところを強盗に遭いました。私は見せ金用のポケットを作ってあるのでね、その金だけ渡しました。そしたら犯人はどうしたと思います? ……ふつうに3台後ろの車に乗り込んで、路肩に駐車したまま私から奪いたての金を数えてましたよ。

今日日、私は防弾加工車じゃない限り街に行こうなんて思いませんね。サンパウロじゃ防弾加工車は必須です。信号ごとに強盗に遭うんですから。

⇒ それで安全産業が盛んになる

・防弾加工車
ミスターMは「僕なんか自分の家よりも車のほうにお金かけてますよ」。

・ありとあらゆる銃を集めて持っているのは……あれは誰だったか……警官だったか誰だったか……
「核兵器も買えるんじゃないか?買おうとしたことが無いから具体的にはわからないけど買えないことはないと思うよ」。


・ヘリコプターの個人所有(※プライベートヘリの保有台数?保有率?はブラジルが世界一とかなんとか) 「ヘリの隣にヘリを横付けして『金を出せ』っていう話はさすがに聞きませんからねえ」


・皮下埋め込み型GPS監視機能付マイクロチップ開発
前出のミスターMは「実用化が進んだら少なくとも2社のものを入れるつもりです。1社がまず売り出したらすぐにでも。他社が追随したらそっちも。2社くらい入れないと不安でしょう。1社だけじゃ見逃されるかもしれない。コンピュータを利用したこのテのものって、たいがい不具合が生じますからね。せめて2社なら安心できます」。

・誘拐対策の防弾加工車運転技術講習会

Posted by: Reine | Sunday, August 15, 2010 at 13:43

Jader Barbalhoにまつわる公金横領・マネーロンダリングのシステムは複雑に大規模に作られていたようで、それをここには書かない。まあ、この映画を観ればわかるようになっているので観てみてください。

「汚職は他のあらゆる犯罪を産む温床である」「公金横領は殺人にも等しい重罪だというのに」「Jader Barbalhoなんて男は、政治家になったんじゃないよ。あいつはマフィアになったんだ」と検察・捜査当局は意欲に燃えるが手が出せない。

「ブラジルでは政治家は訴追されないと高をくくっているからやりたい放題だ」。


汚職疑惑の中心にある政治家は、新聞社・ラジオ・テレビを所有し選挙区の“民意”とやらを容易に操作する。地場産業にがっちり食い込み、自分の懐に金が集まるように条例を通し公的事業を認可して、幽霊会社を造り、そうして得た金はしっかり洗浄するなり、タックスヘイブンに置くなりして、えーっと………ざっと13億5000万ユーロ???が横領されたって???

暗殺の恐怖に晒されながら決死の覚悟で逮捕しても敵はあっさりと釈放され、また次の選挙で当選をしてしまう。地元の貧民街に金をばらまいてごっそり票を買っているから。

SUDAM(Superintendência de Desenvolvimento da Amazônia)の本部はベレンにある。ベレンがまさにJader Barbalhoの選挙基盤であったのも、彼がSUDAM内で強権を持つに至った理由の一つであろう。

SUDAMから横流しされた金を洗浄するのにカエルの養殖場が使われた。400以上ものプロジェクトが実行されて多数のカエル養殖場を作ったがその一つ一つが汚職の産物だった。とかなんとか。(メモ走り書きなのでちょっと記憶曖昧)


「アマゾン地域は最も貧しい地域の一つで人々は極貧状態にある。SUDAMという機関がほんとうに名目どおりに機能していたならアマゾン地方は今ごろ自給体制の整った豊穣の地と成っていただろうに。富の配分が起こって公正な社会の現実へと近づいていたはずなのに」。

Posted by: Reine | Sunday, August 15, 2010 at 14:15

そうして富はサンパウロに集中したまま。「アマゾナスには無いんです、パラーにもマラニョンにもピアウイにもセアラーにも……」。(発言者わすれた)

↑ この辺の地域格差と社会格差については『ブラジル学を学ぶ人のために』にも説明があったと思う。

貧困地域の人々はサンパウロに移住する。(←この辺のことはこないだ『ルラ、ブラジルの息子』のときにちょびっと書いたかな?)


そうして都市では暴力が生じる。犯罪者が誘拐は強盗よりもずっと割がいいと気づくのにはそう時間はかからない。

⇒ こうして誘拐の描写や誘拐犯の証言などが示される。

誘拐犯の発言:
「銃で盗みを働くか、ペンで盗みを働くかの違いだろ。政治家を見ろよ、ペン一本で盗みまくってるじゃないか。

ブラジルの政治家は金持ちのことしか考えないよ。北東部に来ることなんか無い、ましてやここみたいな貧民街にはね。

こんな貧民窟でもみんなは幸せだ。故郷では手に入らなかったものが手に入るから。

何か必要なものがあればみんな俺のところに来る。俺は強盗で手に入れた金を使う。薬とか、プロパンガスとか。下水も道路も整えてるのは俺たち。俺がみんなを守り、みんなは俺を守ってくれる。」

警察官だったかボディーガード業者だったか:
「政治家が屑野郎じゃない町なんて世界のどこかにあるんだったら教えてくれよ」。

Posted by: Reine | Sunday, August 15, 2010 at 14:41

思い出した
フランシスコの二人の息子』の時にも、有名歌手の兄弟が拉致監禁されて耳が家族の元に送りつけられたという件をメモしました。

Posted by: Reine | Tuesday, August 17, 2010 at 11:16

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