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Monday, April 05, 2010

La ventana [アルゼンチン映画]

la ventana昨年6月にマドリードで催されたLa Chimenea de Villaverdeというイベロアメリカ映画祭でも上映された作品です。


おはなし
病床で老アントニオが語る。

「変な夢を見たよ。
私は5、6歳だったろうか。綺麗に着飾った母が部屋に入ってきて若い娘を紹介してくれるんだ。私の子守をしてくれる人だって。

父の姿は見えなかった。でも声は聞こえたよ。母のことを呼んでいた。どうもパーティーがあるらしくてね。一階から音楽が聞こえていたよ。お客さんが踊っているのもね。それで私は『ああ今夜はうちでパーティーなんだ』と思うんだ。

奇妙なのは、80年も経った今になってどうしてあの若い娘の顔を再び夢で見たのか、だ。あの顔を私はどこにしまいこんでいたのか。私の心の中のいったいどこに隠してあったんだろうね。もう今度こそしっかり覚えておきたいものだな。また失くしてしまいそうで心配なんだ」


アントニオの横たわるベッドに鎧戸の隙間から微かな光が差し込む。今日は息子のパブロがヨーロッパから帰ってくる。「アントニオさんと息子さんは口をきかないらしいわよ」「どうして?」「どうも喧嘩をしたらしいって」。

昔パブロが使っていたピアノはもう音が出ない。何年も居間の片隅でカバーをかぶっている。今日は修理の職人を頼んである。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


カルロス・ソリン監督作品で“爺さん”ものと来たら、もうほぼ間違いなく私は好きになってしまうだろうと思っていましたが、そのとおりでした。

ただね、これまでの3作品とは一味ちがったように思います。『ボンボン』や『ミニマル・ストーリーズ』や『El Camino de San Diego』の鑑賞直後にはここまでの寂寥感に襲われはしなかったと思うんだ。

『La ventana』は第一印象としては寂しかった。
死生観というのかな。老いかな。生きるということの尊厳だろうか。人生が終着に向かって進行している様を観て、最初は寂しかったね。

その後、何度も何度も観ていくうちに……いや、まあ、そういうことはコメント欄で書き足そうか。


La Ventana@IMDb
(直訳: 窓)

監督・脚本: Carlos Sorin カルロス・ソリン

出演
Antonio Larreta アントニオ・ラレッタ ... Antonio 老アントニオ
María del Carmen Jiménez マリア・デル・カルメン・ヒメネス ... María del Carmen マリア・デル・カルメン: 年長の女中
Emilse Roldán エミルセ・ロビラ ... Emilse エミルセ: 若い女中

Roberto Rovira ロベルト・ロビラ ... Afinador ロベルト: ピアノ職人

Jorge Díez ホルヘ・ディエス ... Pablo パブロ: 息子
Carla Peterson カルラ・ペテルソン ... Claudia クラウディア: その恋人

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Comments

『El Camino de San Diego』のときにe_mさんが「映像すばらし」とコメントくださったけど、それからさちさんも『ボンボン』の時に「どんな絵の具でも再現できない空の色がある。」と書いてらしたけど、『La Ventana』でもカルロス・ソリンの映す空の色は本当に美しいですよ。

この作品はDVDではなくて映画館で観た方がもっと感覚に訴えてきたであろうと思います。空の色、静寂がゆえに耳に届く音、吹き抜けていく風、草原の匂い、冷たさも暖かさも…強く感じながら観ることができたことと思います。DVD鑑賞ではちょっと残念かなあ……。


さて、そんな草原にぽつねんと建っている老アントニオのピンクのお家。すごく可愛らしいんだけど、どこかなあと思ったらホテルを撮影に使わせてもらったようですね
↓ 
Estancia San Juan
La Pelicula la Ventana en La Estancia San Juan

……泊まってみたい……。


4/7加筆 
語句メモ、あまりなし。ほとんどなし。
・IV: 点滴

Posted by: Reine | Monday, April 05, 2010 at 22:17

これまでの3作品では演じている人が相互の作品でちょい役で出ているなんてのを発見しては喜んだものだけど、今回はそういう人はあまり目立っていなかった。

しかし一箇所、「あ……」と気づいて( ̄▽ ̄)ニヤリとするシーンがありました。

「俺の伯父さんで耳を動かせる人がいたんですよ! その人の父親も耳を動かせて、そのまた父親もできたんだって」というセリフね。

耳の動かせる人って、そういえば過去のカルロス・ソリン作品でもいたもんねwink

Posted by: Reine | Monday, April 05, 2010 at 22:39

「つづきはコメント欄で」と言ってはみたものの、言葉と動きが少ない作品なので、コメント欄にあんまりたくさんメモしてしまってもいけないと思う。

↓↓↓

danger というわけでこの先はどうしてもストーリーにふれます danger

↓↓↓

danger ストーリーについてものすごく直接話しますけど、まあ私は見当外れのことを言いますから danger

↓↓↓

何て言うかね。
観れば観るほど不思議な気持ちになっていったんだよね。

まず基本的なことを言えば、亡くなったのかどうかってことがあると思うのね(基本的すぎるか)。そして私は亡くなったと思っているのね。


ところで『Historias Minimas』のラストシーンでは車の座席で顔を下に向けて寝ている人が映るのだけど、その人物は遠出して思いを遂げて帰途についているのであるからして、私は当然というかあるいは希望的観測からか、充足感と安堵のうちに眠りこけているのだとばかり思っていたわけです。

しかしどこかのサイト(IMDbだったのか???)で、「ラストで死んだのか」という問いかけを目にし、たいそう驚いたものです。Σ(゚д゚lll)ガーンとね。「えぇぇぇ……そういう悲しい想像しないでほしいんだけど……」と思った次の瞬間に「……うぅむ……でも……そうともとれるか……」と納得もし、あの地を吹き抜けていた冷たい風が私の心にもヒュルルルルと届くような思いがしました。


そういう過去の作品の思い出を踏まえると、やっぱり今回のアントニオも亡くなったんだろうと思うのです。

だいたい、だって、家の中に蝿が入ってきていたでしょう? 序盤のシーンでキッチンで蝿の羽音が聞こえた時に「誰か死んじゃうんだな」と思ったのだけど。私は“蝿(の羽音)イコール死のサイン”と思ってしまっているのでね

(⇒ 『デビルズ・バックボーン』や『悲しみのミルク』)


……なんて言っててあれがハチだったらどうしよう。

Posted by: Reine | Wednesday, April 07, 2010 at 20:54

でも、アントニオの寝かされている部屋にもハエ(だと私は思っているけどハチだったらどうしよう)が入ってきていて、その虫は窓ガラスとカーテンの間の狭いスペースをブンブン飛んでいるのです。アントニオは見かねてベッドから立ち上がってそれを窓から逃してやる。

だからそのシーンは、ガラス一枚隔てた向こうに草原と自由が存在しているにもかかわらずたったそれだけの壁を越えられずに囚われてもがく虫けらの姿にアントニオが我が身を見た、というシーンなのかと思ったりもした。

注射を打たれ点滴につながれ人々に看護および監護される我が身をあの虫にだぶらせたのか、なんてね。

「私は病気ではないんだ!」「こんな注射なぞ効きはしない」「得体の知れないものを打たれてるだけで私はかえって衰弱してるじゃないか」とアントニオは使用人達に強く訴えていましたからね。

だから堪らず虫を窓から逃したんだ、と。

でもそれだと、逃してもらえて野原に飛び立ったハエが“死のサイン”だとは思いがたく、むしろアントニオの回復を―――病気からの、というわけでなく、もっと包括的に尊厳の回復を―――表していることになってしまうのでは?

などと、考え込んでしまった。よくわからないや。

Posted by: Reine | Wednesday, April 07, 2010 at 21:11

ところであのシーンだが、大草原へと飛び立った虫を目で追ったアントニオは、自分の前に広がる景色に見とれるのですね。自分がずっと住んできた土地だろうに、自分の目で眺めたのはこれが初めてであるかのように、彼は雄大な景観に息をのむ。

それで衝動的に彼は表の世界へと飛び出してしまった………

……のだろうか?はたしてそうなのでしょうか?
あのとき偶然に窓を開けて外界を眺めたことで衝かれるように彼は家を出たというの? どうだろうね。そこがどうもわからないんだよね。そう観るのがふつうだとは思ったんだけどね。


衝動的な外出ではなかったのじゃないかね。
計画的だったのでは? 
家出をするにはあの日のあの時間帯しか無いってことをアントニオはわかっていたと思う。と、あえて考えてみる。

あの日彼は朝から上着を出せ上着を出せとメイドのマリア・デル・カルメンにせがんでいた。息子パブロと数年ぶり(あるいは十数年ぶり、はたまた数十年ぶり)に再会するのだから、病人のような格好では会いたくない、と。だからジャケットを、と。

アントニオはその日だけはパジャマ以外の服装をさせてもらえることは計算済みだったでしょう。(うまくいかなかったのだけど)

それからピアノ職人の訪問も計算に入れていたと思うんだよね。
家出するためには誰かに靴の紐をきつく締めてもらう必要がある、かといって使用人には頼めない。だから、家の者がパブロを迎える準備で慌ただしくしているその日に、事情を知らない外部の人がいてくれるのは好都合であると、そこまで彼は考えていたんじゃないかと思うんだよね。

本のページに隠しておいたヘソクリを靴の中に移しておいたのも自分なんだよ、やっぱり。まさかそんなお金を使うような遠隔地までの家出を計画していたとも思わないけれども、お守り程度のお金は持ちたかったのではないかね。

Posted by: Reine | Wednesday, April 07, 2010 at 21:41

「人生の最期に一度でいいからまた野原に出たい」、アントニオはそれをあの日に決行するべくして決行したのではないかと、私は思ったわけです。

そんな決心をしていたからこそ前の晩にああいう夢を見たんだ、と。母がいて父がいた頃の自分の姿を思い出したのは、自分も彼らの元にもう間もなく逝くことになると、アントニオが潜在的に察知したんじゃないかね。

ベビーシッターの顔を80年ぶりに記憶の引き出しの奥の奥から取り出すことができて、アントニオは幸せだったと思うんだよ。もしかすると幼いアントニオにとっての初恋だったかもしれない、なんて想像もする。(それで名前はおろか顔まで忘れるかあ?とツッコんだらきりがないのだけど)

息子のパブロが連れてきたクラウディアは、ひょっとしたらいけすかない女だったかもしれない。でもそれを知ってしまわないうちにアントニオは逝くことができたと思うのね。

クラウディアはかわいげの無い嫁となったかもしれない。でもアントニオはそれを体験することなしに、クラウディアを懐かしいベビーシッターと錯覚したまま、幼少期の幸福感に抱かれたまま、あの夜息を引き取ることができたんじゃないかって、そんな風に思うわけです。

ピアノの中に落ち込んで詰まっていた人形が二体あの日やっと取り除かれた。アントニオとパブロの父子もまたわだかまりから解放されたのだとしたら、そしてあのピアノがまた奏でられるのだとしたら、それを噛みしめた夜にアントニオが逝けたのだったら、本当に幸せな最期の一日だったと思うんだよ。


こんなことをああだこうだと考えながら観たもんだから、一回目の鑑賞では寂しかったけど何回か見直す内に癒されていったのでした。


……まあ、亡くなったかどうかは謎だけどね。

Posted by: Reine | Wednesday, April 07, 2010 at 22:04

それともあれなのかな、ピアノの弦に囚われていた人形が衛兵かなにかだったことをキーに読み解いていかなければならなかった作品?

よくわからないままもう寝ちゃおうと思う。

Posted by: Reine | Thursday, April 08, 2010 at 01:23

ああ、でも、そうか……。
“脱走”はこの日が初めてでもないんだよな。

つい最近にも家を抜け出すか何かやらかして使用人たちをやきもきさせたんだよな、たぶん。なにかそういうことを使用人が非難するような口調で言っていたのを思い出した。「私たちがどれほど心配したかご存じでしょうに!」みたいなことを言ってたなあ、そう言えば。

またわからなくなってきたがいま外出先なのでこのまま切っちゃおう。

Posted by: Reine | Monday, April 12, 2010 at 12:39

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