El camino de San Diego [アルゼンチン映画]
映画冒頭の字幕より
2004年4月17日、ディエゴ・アルマンド・マラドーナは重篤な心臓疾患のためブエノス・アイレスのスイソ・アルヘンティーナ病院に収容された。それからの数日間、マラドーナの容態はアルゼンチン国民にとっての関心事であった。民衆に喜びを与えてくれた偶像が生死の境を彷徨っているこの時にできるだけそばにいたい、力づけたいと、何百何千もの人が遠く離れた地から何百キロも移動して駆けつけたものである。
タティ・ベニテスもそんな一人であったのだろう。
( わりと細かく書いちゃうかも)
タティはミシオネス州の木こりさん。村人がタティについて語ってくれる:
「みんなタティのことは“マラドーナ”とか“10番”って呼んでたよ」
「タティはマラドーナのことなら何でも知ってた」
「マラドーナはタティにとってはアイドルであり、神だったね」
「マラドーナの人生を知りつくしてたよ。結婚式の付添人は誰だったとか、娘は生まれたときの体重は何グラムだったとかまでね」
「タトゥーをしてたな。マラドーナの。……って言うか、‘MARADONA’って名前がそばに書いてあるから『あぁ、マラドーナなんだな』ってわかるようなヤツだけどね」
「強烈だなと思ったのは、あいつ、背中にマラドーナとおんなじタトゥーを入れてたってこと。ユニフォームの背番号といっしょなの。ちょっとシャツを脱ぐじゃん? そうすると背中に“10”って刺青入ってるわけ」
「タティはボカがコリエンテスに来た時のMandiyuとの試合の入場券を持ってたね。まるで聖遺物みたいに家に飾ってあったよ」……。
より大きな地図で El Camino de San Diego を表示
待望の男の子を授かって幸せいっぱいだったまさにそのころ、木材の売れ行きがかんばしくないという理由でリストラの波がこんな森の奥まで押し寄せてきて、タティは不運にも失業する。「タティってものすごくいい奴だからさ、俺達もそりゃぁ残念だったよ」。
仲間から勧められてタティは森のもっと奥で木彫り工芸をしているシルバ爺さんの手伝いをすることになった。彫刻に使えそうな木の枝や根っこを拾い集めるのだ。そうして像が出来上がるとタティが観光客に売って売り上げの何割かをもらう。
シルバさんは、父親、祖父、曾祖父…と代々受け継いできた木彫りの極意をタティに伝授してくれた。オオハシ、ハイイロノガンモドキ、トラ、オウムなど、森のいきものたちの魂が宿っているような木を見つけられるようになれ、と。
「―――それで彼の人生が変わるなんて、いったいこのとき誰が想像し得ただろうか。」
木を探して森の中を歩いていたタティは驟雨に遭う。急いで家に帰ろうとしたその時、一本のティンボーの倒木が目に入った。土砂降りの雨の中タティはその木を凝視した。木の根の部分が人の形に見えてきたのだ。
―――マラドーナに。
・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆
涙が出て困った。哀しいシーンなんて全然無いって言っちゃってもいい作品だと思うんだよ。それなのに、涙がゆっくり滲み出てくるのでした。(ただ……どこかで書いたと思うけど、私の琴線だの涙腺だのはチューニングが狂っているので、どうもね…)
いきなり話が逸れるけど、セナが亡くなったとき(Ayrton Senna 1994 Imola Part4) (Ayrton Senna 1994 Imola Part6)、いや、F1のことは全く知らない私だけれども、ブラジルの人たちはどれだけショックを受けているだろうかと思って、それで泣けた。悲嘆に暮れているだろうな、喪失感に打ちのめされているだろうなと思ったら彼らが可哀想になってしまって涙が出たのを覚えている。
それから数週間後にブラジルがワールドカップで優勝した時は、いや、夜中に中継を見るほどの熱意は無かった私だけれども、朝出勤前に化粧などしながらニュースでPKの映像を正座して見て優勝を確認して、ブラジルの人たちは元気が出たんじゃないだろうかと思って、それで泣けた。嬉しかっただろうな、良かったね、ほんと良かったねと思って涙が出た。一泣きしてから出勤したのを覚えている。
さて、私はマラドーナという人に対しては「民衆から愛されて甘やかされて貪られて愛され過ぎて追い詰められた人」というイメージをぼんやりと抱いてきたのだけど、この『El Camino de San Diego』を観て、彼は「縋られて祈られた人」なのだなと思った。
人々にとっては願いであり力であり……聖人だったのだなと。
タティの出会った長距離トラックのブラジル人運転手ヴァギーニョさんがおどけた調子で言う。「¡San Maradona! Lo único que me faltaba. (聖マラドーナ!と来たもんだ……いやはや…)」
作品タイトルにも『聖ディエゴへの道』とあるでしょう。まるで「El camino de Santiago サンティアゴの巡礼路」みたいにね。マラドーナが一時危篤状態に陥ったとき、“聖ディエゴ”に祈りを捧げようとスイソ・アルヘンティーナ病院まで巡礼をした人々をこの作品は描いている。
昔わたしはヒドイ女についての記事で、他人の映画の感想の抱き方が自分と違っていてもしょうがない、その事実は飲まないといけないと記したのだけれども、そりゃそうなんだけれどもやっぱり思うんだわ、この『El camino de San Diego』みたいな映画を観て何も感じない・思わない、何にも思いを馳せないと言う人がもしもいるならば、私はそういう人とはうまくやっていける自信がない、うまくやっていこうと端から思わないってさ。
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語句メモ
・kilaje:
・reliquia:
2. f. Parte del cuerpo de un santo.
3. f. Aquello que, por haber tocado ese cuerpo, es digno de veneración
6. f. Objeto o prenda con valor sentimental, generalmente por haber pertenecido a una persona querida.
・tribuna: 4. f. Localidad preferente en un campo de deporte.
・trucha: Cara, rostro. Cosa falsa, copia de mala calidad. Astuto, inescrupuloso.
・colectivo: 4. m. Arg., Bol., Ecuad., Par. y Perú. autobús.
・sorprender: 1. tr. Coger desprevenido.
・timbó: m. Arg. y Par. Árbol leguminoso muy corpulento, cuya madera se utiliza para hacer canoas.
・motosierra: 1. f. Sierra para cortar madera provista de un motor.
・a cántaros: 1. loc. adv. En abundancia, con mucha fuerza.
例) LLOVER, CAER, ECHAR cántaros.
・nomás: 1. adv. m. Am. Mer., C. Rica, Hond., Méx. y Nic. no más (= solamente).
・「Boca Juniorsの博物館がもうすぐオープンするんだって!」と大はしゃぎするタティ。
・acta: 1. f. Relación escrita de lo sucedido, tratado o acordado en una junta
・joda: 1. f. Arg. y Ur. Broma, diversión.
・agropecuario, ria: adj. Que tiene relación con la agricultura y la ganadería.
・idolatría: f. Adoración que se da a los ídolos.
・tirar: 31. intr. Dicho de una persona o de una cosa: Durar o mantenerse trabajosamente. El enfermo va tirando. El camion tirará aún un par de años.
・microbús: 1. m. Autobús de menor tamaño que el usual.
・fiambre: 3. m. coloq. cadáver.
・canje: 1. m. En la diplomacia, la milicia y el comercio, cambio, trueque o sustitución. Canje de notas diplomáticas, de prisioneros de guerra, de láminas representativas de valores
・cumplidor, ra: adj. Que cumple o da cumplimiento. U. t. c. s.
・bocinar: 1. intr. Tocar la bocina o usarla para hablar.
・embrujar: tr. Hechizar, trastornar a alguien el juicio o la salud con prácticas supersticiosas.
・curtiembre: f. Am. curtiduría.
→・curtiduría: 1. f. Sitio o taller donde se curten y trabajan las pieles.
・corte general:
・whiskería: 1. f. güisquería.
→・güisquería: 1. f. Establecimiento donde se sirve güisqui y otras bebidas alcohólicas.
Posted by: Reine | Friday, May 15, 2009 22:35
監督・脚本: Carlos Sorin カルロス・ソリン
出演:
Ignacio Benítez イグナシオ・ベニテス ... Tati Benítez タティ・ベニテス
Carlos Wagner La Bella ... Waguinho ヴァギーニョ: 鶏を運ぶ長距離運転手さん
Paola Rotela ... Mujer de Tati: タティの妻
Silvina Fontelles ... Señora Matilde マティルデ: 呪術師的なひと
Miguel González Colman ... Silva シルバ爺さん
Toti Rivas ... El Tolo: カメラを貸してくれた家の亭主
Marisa Córdoba ... Mujer del Tolo: その女房
Juan Villegas ... Photo Shop Owner: カメラ店店主
Walter Donado ... Chofer Ambulancia: 救急車の運転手
Aníbal Maldonado ... Contrabandista 密輸の屋台のおじさん
Alberto Rodríguez ... Soledad ソレダー: ヴァギーニョ行きつけの娼館の女
Posted by: Reine | Friday, May 15, 2009 23:02
・El camino de San Diego@IMDb
直訳: 聖ディエゴへの道
・El Camino de San Diego 公式サイト(※音注意)
私もまだカルロス・ソリン監督作品は3作目でしかないのですが、この3作で役者を使い回しているのか、懐かしい顔があちこちに。『ボンボン』のビジェガス小父さんとか、ワルテルさんとか、『Historias mínimas / Intimate Stories』で機転を利かせてくれたフェルミンさんとか。
・マティルデさんは『Historias mínimas』でクイズ番組の商品をものすごく欲しそうな浅ましい女性を演じていた人だよなあ? と思ったのだけど、Silvina Fontelles@IMDbには載っていない。
おっかしいなあ……。
いや、絶対この人だってば。
六平直政似の顔と、それにこの声は絶対あの人。
というわけで公式サイトに行ってみると、Castのページに、「Silvia Fontelles (Señora Matilde): Trabaja en la Dirección Provincial de Turismo de Entre Ríos. Ya tuvo experiencia anterior en cine en Historias Mínimas.」とある。
Posted by: Reine | Friday, May 15, 2009 23:07
(1) タティの第一子は女児だった。タティとしてはDiegaと名付けたかったけど役所で却下されてしまう。
「Diegaという名前はない。Diegoに対してDiegaなんて、JuanとJuana、LuisとLuisaみたいなわけにいかない。Diegaは無い」
―――でもヘンテコな名前、他にいくらでもあるじゃないですか。…じゃぁ、Diegoってつけることはできますか?
「女の子にDiegoってつけるわけにいかないでしょうが」
(残念ながら)二番目も女の子で、三番目が男の子で、ついにタティはDiego Armandoと名付けることができた。
こういう風に「名前」にまつわるやりとりを添えるのはカルロス・ソリンの癖なのかなあ?
たしか『ボンボン』でも「しっかしなんだってまたドーゴ・アルヘンティーノに‘ボンボン’なんて名前をつけちゃうかね」と呆れたように言われちゃうシーンがあったと思うし、
『Historias Minimas』では「“レネ”って名前、男の子ですかね、女の子ですかね。“レネ”って聞いてまずどっちを思い浮かべます?」っていうやりとりがあって、そしてその名前こそがストーリーの鍵になっていたし。
Posted by: Reine | Friday, May 15, 2009 23:32
(2) 倒木の根っこを担いで家に持ち帰ったタティ。不気味な形の根っこに怯えて娘たちが火のついたように泣き叫ぶ。妻は「木だよ~、ただの木だよ~」と子どもたちを落ち着かせようとするが一向に泣きやまない。
たまらず妻はタティを怒鳴りつける。「どうしてこんなものを持ってきたわけ? まさか一晩中家の中に置いとくなんて言わないわよね? 見なさいよ、子供たち泣いちゃって! 怖がってんのよ!」
「外に出してよ!」と言われたタティが「……盗まれたらどうすんだよ!」と言い、妻が「誰がそんなもん盗むって言うのよ! じゃあね、誰かが盗みに来たらあたしに言いなさいよ!」と怒鳴り返す。
このシーン、大好き。オウムも大騒ぎだ。
Posted by: Reine | Friday, May 15, 2009 23:37
(3) 自分の木像をマラドーナに捧げに行きたいとタティは言うが、村人はちょっと馬鹿にしたように言う。「お前なあ、マラドーナは王様だとか大臣だとかカストロとかとつきあってんだぞ、こーんな、お前、こんなの相手にするわけないだろうがあ」。
友人Abetchyも言ってたけどこの映画にはホントのホントの悪人が出てこない。(※カルロス・ソリンの映画にはだいたい出てこないのかも)
タティのことだって、変人呼ばわりしている人もいれば、こうやって小馬鹿にするような人もいるにはいる。マラドーナへの想いだって、村人のそれとタティのそれとは温度差がある。けれど、おおむね皆タティには「まったくしょうがないね、お前さんは……」と微苦笑を浮かべて接しているようである。
役所?のおじさんも、タティの願いなど叶いそうにないと頭では十分にわかっているのに、彼の望みが消えてしまわないようにと、会う毎に口上を変えて決定的な答えは隠してあげたりする。
呪術師のマティルデさんもタティに「あの木の根は僕じゃなくっても他の誰かが結局は見つける運命だったんだろうか」と聞かれた時に、「あなたが見つけなきゃいけなかったものをあなたが見つけたってことなのよ」と答えてあげる。
狂人扱いしてもおかしくないところを皆がタティの「熱」につきあってあげている感じが、見ていて嬉しくなってくるのかな。
Posted by: Reine | Friday, May 15, 2009 23:58
(4) 『El Hijo de la Novia』でこんなシーンがあるんだよ。
パーティーの席だったかな。「彼は何百万の民に喜びを与えたというのに、こんどはその民が猛り狂ったかのように彼を十字架まで追い立てたんだ」と熱弁を振う人がいる。
それを聞いた人が脇から「おいおい、神父ごっこはやめてくれよ(キリストの話はやめにしてくれ)」とツッコんだところ、
「(゚Д゚)ハァ? 俺はマラドーナの話をしてるんだよ」と言われてしまう。
『El Camino de San Diego』を観ていてこのシーンを思い出したよ。
ああ、そうなんだな、マラドーナは‘神’なんだなあって。
タティの村の老人たちが言っている。「マラドーナってミシオネスに来てくれたことないんだよな。俺達に会いに来てくれってずっとおねがいしてるのに」。
まるで法王か誰かのような待ち望み方である。
Posted by: Reine | Saturday, May 16, 2009 00:06
(5) マラドーナ重体!の速報は国の隅々まで届けられ、タティたちも村にたぶん一台かそこらしかないであろうテレビの前に集まってニュースを見る。
ファンが病院の前に続々と集まりマラドーナの回復を祈ってたいへんな騒ぎとなっていると報じられている。病院の正面玄関には人々が祈りのメッセージを貼っている。
「¡Diego! El cielo puede esperar ... ¡Fuerza! Te queremos!」「El pueblo quiere otra alegría.」
「他の患者さんも入院していますので、お願いですから静かにしてください」というアナウンスなども流れているようだが鎮まるわけもない。
ろうそくに火を灯し、マリア像などを握りしめて祈りを捧げる人々の姿が映し出される。
2004年4月18日の新聞
・Maradona internado en clínica de Buenos Aires
2004年4月20日の新聞
El fútbol reza por Maradona ――― EL EX FUTBOLISTA EVOLUCIONA SATISFACTORIAMENTE, PERO CONTINUA EN LA UNIDAD DE VIGILANCIA EL DOMINGO - POR LA NOCHE SUFRIO UNA CRISIS CARDIACA - HABIA CELEBRADO LA VICTORIA DE BOCA EN UNA QUINTA A LAS AFUERAS DE LA CAPITAL
動画
・病院の前に集まって祈る人々の模様を伝えるニュース
Posted by: Reine | Saturday, May 16, 2009 00:27
(6) タティと出会いそして別れる毎に人々が願いを託す。トラックに乗っていた労働者の一人がタティにそっと言う。「ディエゴにもしも逢えたら、俺の分までよろしく伝えてほしい。うちではみんなディエゴのことが大好きだって」。真剣な今にも泣き出しそうな眼差し。
そんなときマラドーナが病院を抜け出したという速報が入る。脱走してゴルフをやっているとのこと。
そのときのニュース(2004年4月30日)
Maradona sale del hospital sin permiso médico y ya juega al golf
人々はまるで家族の一員でも見つめるかのような安堵と慈愛に満ちた表情でテレビの中のマラドーナを見ている。元気になってよかったと胸をなでおろす。嬉しさを噛みしめる。
でも、そういう人ばっかりではなかったでしょうね。
立ち寄った店の主人がテレビニュースを見ながらぶつぶつ言っている。「こいつらもいい加減にして、こんなことしてるヒマがあったら仕事でもしろって感じだよ。まったくぬるい国だぜ」。
Posted by: Reine | Saturday, May 16, 2009 00:35
(7) バスに乗せてもらう。夫が失業してどうにかならないかと思ってお参りに来たという奥さんなど、ガウチートにお参りに行く人たちが乗っていた。
・Gauchito Gil@Wikipedia
「あなたもお祈りをしていけば」と言われたが、先を急ぐタティはためらう。しかしタティもいつのまにか行列に並んでいた。順番が来て、タティは祈った。ガウチートの像の頭に手を置いて、じっと見詰めて。
(7') ブラジル人ヴァギーニョさんのトラック運転席はちょっとした祭壇のようであり。
「ここにはOrixá(オリシャ)がいるんだぜ」と見せてくれる。(※日よけ?のパタパタってなるところ、あそこをパタンと下げるとそこにオリシャのイラストが並べて貼ってある)
そこでパッと映るのは左から、Iansã、Oxum、Xangô、Oxalá。
・Orixá@Wikipedia
・Iansã@Wikipedia
Posted by: Reine | Saturday, May 16, 2009 00:40
(8) 他にもピックアップしたい微笑みシーンがあるのだけど―――その像を売ってくれと迫る店主の粘り様とか―――、まぁこの辺で。
タティと別れる際に「明日お前さんは俺のことを思い出すぞ」と叫んだ人がいる。
この映画、―――というかたぶんカルロス・ソリンの映画はだいたいが―――この精神を描いてるのかな。人と出逢って別れて、もうたぶん再会はできそうにない。けれども「明日思い出す」ことはできるんだよね。
Posted by: Reine | Saturday, May 16, 2009 00:51
お久しぶりです。e_mです。
アルゼンチンにおけるマラドーナの存在のあり方って、分かりづらいです。確かにいえることは、過去のサッカー場での栄光のために聖ディエゴなのではなく、現在のマラドーナの生き方も含めて、聖ディエゴなんだということだと思います。
引退後の生き方が優等生的なペレと比べると、マラドーナってダメ~な人じゃないですか。そのダメさ、でもそのどん底から復活する強さ、それに加え「反システム」な姿勢、そうしたところが彼の人間くさい英雄像を作っているのではないかと、思ってます。
あ、でも、やっぱりマラドーナって男性にとっての英雄ですよね。女性は、一般的に、そもそもサッカー自体に冷たい視線だし、マラドーナに対しても同様って感じです。
この映画、持ってるんだけどまだ見てないんです~。近いうちに見たいと思います!!
Posted by: e_m | Tuesday, June 02, 2009 23:46
e_mさん、おひさしぶりです。
いつもアルゼンチンの様子をコメントくださってありがとうございます。
マラドーナ、私は少し同情的な目で彼を見ています。というのも、2005年にスペインから帰ってくる時の飛行機内でBBCか何か制作のドキュメンタリー番組を見まして、なにか、こう、周囲の人々が彼を貪り、消費し尽くしたという印象があったからです。
(このドキュメンタリーが何という番組だったのかをBritish Airwaysに問い合わせているのだけど、「担当の部門に回します」というレスこそ迅速だったけどそれからずっと待たされています)
私はカルロス・ソリン作品がどうやら好きみたいです。e_mさんにもぜひこの作品を観ていただきたいです。
Posted by: Reine | Sunday, June 07, 2009 12:41
私もカルロス・ソリン、好きですよ~。このあいだ行ったピナマル映画祭(っていうマイナーな映画祭があるんですよ、アルゼンチンには!マラガ映画祭のアルゼンチン版みたいなものです)で、ナマで拝見する機会がありました!お話するには至らなかったけど。(残念!)そうそう、その映画祭でLa Ventanaも観ましたよ。映像すばらし。きっとReino de Reineさんの好みの筋だと思います。
マラドーナの件、「周囲の人々が彼を貪り、消費し尽くしたという印象があった」とのこと、わたしも同感です。しかし、すごいと思ってしまうのは、消費されつくしたはずの人が、それでも聖人であり続けるという現象!
Posted by: e_m | Saturday, June 20, 2009 01:46
e_mさん
ピナマル映画祭、ですね。いつも情報ありがとうございます。
調べてみます。
↓↓
Pantalla Pinamarという催しのことでしょうか。
そしてLa Ventana! このあいだ「…カルロス・ソリンで‘爺さんモノ’……私はきっとこれを好きになってしまう…」と書いたのですが、やっぱりですか、やっぱりですね。e_mさんもお薦めとあらば、これは間違いなく私は好きになりますね。
Posted by: Reine | Tuesday, June 23, 2009 23:12
そうそう、Pantalla Pinamarです。マイナー極める映画祭ですが、いつか遠くアルゼンチンまでいらっしゃる機会があれば是非(笑)。
Posted by: e_m | Thursday, July 02, 2009 02:09
e_mさん
いやいや、これは前回の受賞作品リストだと思いますが⇒ pantallapinamar 2009、なんだかとても面白そうではないですか!
えーっと私の親しくしているスペイン人男子が、必ず行きたい旅行先としてアルゼンチンを挙げているので、いつかその人とアルゼンチンを訪れるかもしれません。映画祭の時期に合わせるようにそそのかしてみようかと思います(笑。
Posted by: Reine | Thursday, July 02, 2009 10:09
おぉそうだそうだ。メモしておこう。
2009/05/12 21:25 にBritishAirwaysに、私が2005年3月の便で見たあのマラドーナのドキュメンタリーの詳細を教えてくれという質問メールを送ったのですが、
2009/07/18 7:02 に最終的なレスがきて、「I am afraid, I would not be able to provide you with the information you are asking for.」だった。
あれ、そんな見つからないもん? 過去の機内上映作品の記録なんてすぐに見つかりそうだと思ってたのだが。残念。
あたし、British Airwaysじゃないのに乗って帰ってきたのかなあ?(←そこをまずはっきり思い出せよ)
Posted by: Reine | Sunday, August 23, 2009 12:40
はじめまして。
古いトピックにコメントして申し訳ありません。
今年の4月からアルゼンチンのとある地方都市に住んでいます。
大家さんが「お勧めの映画があるから一緒に観ない?」というんで観たのがこれとHistorias mínimasでした。
私がいちばん印象に残ったのは、タティが係員に託した木像の行く末をゴルフカートに乗ったセキュリティに質問する最後のシーンです。
尋ねればどんな身なりであってもちゃんと対応してくれるところが「ああアルゼンチンっぽいな」と思いました。
Posted by: Santa Feっ子 | Tuesday, June 22, 2010 10:20
Santa Feっ子さん、コメントありがとうございます。私はブログ内のどれだけ古い記事に対してでもコメントは常に嬉しいのです。
大家さんと私は趣味が合いそうです。
大家さんはカルロス・ソリン Carlos Sorin 監督がお好きなのだろうと思います。
タティがセキュリティに話しかけるシーン……、よかったですね。彼の顔(というか目)が純粋すぎて、何かを信じすぎていて、それが鮮烈な印象となっています。
Posted by: Reine | Thursday, June 24, 2010 10:48
こんにちは~。おそるおそる書き込みましたが、喜んでいただいてうれしいです。
大家さん、「次はEl perroを観よう」と言っているんで、Carlos Sorin監督好きなのは間違いないようです。アルゼンチンの風物やキャラをうまく作品化しているというのが、私のような外国人へのお勧めの理由のようです。
どうやら国内外を問わずそのほかの映画にもかなり詳しそうなのですが、私のスペイン語力がまだまだ足りなくて、語り合うことができません。
ところでいまちょうどサッカーW杯の開催中で、わがアルゼンチンチームは絶好調です。マラドーナ監督、好きじゃないな、と公言するアルゼンチン人もけっこういますが、カリスマ性は抜群で求心力があり、代表チームのメンバからも尊敬を集めているのが画面からもよく伝わってきます。チームの雰囲気がいいんで、今大会はかなりいいところまで行きそうな気がします。
Posted by: Santa Feっ子 | Sunday, June 27, 2010 11:58
Santa Feっ子さん
コメントはほんとうに大歓迎ですよ
私がこの『El camino de San Diego』をとても優しい映画だと言ったところ、アルゼンチン人の友人が「いや、ほんと、そう。そこがアルゼンチン映画の好きなとこ」「アルゼンチン社会の現実を自然に描き出してみせるでしょ、ノンフィクションみたいな感じで」と言ってました。
さてW杯。
日本のW杯関連番組やスポーツニュースでもマラドーナ監督に焦点をあてた報道があり、楽しく見ています。マラドーナ、可愛いですね。(たぶん世界各国のマスコミが同じような視点で彼を取り上げていることと思いますが)
うちの母などはいまいちピンときていないようなので、「たとえば今のチビッ子野球少年が将来イチローの指揮の下で日本代表としてプレイして、試合中にグラウンドでイチローから抱きしめられ褒められ頭撫でられキスされるのだと思えば、ほら」と説明しました。
Posted by: Reine | Friday, July 02, 2010 20:56
ごめんなさい。コメントがとても遅くなってしまいました。ワールドカップも終わってしまいました。アルゼンチンチームの敗退は残念でしたが、日本ががんばりましたね。こちらでは遠藤選手の評判がよかったです(私の周辺でのきわめて個人的な声ですが)。ウルグアイもすばらしかった。自国の負けっぷりが見事だったからか、ウルグアイの躍進を素直に評価するアルゼンチン人も多かったです。
その後いろいろと忙しくなり、なかなか映画を観る機会がないのですが(先日乗った高速バスでは「Love Happens」と「Fast and Furious」を観ました。英語の映画をスペイン語の字幕で観たのでかなり混乱してしまいました。)おもしろい作品を観たらぜひお知らせしますね。それでは。
Posted by: Santa Feっ子 | Friday, August 13, 2010 11:52
Santa Feっ子さん
こちらではこないだの土曜日に『El secreto de sus ojos 瞳の奥の秘密』が公開となりテレビの映画情報番組などでも取り上げられています。(※そのテの番組ではストーリーを見せすぎてしまっているのが私にとっては不満・不快ですが)
観てきた人々の感想をRSSリーダーで読んだ限り評判は上々のようで、カンパネラ好き・『El secreto ~』好きの私はとても嬉しく思っています。
もっと他にも素晴らしいアルゼンチン映画があるので、これを機に興味を持る人が増えるといいなあと思います。
カルロス・ソリン好きの大家さんによろしく!
Posted by: Reine | Tuesday, August 17, 2010 09:17