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Saturday, February 28, 2009

Cidade de Deus / シティ・オブ・ゴッド [ブラジル映画]

cidade de deusアマゾンの商品説明文より
penAmazon.co.jp
60年代後半のブラジル、リオデジャネイロ郊外の公営住宅「シティ・オブ・ゴッド」に集まった貧しい少年たちは、強盗、殺人にも手を染めるチンピラばかり。その中でも写真家を夢見る少年ブスカペ、ギャングのボスを夢見るリトル・ゼ、恋人との幸せな生活を夢見るベネらをクローズアップし、彼らの成長していく様を、60年代後半、70年代、70年代後半の3パートでつづったバイオレンスな青春ドラマ。
リオのスラムで生き抜くためには、人殺しも厭わないという少年たちの現実にザックリとメスを入れたのはブラジルのフェルナンド・メイレレス監督。……略……(斎藤 香)

以下略。シティ・オブ・ゴッド DTSスペシャルエディション (初回限定2枚組) [DVD]よりend


この作品のことを長いことずっと『ピショット』(Pixote: A Lei do Mais Fraco@IMDb)のようなものだろうと思いこんでいて避けてまわっていた。どよ~んとするのだろうと警戒していた。『ピショッチ』については、学生時代に授業で見せられて気分悪くなって蒼ざめて、昼休みに入ってもまったく食欲が湧かなかったという記憶があり、『シティ・オブ・ゴッド』のことも手に取りたくなかった。


でも、『シティ・オブ・ゴッド』、こないだのイベロアメリカ映画100選でも堂々4位にあったので、肚をくくって観てみたよ。

そしたらこれ面白いじゃないですか。笑みすらこぼれるじゃないですか。しかも数多くのシーンで。

もうこの2週間で7回は回してるんじゃないかな。面白いね。無駄なところが無いね。長く複雑で登場人物多数で時間も行きつ戻りつするというのに、ぜんぜん筋を見失わずに最後まで疾走できるね。素晴らしい。


……でも最初の1~2回の鑑賞後は、私はそれでも『Tropa de Elite』の方が好きだという感想をハッキリと抱いていたよ。2週間も経ってしまうと初見時の気分がなかなか思い出せないのだけど。ゆっくり思い出せれば書きます。


(とりあえずなにかコメント欄で)(ポル語の映画なので語句メモは無理です。今回も私の耳では「Vai tomar no cu, porra!」くらいしか聞こえません)

Cidade de Deus@IMDb
直訳: 神の町

シティ・オブ・ゴッド 日本の……配給会社の?

シティ・オブ・ゴッド@goo
シティ・オブ・ゴッド@映画生活
シティ・オブ・ゴッド@ぽすれん
シティ・オブ・ゴッド@象のロケット
シティ・オブ・ゴッド@ウーマンエキサイト

アマゾンのこの商品のはどうやって表示すればいいのかな。なんか多すぎて。
『Cidade de Deus』 関連商品いろいろ
『シティ・オブ・ゴッド』 関連作品

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Comments

この作品を観ようと思ったのは、イベロアメリカ百選にあったからというだけではなく、こないだスペイン映画『7 vírgenes / 7人のバージン』を観たからっていう理由もある。

あの作品では‘セビーリャ愚連隊’の暮らしが描かれていたわけだけれども、観ているうちに、街の治安と青少年の様子というならばやはり『シティ・オブ・ゴッド』を観ておかないと話にならないんじゃないのかなと思ったのでした。

それで観たのだけれど、そうね、スペイン映画とブラジル映画とでは街の荒廃ぶりも青少年の凄まじさも人間の命の‘軽さ’も、とても比較はできないんだよね。

スペインが舞台の愚連隊モノがどんなにワルかったとしても、どこまで極道であっても、ブラジルものには追い付かないのではないか。スペインの悪童もの・愚連隊モノはおおむね「切ない」で言い表せそうだけど、ブラジルのは次元が違うのでは? 「どーーーーーーにもなんねえ ┐(´д`)┌ おてあげ」という絶望感のレベルが。

言ってみれば「縮尺が違う」感じ。
縮尺の違う地図を並べてもしかたない。

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 09:34

監督: Fernando Meirelles フェルナンド・メイレレス  Kátia Lund カチア・ルンヂ
原作: Paulo Lins パウロ・リンス
脚本: Bráulio Mantovani ブラウリオ・マントヴァーニ

キャスト:
Alexandre Rodrigues ... Buscapé ブスカペ
(幼少時 Luis Otávio)

Edson Oliveira ... Barbantinho
(幼少時 Emerson Gomes)

※この二人は幼少時から仲良し。「中学のときイケてないグループに属していた」ような雰囲気の二人組。


Leandro Firmino ... Zé Pequeno ゼ・ペケーノ(リトル・ゼ)
(幼少時 Douglas Silva ... Dadinho ダヂーニョ (リトル・ダイス))

Phellipe Haagensen ... Bené ベネ
(幼少時 Michel de Souza)

※この二人も幼少時からずっとずっと一緒。


【優しき3人組】
Jonathan Haagensen ... Cabeleira カベレイラ: ベネの兄貴
Jefechander Suplino ... Alicate アリカーチ
Renato de Souza ... Marreco マヘク: ブスカペの兄貴

※俳優としては、カベレイラ役のJonathan Haagensenは、大きくなってからのベネを演じたPhellipe Haagensenの兄


【ギャングのみなさん】
Matheus Nachtergaele ... Sandro Cenoura セヌーラ
Seu Jorge ... Mané Galinha マネ
Darlan Cunha ... Filé-com-Fritas ステーキ
Rubens Sabino ... Neguinho ネギーニョ
Charles Paraventi ... Tio Sam 銃の密売人


【その他、周辺の人物】
Roberta Rodrigues ... Berenice ベレニス: カベレイラの彼女
Alice Braga ... Angélica アンジェリカ: ブスカペが憧れ続けている女子
Daniel Zettel ... Thiago チアーゴ: アンジェリカの彼氏
Gero Camilo ... Paraíba パライーバ: 近所の小さいおっさん

(その他、たっくさん)

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

Douglas Silva .... "Zé Pequeno" (Dadinho quando menino)
リトル・ダイスを演じたこの子、撮影時13歳くらいだったのね。もっと子供っぽく見えてた。10歳くらいかと思ってたからなんか登場人物の年齢関係がよくわからなくなったんだな。13歳くらいにしては体チッコいよね。あ。だから「リトル~」なのか。

まつ毛がすっごく長くて黒くてカールしてて。面白い小僧といった顔立ちで、よく見ると黒人になった嵐の櫻井翔(←ほんとかよ)


可笑しくてたまらなかったのは、リトル・ゼが最初っから最後のほうまでずっとブスカ・ペの名前を覚えてくれなかったこと。何回名前きいてんだ。映画を観ながらのメモにも「いいかげん名前を覚えてやってほしい」と書いていた。


セヌーラがまだまだ下っ端だった頃のシーン、つまり彼が最初に登場するシーン、可愛いよね。この彼、イケメンとかじゃない顔なのに可愛いよね。大人になって島を仕切るようになってからは悪カッコイイし。

人殺してるけど、セヌーラって優しそうじゃん? 彼がちょっと出世して島のマネージャーを任されていた頃、手下が勝手にちょっとつまんで持ち去っちゃうけど、「困ったやつだ」といった表情で笑ってるじゃん。ああいうところとか、好き。

どうも、こう、『セントラル・ステーション』のときの印象があって、この俳優はきっといい人の役なんだろうと思ってしまいがちだ。そういうのはよくない。

この役者(Matheus Nachtergaele)とアントニア・サン・フアンとは顔が似てると思う。

この人はリオの出身じゃないようだけど、その辺、言葉なんかに違いが出ていたりするものなのですか?


あとメモしてあったのは、「アンジェリカはチアゴみたいなこんなうらなりの瓢箪のどこがよくて付き合ってたんだろうか。」という一行。余計なお世話ですがね。

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 09:43

あといろいろ取り留めもなく。

(1) ガスの配達車を襲うシーン、背後に住宅造成地の立て看板が見える
↓↓↓
PLANO NACIONAL DE HABITAÇÃO
GOVERNO CARLOS LACERDA

この人(ジャーナリスト、政治家)のことだと思う
Carlos Lacerda@Wikipedia
penTerminou a construção e reurbanização do aterro do Flamengo. Removeu favelas de bairros da zona sul e Maracanã, criando o parque da Catacumba, o campus da UEG (atual UERJ), e instalando seus antigos habitantes em conjuntos habitacionais afastados como Cidade de Deus e Vila Kennedy.end

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 09:52

(2) 強盗が、押し入った先のホテルで従業員を縛りあげる:
91年だったか、男友達二人がブラジルに行ったとき、たしか泊まっていた安宿に強盗が入るという事件に遭ったんじゃなかったかな。夜遊びして朝方に帰館したら宿の人がみな縛りあげられていて、「おまえたち、もうちょっと早く帰って来ていたら鉢合わせしてヤバいところだった。命拾いしたな」と言われたとか……そういう状況だったと記憶してるが定かでない。

あの時はあまり恐怖を想像しきれていなかったんだけど、このラブホテル襲撃シーンを見て冷や汗が出たわ。


※駐車場から車を奪って逃走するところ、変なタイミングで車が出てきて「ん?」と思ったんだけど、そのことはIMDbのgoofsの欄にも書かれているね。

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 10:26

(3) 「Malandro não ama, malandro sente desejo.」
「Malandro não fala, malandro manda uma letra.」
「Malandro não pára, malandro dá um tempo.」

(ポル語: pararの直説法現在3人称単数はpáraなのね ⇒ http://www.conjuga-me.net/verbo-parar

2010.01.12 加筆
2009年だか2008年だかからの正書法ではもうpáraって書かないみたいだぞ。
PDFファイル Guia Prático da NOVA ORTO GRA FIA
Não se usa mais o acento que diferenciava os pares pára/para, péla(s)/pela(s), pêlo(s)/pelo(s), pólo(s)/polo(s) e pêra/pera.

(旧)Ele pára o carro.
(新)Ele para o carro.

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 10:28

(4) カベレイラがお前への愛がどうのこうのとブツクサ言い、ベレニスが「Que amor que nada cara, tu tá é de sete um comigo.」だかum-sete-umだかなんだか冷たくあしらうシーン。

「tu tá é de sete-um!」とはどういう意味ですかという質問スレッド。ブラジルの刑法の171条が詐欺行為に関するものなので、というレスがついている。

なるほどね。


ん。flairあたし、なんか思い出したぞ。12年くらい前に聞きかじったこと。なんだっけな。ブラジルで「24」って、「おかま」のことを意味する数字?だったりする?

その時は理解してなかったんだけど今考えるに:
Jogo do Bichoっていう富くじ(?)があって(?)

それには動物の絵柄が当てられていて(?)

「24」は鹿(veado)の絵で

それでveadoという単語を調べると、

veado:
1. 《動物》 シカ(鹿); 鹿料理
2. 《ブラジル》 ビッショ富くじの24組
3. 《卑語》 男娼,おかま

という意味なので、「24」っていう数字ですなわち「おかま」を意味するようになった、ってことかい? そういうこと? (脱線終了)

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 10:30

(5) 『セントラル・ステーション』で「Preciso me encontrar」がかかったシーンで私はものすごく泣いたんだけれども。『シティ・オブ・ゴッド』でも同じ曲がかかるシーンが序盤にある。

やめて。ここでこの歌かけないで」と走り書きしていた。

『セントラル~』では大泣きしたけれど、『シティ・オブ・ゴッド』のあそこで「♪Deixe me ir, preciso andar, vou por aí a procurar, ....」という歌を挿入するのは私はあんまり感心しなかった。ひょっとしてブラジル映画は歌詞に語らせすぎ、歌詞に心情を代弁させすぎなんていうきらいがあんのかとチラッと思った瞬間だった。

まだまだブラジル映画はぜんぜん数を観ていないので、これについては今後注視していこうと思う。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

話飛ぶけど。
こないだの朝ドラで、今のももちろんヒッデー出来だけど前作もそりゃぁもうヒドくて。その時の私の某所でのメモ日記:

penヒップホップダンサーになりたいという夢があってダンススクールに通ってるんだけど、おじいちゃんが自宅で里子を3人養っているのを補助しなければいけなくて、両方やろうとしていたらタイヘンすぎだから、「じゃぁ、ダンスやめる」って決意したんだけど、やっぱり本心ではダンスをやりたいという気持ちがあるもんだから近所の飲み屋で酔い潰れて、迎えにやってきたおじいちゃんたちを前に「ダンスやりたーーーーーい」とうわ言のようにくりかえす。

と、そこにナレーションをかぶせてくる。
「『ダンスをやりたい』というのが瞳の本当の気持ちでした。」

「ダンスやりたい」という気持ちを表すのに「ダンスやりたい」というセリフをそのまんま言って、それでも足りなくて「ダンスやりたいというのが本当の気持ちでした」とナレをかぶせる、ってどうよ。

紙芝居だよ。すごい紙芝居。end
---------------


それに対する友人nisiのコメントが、

これが「ダンスやりたい」という気持ちを表していなかったらかなり凄い。

だった。ほんとnisiってヒッデーヤツだな(褒め言葉)と、一年近く経った今でも私はそのコメントでニヤニヤできる。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

で、何の話かというと、『Cidade de Deus』の某シーンで『Preciso me encontrar』をかぶせてくれるのは、私は手放しで喜びはしなかった、という話。

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 10:43

(6) リトル・ゼが天下を取ると決意して大殺戮を開始して、この島も制圧した、この島も手中に……というシーン。空撮みたいな写真が出てきて、赤ペンでマークしてあるシーンね。

ふしぎな丸い形をした地区(22°57'2.58"S, 43°21'16.19"W)、ここら辺一帯がネギーニョの島で、リトル・ゼがいよいよ乗り込んでくるわけです。

リトル・ゼの凶暴性と残忍性によって皮肉にも地域一帯の平衡と平和が保たれるっていう、「パクスなんとか」みたいな状況が生み出されるくだり、面白いね。

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 10:48

いくつか語句メモだけどポル語なので僅かです
・buscapé: ねずみ花火

・barbantinho: sm. (de Brabante, np) 1. Cordel para atar, enlear etc.

・cabeleira
sf (cabelo+eira). 1. Conjunto dos cabelos de uma cabeça, quando compridos.
sm. 1. O que usa cabelos muito compridos.

・imprensa marrom (amarela): 扇情的な大衆紙,イエロージャーナリズム (※スペイン語だと「prensa amarilla」)

・cocota: sf. (fr cocotte) Menina pré-adolescente muito vaidosa.

・mango: sm (lat manicu) 2 Designação faceta do dinheiro brasileiro:
例) O almoço vai custar cem mangos.

・ベネがブスカペのために引き取ってくれたカメラはレチナレフレックスS (Retina Reflex S)(1959年発売)だね。チアゴがカメラを構えてみるシーンで機種が映る。(※あとの方で別の人から渡されるカメラは別の機種)


・銃の密売人のおっさんだけどね、wikipediaを読んでて知ったんだけど、このおっさんに顔なじみの警官がパトカーの中から呼びかけるシーン、あそこで役名の「Tio Sam (サムさん)」じゃなくて役者本人の名前Charlesって呼んじゃってるって。

え? そうなの?と思って見直したらたしかに「チャーリー、チャーリー」って呼びかけてた。(※その前のシーンでリトル・ゼはちゃんとこのおっさんに「チオ・サム」って言ってるね)

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 13:45

dangerちょっとストーリーに触れるから気をつけて
↓↓↓

ラストの方のことを書くので

↓↓↓↓

・新聞の一面にでかでかと載ったリトル・ゼの記事。キャプションは「警察など怖くはない」。


・それから最期の写真の記事、文を読みとれるところだけ書きだすとこんな感じ:
O corpo de Zé Pequeno foi retirado da Cidade de Deus por PMs

Morre em tiroteio bandido procurado que dizia ser o "dono" da Cidade de Deus.

Após mais de duas horas de tiroteiro no conjunto habitacional de Cidade de Deus, na Zona Oeste, a Polícia Militar (……読めない……)

A guerra travada pelas duas quadrilhas provocou a morte de dezenas de pessoas, incluindo vários menores de idade. Segundo a polícia, Pequeno foi morto por outros traficantes, que (……読めない……)


この映画、私でもけっこうのんびりと観ていられたのは、赤を抑えてあるからじゃないかね。最初の鶏のシーンからずっとそうだと思うけど、血の色が赤く出過ぎないように調整(?)してくれてるよね? 青味がかった映像。

青味がかった映像とかいうと『ネイムレス』『ダークネス』なんかのジャウマ・バラゲロを思い出さないでもないのですが、思いださなくていいや。私はあの人の作品はたいがい好きではない。

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 13:56

dangerこれは激しく妄想・脱線するので、そういう意味で用心してください

↓↓↓↓

わけわかんないこと書くよ

↓↓↓↓

ベネがチアゴに注目して自転車で急いで後を追うシーン。あたし、てっきりそこから同性愛に持って行くんだと思ったわ。それはそれでおもしろいと思って見守ってたんだけども。

(※それはさておきこのシーン、この作品に多く散りばめてある微笑みポイントの一つよね)


ところでリトル・ゼとベネの間にはそういった感情は無かったんだろうか? ベネはともかく、リトル・ゼにはあったんじゃないかと思わないでもない。セヌーラを殺ってやる、殺ってやるってしつこく表明し続けるのも、ベネとセヌーラとがなんだか馬が合う様子であるのに対するジェラシーから来てるんだと思ったんだけど。

ベネのお別れ会における荒れ方なんか、「女の子ちゃん」のやきもちじゃないですか、リトル・ゼ。あのパーティー会場でリトル・ゼは一貫して嫉妬に狂う女の子ちゃん。アンジェリカもムカつくし、ブスカペもムカつくの。ベネが優しく接してるから。


女をものにするということにかけてはリトル・ゼはからっきしダメのようで、ブスカペはナレーションでその理由をリトル・ゼの顔がブサイクだからだと説明していたけれども、んーーー、単にそういうことだったんだろうか。ブサイクな小男が美男で長身のマネに敵愾心を燃やしたって?

それについてはちょっと脱線していろいろ考えたよ。

リトル・ゼはベネに「おまえも早く彼女を作れ」と言われた時には複雑な表情を浮かべていたし、イケメンのマネに対してはパラノイア的な憎悪と狂気をあらわにするので、たしかに、この鬼瓦ちゃんは自分の顔のまずさを認識していて鬱積したものを抱えているのだろうと思う。

でもリトル・ゼを見ていて私がぼんやり思い出していたのは、四半世紀前に読んだ『赤ひげ診療譚』の「三度目の正直」という話でした。

猪之という大工が気鬱症で診察にかかるのだよ。女に惚れたといって兄哥分の藤吉に縁談の手筈を整えてくれと言っちゃぁ「いや、あの女はいけねえ」「あれはやっぱり断ってくれ」と頭を下げる。毎回毎回、今度こそは本気だと言う。「三度目の正直」が何度も来る。そういう困った大工・猪之・25歳の症例ね。

私はリトル・ゼの心の中は案外と猪之っぽいのかもね、などと妄想していたわけよ。藤吉のことが好きでトラブルを起こして手を焼かせることで注意を引こうとしているのだと赤ひげは猪之を診ていた。

リトル・ゼはベネのことが好きだったんだよ、いろんな意味でね、と私は思ったのでした。

そういう目でもう一度、ベネに「お前も彼女を作れ」と言われたあとのリトル・ゼの顔を見るとね、あの目はやっぱり猪之の目よ。猪之が藤吉に向ける眼差しよ。(いや、猪之の目なんて見たことないけど)

なんて妄想してみると楽しいかなと思って。


※ただ、これを書くにあたって『赤ひげ~』を読み返してみて思い出さされたのは、猪之は決してブサイクではなかったという点ね。

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 14:17

あとはいろいろ
・警察の汚れっぷりは『Tropa de elite』などでも描かれていたとおり

・商店主など街の人が悪童を駆除したがる様子はたしか『オーパイオー』でも描かれていたかな

・リトル・ゼの小さい頃、リトル・ダイス時代の残忍な殺戮、そして末恐ろしい「悪がき軍団」ですがね、ああいう子らとレクターみたいなサイコパス、サイコパス言われる人とは、どこがどう違うと言えるのかと考え込んじゃったよ。やってること(殺ってること)おんなじじゃんって。うまく言えないけど。


・リトル・ゼが18歳になったとき夜の街でセヌーラが「18になったら気をつけろよ」と楽しそうに話しかける。ああいう友好的雰囲気のまんま折り合いつけていけばよかったのに。もったいない。

『シティ・オブ・ゴッド』はとても寓話的だなと思いながら観た。20・21世紀の寓話なんだなと。常に他人を銃で服従させてきたいばりん坊がどういう末路を辿るのかって。

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 15:18

さて、私はもう次の感想文を書きたくてしょうがないので『シティ・オブ・ゴッド』はこの辺で。

『Tropa de Elite』の方が観終わった直後のスッキリ気分爽快感が強かったのは何故だろうかという話。音楽が私の好みだったというのももちろん要因の一つだけれども、それは脇に置いといて。

『Tropa ~』の初見直後に得られたカタルシスが『シティ・オブ・ゴッド』で得られなかったのは何故なんだろう。

『シティ・オブ・ゴッド』の子供たちを見ていると、「これでどうまともに育てと?」「もうどーーーにもならん」という気分がのしかかってくるのだと思う。その諦めとかやるせなさのせいでカタルシスが得られなかったんじゃないか。『Tropa ~』は悪に攻め入る・切り崩す側を描いていたからカタルシスと希望が得られたんだと思う。完全に美しい希望と言えないまでも。

『シティ・オブ・ゴッド』は燦燦たる陽の光の中の絶望を描き
『Tropa de elite』は暗澹たる夜の闇の中の希望を描いているんだよ。

だから私は後者を好んだのだと思う。

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 15:37

私この映画、ここんとこスカパーのとあるチャンネルで何回もやってて、何回も録画しようとするんだけど何だか恐ろしそうでしてないのです。
もしかしたら見るかもなので↑は全く読んでないので大変失礼ですが(観る前にあまり情報は入れない派です)、これこわいですか? やっぱこわいですか?

あんまりひどい残虐行為が繰り返されるとかだったら、みないです。それでもいい映画ということだったら観ようかな…。

Posted by: まきのあね | Saturday, February 28, 2009 at 16:34

この記事の冒頭の方だけちょっと読んでみた。たぶんReineさんと同じような気持ちで避けてたんだけど、面白いんですね。笑みすらこぼれるんですね。観てみます。観たらまた来ます~

Posted by: まきのあね | Saturday, February 28, 2009 at 16:37

そうそう、たぶん大丈夫です>まきのあねさん

まきのあねさんが映画を観ないと決める理由が「あんまりひどい残虐行為が繰り返されるとか」であるならば、この作品はそれには当てはまらないと思うのです。大丈夫きっと。

観て来てください。
「俺は待ってるぜ」という気持ちです、今、わたしは。


それから、私も映画を観てここに書いてしまうまでは他人の書いた文章は「面白かった」の一言ですら目に入れたくないので、あねさんの気持ちはよくわかります。

「面白かった」「つまらなかった」という他人の一言でも目に入ってしまうと、映画を観るときの基本姿勢が定まっちゃうもんね。おなじシーンでも面白いつもりで観るのと、つまらないつもりで観るのとでは見え方が違ってくる。だからなんにも見聞きせずに観ちゃうに越したことはないですよね。

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 16:40

『セントラル~』のときにもさんざん引用しちゃったけど『ニュー・ブラジリアン・シネマ―知られざるブラジル映画の全貌』という本ね、これ、一冊あると助かると思う。

あとで時間があれば引用してみたい。

『シティ・オブ・ゴッド』についても1章さいてあって、もっぱら登場人物のコトバの運用について書いてある。ようだ(まだ斜め読みなので)。そして私が「この曲はここでかけてくれるな」と思ったあの曲についても触れている。

Posted by: Reine | Saturday, February 28, 2009 at 17:34

了解です、待っててください!
必ずここに戻ってきます!

Posted by: まきのあね | Sunday, March 01, 2009 at 22:09

やっと、やっと観た!!
Reineさんのおっしゃる通り、観てよかった!
あの凄惨な状況を、あんなにもポップにおしゃれに描いていて、しかもそれが軽々しくない。むしろ大胆で図太く、力強く感じました。
だからって凄惨さが薄まるわけでも、救われるわけでもないんだけど、でもこの映画を作った方々はただ凄惨さだけを描きだしたかったわけではないと思えた。本当に観てよかった!!!

Posted by: ane | Friday, February 25, 2011 at 11:43

aneさん、観ましたか!
お薦めしてよかったなあと私も嬉しいです。
何回再生しても面白いですよね、この映画。

よく、そんな5行くらいで精確にこの作品の感想をまとめられますね、aneさん。私、その5行を言うのに、上の何百行ぜんぶ必要だったわけです。本当に私は短文が書けない。

Posted by: Reine | Friday, February 25, 2011 at 23:00

いえいえ、私は思いついたことをあまりよく考えずにぱぱっと書いているだけなので、Reineさんの文章の足元にも及ばないです。何か映画を見たら、必ずここに来てその映画の記事がないか探します。だってこんなに詳しく、丁寧で誠実な映画の感想文ってなかなかないですもん! 今後もお世話になります。

いつか何人かで「シティ・オブ・ゴッド」上映会開きたいですね!

Posted by: ane(まきのあね) | Monday, February 28, 2011 at 12:22

aneさん
他にも私はほんとうはaneさんにお勧めしたい作品いっぱいあるのです。というか、何人かで上映会を開きたい作品が。

でも日本語字幕や、下手すると英語字幕もなかったりしてね。aneさんの義妹さんお宅などでお酒を飲んだ後に明け方まで観るといったノリで観られるお手軽感がないのですよ。

字幕のハードルさえ無ければあれだってこれだってaneさんに観ていただきたいのに。

私が6億円くらいあてて生活の心配が要らなくなったら何をしたいかというと、明けても暮れてもそういう映画に日本語字幕をつけて過ごし、友人たちだけを集めて上映する秘密のギグを夜な夜な催すっていう地下活動です。

Posted by: Reine | Tuesday, March 08, 2011 at 23:52

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