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Thursday, January 01, 2009

El Último Tren / The Last Train [アルゼンチン映画][ウルグアイ映画]

el ultimo tren何が始まるのかが最初のほんの数分でわかってしまう。そこからいったいどうやって残り80分を持たせるのかと興味をひかれた。‘それ’までを描くのかと思っていたからね。‘それ’からを見せるとは思っていなかった。

男の意気を見よ、と突っ走る三人の‘ナイスじい’(ナイスガイな爺さん)をじっと見つめる映画でした。


と書いていて思い出したのは『800発の銃弾』(同じ2002年)。

それから、題材が鉄道でなかったとしても、『今夜、列車は走る』(2004年)は似ていると思う。そういえば、『今夜、~』の試写会のあとにスペイン語映画の授業で感想を述べ合っていたときにも、『El ultimo tren』の名が挙がっていたよ。

ストーリー DVDの箱より てきとう訳 (前半)
ウルグアイに残っていた19世紀の機関車をハリウッド資本が買い取った。映画撮影に使用されるというこのニュースは派手に報じられたが、「鉄道友の会」の古参メンバーは快く受け止めなかった。

機関車が米国へ移送されるのを阻止しようと決意した彼らは、少年一人をしたがえて、一世一代の奇計をめぐらす。

El último tren@IMDb
直訳: 最後の汽車
英題: The last train

もうひとつのタイトル: Corazón de fuego
意訳: 炎の心臓、燃え盛る心

監督: Diego Arsuaga ディエゴ・アルスアガ

脚本: Diego Arsuaga  Beda Docampo Feijóo  Fernando Javier León Rodríguez  Andrea Pollio  Andrés Scarone

出演:
Héctor Alterio エクトール・アルテリオ ... “El Profesor” (Antonio Lopez) “教授”(アントニオ・ロペス)
Federico Luppi フェデリコ・ルッピ ... “Pepe” (Jose Aviles) “ペペ”(ホセ・アビレス)
José Soriano ホセ・ソリアーノ(ペペ・ソリアーノ) ... “Secretario” (Dante Minetti) “書記” (ダンテ・ミネッティ)
Balaram Dinard ... Guito ギト

Gastón Pauls ガストン・パウルス ... Jimmy Ferreira ジミー・フェレイラ: 機関車の所有者
Eduardo Miglionico ... Ponce ポンセ刑事
Elisa Contreras ... Micaela ミカエラ: “教授”の妻
Alfonso Tort ... Daniel ダニエル: “教授”の甥

Saturnino García サトゥルニーノ・ガルシア ... De León デ・レオン: 渉外


DVDのメイキングでガストン・パウルスはこう語っている:
だって、ルッピ、アルテリオ、ソリアーノですよ。僕らの世代の役者にとって、彼らの一人とでも共演できるのならそれは栄誉です。でもね、3人いっしょにとなると、もう………夢ですよ、それは。


DVDGOで2008年2月購入 12.92ユーロ (1ユーロ=158.49円当時)


日本の鉄道ファンもこれ観たらぜったい喜ぶぜ…と思ったら、なんとちゃんと上映されていた。2004年2月8日、財団法人東日本鉄道文化財団の主催した鉄道映像フェスティバルで『The Last Train』として。すげぇよ、みなさん。いい目をお持ちだ。


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Comments

語句メモ
・tipificar: 2. tr. Dicho de una persona o de una cosa: Representar el tipo de la especie o clase a que pertenece

・partícipe: 1. adj. Que tiene parte en algo, o entra con otras a la parte en la distribución de ello. U. t. c. s.

・estatuto: 1. m. Establecimiento, regla que tiene fuerza de ley para el gobierno de un cuerpo

・pieza: 8. f. habitación (= espacio entre tabiques de una vivienda)

・en resumidas cuentas: 1. loc. adv. coloq. En conclusión o con brevedad.

・gesta: 1. f. Conjunto de hechos memorables.

・ergométrica:
→・ergometría.1. f. Medida del esfuerzo de determinados músculos o del organismo en su conjunto.

・chatarra: 3. f. coloq. Máquina o aparato viejo, que ya no funciona.

・foguista:
→・「fuego」
→・機関車の中でじゃんじゃん燃やす係の人のことだと思う。日本語でなんて言うのかよくわからない

・calesita: 1. f. And. y Am. Mer. tiovivo.

・ignominioso, sa: 1. adj. Que es ocasión o causa de ignominia.
→・ignominia: 1. f. Afrenta pública.

・idilio: 1. m. Coloquio amoroso, y, por ext., relaciones entre enamorados.

・exoneración: 1. f. Acción y efecto de exonerar
→・exonerar:
1. tr. Aliviar, descargar de peso u obligación. U. t. c. prnl.
2. tr. Separar, privar o destituir a alguien de un empleo.

・cartucho: 1. m. Carga de pólvora y municiones, o de pólvora sola, correspondiente a cada tiro de algún arma de fuego, envuelta en papel o lienzo o encerrada en un tubo metálico, para cargar de una vez.

・quitar el hipo alguien o algo: fr. coloq. Sorprender, asombrar por su hermosura o buenas cualidades.

・macana: 4. f. Arg., Perú y Ur. Hecho o situación que produce incomodidad o disgusto.5. f. coloq. Arg., Bol., Par., Perú y Ur. Mentira, desatino

・cantina:

・ウルグアイの景色が雄大すぎて行ってみたくなっちゃうのは『法王のトイレット』のときと同じ。

Posted by: Reine | Thursday, January 01, 2009 12:29

私はいつも一度観たら直後に書き始めますが、そのときに最初の10分~20分をもう一度再生することがある。人間関係・人名なんかを確認・整頓するためにね。

今回はその、確認作業という言わば事務的な再生中にホロッと涙がこぼれてしまった。本編はわりと平気で観ていたのにね。

派手な場面が無いくせに、後からじわじわと滲み出てくる作品なのだと思います。


さて、
ストーリー DVDの箱より てきとう訳
ウルグアイに残っていた19世紀の機関車をハリウッド資本が買い取った。映画撮影に使用されるというこのニュースは派手に報じられたが、「鉄道友の会」の古参メンバーは快く受け止めなかった。

機関車が米国へ移送されるのを阻止しようと決意した彼らは、少年一人をしたがえて、一世一代の奇計をめぐらす。

彼らは愛する機関車「33」を‘誘拐’したのだ。

ウルグアイ中部には長いあいだ交通網の敷設もされず時の流れからも取り残されたような村落が点在している。「国家遺産は売り渡さないぞ」と書いた幕を下げた機関車は、そんな広野をつっきって疾走する。警察の執拗な追跡をかわし、行く先々で人々の協力をあつめながら。

Posted by: Reine | Thursday, January 01, 2009 12:42

・carnero: 3. m. Arg., Par. y Ur. esquirol (= trabajador que no se adhiere a una huelga)

この単語をルッピが「カルネージョ」のように発音するから、文脈からみて「スト破り」という語義だろうとはわかっていても、単語自体を見つけるのに一つ手間がかかった。「-ll-」で探しちゃってみたからね、最初。

(アルゼンチンだとかあの辺りのRの音がときどき不思議だというのは、これまでにもカルロス・ソリン作品のときにふれました)

さて、こういうときにアッサリと探してくれるのが『CD-ROM版 スペイン王立アカデミー Diccionario de la Lengua Española』です。

語義に「huelga(スト)」を含む見出し語、っていうのを探せばきっとヒットするでしょう。このCD-ROMはそういう引き方ができる。

アカデミアのおんなじ辞書のオンライン版で同じ調べ方をしようにも、「huelga site:buscon.rae.es/draeI」で検索するしかないんじゃないかな。そして結果一覧から探すのもたいへんそう。だけど、CD-ROMだと1秒で「carnero」が見つかります。

そういう面白さがあるので、このCD-ROMはほんと、買ってよかったと思っています。


ただ、このCD-ROM、最新版が出てればそっちを買った方が当然いいですよ。私が買ったのは2003年当時のものですから。

今から私とおんなじバージョンのこれを買ってVista搭載のパソコンにインストールしようとすると、「Actualización del Diccionario de la Lengua Española en CD-ROM para las últimas versiones de los sistemas operativos. 最新OS向けアップデート」っていう手間をかけないといけない。
出版社ESPASAのサイトの「Actualizaciones DRAE」のページからいろいろダウンロードするのです。

Posted by: Reine | Friday, January 02, 2009 14:47

ここから先はストーリーに触れますから

↓↓↓↓

DVDの箱に「交通網が無くて、見捨てられたような村々」と書いてあるわけだけど、たしかに草原が広がるばっかりで、機関車の行く先々で馬に乗った人たちに出会うんだよね。他の移動手段は無いのかも? ガウチョだから?馬があれば済むの???

線路と並行している道路にパトカーが時々現れては追跡していこうとするけれども、「やつらはついてこられないよ、あそこに橋が無いから」といって機関車が逃げていくシーンもあった。

そんな具合にインフラの不備が描かれている。のだと思う。

そもそも彼らが突き進んでいるのも廃線になった?線路で、線路脇にも朽ち果てたような車庫がある。じゃぁ、この地域に住んでいた人はどうしたんだろう、現に住んでいる人はどうしているんだろう? 地方の人口は都市に流れていってしまったのだろうなあと感じた。

Posted by: Reine | Friday, January 02, 2009 16:06

映画の中の現在も2002年。(‘教授’が自分の健康診断の検査結果を眺めるシーンでたぶん日付は2002になっている)

その頃のウルグアイの様子はアジア経済研究所のこのPDFファイルを読めばわかるような気がする:
↓↓↓↓
ウルグアイにおける左派政権誕生  ―脱ネオリベラルを目指すバスケス政権―より:

(※Reine注: 2004年の)
>大統領選挙における最大の争点は,1999年のブラジル,2001年のアルゼンチンの金融危機の煽りを受けた経済をどのように立て直し,安定した成長を維持するか,また,経済危機で増加した貧困をどのように削減するかということであった。

>ウルグアイ経済は,民政移管後の1980年代中頃からおおむね順調な成長を示していた。しかし,99年を境に,第一次産品の国際価格の下落,石油価格の高騰,ブラジルにおける経済危機の影響で貿易収支が急激に悪化し,マイナス成長に転じた

>2001年には,アルゼンチンの経済金融危機と口蹄疫騒ぎが起こり,メルコスール諸国への農産品の輸出を主産業とするウルグアイ経済は大打撃を受けた。さらに,翌2002 年には,大幅なマイナス成長となり,90年代を通して安定していたインフレ率も高騰した。その結果,失業率が17%に上り,実質賃金の水準が95年の約9 割に落ち込むなど,国民生活は著しく悪化し

>1999年のブラジル,2001年のアルゼンチン経済危機は,ウルグアイのそれまでのブラジル・アルゼンチン市場依存の構造的な問題を露呈する形となり,即ウルグアイの経済危機,その深刻化として現れた。そして,経済危機とその深刻化は,失業問題の輪をかけた急速な悪化をもたらし,貧困層を増大させるものとなったのである。

>ウルグアイでは,広大な平地に恵まれ,農牧業により第二次世界大戦前まで順調な経済成長を遂げ「ヨーロッパのパンかご」と称された時代と比して現状を嘆く風潮が強いが


こういうの読むと、人々の瞳が何を訴えていたかがわかってくるような気がします。

Posted by: Reine | Friday, January 02, 2009 16:27

これは、だから、SLラブの活劇というのでも、いわゆる‘男のロマン’というのでもなくて、社会の憤りだのやるせなさだの忍耐だのを集めて燃やしてひた走る人生のドラマなのです。

「この機関車ですか? えぇ、修理するまでは鉄屑でしたよ」と笑いながらインタビューに答えたジミー・フェレイラと、「おばあちゃんの形見の宝石を誰が売っぱらうかよ!」と歌うように怒鳴った‘教授’。その対比。

ナイス爺さんたちは国の誇りを失わないためにこの‘戦争’を始めたわけだ。

Posted by: Reine | Friday, January 02, 2009 16:43

って言っても、‘男のロマン’ももちろん描かれていますよ。老いた男たちの口喧嘩ばっかりなのに強い友情の絆とか、愛する人との心の通わせ方とか、終幕に近づく覚悟の決め方とか。

男なら死ぬ前に一度でいいから言ってみたくなりそうな、女なら言ってもらいたいようなフレーズがあった。

あんな手紙読んだら、誰だって「Te quiero.」言うわ。

やばい。これ、泣ける。観終わってからもう1日半くらい経ってるのに今これを書いていてじわじわ涙が滲んでくる。

Posted by: Reine | Friday, January 02, 2009 17:03

φ(`д´)メモメモ...

・農林水産省 農村振興局整備部 
(PDF) 中南米における農業農村開発分野の協力の方向

・外務省 政府開発援助(ODA)国別データブック
ウルグアイ

・独立行政法人 日本貿易保険
(PDF) ウルグアイ東方共和国

Posted by: Reine | Friday, January 02, 2009 18:10

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