Reinas [スペイン映画]
『Chuecatown』のときにも説明したが、スペインでは2005年7月に同性婚が合法化された。先月、私の友人ミゲルも式を挙げた。その町のゲイ仲間内では早い方だったらしく、その日の朝わたしが別の友人(ゲイ)やミゲルのお姉さんに電話を入れたところ、「当人たちももちろんだけど、みんなが緊張して興奮してるんだ」と言っていた。私もね。胸に迫った。
『Reinas』は2005年の合法化に合わせるように公開された。(軽く調べてみた感じではスペインでの公開日は4月8日)
同性婚合法化の先陣を切って、20組の同性カップルがマスコミも呼び集め大々的に合同挙式を企画しているのだが、その一大イベントに参加しようという数組のゲイのカップルの‘前日から当日’を描いている。そしてただでさえ波乱含みの彼らの二日間をよりいっそう複雑にしてくれるのが、息子の晴れがましい席に駆けつけたそれぞれの母の大きな存在。
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Manuel Gómez Pereira監督の作品で、またJoaquín Oristrellが脚本に関与しているようだけれども、この二人がらみの作品の中では、私たぶんこれが一番好きだと思う。そんなことを言えるほどこの二人のを観ているわけではないのに―――全然ないのに、この先もきっとこの作品が上位に居続けるだろうと思う。こういうコメディ、好き。
来年あたりアメリカでリメイクされるようだ。ハリウッドリメイク版というジャンルに対して日頃は特に反感は抱いていない私ですが、この作品の雰囲気は……どうなのかな……、オリジナルで味わった方がいいと思うよ。どうせアメリカリメイク物を見る心づもりがおありなら、どうか先にこちらを楽しんでおいてください。お願いします。
2012.01.12 加筆
リメイクの件は消えたようね。ReinasのMovie Connectionsの欄からも消えてるわ ⇒ Reinas (2005) - Movie connections
Gustavo Salmerón グスタボ・サルメロン ... Hugo ウーゴ:
いよいよ挙式だというのにこの期に及んで母親がまだ自分のセクシャリティに理解を示してくれないことにショックを受けている。恋人ナルシッソの母親を駅まで迎えに行く。
Paco León パコ・レオン ... Narciso ナルシッソ:
今ブリュッセルにいるが仕事が長引いていて帰れない。とのこと。母ヌリアの出迎えを恋人ウーゴに依頼。
Verónica Forqué ベロニカ・フォルケ ... Nuria ヌリア:
息子ナルシッソの結婚式に電車でやってきた。ちょっと精神的に‘危うい’ところがあり、カウンセラーにかかっている。精神安定剤も手放せない。
Mercedes Sampietro メルセデス・サンピエトロ ... Helena エレナ:
判事。先輩判事が息子ウーゴたちの合同挙式を執り行うことになっている。いよいよ明日がその結婚式だというのは知っているが、長らく働きづめだったので休暇をとってどこかに行くつもりでいる。夫エクトールとの結婚は失敗だった。
Fernando Valverde フェルナンド・バルベルデ ... Héctor エクトル:
刑事。女好きの性分はエレナと結婚していた頃からのこと。
ナルシッソとウーゴ カップル
エクトールとエレナ 元夫妻
ヌリアとウーゴ 義母と婿
Carmen Maura カルメン・マウラ ... Magda マグダ:
ゲイ専用ホテルチェーンを夫と二人三脚で拡大してきたやり手の実業家。アメリカ進出計画も大詰めを迎え、夫は世界的有名高級ホテルチェーンとの交渉でアメリカにいる。今回のゲイの合同結婚式のパーティーを宣伝の絶好のチャンスととらえているマグダはここ数カ月は睡眠時間も3時間ほど。
Unax Ugalde ウナクス・ウガルデ ... Miguel ミゲル:
マグダの息子。車、服、家具調度品など、すべて高級ブランド品あるいは一点物。子供のころから犬が大嫌い。
Daniel Hendler ダニエル・エンドレル ... Óscar オスカル:
アルゼンチン出身。ミゲルとの式に合わせアルゼンチンからやってくる母を駅まで迎えに行く。一週間の滞在予定と聞いている。
Betiana Blum ベティアナ・ブルム ... Ofelia オフェーリア:
息子オスカルの式に出るためアルゼンチンからやってきた。大型犬マリリーナはドッグホテルなどに預けるとうつ病になってしまうのでスペインまで連れてきた。
Raúl Jiménez ラウル・ヒメネス ... Rafa ラファ:
自称アーティストというやつで、絵を描いたりしている。母親が有名女優で、その大豪邸に暮らしている。恋人ホナスとマンションを買おうと計画中。
Marisa Paredes マリサ・パレデス ... Reyes レージェス:
女優。アルモドバルとも仕事をしてきた。撮影・プロモーションで家を空けがちだった。豪邸の庭園の手入れはこの15年間ハシントという庭師に任せてきた。息子ラファの洋服のお下がりをハシントの息子にあげていた。
Lluís Homar リュイス・オマール ... Jacinto ハシント:
女優レージェスの庭師として15年勤務してきた。だが、これまで一歩も室内には足を踏み入れていない。息子ホナスと雇い主レージェスの息子ラファとが小さかった頃に水遊びなどで遊んでやったことがある。
Hugo Silva ウーゴ・シルバ ... Jonás ホナス:
救命隊員をしている。今日は3人の心臓発作の救助に当たった。「3人目は誰だったと思う?」。恋人ラファとは幼馴染である。いつもラファの家の庭園のブランコで二人で遊んでいた。
ホナスとラファ カップル
レージェスとハシント 有名女優と庭師
Jorge Perugorría ホルヘ・ペルゴリア ... César セサル:
マグダ経営のゲイホテルの厨房で働くキューバ人シェフ。もう長いこと妻子には会っていない。
Ginés García Millán ヒネス・ガルシア・ミリャン ... Néstor ネストル: ヌリアのカウンセラー。だが、携帯電話はいつも留守電になっておりヌリアを相当に苛立たせることとなっている。
José Luis García Pérez ホセ・ルイス・ガルシア・ペレス ... Pasajero Tren: ヌリアと電車のボックス席で向かいに座っていた男。
(コメント欄に語句メモ・ストーリーなど)
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Comments
・Reinas@IMDb
直訳: 女王様たち
・Reinas スペイン公式
・Queens (Reinas) [NON-USA FORMAT, PAL, Reg.2 Import - Spain] リージョン2
Posted by: Reine | Friday, December 12, 2008 21:32
語句メモ(この作品、語彙もスピードも簡単だと思う。言葉も面白いし。話し言葉に慣れたいという人にはいい‘教材’じゃないかな)
・「Él no tiene la culpa de tu fracaso con papá. ママがパパと結婚が失敗したのはナルシッソのせいじゃないんだからね。」
・pichón:
1. m. Pollo de la paloma casera.
2. m. afect. coloq. Persona del sexo masculino.
※[USO]: El uso de pichón, pichona aplicado a personas tiene un matiz cariñoso.
(オスカルの母親が息子のことをピチョン、ピチョンと呼ぶ。「あたしのベイビー」的な)
・perrera: 5. f. Lugar o sitio donde se guardan o encierran los perros.
・レージェスの家で両家が初めて食卓を囲もうという夜、日本食のケータリングを頼んだのはろばた
・「El mundo es un pañuelo. 世界って狭いよね」
・「No me gusta dejar las cosas a medias. 物事を途中でやめるのは好きではない」
→・a medias: 2. loc. adv. Algo, pero no del todo, incompletamente.
・「¿Te apañas bien con los palillos? お箸はだいじょうぶかしら,うまく使えますか」
→・apañar: 10. prnl. coloq. Darse maña para hacer algo.
・entre la espada y la pared
1. loc. adv. coloq. En trance de tener que decidirse por una cosa o por otra, sin escapatoria ni medio alguno de eludir el conflicto.
例) Poner, estar, hallarse entre la espada y la pared
・マリリーナが問題を起こしたあとオフェーリアが謝ったがミゲルは不機嫌な表情で立ち去ってしまった。オフェーリアが息子オスカルに愚痴をこぼす:
「Tampoco para ponerse asi. あそこまで怒るようなほどでもないわよー」「Me mira como si me quisiera matar. ミゲルったら私のことをぶっ殺したいような目で見ていたわ」
→・como si + 接続法過去
・ミゲルの超高級マンションにオスカルが来ていっしょに暮らしているわけだが、ひとたび揉め事が生じるとミゲルは「だってココは僕の家だもん」と、言ってはならないことを口にしてしまう。するとオスカルは当然怒るわね。「都合のいい時は『ココは僕たちの家だから』、都合が悪い時は『ココは僕の家だから』かよ!」と。
そして、「Y ¿yo qué?, ¿el sudaca que tuvo la suerte de conocer a un tío como tú? じゃぁ俺は何なんだよ。おまえみたいな男とうまいこと知り合えた南米野郎ってか」
→・sudaca: 1. adj. despect. coloq. Esp. suramericano. Apl. a pers., u. t. c. s.
・montar el pollo [un pollo]: frs. coloqs. Armar un escándalo
・tener buen cuajo [mucho cuajo]: frs. coloqs. Ser muy pacienzudo o pesado
・sacar las castañas del fuego: fr. coloq. Ejecutar en beneficio de alguien algo de lo que puede resultar daño o disgusto para sí.
・ser alguien un trozo de pan: fr. coloq. ser un pedazo de pan.
→・ser alguien un pedazo de pan: fr. coloq. Ser de condición afable y bondadosa.
・街を車で走っていると前方の路肩に松葉づえをついた人が手をあげて立っているのが見えた。「Ni se te ocurra parar. 車を停めようなんて考えるんじゃない→停めないで」「Yo en Bs As no pararia ni loca. 私はブエノスアイレスではぜったい停めないわ」
→・ni loco col.: De ninguna manera.
・hasta la bandera: 1. loc. adj. Dicho de un recinto para espectáculos públicos: repleto. U. t. c. loc. adv
・高級ランジェリー: La Perla
・manazas: 1. com. coloq. Torpe de manos, desmañado.
例) Ser un manazas.
・memo, ma: 1. adj. Tonto, simple, mentecato. U. t. c. s.
・「Yo no le hice gay. 僕が彼をゲイにしたわけじゃありませんよ」
・a no ser que tu digas lo contrario 違うって君が言わない限り
・a cambio de que me lleves al cine 君が映画に連れていってくれるのなら
Posted by: Reine | Saturday, December 13, 2008 15:44
ゲイ向けのホテルとは、たとえば2005年春の旅行のときに通りすぎたけれども、Hotel Axelとかさ。
さて、この辺からどうしてもストーリーに触れないと説明できないので。すみませんが
↓↓↓
マグダ経営のホテルでは厨房スタッフたちの給料への不満が高まっています。
シェフたちはホテルの正面でシュプレヒコールをあげます。その抗議の声がマグダの事務室まで聞こえてくる。途切れ途切れに聞こえてくる声を拾うとこんな感じ: 「…… revisión de los salarios …… cinco meses de ……」。
年初に昇給を約束してくれたというのに5月になってもまだ上がらないと言っているのです。そしてスピーカーの声は続く:
「Pedimos salario decente y no nos moveremos de aquí hasta que no se nos escuchen. ¡Abajo la explotación! 人並みの給料を求めているだけだ。我々の訴えを聞き入れない限りここから一歩も動かないぞ。いいかげんに搾取をやめろーーーー!」
↓↓↓
ここの「no nos moveremos de aquí hasta que NO se nos escuchen」についてセルバンテスの掲示板にはスレッドがいくつもある。
・
“No saldrás hasta que no comas”にはどうして「NO」がついているのですか
・“No abras la puerta hasta que no se identifiquen”はNOが有るのと無いのとどちらが正しいのですか
・(同じく)(NOが要るのですか
・“Ninguno se marchó hasta que NO se acabó el vino”: hasta que / hasta que no,どっちなのですか
(・expletivo: 虚辞の,冗語の)
2005年3月の、「いろいろ質問事項をまとめておいて個人授業を受けてきたスペイン里帰り旅行」のときにレストランで食事中にファミリーの娘たちと例文を幾つも作ってゴニョゴニョと読み上げてみて考え込んでいたら、どうも店中の客がいっしょになって考えちゃってたらしい、店中みんながぶつぶつ言っていたという一幕があったけど、そのときのテーマが実はこれだった。
上記のスレッド、私もまだ読み切ってはいないんだけど、あれじゃないの?
「hasta que」を「mientras」のように使っている人がいて、その互換はまあだいたい成り立ってはいるんだけれども、「mientras no …」という文脈にて単純に「hasta que NO …」と言っちゃうと、上記のような文ができあがっちゃって人々が頭を悩ますことになる、その辺の混同に原因があるんじゃなかろうか、
とかなんとか書いてある? ちょっと後で読む。正月にでも。
今書いていてなんとなく思ったのは、日本語でもおんなじようなことが起きるじゃんってこと。
「私が食べ終わらないうちはタバコ吸わないで」
「私が食べ終わるまでタバコ吸わないで」
cf. 「私が食べ終わらないまでタバコ吸わないで」
↑
こんな風に言っちゃうことってあるじゃん。話し言葉の中とかチャットとかで。意味わかるけど、頭の中、なんかグニュってなるじゃん? なんか、ちょっと似てる現象かなって思った。いや、ちょっと違うな。
Posted by: Reine | Saturday, December 13, 2008 16:11
他には…メモは…:
・「¿Quién es usted? ¿La conozco?」
ナルシッソが母ヌリアに電話をかけたが、ヌリアがのっぴきならない事情で席を外していたので、ついついオフェリアが電話に出てしまう。母だと思ってしゃべりかけたが他人だとわかってナルシッソは「貴女はどなたですか? 僕は貴女を存じ上げているのでしょうか?」と尋ねる。
このように、女の人(usted)に対して「 la 」と言ってるんだから、男の人(usted)に対しては「 lo 」と言うものなのだろうけど、「¿Le conozco?」というのも耳にすると思う。
↓↓↓
「敬意のle」とかいう項目かな。
usted で話す相手との会話において、直接目的語ということで lo とか la とか言うと、相手を指しているのかそれとも第三者(彼 / 彼女)のことを話しているのかがわかりにくくなっちゃうかもしれない。だから、第三者(彼 / 彼女)のことは「 lo / la 」で、「あなた」のことは「 le 」でそれぞれ表して紛らわしさを無くそうとする。
いくつか引用あり:
例) Ande, y discúlpelo (ここは a él), que yo en seguida LE acompaño (こっちは a usted).
(MDíez Expediente [Esp. 1992])
例) Que Dios LE acompañe y LE proteja. Yo aquí LE espero.
(Chao Altos [Méx. 1991])
例) (一人の女性に対するセリフで) ¿Quiere que LE acompañe?
(Rossetti Alevosías [Esp. 1991]).
でも、このテの「 le 」の使用例をあまり見かけない地域もあって、たとえばペルーとかアルゼンチン・ウルグアイ・チリ辺りの地域がそう。
例) LO acompaño, sargento.
(Scorza Tumba [Perú 1988]).
それと、話相手が女性の場合に「 le 」を使うのは一般的ではない(※だからナルシッソからオフェリアに対しては、「 la 」をちゃんと使っている。) でも、「 LE saluda atentamente,」みたいな挨拶の決まり文句なんかでは許容範囲とされる。
んだってさ。
というわけで、小学館西和中:
・la: 《直接目的語》 彼女[あなた]を
・le: 《スペイン》《直接目的語》《男性形》 彼[あなた]を
⇒このように le を用いるスペインの一部地域を除いては lo が一般的
・lo: 《直接目的語》《男性形》 彼[あなた]を
⇒スペインの一部の地域では,人間の男性を指す場合には le が用いられる
三省堂クラウン西和:
・la: 《女性3人称単数対格; 直接補語となる》《話し相手の人をさす》 あなたを.
例) La llamaré por teléfono a usted. 私はあなたに電話をしましょう
⇒ustedで話しかける相手について用いられる
・le: 《スペインでは人をさす場合,人称代名詞・男性単数対格 lo の代わりに用いられる》 彼を,あなたを.
・lo: 《男性3人称単数対格; 直接補語となる》《話し相手の人をさす》 あなたを.
例) Lo vi a usted ayer en la estación. 私はあなたを昨日駅で見かけました.
⇒ustedで話しかける相手について用いられる.スペインでは le が用いられる.
Posted by: Reine | Saturday, December 13, 2008 16:51
あとパラパラとMEMO
1) 『Va a ser que nadie es perfecto』の出だしと似ているイメージ(ひょっとして製作スタッフ、けっこうかぶってる?)
2) レーイェスとハシントの二家族で初めて夕食を共にするという席。雇い主レーイェスがハシントに「Usted, Jacinto, en frente. ハシントさんは私の向かいの席へ」と言うと息子ラファが「túでしゃべったこと無いの?」と驚いたように言う。
レーイェスは「それもそうね」とハシントに向き直ってあらためて「Tú ahí. あーた、そこね」と二人称で言う。ハシントもそれを受けて「Donde tú me digas. きみの言うとおりに」と二人称で応じる。
前にも言ったけどスペイン(語の)映画を観ているとこういった言葉遣いの三人称から二人称への切り替えに関するシーンが多く出てくる。私思うに、登場人物の心的距離なんかを手っ取り早く説明できるからではないかな。
3) アルゼンチンからやってきたオフェーリアの‘無邪気爆弾’っぷりが、初めのうちは観客の私もヒいてしまうほどいわゆるKYなのだけど、そのうち、「ああ、この人、悪意がまったく無いんだわ」と思えて来て可愛らしく思えてくる。このママ見てるとついついほころんじゃうんだよ。
4)ウーゴの父親エクトールは女にだらしないたちなのだと思われる。そのエクトルとウーゴが、ウーゴの姑ヌリアについてヒソヒソ話をするシーン、面白い。
子: 僕の彼氏のママをくどくのやめてよ。
父: あれはゲームだよ。それよりお前、あの人のおっぱい見たか?
子: 見てないよ。
父: 信じられんな、なんで見てないんだよ、すごいぞ。
子: 豊胸したんだろ。
父: 豊胸してたって別にいいじゃないか。
4') つづく
父: お前ほんとに女と寝たことはないのか?
子: 無いにきまってんじゃん。
父: だってお前、ガキの頃もかよ?
子: 僕はナルシッソだけなんだよ。
父: 信じられないな。
子: 信じられないだろうね。僕は変人なんだよ。
父: ママに似たんだろうよ。
父: ……でもお前、女と寝たことがないのにどうして受け付けないってわかるんだよ。
子: お父さんだって男と寝たこと無くても受け付けないってわかってるでしょ!
父:それとこれは話が別だよ。
Posted by: Reine | Tuesday, December 16, 2008 09:09
5) 女優レーイェスの家で夕食が終わり、ハシントが大麻(かな、たぶん)を吸い始めるときに「¿A ti no te importa, verdad? かまわないよね?」と承諾を求める。するとレーイェスがいっこうにかまわないといった様子で「Pues, yo he trabajado con Almodóvar. あたしはアルモドバルと仕事してきたのよ?」と答える。
6) ハシントの家からレーイェスが出てきた時、ハシントのご近所さんや友人は皆驚いて口をぽかんとあけている。「あの女優がこんなところになぜ!?」という驚き。
そして一人がやっとのことで発言する。「カルメン・マウラだ!」。(※この映画の中ではレーイェスはレーイェスという有名女優なわけだし、レーイェスを演じているのはマリサ・パレデスなわけだし、カルメン・マウラは別の役で出演しているわけだし……という可笑しさ)
こんな具合に、小ネタが面白い。だから、ハリウッドリメイクではこの辺をどう面白くしてくれるの?っていう興味および疑問が湧くところ。
IMDbのトリビアを覗くと、「マヌエル・ゴメス・ペレイラ監督はアルモドバル作品の頻出の女優―――女神たち―――をキャスティングしたかった。カルメン・マウラ、マリサ・パレデス、ベロニカ・フォルケ、そしてビクトリア・アブリル。しかしビクトリア・アブリルが断って来たので4人中3人しか起用できなかった」とある。
な?
こういうの読んでますます私はビクトリア・アブリルが嫌いになったわ。私好みの顔じゃない上にシャレのわからないつまらない女。どんな事情で断ったか知らないが。
Posted by: Reine | Tuesday, December 16, 2008 09:22
他にも書ききれないくらい会話が面白い。「ちょっと! スペインって保守政権だったでしょうが!」「こないだまでは、です」といった会話など。もっといっぱい拾ってあるのだけど、キリがないからこの辺で。
・父親と(ゲイの)息子の関係
・母親と(ゲイの)息子の関係
・姑と‘嫁’(というか婿)の関係
・結婚する二人のそれぞれの親同士の関係
そういう人間関係もセリフなんかで全部表しているから、安直っちゃ安直なのかもしれないけど、面白いよ。
それとか、彼らが自分のセクシャリティに目覚めた頃のことが、「お前が英語の先生と裸でベッドにいたのをママは目撃しちゃった」とか、「昔っから穴のあるところならどこにでも行ってたわよね、あんた」とか、「彼との出会いはサウナだったんですよ」などと語られるのも興味深く聞いた。
マグダ(カルメン・マウラ)が帰宅した時にもテレビのトーク番組では同性婚のことが話題になっている。あの当時スペインに居たならばそういった討論番組がたくさん見られたのだろうな。そして、それが映画序盤のウーゴの「この権利を獲得するためにずっと闘ってきたんだから、みんなで大々的に結婚式を挙げることが誇らしい」というセリフなんかにあらわれるわけね。
個人的にはラファが幼馴染ホナスに本当に恋しちゃっている様子で、ホナスの腕にしがみついてキャッキャキャッキャしているところや、キューバ人セサルの事情が好き。
Posted by: Reine | Tuesday, December 16, 2008 09:48