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Monday, November 03, 2008

Luna de Avellaneda [アルゼンチン映画]

luna de avellanedaAvellaneda地区のスポーツクラブ「ルナ・デ・アベジャネーダ(アベジャネーダの月)」は1959年には栄華を極め、地区の住民を何千も集めたパーティーも盛大にとりおこなわれた。その宴の真っ最中にルイシータは産気づき事務室に運び込まれた。皆が息を詰めて待っているとやがて産声が聞こえ、会場は祝福の嵐となった。

そうして生まれたロマン・マルドナードはクラブの終身会員権を与えられた。

それから40数年、工場が建ち並び栄えていたこの街はすっかり寂れ今はコンクリートでできた墓場のようである。クラブも経営難に見舞われている。かつては8000にものぼった会員数も、今は成人60人、未成年200人、そして会費を未払いの者を合わせても392人にしかならない。さらに追い打ちとなったのは15年間貸借対照表の提出を怠っていたとかいう理由で市役所から40,000ペソの罰金が科せられたことである。

クラブ創設者のドン・アキレスを始めとして、ロマンら執行部はなんとかこの難局を乗り切ろうとするが、皆それぞれに私生活ではトラブル続きで思うようにならない。そこへ、会員でもあり市の職員であるアレハンドロが一つの案を提示するが……。

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Los Lunes al Sol / 月曜日にひなたぼっこ』とか『Próxima Salida / 今夜、列車は走る』あたりと似たイメージかな。本作はあれら二作から緊張感・悲壮感を軽く抜きとった感じ。あれらと同じような切羽詰まった状況であるはずなのに、本来は「哀しげなストーリーは苦手!」と拒絶反応を示しがちな私のような者に対してもふんわりと温かく見せてくれるのは、Juan José Campanella監督、Ricardo Darín、Eduardo Blancoの3人組の得意とするところなのでしょう。

彼らの作品はだいたい安心して観ていられるので私は好き。


この作品についてはたしかMarysolさんが以前書いていらしたのを思いだしました。そうそう。2004年のハバナ映画祭で印象に残った作品だそうです。

そしてMarysolさんもまた『Luna de Avellaneda』については『今夜、列車は走る』についての記事の中で触れておいでで、なんだかおもしろく思いました。


監督: Juan José Campanella フアン・ホセ・カンパネラ
脚本: Juan José Campanella  Fernando Castets フェルナンド・カステッツ  Juan Pablo Domenech フアン・パブロ・ドメネク

出演:
Ricardo Darín リカルド・ダリン ... Román Maldonado ロマン・マルドナード
Silvia Kutika ... Verónica ベロニカ: その妻。教師。
Francisco Fernández De Rosa ... Darío ダリオ: 息子
María Victoria Biscay ... Macarena マカレナ(マカ): 娘

Eduardo Blanco エドゥアルド・ブランコ ... Amadeo Grimberg アマデオ:

Mercedes Morán メルセデス・モラン ... Graciela グラシエラ: フランス語の個人レッスンをしているらしい。離婚して一人息子を抱えて生活に窮している。前夫とは送金などをめぐって係争中。

Valeria Bertuccelli ... Cristina クリスティーナ: クラブのダンス教室の新しい先生


José Luis López Vázquez ホセ・ルイス・ロペス・バスケス ... Don Aquiles ドン・アキレス: クラブ創設者。スペインのガリシア出身

Daniel Fanego ... Alejandro アレハンドロ: 役所勤め
Alan Sabbagh ... Ismael イスマエル: 刺青の男

Micaela Moreno ... Dalma ダルマ: マカレナのお友達で川向うの貧しい地区に住む子


※たしか2006年9月に友人mona氏のスペイン旅行のときにDVDを買ってきてもらった

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Comments

創設者のドン・アキレスさんを演じているのは私が「この人が出るならだいたいたぶん好き」と思っているJose Luis Lopez Vazquezです。

「月が見たいんだ」と呟く老アキレスを見ているとホセ・ルイス・ロペス・バスケスももう高齢なんだよなというのを改めて感じてしまい、なんだか寂しくなって泣けてしまった。

86歳だもんなあ……。なんだか心配だ。

Posted by: Reine | Monday, November 03, 2008 13:39

アルゼンチン人で今スペインに住んでいる子(映画詳しい。映画の趣味がすごく合う子)がリカルド・ダリンの初監督作品『La Señal』を教えてくれたので、話のついでにきいてみた

私: あのさ……あなたリカルド・ダリンのセリフって聞きとれるの? あたし、いっつも苦労するんですけど

彼: 聞きとれるよ。げらげら。
私: 羨ましいね。

彼: アルゼンチンにいた頃は僕もリカルド・ダリンみたいにしゃべってたわけだから。スペインではスペイン語をしゃべってるけどね。

私: なるふぉど。
彼: まあ、たしかに、リカルド・ダリンはもっと口をちゃんと開けてしゃべるべきだとは思うね。

私: でしょっ? だよね? あたしが聞き取れるようにさ。
彼: なんかいっつも口ん中に熱いものでも頬張ってるようなしゃべり方だよね、彼。


ほんと、リカルド・ダリンは鬼門。

Posted by: Reine | Monday, November 03, 2008 14:29

ということで、ほとんど聞き取ってないね。英語字幕頼みだったと思う。

語句メモ
・milanesa: 3. f. Filete de carne empanado.

・certamen: 2. m. Concurso abierto para estimular con premios determinadas actividades o competiciones

・garchar: Copular.

・casetera: 1. f. Dispositivo donde se inserta la casete para su grabación o lectura.

語句メモってやってて意味あんのかなと、ときどき疑問に思っていた。多くの語は、自分が聞き取れたから書き取って調べているわけで、だとすると元からの私の語彙がこれといって増えるわけじゃないしねぇ……と立ち止まっちゃうことがある。

でも、自分が知らない語であっても聞こえてくれば書き取るわけで、それだったら語彙にプラスされるので、やっぱりやった方がいいのだろうと思い直す。

その繰り返しだったのだけど。やっぱりやっていれば増えるのだなと思った。今回の「garchar」という動詞、私の知らないはずのアルゼンチンの語彙だけど、『25 watts』の中で、その名詞形と思しき「garche」という語を調べてあったからね。

あの時、けっこう苦労して調べ出したのだけど、あれで調べてあったから今回のgarcharが聞こえてきたわけでね。ああ、こういう風に増えて行くのかと思った次第。

Posted by: Reine | Monday, November 03, 2008 14:48

一年前のちょうど明日だったのか、私がここでホセ・ルイス・ロペス・バスケスのことを気に掛けていたのは。

……なんという……偶然といえば偶然……

José Luis López Vázquezが今日の13:25(日本時間の21:25か?)に亡くなったそうで私はいま悲しい。

Q.E.P.D.

Posted by: Reine | Tuesday, November 03, 2009 00:53

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