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Monday, November 03, 2008

La Zona [メキシコ映画]

la zona わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります


始まってすぐに、「ああ、これはそういう地域の話か。それでタイトルが‘La Zona (地区)’なのか」と理解した。

「ゲーテッドコミュニティー」(時代を読む新語辞典より): 防犯のため地域全体を塀で囲んで、中に入れる人を制限する住宅地

そういう‘地区’を舞台に展開する社会派サスペンス。


おはなし
暴風雨の夜、巨大広告を留めていたワイヤが切れた。倒れた看板は高級住宅街の発電装置を直撃し、一帯の電気を停めた。すぐ近くのスラム街の廃車に屯して暇をつぶしていた少年3人が、この停電の間にこの‘要塞街’に忍び込んだ。

3人はある屋敷を物色中にその家の女主人に見つかって銃を向けられる。まもなく地区一帯に警報が鳴り響いた。

この騒ぎで目を覚ましたアレハンドロ少年がベッドを抜け出し廊下に出てみると、父ダニエルが銃を携えて表に出ようというところだった。事件のあった家には既に地域住民たちが集まって来ていた。アレハンドロ少年はそこで二人のスラム街の少年とガードマン一人の射殺死体を目撃する。

ダニエルたちの質問に被害に遭った家のメイドが答える。「侵入したのは3人でした。一人足りません」。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


生活圏が機械で制御されていて、ひょっとしたら外の世界を知らずに一生を終えることだって可能かもしれない、ひとたび中に入り込んでしまったらそのガードを破って出ることはできない、人々の一挙手一投足が監視され録画されていて、そこには独自のルールが形成されていて逃れられる者はいない……なんて、二昔前なら「それは星新一? 『ゆきとどいた生活』みたいなもの?」と思ったのかもしれないけれども、こういう生活はそろそろ現実になりうるのね?


うちの近くにだだっ広い土地が空いている。アメリカの巨額な宝くじでも当たったらそこを買い取ろうと思う(!)。それで、あぁ、そうか、地区全体をフェンスで囲ってしまえばこれはなんとたいそうなセキュリティーだこと! なんて安全な街かしら。街区、売れ売れでウハウハかな。あぁ、宝くじ300億円くらい早いとこ当てないと。

って前々から思ってたんだよね。←思ってたのか……。


だけどこの『La zona』なんて観てしまうと、やっぱりこういう街作りは考えものかもねと思わされる。そういう(高級)住宅街に住む人がみな善良で廉潔な人かって言ったら、そうでもないもんね、言われてみれば。

お金を持っていればイコール善い人かって、それ違うからね。お金があって品性下劣なんて下種はいくらでもいるので、そんな連中にこんなコミュニティに籠られて自警団でも作られた日には。

外の法が及ばないようなことを中でやらかされた場合どうするのって。こわくて不快だね。


La Zona@IMDb
直訳: 地区
『La Zona』公式というか…仏語サイト

監督: Rodrigo Plá ロドリゴ・プラ
脚本: Rodrigo Plá  Laura Santullo ラウラ・サントゥージョ

出演:
Daniel Giménez Cacho ダニエル・ヒメネス・カチョ ... Daniel ダニエル:
高級住宅街に居を構える。「警察は役に立たない」という。昔、普通に‘外界’で暮らしていた頃、兄が真昼間に撃たれたが、警察はなかなか現場に来ず、結局兄は出血多量で路上で絶命した。その後、ダニエル自身が犯人を見つけ出し警察に突き出したが、収監されたはずの犯人がなぜか3か月後には娑婆に出てき、そしてまたなぜかダニエルの前に現れた。ダニエルは激しい暴行を加えられ、肋骨三本と鎖骨を骨折、手指の骨をつぶされ、眼を殴られて網膜剥離を起こした。「奴らに私の住所を教えたのは誰だと思う」

Maribel Verdú マリベル・ベルドゥ ... Mariana マリアナ: その妻
Daniel Tovar ダニエル・トバル ... Alejandro アレハンドロ: 息子

Alan Chávez アラン・チャベス ... Miguel ミゲル: スラム街の少年

Carlos Bardem カルロス・バルデム ... Gerardo ヘラルド: 我々には武器があるじゃないか、それを使いましょうよ、正当防衛だと主張する強硬派住民。やがては、警察に通報した人間が自治会内にいるはずで、どの人がいちばん怪しいと思うかを投票しようとまで言い出す。

Marina de Tavira マリーナ・デ・タビラ ... Andrea アンドレア: 警察にお金を払えば事件は消えるものだと主張する強硬派住民。

Andrés Montiel アンドレス・モンティエル ... Diego ディエゴ: 武力を行使してでも自分たちで犯人を捕まえようと加熱する自治会において、非暴力的な解決を試みようと主張しつづけた極めて少数派の住民。

Blanca Guerra ブランカ・ゲラ ... Lucía ルシア: いったんは空気に押されるように「犯人追及」に賛成票を投じたが迷いもあり、やはり警察になにもかも話すべきではないかと提案する住民。

Mario Zaragoza マリオ・サラゴサ ... Comandante Rigoberto リゴベルト: 警察。「3人の友達があの停電の夜に高級住宅街に侵入していったけれどもそれから出てこないの」と訴えてきたスラム街の少女の証言などをもとに、ゲーテッドコミュニティーの堅牢な塀の内部を探ろうと独り立ち向かうが……


この辺の書籍はどうかな
ゲーテッド・コミュニティ―米国の要塞都市
集合住宅デモクラシー―新たなコミュニティ・ガバナンスのかたち (SEKAISHISO SEMINAR)
コミュニティ 安全と自由の戦場

というか、リストが作られていた

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Comments

でも、あたし、カメラがある社会がイヤだとか、それが人権の侵害でどうだこうだって、そういうのはよくわからない。あったらあったでいいんじゃんとも思うよ。あって困る人って何?

もう寝るからこれだけだけど。

Posted by: Reine | Tuesday, November 04, 2008 00:08

語句メモはこれだけ:
・tenis: 3. m. pl. Calzado de tipo deportivo.

Posted by: Reine | Tuesday, November 04, 2008 20:59

ああ、ずっと言い忘れてた。
「ゲーテッドコミュニティー」、スペイン語では「urbanización cerrada」

Posted by: Reine | Wednesday, November 05, 2008 23:51

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