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Sunday, November 30, 2008

REC / レック [スペイン映画]

recdanger サラっと観ただけなので注意点がいくつかありますdanger)(サラっとどころか別の作業の時にBGVとしてつけていただけ、みたいなもの)


amazon.co.jpの商品詳細より、ストーリー紹介
2007年。スペイン、バルセロナ郊外。ローカルTV局の若い女性レポーター、アンヘラはカメラマンと共に消防隊の密着取材をしていた。
深夜、老婆の叫び声を聞いたという通報を受けて現場アパートに急行すると、そこにはこの世の者とは思えぬ老婆の姿があった…。その後、突如、封鎖されるアパート。その中で拡がり出す“ある病原菌”。閉ざされた空間で、究極の恐怖に直面することとなった人々には、隠れ、逃れ、必死に生き残ろうとする以外、術がなかった。
次第に露わになる謎、明らかになるほど増していく恐怖の出来事を克明にカメラはとらえ続ける。女性レポーターとカメラマンが最後の一瞬まで記録しようとしたもの。それは、逃げ場のない、戦慄の事実。end


私、こういうジャンルを見慣れていないので、感想を書こうにも「怖かったよ」としか書けないんだよね。

「怖い」と言っても、こないだの『El Orfanato / 永遠のこどもたち』のときのようにぞわっと鳥肌が立つという種類の怖さではなくて、「はっ( ゚д゚)ハッ」「Σ(゚Д゚;)ギクッ」とするほうの怖さ。私はパソコンで窓をとても小さくして見えないようにしてチラ見ていましたが、そんなでも時々ギョッとのけ反ったりしてた。びっくり箱的怖さ。


私なんかは、「ゾンビ映画だったら、だって、『こわかった』か『つまらない』以外に書きようがあるの?」とキョトンとして立ち尽くしてしまうわけですが、こういう、まるっきり不慣れなジャンルについては、私はいつも欽司さんのブログを当てにしてしまいます。(愛読してるのです!)
↓↓↓↓
欽司さんの「欽司映画日記」から:
[●REC] モキュメンタリーゾンビ映画!出来が良いです!」。


といったわけで、『Rec』は何度か観てもたぶん楽しめると思います。私がこういう映画をあんまり観たことがないから余計に面白かったのかな。

ゾンビ映画って面白いんだね。安心して観ていられるからかね。対岸の火事という気安さがあるもんね。(本当に怖いものと言えば、やっぱり『Crónica de una fuga』などのジャンルなのだとあらためて思った)

あと、まんじゅう。

・音注意 [Rec] スペイン公式
[Rec]@IMDb
[Rec] 日本公式(←STORYの紹介文は、あれ、あんなに全部ダラダラ書いちゃっていいものなの? あそこまで公式サイトに書かれててもゾンビ映画って楽しめるの?)

監督: Jaume Balagueró ジャウマ・バラゲロ  Paco Plaza パコ・プラサ
脚本: Jaume Balagueró  Luis Berdejo ルイス・ベルデホ  Paco Plaza

出演:
Manuela Velasco マヌエラ・ベラスコ ... Ángela Vidal アンヘラ・ビダル
Akemi Goto ... Japonesa 日本人女性

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Wednesday, November 26, 2008

Verbo de percepcion con gerundio o infinitivo

Verbo de percepción con gerundio o infinitivo

karaokeみなさんこんにちは。
日本から一つおたずねいたします。

私は日本人です。
先日、日本人学習者の集まる掲示板(セルバンテスのではなくて)にて次の一文についてやりとりがありました。

"Nunca he visto a José estudiar en la biblioteca. ホセが図書館で勉強するのは見たことがない"

不定詞が―――本件だったらESTUDIARが―――現在分詞と置換できるということは皆が知っています。そのとき一人が以下の例文を挙げました:

"Nunca he visto a Maria caminando con su esposo. = Nunca he visto a Maria caminar con su esposo. マリアが旦那さんと歩いているところは見たことがない"


さてここで、この場合不定詞の方がぴったり来るという人と、いや逆だという人とが出てきて、混沌としました。

私は下記のPDFファイルの5ページ目を読んでみました。
http://cvc.cervantes.es/obref/aih/pdf/12/aih_12_1_033.pdf

しかし依然として違いが明確にわかってはいません。

1. どなたか御説明くださいますか。
2. 話者が不定詞か現在分詞のどちらかを選択する際に、「NUNCA」という副詞があるかないかがなんらかの影響を及ぼすものでしょうか。
3. 本件について文法書で説明されていましたら、どの本か教えてください。

よろしくお願いしますend

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Friday, November 21, 2008

En la puta vida [ウルグアイ映画]

en la puta vidadanger サラっと観ただけなので注意点がいくつかありますdanger)(サラっとどころか別の作業の時にBGVとしてつけていただけ、みたいなもの)(とは言うが、2回転半くらい回してもいるので案外わかってるかも)


ストーリー
エリサは母親との折り合いが悪く、口論の末、二人の息子を連れ家を飛び出した。頼れるものといったら愛人だけだったが、その男も結局は甘いセリフをその場しのぎに吐いていただけだった。

エリサは親友ルルといっしょにモンテビデオ市内に美容院を開くという夢を叶えたい一心でクラブホステスとして働き始めるが、娼婦に転身するのに時間はかからなかった。

その世界で彼女はプラシドという男と知り合い、やがては強く惹かれる。実業家だというその男はスペインとウルグアイを行き来していてずいぶんと手広く商いをしているらしかった。エリサとルルはプラシドの手引きでバルセロナに渡る。空港ではパスポートの偽造が見破られそうになったが幸い入国を許可された。

子供をウルグアイの知人に預けてきたことは身を裂かれるような思いであったが、バルセロナでは一晩に何百ドルも稼げると、夢と野心で胸は膨らむ。

しかし間もなくエリサとルルは立ちんぼとしての悲惨な現実に直面する。二人は離れて立っていろ、誰ともしゃべるな、客とは7分で終わらせろ……。苛酷な生活が始まった。

バルセロナの売春街の一角ではウルグアイ人娼婦とブラジル人トランスベスタイトの間で縄張り争いが烈しくなっていた。小競り合いの中でプラシドの撃った銃が一人の娼婦の命を奪う。刑事のマルセロはプラシドを捕えるが、凶器の拳銃が見つからないうえ、売春街に巣食う人々の口は堅く聞き込みも思ったようにいかない。

エリサが何か知っているとにらんだマルセロと、プラシドを早く釈放してほしいと願うエリサの利害が一致し、ある取引が成立した。

★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜


たぶん今年最大のいわゆる「祭り」は、毎日新聞が多くの日本人から「売日新聞」と呼ばれるに至った『変態事変』だったと思うのだけど、あの騒擾の中で、「米州機構が公式文書にて問題の変態記者ライアン・コネルの記事を引用していたこと」もちょっと話題になったこと、覚えていますか。毎日新聞まとめwikiの該当のページをさらっと読んでください。

この時に私が苛立ったのは、なぜアニータみたいな女の事例が、回り回って、言うに事欠いて「人身売買」と表現されたのか、という点でした。


世の中には売春を正業としている人がいるでしょう。副業かもしれないけどな。なんだ? その報告書だかなんだかで取りざたされていた娼婦たちは、‘ロープー’だったんじゃないのか。承知の上で、やる気で日本に来ていたんじゃないのか。どうなんだ。

ヒューマン・トラフィック』の前半だけ観たことがある。あの映画で性奴と形容するのがふさわしい境遇に閉じ込められていた娼婦たちは、外国への家族旅行で商店街でウィンドウショッピング中に白昼堂々と掻っ攫われていたり、ふつうに恋愛関係を構築した(と思った)上で出かけた旅先で、愛したはずのその男によって組織に売り飛ばされたり、そういった形で苦界に身を沈めた女たちだよ。

『ヒューマン・トラフィック』で描かれた拉致被害者と、我が国で業としての売春に従事している、「アニータ」でシンボライズされるような女たちとがおんなじように語られることに、私は違和感を覚えたわけだ。


あの手の女は「日本という国での滞在」を違法に取得しているんだよ。どこの国の人がどこの国を訪れるのであれ、「外国で過ごす期間とその過ごし方」というのは盗むことが許されるものではない。「旅行」と言って「90日」許可された入国ならば、旅行者として90日を超えないように過ごさなければならないものだ。それが社会のルールである。

それを外れるのは盗人以外のなにものでもない。

このところ毎日・TBSなんかがやたら後押ししているように見受けられるカルデロンの一件なんかもそう。その両親は「他人名義の旅券で入国」までしたんだろう。計画犯罪上等ではないか。

この一家をめぐっては嘆願書まで出されているらしいが、とんでもない話だ。そんなものに署名した人間は、あれです、「犬」って貼ってあるみたいに、玄関にシールかなんかつけといてほしいくらいだ。「へー。そーゆー人が住んでるんだな」って、私が理解した上で街を歩くことができるように。

こういうのを「かわいそー」で語るオメデタイ人間が私の周りにすぐには見当たらないことを願います。『おなじ月の下で』でも言ったけど、こういうのはかわいそーとかいう問題ではない。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


で、何の話かと言うと、エリサには同情できないという話。

初めは、もう男に体を利用されてばかりもいないぞとばかり力強く立ち上がったヒロインが、自分の夢のために泥水もガブガブ飲んでピカレスクに世を渡っていく痛快な話かと期待していたんだが、ただ、頭の悪い娼婦の話だった。

経済状況が悪くて、学のない女が、ましてや子供を二人も抱えた女が生きて行くことが日本とは比べられないほどに難しい、ほとんど不可能なのかもしれない国のお話であるというのはわかってる。それを頭に入れてもなお、この女は馬鹿だと私は思う。


エリサは売春が正業だった。
そういう世界に出入りしているプラシドという男が羽振りがいいのはいったいどんなビジネスを展開しているからなのか、見当もつかなかったとは言わせない。第一、偽造旅券の入手をあっさりとプラシドに頼んでいたじゃないですか、エリサは。

よその国での滞在を盗むにあたり良心の呵責はこれっぽっちも無かったでしょう、貴女。

そうして潜り込んだスペインではプラシドにカジノに連れていってもらって、派手に遊ばせてもらって、豪華なディナーも御馳走してもらう。自分がそうやってたかっている遊興費の出所が自分と同じような売春婦たちからのピンハネであろうと想像できなかったとでも言ってのけるつもりか。


この女のようなのはあまり「被害者」と思わない。だからエリサが訴えた主張も胸には響かず、むしろ「アニータ」へ憤りを覚えた時のような苛立ちを抱かせるものだったし、この映画のラストで示されるアピール自体にも私はほとんど心を動かされなかった。

私がこの映画から受け取ったメッセージは「外国での売春婦のおかれた状況がひどい、こんな社会を許すまじ!」ではなくて、「外国に売春しに来るようなビッチ、許すまじ!」だった。


そういう意味では私にとっては強いメッセージとなった。はからずも。

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Sunday, November 16, 2008

El Cielo Abierto [スペイン映画]

cielo abiertoストーリー
ミゲルは総合病院の精神科勤務医。妻サラが浮気をした挙句、家を出て行ってしまったため打ちのめされている。夜中にやっとサラから電話が入る。相手の男といっしょに今はトーキョーにいるらしい。ミゲルは憤り・喜び・嘆き・怨みつらみが入り混じってうまく言葉にならない。

と、サラが言う。「言い忘れていたの、本当に言い忘れていたの、ごめんなさい。うちのお母さん、あなたの病院に検査の予約を入れてあって、明日診てもらうことになってるのよ。もう今頃マドリードに着いたと思う。明日検査してもうすぐに田舎に帰るから、おねがい、今夜はとにかく面倒みてあげて。ごめんなさい」。

そうこうするうち姑エルビラが到着し、気まずい雰囲気のままともかくその夜はそれぞれ眠りについた。

翌朝、ミゲルはまだまだ最悪な気分であった。ぼんやりしていて、朝一番の患者パキートに財布を盗まれる始末。しかしパキートにものを盗られるのには慣れている。これで何度目だろうか。ミゲルはパキートの自宅を訪ねる。そこでパキートの姉、ジャスミナと顔を合わす。

赤の他人のジャスミナが係わっていくことで、ミゲルと姑エルビラの張り詰めた関係にもやがて変化の兆しが。

★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜


日本盤の作品、海外盤、古い作品、新作……と、系統が重ならないように、あるいは国籍が重ならないように、きちんとローテーションを組んでバランスよく観て行きたいと思ったりはするのだが、なかなか実現しない。その日の気分で手に取ってしまうから。

どのDVDから観て行こうかというのは本当に気まぐれ。今回はあまり調べ事をしなくて済む作品を観たかった。


映画を観るとき・DVDを買うとき私は、ジャケット写真とIMDbの評点と、IMDbの作品トップページに現れているジャンルだけで想像・判断して他のことは考えに入れないという癖があるのだけど、この『El Cielo Abierto』はその伝でいくと間違いなくラブコメであるはずだった。「Comedy/Romance」というジャンル、明るい色調の、そして男女が微笑み合って抱き合っているというジャケ写、ラブコメだよね。

でも、ちょっと予想と違ったかもしれない。思ったほどラブコメラブコメしてはいなかった。オープニングからして、ラブコメと言いがたい哀調を帯びているというか。ラブコメの定石どおりにミゲルとジャスミナが結ばれるのかどうかを見守っていくのだけど、この二人の間には越えがたい障壁がいくつもあるように思われる。作品の「その後」がいろいろと想像される。


DVDを手にとってみて主役がセルジ・ロペスだと気づく。『パンズ・ラビリンス』で、私からひたすら「こいつ早くぬっ殺されろ」と念じられていたビダル大尉。あれでセルジ・ロペスまで嫌に見えちゃったよという場合、『El Cielo Abierto』を観るとほどよく中和されるかもしれません。(そういう映画の観方はあんまりよくないとも思うけど)

彼がけっこういい感じのキスシーン・ラブシーンを演じてます。ビダル大尉、もといセルジ・ロペス。わりと湿り気の多い濡れ場。「濡れ場」って単語、どうにかなんないか。もうちょっとロマンティックな単語に置き換えたい。


El Cielo Abierto@IMDb
成句で「ver el cielo abierto / ver los cielos abiertos」というのがあり、「解決の糸口が見つかる,希望の光が見える; (助かって)ほっとする」という意味なので、そこから来ているのかと思う。

・DVDGOで3.23ユーロ(@158.4円くらい 2/19)

監督: Miguel Albaladejo ミゲル・アルバラデホ
脚本: Miguel Albaladejo  Elvira Lindo エルビラ・リンド

出演
Sergi López セルジ・ロペス ... Miguel ミゲル

Javier Dorado ハビエル・ドラード ... Paquito パキート: ミゲルの患者; ドラッグ中毒
Mariola Fuentes マリオラ・フエンテス ... Jasmina ジャスミナ: パキートの姉

Marcela Walerstein ... Sara サラ: ミゲルの妻
María José Alfonso マリア・ホセ・アルフォンソ ... Elvira エルビラ: ミゲルの妻の母

Emilio Gutiérrez Caba エミリオ・グティエレス・カバ ... David ダビッド: ミゲルと同じ病院の産科の医師
Geli Albaladejo ヘリ・アルバラデホ ... Carola カロラ: ミゲルの診療科の看護(? 事務?)

Elvira Lindo ... Belinda ベリンダ: ミゲルの患者; 盗癖

※ジャスミナの兄弟構成
長女: ジャスミナ
長男: パキート
二女: Melanie Beleña ... Tatiana タティアナ: 15歳で妊娠、出産
二男: Félix Álvarez ... Roger ←IMDbではこうなってるけど正しくはRober(かRóber)だと思う: テコンドーを習っている

三男: David Alcazar ... Israel イスラエル
タティアナの子: Ángel Alcázar ... アンヘリート

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Sunday, November 09, 2008

El Laberinto del Fauno / Pan's Labyrinth / パンズ・ラビリンス [メキシコ映画][スペイン映画]

laberinto laberinto laberinto

私はこのブログで映画作品についてだらだらと長ったらしい文を書いていますが、ストーリーのポイントにはほとんど触れないように腐心してきたつもりです。私はここで書くにあたって「如何に書かないか」を練るのに最も時間を割いている。

昨日(土曜)の朝、どうやら情報番組で『永遠のこどもたち』が紹介されたらしく、その時間帯のアクセス数が突出していた。検索ワードに「永遠のこどもたち ネタバレ」「スペイン 映画 永遠 結末」などと探して来ているのも少なからずあった。

「なめんな」と思った。これから日本で公開される作品について早々にネタバレするような人間がいると思ってこのブログにアクセスされるのは心外だ。


laberintoしかし『パンズ・ラビリンス』についてはもうかなり多くの人が観た後だろうと思うので、今回は私は、ネタバレしないようにという配慮をたぶんいつもよりは少なめに書きます。そのつもりで進んでください。(まぁ、ネタバレと言っても私のネタバレなんて可愛いもんだから)

パンズ・ラビリンス@gooからあらすじ
1944年、内戦終決後のスペイン。父を亡くした少女オフェリアは、身重の母と共にゲリラが潜む山奥で暮らし始める。そこは母が再婚したフランス軍のビダル大尉の駐屯地だった。体調の思わしくない母を労りながらも、冷酷な義父にどうしても馴染めないでいた彼女の前に妖精が現れ、森の中の迷宮へと導く。そこではパン(牧神)が王女の帰還を待っていた。オフェリアは魔法の王国に戻るために3つの試練を与えられるのだった。end


映画を観てここに書き終えるまでは情報を完全に排除したいと願っている私ですが、『パンズ・ラビリンス』に関してはRSSで拾えてしまうブログ概要などでもいやでも目に入ってしまっていたので、「口を縫う」シーンがあるっていうことだけは知っていました。だからずっと避けていた。「口縫うって何!」と、身震いしていた。

「ぜーーーったい観ない」とほぼ決めていた。(貸してくれたAbetchyも「あーた、これ、無理かもよ」と言ってくれてたことだし…)

しかし先日、IMDbで「言語にスペイン語が含まれている作品」をざっと5600作品くらい拾い集めて、さらにそこから1600作品くらいにまで削って私なりのリストを作って眺めてみたところ、得票数は『パンズ~』がダントツの1位だった。そのリストにおいては二位の作品の優にダブルスコア以上の票を集めていた。

やっぱりこれはいつまでも逃げ回ってなどいられない作品なのですねとそこで観念した。


途中何度か画面を手で覆い隠したけれども、最後まで辿り着きました。終盤はえっくえっく泣いた。登場人物が声を上げて泣き出すシーンで、私も同じタイミング・同じ調子で泣いていた。映画館でこれを鑑賞するのは私にはとても無理だったろう。

泣いて泣いて、観てからすぐに風呂に入ったがそこでもしゃくり上げて。ひっくひっくしすぎて物理的に胸が痛んだよ。悲しい悲しい現代史だった。


「いっそ殺してくれ」と乞う人がいた。「いっしょに連れて逃げてくれ」とすがる人もいた。「死んだ方がまし」というのが軽口でもぼやきでもなくて現実であり日常だった時代が、ついこないだまでスペインにあったのだね。

El laberinto del fauno/ Pan's Labyrinth ペーパーバック
Pan's Labyrinth [Soundtrack] [Import] [from UK]
Pan's Labyrinth [Soundtrack]

監督・脚本: Guillermo del Toro ギジェルモ・デル・トロ

出演:
Ivana Baquero イバナ・バケーロ ... Ofelia オフェリア
Ariadna Gil アリアドナ・ヒル ... Carmen Vidal カルメン: オフェリアの母

Sergi López セルジ・ロペス ... Captain Vidal ビダル大尉
Manolo Solo マノーロ・ソロ ... Garcés ガルセス: 部下
César Vea セサル・ベア ... Serrano セラーノ: 部下

Álex Angulo アレックス・アングーロ ... Doctor フェレイロ医師
Maribel Verdú マリベル・ベルドゥ ... Mercedes メルセデス
Roger Casamajor ... Pedro ペドロ: メルセデスの弟
Ivan Massagué ... El Tarta タルタ: 吃音の人
Gonzalo Uriarte ... Francés フランセス: 脚を悪くしている人

Doug Jones ... Fauno / Pale Man パン

(コメント欄につづく)

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Thursday, November 06, 2008

El Bosque Animado / にぎやかな森 [スペイン映画]

el bosque animado第2回ゴヤ賞(88年3月22日発表)で5部門受賞に輝いた作品。

・作品賞
・主演男優賞
・脚本賞
・音楽賞
・衣装デザイン賞

この時の主演男優賞はアルフレッド・ランダが獲得したが、ランダと言えばこの2月のゴヤ賞で栄誉賞を与えられた名優です。

これまでにスペイン人の友人からたびたび勧められてきた作品ですが、本当に面白い。


私は映画のタイトルを耳にした場合、IMDbの評点と、IMDbの作品トップページに現れているジャンルしか見ないように心掛けているのだけど、この『El Bosque Animado』はジャンルが「ファンタジー」となっているのがネックでした。ファンタジーには興味が無いんだ、私は。

ファンタジーっつうと、私はどうしても「ねーばーえんでぃんぐすとーーーーりーーーー」を思い浮かべてしまい、萎えるのです。

いや、ねーばーえんでぃんぐすとーーーーりーーーの原作には文句は無い。原作は小5の時だったか担任の先生に勧められて夢中になって一晩で読んだ覚えがある。しかし、リマールのあの歌と、80年代イコール思春期真っ只中の独特の気恥ずかしい日々が蘇るのがよくない。よくないだろう?

しかしそれだけなら私だってここまで「ファンタジー映画」に拒否反応を示すまい。まだほかに原因があるのですよ。

私の場合はね、……これ……あたしたぶん今までの人生で告白したこと無いんじゃないかな……、私の場合はですね、何の因果か、森尾由美だかだれかが主演のミュージカル版ネバーエンディングストーリーという冷え冷えとしたイベントに連れて行かれた気まずい思い出までがセットとなっているのですよ。どーよ、その心の闇。

それがゆえに四半世紀を経てもなお、「ファンタジー」と聞くだけで記憶の深く暗い淵に突き落とされるわけよ。そんなこんなで、私はジャンルに「ファンタジー」と振られている映画は後回しにするのです。


しかしこれは少なからぬ数の友人に勧められてきたのでついに観てみました。するとこれが実におもしろいのだ。諸事情あって読書という行為を頑なに拒んでいる私ですが『El Bosque Animado』は原作を読みたいと心から思いました。

タイトルに「にぎやかな森」というとおりガリシア地方の森を舞台に展開するが、森の木々がしゃべりだしたとか妖精のささやきだとかいう意味でにぎやかなのではなくて、森に暮らす人々がにぎやかなのだ。「にぎやか」というと聞こえがいいが、言いかえれば喧しく姦しく口さがないのである。

「ファンタジー」とジャンルを振られる意味もわかるが、その実、人間くささに満ちたストーリーです。貧しい暮らしの中で生きぬくために狡すっからい手間を惜しまない庶民の姿を見ていて、こういうのはたぶんピカレスクの流れなのかなと思った。


セルバンテス東京の図書館にもありましたから、ぜひ。

(つづきはコメント欄で; たぶん長くなります)

El Bosque Animado@IMDb
直訳: にぎやかな森、活気のある森
にぎやかな森@goo

監督: José Luis Cuerda ホセ・ルイス・クエルダ
原作: Wenceslao Fernández Flórez ベンセスラオ・フェルナンデス・フローレス
脚本: Rafael Azcona ラファエル・アスコーナ

2枚組DVD・メタルケース・字幕なし・8.24ユーロ(@158.4円くらい 2/19)


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Monday, November 03, 2008

La Zona [メキシコ映画]

la zonadanger わりとサラっと観たので注意点がいくつかありますdanger


始まってすぐに、「ああ、これはそういう地域の話か。それでタイトルが‘La Zona (地区)’なのか」と理解した。

「ゲーテッドコミュニティー」(時代を読む新語辞典より): 防犯のため地域全体を塀で囲んで、中に入れる人を制限する住宅地

そういう‘地区’を舞台に展開する社会派サスペンス。


おはなし
暴風雨の夜、巨大広告を留めていたワイヤが切れた。倒れた看板は高級住宅街の発電装置を直撃し、一帯の電気を停めた。すぐ近くのスラム街の廃車に屯して暇をつぶしていた少年3人が、この停電の間にこの‘要塞街’に忍び込んだ。

3人はある屋敷を物色中にその家の女主人に見つかって銃を向けられる。まもなく地区一帯に警報が鳴り響いた。

この騒ぎで目を覚ましたアレハンドロ少年がベッドを抜け出し廊下に出てみると、父ダニエルが銃を携えて表に出ようというところだった。事件のあった家には既に地域住民たちが集まって来ていた。アレハンドロ少年はそこで二人のスラム街の少年とガードマン一人の射殺死体を目撃する。

ダニエルたちの質問に被害に遭った家のメイドが答える。「侵入したのは3人でした。一人足りません」。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


生活圏が機械で制御されていて、ひょっとしたら外の世界を知らずに一生を終えることだって可能かもしれない、ひとたび中に入り込んでしまったらそのガードを破って出ることはできない、人々の一挙手一投足が監視され録画されていて、そこには独自のルールが形成されていて逃れられる者はいない……なんて、二昔前なら「それは星新一? 『ゆきとどいた生活』みたいなもの?」と思ったのかもしれないけれども、こういう生活はそろそろ現実になりうるのね?


うちの近くにだだっ広い土地が空いている。アメリカの巨額な宝くじでも当たったらそこを買い取ろうと思う(!)。それで、あぁ、そうか、地区全体をフェンスで囲ってしまえばこれはなんとたいそうなセキュリティーだこと! なんて安全な街かしら。街区、売れ売れでウハウハかな。あぁ、宝くじ300億円くらい早いとこ当てないと。

って前々から思ってたんだよね。←思ってたのか……。


だけどこの『La zona』なんて観てしまうと、やっぱりこういう街作りは考えものかもねと思わされる。そういう(高級)住宅街に住む人がみな善良で廉潔な人かって言ったら、そうでもないもんね、言われてみれば。

お金を持っていればイコール善い人かって、それ違うからね。お金があって品性下劣なんて下種はいくらでもいるので、そんな連中にこんなコミュニティに籠られて自警団でも作られた日には。

外の法が及ばないようなことを中でやらかされた場合どうするのって。こわくて不快だね。


La Zona@IMDb
直訳: 地区
『La Zona』公式というか…仏語サイト

監督: Rodrigo Plá ロドリゴ・プラ
脚本: Rodrigo Plá  Laura Santullo ラウラ・サントゥージョ

出演:
Daniel Giménez Cacho ダニエル・ヒメネス・カチョ ... Daniel ダニエル:
高級住宅街に居を構える。「警察は役に立たない」という。昔、普通に‘外界’で暮らしていた頃、兄が真昼間に撃たれたが、警察はなかなか現場に来ず、結局兄は出血多量で路上で絶命した。その後、ダニエル自身が犯人を見つけ出し警察に突き出したが、収監されたはずの犯人がなぜか3か月後には娑婆に出てき、そしてまたなぜかダニエルの前に現れた。ダニエルは激しい暴行を加えられ、肋骨三本と鎖骨を骨折、手指の骨をつぶされ、眼を殴られて網膜剥離を起こした。「奴らに私の住所を教えたのは誰だと思う」

Maribel Verdú マリベル・ベルドゥ ... Mariana マリアナ: その妻
Daniel Tovar ダニエル・トバル ... Alejandro アレハンドロ: 息子

Alan Chávez アラン・チャベス ... Miguel ミゲル: スラム街の少年

Carlos Bardem カルロス・バルデム ... Gerardo ヘラルド: 我々には武器があるじゃないか、それを使いましょうよ、正当防衛だと主張する強硬派住民。やがては、警察に通報した人間が自治会内にいるはずで、どの人がいちばん怪しいと思うかを投票しようとまで言い出す。

Marina de Tavira マリーナ・デ・タビラ ... Andrea アンドレア: 警察にお金を払えば事件は消えるものだと主張する強硬派住民。

Andrés Montiel アンドレス・モンティエル ... Diego ディエゴ: 武力を行使してでも自分たちで犯人を捕まえようと加熱する自治会において、非暴力的な解決を試みようと主張しつづけた極めて少数派の住民。

Blanca Guerra ブランカ・ゲラ ... Lucía ルシア: いったんは空気に押されるように「犯人追及」に賛成票を投じたが迷いもあり、やはり警察になにもかも話すべきではないかと提案する住民。

Mario Zaragoza マリオ・サラゴサ ... Comandante Rigoberto リゴベルト: 警察。「3人の友達があの停電の夜に高級住宅街に侵入していったけれどもそれから出てこないの」と訴えてきたスラム街の少女の証言などをもとに、ゲーテッドコミュニティーの堅牢な塀の内部を探ろうと独り立ち向かうが……


この辺の書籍はどうかな
ゲーテッド・コミュニティ―米国の要塞都市
集合住宅デモクラシー―新たなコミュニティ・ガバナンスのかたち (SEKAISHISO SEMINAR)
コミュニティ 安全と自由の戦場

というか、リストが作られていた

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Luna de Avellaneda [アルゼンチン映画]

luna de avellanedaAvellaneda地区のスポーツクラブ「ルナ・デ・アベジャネーダ(アベジャネーダの月)」は1959年には栄華を極め、地区の住民を何千も集めたパーティーも盛大にとりおこなわれた。その宴の真っ最中にルイシータは産気づき事務室に運び込まれた。皆が息を詰めて待っているとやがて産声が聞こえ、会場は祝福の嵐となった。

そうして生まれたロマン・マルドナードはクラブの終身会員権を与えられた。

それから40数年、工場が建ち並び栄えていたこの街はすっかり寂れ今はコンクリートでできた墓場のようである。クラブも経営難に見舞われている。かつては8000にものぼった会員数も、今は成人60人、未成年200人、そして会費を未払いの者を合わせても392人にしかならない。さらに追い打ちとなったのは15年間貸借対照表の提出を怠っていたとかいう理由で市役所から40,000ペソの罰金が科せられたことである。

クラブ創設者のドン・アキレスを始めとして、ロマンら執行部はなんとかこの難局を乗り切ろうとするが、皆それぞれに私生活ではトラブル続きで思うようにならない。そこへ、会員でもあり市の職員であるアレハンドロが一つの案を提示するが……。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


Los Lunes al Sol / 月曜日にひなたぼっこ』とか『Próxima Salida / 今夜、列車は走る』あたりと似たイメージかな。本作はあれら二作から緊張感・悲壮感を軽く抜きとった感じ。あれらと同じような切羽詰まった状況であるはずなのに、本来は「哀しげなストーリーは苦手!」と拒絶反応を示しがちな私のような者に対してもふんわりと温かく見せてくれるのは、Juan José Campanella監督、Ricardo Darín、Eduardo Blancoの3人組の得意とするところなのでしょう。

彼らの作品はだいたい安心して観ていられるので私は好き。


この作品についてはたしかMarysolさんが以前書いていらしたのを思いだしました。そうそう。2004年のハバナ映画祭で印象に残った作品だそうです。

そしてMarysolさんもまた『Luna de Avellaneda』については『今夜、列車は走る』についての記事の中で触れておいでで、なんだかおもしろく思いました。


監督: Juan José Campanella フアン・ホセ・カンパネラ
脚本: Juan José Campanella  Fernando Castets フェルナンド・カステッツ  Juan Pablo Domenech フアン・パブロ・ドメネク

出演:
Ricardo Darín リカルド・ダリン ... Román Maldonado ロマン・マルドナード
Silvia Kutika ... Verónica ベロニカ: その妻。教師。
Francisco Fernández De Rosa ... Darío ダリオ: 息子
María Victoria Biscay ... Macarena マカレナ(マカ): 娘

Eduardo Blanco エドゥアルド・ブランコ ... Amadeo Grimberg アマデオ:

Mercedes Morán メルセデス・モラン ... Graciela グラシエラ: フランス語の個人レッスンをしているらしい。離婚して一人息子を抱えて生活に窮している。前夫とは送金などをめぐって係争中。

Valeria Bertuccelli ... Cristina クリスティーナ: クラブのダンス教室の新しい先生


José Luis López Vázquez ホセ・ルイス・ロペス・バスケス ... Don Aquiles ドン・アキレス: クラブ創設者。スペインのガリシア出身

Daniel Fanego ... Alejandro アレハンドロ: 役所勤め
Alan Sabbagh ... Ismael イスマエル: 刺青の男

Micaela Moreno ... Dalma ダルマ: マカレナのお友達で川向うの貧しい地区に住む子


※たしか2006年9月に友人mona氏のスペイン旅行のときにDVDを買ってきてもらった

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Sunday, November 02, 2008

El Aura [アルゼンチン映画]

el auraNueve Reinas / Nine Queens 華麗なる詐欺師たち』のFabián Bielinsky ファビアン・ビエリンスキー 監督の遺作となった作品です。軽妙洒脱なコン・ゲームであった前作とがらりかわって、本作は重厚なクライムサスペンス。

ジャケット写真に見られるような深い青緑の色の中で繰り広げられる神経衰弱のような‘ゲーム’。

監督が47歳という若さで客死した(サンパウロにて、2006年)のは、かえすがえすも残念ですね。もっともっと撮りたい作品の構想があったのではないか、監督自身も無念だったのではないか。想像するだけでも口惜しい。もったいない。Q. E. P. D.


あらすじ・キャスト紹介
Ricardo Darín リカルド・ダリン ... The taxidermist 剥製職人:
寡黙で内向的な男。他人との諍いなどとは無縁の人生を送ってきた。癲癇の発作により意識を失って昏倒することがある。そんな彼はいつも完全犯罪の計画を練っているらしく、友人ソンタグにアイディアを滔々と披露した。「どいつもこいつも頭が悪いから失敗するんだ。俺は誰よりも上手くやる。俺は目に映るものすべてにいつも注意を払ってるからな」。

Alejandro Awada ... Sontag ソンタグ:
友人。主人公を狩りに誘う。しかし、見込んでいた定宿は満室で断られる。近くのカジノがこの週末で店じまいだそうで、一帯のホテルがみな満室状態だろうとのことである。定宿の主人が紹介してくれた森の奥のロッジに向かって車を走らせる。

Manuel Rodal ... Carlos Dietrich ディエトリッチ(ディートリッヒ):
森の奥のロッジの主であるらしいが姿は見えない。狩りが趣味らしく仕留めた獲物の写真や剥製がフロントに飾られている。しかし、一番の自慢とも言えそうな獲物は、写真があるだけで剥製が見当たらない。

Dolores Fonzi ドロレス・フォンシ ... Diana Dietrich ディアナ:
主人公とソンタグをフロントで迎えた若い女。ディエトリッチの娘かと思いきや妻だそうで、主人公らを少々驚かせた。

Nahuel Pérez Biscayart ... Julio フリオ:
ディアナの弟。

Walter Reyno ... Montero モンテーロ:
夜、ディエトリッチを訪ねてやってきた二人組のうち、初老の男。用心深げで眼光は鋭い。

Pablo Cedrón ... Sosa ソーサ:
モンテーロと共にやってきた若い方の男。

Rafa Castejón ... Vega ベガ:
ディエトリッチの携帯に留守電メッセージを残していた男。「話がある。Cerro Verde セロ・ベルデのことだ。」「お前の言うこともわかったけど、セロ・ベルデの件はやらなきゃしょうがない。土曜の朝なら人もほとんどいないし見張りも少ない。簡単だぞ。月曜には俺たちはあっちの仕事をしなきゃいけないわけだし。それに鍵だってもう手に入ったんだ。けっこうたいへんだったぜ。今更つぶしてくれるなよ。今もうここにある」

Jorge D'Elía ... Urien ウリエン: カジノの男



El Aura@IMDb
直訳: (病気の発作の)前兆
英題: The Aura

El Aura 公式

DVDGOで15.52ユーロ(@139円くらい? 10/8)


danger わりとサラっと観たので注意点がいくつかありますdanger

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Saturday, November 01, 2008

Esa pareja feliz [スペイン映画]

esa pareja felizEsa pareja feliz@IMDb
直訳: あの幸せなカップル


この作品については『スペイン映画史』にかなり詳しい解説があるので助かりました。


第5章 混沌の時代 1950~1961
§2 50年代のスペイン映画界の実状  から、切り貼りする:

penこの時期のスペイン映画の特徴は、フアン・デ・オルドゥーニャラディスラオ・バフダなどに代表される古い映画と、フアン・アントニオ・バルデムルイス・ガルシア・ベルランガなどに代表される、国立映画研究所を母体とする監督たちによる新しい映画とが混在した点     

pen国策に沿った形であくまでも「娯楽の王様」としての映画作りに携わった人たちと、映画を映像を用いた新たな芸術の表現手段と捉える人たちとがいたということ。その新しい流れを象徴するのが『あの幸せなカップル』の出現

penバルデムとベルランガは国立映画研究所出身の第一期生であり、50年代から続々と頭角を現してくる新しい映画人を代表する存在

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キャスト・スタッフ(『スペイン映画史』によるストーリー紹介を混ぜ合わせつつ)

監督・脚本: Juan Antonio Bardem フアン・アントニオ・バルデム Luis García Berlanga ルイス・ガルシア・ベルランガ

出演:
Fernando Fernán Gómez フェルナンド・フェルナン・ゴメス ... Juan Granados Muñoz フアン: pen 映画の撮影所で働くフアンは、ゆとりのある暮らしができるようにと通信教育でラジオ技師の資格を取ろうとしている

Elvira Quintillá エルビラ・キンティジャ ... Carmen González Fuentes その妻、カルメン: pen 働き者だが、宝くじとか懸賞の類に夢を託している

José Luis Ozores ホセ・ルイス・オソーレス ... Luis 隣人、ルイス: pen 劇場の裏方をしている

Félix Fernández フェリックス・フェルナンデス ... Rafa ラファエル
Fernando Aguirre ... Organizador 懸賞企画の案内人


フアンとルイスは、
pen エキストラのラファエルの口車に乗り、写真屋で大儲けをしようとする。フアンが撮影所からフィルムを調達し、ルイスが資金繰りをし、ラファエルが自分のカメラで撮影するはずであったが、フィルムの持ち出しがバレてフアンはクビになってしまう。おまけにラファエルの話は信用できず、ルイスも詐欺にあったと騒ぎだす。

pen そんなときカルメンが応募した石鹸会社の懸賞に当たり、二人は「幸運なカップル」として、横断幕を張った乗用車でマドリードの一流店を巡り歩き (以下略)

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(ひきつづき『スペイン映画史』による解説)
pen『あの幸せなカップル』は、コメディー・タッチを基調としながら、随所に社会批判が散りばめられている。

penフアンの働く撮影所が出てくるが、そこで撮影されているのは四十年代に数多く制作された国民意識高揚歴史映画であり

penフアンとカルメンが観に行った映画のラストのキス・シーンがカットされていて、観客の一人が「すぐカットなんだから」と文句を言う。

     Reine注: 忌々しげに「Vaya, ya han cortado el beso.」と呟く
     Reine注: ⇒当時の体制下の検閲について
     
penルイスが働いている劇場で上演しているのはサルスエラであり……略……上演の裏側を見せながらこれを茶化している。一方、主人公のフアンとカルメンの出会いから結婚、新婚生活の回想の中や現在の生活の描写の中で、それとなく時代を切り取ってみせる。

pen『あの幸せなカップル』は五一年の制作であるが、公開にこぎつけたのは二年後

pen公開された結果、特に若い世代は、国が認め普及させようとしている「公式のスペイン」「公式の文化」と「現実のスペイン」「現実の文化」との間には大きな差があることを知った。

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引用ばっかりでいけませんね。すみません。


これは2月にDVDGOで購入(そしてスペイン在住の友人宅にて預かっておいてもらい、9月に持ってきてくれました。ありがとう!) 

6.44ユーロ(@158.4円くらい 2/19)

古い作品だから仕方ないけど、音が本当に悪いです。自分は水槽の中で泳いでいて、外で人が話すのが聞こえてくる、みたいな音質。

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