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Saturday, November 01, 2008

Esa pareja feliz [スペイン映画]

esa pareja felizEsa pareja feliz@IMDb
直訳: あの幸せなカップル


この作品については『スペイン映画史』にかなり詳しい解説があるので助かりました。


第5章 混沌の時代 1950~1961
§2 50年代のスペイン映画界の実状  から、切り貼りする:

penこの時期のスペイン映画の特徴は、フアン・デ・オルドゥーニャラディスラオ・バフダなどに代表される古い映画と、フアン・アントニオ・バルデムルイス・ガルシア・ベルランガなどに代表される、国立映画研究所を母体とする監督たちによる新しい映画とが混在した点     

pen国策に沿った形であくまでも「娯楽の王様」としての映画作りに携わった人たちと、映画を映像を用いた新たな芸術の表現手段と捉える人たちとがいたということ。その新しい流れを象徴するのが『あの幸せなカップル』の出現

penバルデムとベルランガは国立映画研究所出身の第一期生であり、50年代から続々と頭角を現してくる新しい映画人を代表する存在

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キャスト・スタッフ(『スペイン映画史』によるストーリー紹介を混ぜ合わせつつ)

監督・脚本: Juan Antonio Bardem フアン・アントニオ・バルデム Luis García Berlanga ルイス・ガルシア・ベルランガ

出演:
Fernando Fernán Gómez フェルナンド・フェルナン・ゴメス ... Juan Granados Muñoz フアン: pen 映画の撮影所で働くフアンは、ゆとりのある暮らしができるようにと通信教育でラジオ技師の資格を取ろうとしている

Elvira Quintillá エルビラ・キンティジャ ... Carmen González Fuentes その妻、カルメン: pen 働き者だが、宝くじとか懸賞の類に夢を託している

José Luis Ozores ホセ・ルイス・オソーレス ... Luis 隣人、ルイス: pen 劇場の裏方をしている

Félix Fernández フェリックス・フェルナンデス ... Rafa ラファエル
Fernando Aguirre ... Organizador 懸賞企画の案内人


フアンとルイスは、
pen エキストラのラファエルの口車に乗り、写真屋で大儲けをしようとする。フアンが撮影所からフィルムを調達し、ルイスが資金繰りをし、ラファエルが自分のカメラで撮影するはずであったが、フィルムの持ち出しがバレてフアンはクビになってしまう。おまけにラファエルの話は信用できず、ルイスも詐欺にあったと騒ぎだす。

pen そんなときカルメンが応募した石鹸会社の懸賞に当たり、二人は「幸運なカップル」として、横断幕を張った乗用車でマドリードの一流店を巡り歩き (以下略)

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(ひきつづき『スペイン映画史』による解説)
pen『あの幸せなカップル』は、コメディー・タッチを基調としながら、随所に社会批判が散りばめられている。

penフアンの働く撮影所が出てくるが、そこで撮影されているのは四十年代に数多く制作された国民意識高揚歴史映画であり

penフアンとカルメンが観に行った映画のラストのキス・シーンがカットされていて、観客の一人が「すぐカットなんだから」と文句を言う。

     Reine注: 忌々しげに「Vaya, ya han cortado el beso.」と呟く
     Reine注: ⇒当時の体制下の検閲について
     
penルイスが働いている劇場で上演しているのはサルスエラであり……略……上演の裏側を見せながらこれを茶化している。一方、主人公のフアンとカルメンの出会いから結婚、新婚生活の回想の中や現在の生活の描写の中で、それとなく時代を切り取ってみせる。

pen『あの幸せなカップル』は五一年の制作であるが、公開にこぎつけたのは二年後

pen公開された結果、特に若い世代は、国が認め普及させようとしている「公式のスペイン」「公式の文化」と「現実のスペイン」「現実の文化」との間には大きな差があることを知った。

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引用ばっかりでいけませんね。すみません。


これは2月にDVDGOで購入(そしてスペイン在住の友人宅にて預かっておいてもらい、9月に持ってきてくれました。ありがとう!) 

6.44ユーロ(@158.4円くらい 2/19)

古い作品だから仕方ないけど、音が本当に悪いです。自分は水槽の中で泳いでいて、外で人が話すのが聞こえてくる、みたいな音質。

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Comments

サルスエラについて
スペインハンドブック』 より浜田先生:
第10章 音楽  §4 古典派時代(18世紀末~19世紀初頭)
penフランス軍の侵入などもあって戦乱に明け暮れた19世紀初頭はスペイン音楽にとっても受難の時代であり,前の時代までにつちかわれた舞台音楽(サルスエラやトナディーヤ)の伝統の灯もイタリア・オペラおよびフランス・オペレッタの流行の前に,ほとんど消え果てしまった.

§5 サルスエラの復興
penサルスエラは19世紀に入ってのちしばらく閑却されていたが,1850年代を期して……略……数人の作曲家により復興を見た.1856年にはこのジャンルの上演を目的とした「サルスエラ劇場」がマドリードに建立され,以後数十年間,サルスエラは同市市民にとって最上の娯楽として隆盛を見るのである.

復興されたサルスエラは過去の神話的・英雄的な雰囲気からすでに離れ,市民たちの楽しみにふさわしい,「人情もの」を主体としていた.……略……その音楽には,ほとんど常にスペイン的な色彩が溢れていた.……略……「お国ぶり」の趣をこめた節まわしや小粋なリズム型をさかんに活用し,それなりの情緒をかもし出した点において,サルスエラは十分スペイン固有の音楽としての地位を誇ることができた.

§6 近代民族楽派
penサルスエラは今世紀(Reine注: 20世紀)に入ってのち時流にふさわしい進展を遂げることができず,現在では懐古的な意味で上演されるにすぎなくなってしまった.


スペイン・ポルトガルを知る事典(私のは旧版)より浜田先生: 
サルスエラは20世紀を迎えると他の娯楽メディアの登場に押されて次第に退潮するが,現在もなお,19世紀末~20世紀初頭の黄金期に生まれた諸作が折にふれ上演され,スペイン国民が《生粋のお国ぶり》に寄せるある種のノスタルジーを満たしている.長年にわたりスペインの民衆から親しまれてきたこのジャンルには,国民性のあり方にかかわる意義が秘められているといえよう

Posted by: Reine | Saturday, November 01, 2008 at 14:14

語句メモ
・travelín
(Del ingl. traveling, viajero)
1. m. Cinem. Desplazamiento de la cámara montada sobre ruedas para acercarla al objeto, alejarla de él o seguirlo en sus movimientos.
2. m. Cinem. Plataforma móvil sobre la cual va montada dicha cámara.

・transparencia: 3. f. Cinem. Proyección sobre una pantalla transparente de imágenes móviles filmadas con antelación, que sirve de fondo a una acción real.

・revista:
6. f. Espectáculo teatral de carácter frívolo, en el que alternan números dialogados y musicales.
7. f. Espectáculo teatral consistente en una serie de cuadros sueltos, por lo común tomados de la actualidad.

・idiotez:

・a medias:
1. loc. adv. Por mitad, la mitad cada uno.
2. loc. adv. Algo, pero no del todo, incompletamente

・salir rana alguien o algo: 1. fr. coloq. defraudar.
→・defraudar:
1. tr. Privar a alguien, con abuso de su confianza o con infidelidad a las obligaciones propias, de lo que le toca de derecho.
2. tr. Frustrar, desvanecer la confianza o la esperanza que se ponía en alguien o en algo.
3. tr. Eludir o burlar el pago de los impuestos o contribuciones.

・real: (20世紀前半スペインで用いられた)レアル白銅貨(1ペセタの四分の一,25センティモに相当)

・meterse alguien donde no lo llaman [donde nadie lo llama / en lo que no le importa / en lo que no le toca / en lo que no le va ni le viene]: 1. frs. coloqs. Entremeterse, mezclarse, introducirse en lo que no le incumbe o no es de su inspección.

・caminata: 2. f. coloq. Paseo o recorrido largo y fatigoso.

・de bote en bote: loc. adj. coloq. Dicho de un sitio o de un local: Lleno de gente completamente.

・faena: 5. f. Mala pasada.
→・pasada: 17. f. coloq. Mal comportamiento de una persona con otra.
例) Una mala pasada.

・limpiar: 7. tr. coloq. Hurtar o robar algo.
例) Me limpiaron el pañuelo.

・ni por esas [ni por esas ni por esotras]: .1. locs. advs. De ninguna manera, de ningún modo.

・tarjeta de abastecimiento: 配給手帳?

・quincena: 6. f. Detención gubernativa durante quince días.

Posted by: Reine | Saturday, November 01, 2008 at 15:04

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» Muerte de un ciclista / 恐怖の逢びき [スペイン映画] [Reino de Reine]
おはなし マドリードのブルジョア階級の人妻マリア・ホセと大学で教鞭を執るフアンは愛人関係にある。二人はマドリードを離れては逢引きを重ねてきた。ある日の逢引きの後、マリア・ホセの運転する車が自転車に乗った男を轢いてしまった。 助手席からおりたフアンが駆け寄った時、その男はまだ息があった。しかし非情にも二人は瀕死の男を見捨てて車で逃げ去る。「私こわいわ」「誰も見ていなかったさ」。 この作品のストーリーは意外とあちこちの映画情報サイトで扱われているようです。日本でも公開されたからでしょうか。(されたの... [Read More]

Tracked on Wednesday, August 04, 2010 at 20:58

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