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Sunday, November 16, 2008

El Cielo Abierto [スペイン映画]

cielo abiertoストーリー
ミゲルは総合病院の精神科勤務医。妻サラが浮気をした挙句、家を出て行ってしまったため打ちのめされている。夜中にやっとサラから電話が入る。相手の男といっしょに今はトーキョーにいるらしい。ミゲルは憤り・喜び・嘆き・怨みつらみが入り混じってうまく言葉にならない。

と、サラが言う。「言い忘れていたの、本当に言い忘れていたの、ごめんなさい。うちのお母さん、あなたの病院に検査の予約を入れてあって、明日診てもらうことになってるのよ。もう今頃マドリードに着いたと思う。明日検査してもうすぐに田舎に帰るから、おねがい、今夜はとにかく面倒みてあげて。ごめんなさい」。

そうこうするうち姑エルビラが到着し、気まずい雰囲気のままともかくその夜はそれぞれ眠りについた。

翌朝、ミゲルはまだまだ最悪な気分であった。ぼんやりしていて、朝一番の患者パキートに財布を盗まれる始末。しかしパキートにものを盗られるのには慣れている。これで何度目だろうか。ミゲルはパキートの自宅を訪ねる。そこでパキートの姉、ジャスミナと顔を合わす。

赤の他人のジャスミナが係わっていくことで、ミゲルと姑エルビラの張り詰めた関係にもやがて変化の兆しが。

★゜・。。・゜゜・。。・゜☆゜・。。・゜゜・。。・゜


日本盤の作品、海外盤、古い作品、新作……と、系統が重ならないように、あるいは国籍が重ならないように、きちんとローテーションを組んでバランスよく観て行きたいと思ったりはするのだが、なかなか実現しない。その日の気分で手に取ってしまうから。

どのDVDから観て行こうかというのは本当に気まぐれ。今回はあまり調べ事をしなくて済む作品を観たかった。


映画を観るとき・DVDを買うとき私は、ジャケット写真とIMDbの評点と、IMDbの作品トップページに現れているジャンルだけで想像・判断して他のことは考えに入れないという癖があるのだけど、この『El Cielo Abierto』はその伝でいくと間違いなくラブコメであるはずだった。「Comedy/Romance」というジャンル、明るい色調の、そして男女が微笑み合って抱き合っているというジャケ写、ラブコメだよね。

でも、ちょっと予想と違ったかもしれない。思ったほどラブコメラブコメしてはいなかった。オープニングからして、ラブコメと言いがたい哀調を帯びているというか。ラブコメの定石どおりにミゲルとジャスミナが結ばれるのかどうかを見守っていくのだけど、この二人の間には越えがたい障壁がいくつもあるように思われる。作品の「その後」がいろいろと想像される。


DVDを手にとってみて主役がセルジ・ロペスだと気づく。『パンズ・ラビリンス』で、私からひたすら「こいつ早くぬっ殺されろ」と念じられていたビダル大尉。あれでセルジ・ロペスまで嫌に見えちゃったよという場合、『El Cielo Abierto』を観るとほどよく中和されるかもしれません。(そういう映画の観方はあんまりよくないとも思うけど)

彼がけっこういい感じのキスシーン・ラブシーンを演じてます。ビダル大尉、もといセルジ・ロペス。わりと湿り気の多い濡れ場。「濡れ場」って単語、どうにかなんないか。もうちょっとロマンティックな単語に置き換えたい。


El Cielo Abierto@IMDb
成句で「ver el cielo abierto / ver los cielos abiertos」というのがあり、「解決の糸口が見つかる,希望の光が見える; (助かって)ほっとする」という意味なので、そこから来ているのかと思う。

・DVDGOで3.23ユーロ(@158.4円くらい 2/19)

監督: Miguel Albaladejo ミゲル・アルバラデホ
脚本: Miguel Albaladejo  Elvira Lindo エルビラ・リンド

出演
Sergi López セルジ・ロペス ... Miguel ミゲル

Javier Dorado ハビエル・ドラード ... Paquito パキート: ミゲルの患者; ドラッグ中毒
Mariola Fuentes マリオラ・フエンテス ... Jasmina ジャスミナ: パキートの姉

Marcela Walerstein ... Sara サラ: ミゲルの妻
María José Alfonso マリア・ホセ・アルフォンソ ... Elvira エルビラ: ミゲルの妻の母

Emilio Gutiérrez Caba エミリオ・グティエレス・カバ ... David ダビッド: ミゲルと同じ病院の産科の医師
Geli Albaladejo ヘリ・アルバラデホ ... Carola カロラ: ミゲルの診療科の看護(? 事務?)

Elvira Lindo ... Belinda ベリンダ: ミゲルの患者; 盗癖

※ジャスミナの兄弟構成
長女: ジャスミナ
長男: パキート
二女: Melanie Beleña ... Tatiana タティアナ: 15歳で妊娠、出産
二男: Félix Álvarez ... Roger ←IMDbではこうなってるけど正しくはRober(かRóber)だと思う: テコンドーを習っている

三男: David Alcazar ... Israel イスラエル
タティアナの子: Ángel Alcázar ... アンヘリート

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Comments

110分、ほとんどセリフで埋め尽くされている印象。しかも早口。庶民・下町っぽい言葉遣いなども多い。

ヒアリングの素材としてはわりと上級生だと思う。字幕があるから助かるけど、気がつくと字幕を読んでいるだけになっていたし、字幕を見ているにもかかわらずセリフの一音一音が聞こえてこないことも多かった。字幕を見ているのに2度3度巻き戻さないと単語が聞こえないなんて、私ももうスペイン語はダメかもなと思ったりもしたよconfident

(それと、セリフが多すぎて字幕が追い付いていない・入りきらない箇所も幾つかあった)

語句メモ
・a lo grande: 1. loc. adv. Con abundancia de medios

・tener hora: 予約[約束]の時間

・¡Eres la víctima, siempre el bueno, el que nunca saca los pies!

・telefonillo
1. m. interfono.
2. m. portero automático

・Dios mediante: 神の思し召しがあれば,事情が許せば

・hacer carrera: 1. fr. Prosperar en sociedad

「Y no le saques punta a todo lo que digo, por favor.」
→・sacar punta a algo: 2. fr. coloq. Atribuirle malicia o significado que no tiene.

・cada dos por tres: 1. loc. adv. Con frecuencia.  

・quiste: 3. m. Med. Vejiga membranosa que se desarrolla anormalmente en diferentes regiones del cuerpo y que contiene líquido o materias alteradas

・menaje: 1. m. Conjunto de muebles y accesorios de una casa

・como por la palma de la mano: 1. loc. adv. coloq. Denota la facilidad de ejecutar o conseguir algo.

・marear alguien la perdiz: 1. fr. coloq. Hacer perder intencionadamente el tiempo en rodeos o dilaciones que retrasen u obstaculicen la resolución de un problema.

・abrir la cabeza: 1. fr. coloq. descalabrar (= herir en la cabeza).

・yayo, ya: yayo, ya:
1. m. y f. abuelo.
2. m. pl. El yayo y la yaya.

・escaquear: 3. prnl. coloq. Eludir una tarea u obligación en común

・encoñarse:
1. prnl. vulg. Dicho de un hombre: Sentir atracción sexual por una mujer hasta llegar a tener obsesión por ella.
2. prnl. vulg. Encapricharse con algo.
例) Se encoñó CON la moto y no paró hasta que la compró.

・aliciente: 1. m. Atractivo o incentivo

・guarrada: 3. f. coloq. Mala pasada

・hacer alguien la vista gorda: 1. fr. coloq. Fingir con disimulo que no ha visto algo.

・de extranjis: 2. loc. adv. De tapadillo, ocultamente.

・atar corto a alguien: 1. fr. coloq. Reprimirle, sujetarle

・mojar: 8. prnl. coloq. Comprometerse con una opción clara en un asunto conflictivo.

・madera: f. policía
・madero: 5. m. despect. vulg. Esp. Miembro del cuerpo de Policía

・requisar: 2. tr. Der. Dicho de la autoridad militar, en tiempo de guerra, o de la autoridad civil, en caso de calamidad pública: Expropiar, con efecto inmediato y sin seguir el procedimiento ordinario, cosas, derechos y servicios. 没収する,押収する

・arrocero, ra:
1. adj. Perteneciente o relativo al arroz.
2. m. y f. Persona que cultiva arroz.
(映画の中では「私って、お米、好きだから」といった使われ方だった。

・parte: 19. f. pl. Órganos de la generación.

・Él es un pinta.
→・pinta: 10. f. u. c. m. Sinvergüenza, desaprensivo.
例) Fulano es un pinta.

・dar la cara: 1. fr. Responder de los propios actos y afrontar las consecuencias.

・cruzársele los cables a alguien: 1. fr. coloq. Perder momentáneamente el juicio

・colgarse: 14. prnl. coloq. Adquirir dependencia de alguien o algo, especialmente de las drogas.

・atufar: 4. intr. coloq. heder (= despedir un olor muy malo). U. t. en sent. fig.

・Eres más pelota, tía...
→・pelota: 12. com. coloq. Persona aduladora, que hace la rosca.

・bufón de la corte
→・bufón, na: 2. m. y f. Personaje cómico encargado de divertir a reyes y cortesanos con chocarrerías y gestos.

・calimocho: 1. m. Bebida que consiste en una mezcla de vino tinto y refresco de cola.

・a la luz de: 1. loc. prepos. en vista de.

・サントラとしてはOlga Románの歌が使われているようだ。

Posted by: Reine | Sunday, November 16, 2008 at 13:34

単語や言い回しはとても面白い。上記のメモの他にも口語がふんだんに使われていてメモしきれない。それと、陳腐といえばそれまでだが、恋愛初期の典型的な会話も多いので、そういう人にとっては参考になるかもしれない。(『男と女の英会話―口説き文句で英語をゲット』や『恋する指さし会話帳』のような。←いや、これらの本の中身は知りませんがね。)

そういう語彙・フレーズを追うだけでもこの作品は楽しいかもよ。

話変わるけど、私ときどきSNSだのの「おしえてください」系のトピック・スレッドを眺めていて不思議になるんだけど、「『大好きだょ。私にとってゎすごく大切だょ。ずっといっしょにぃょぅね。いつまでも愛してるょ』ってスペイン語で何て言うんですか」とかそういう質問ね。

(あぁ、連中、「ぃょぅ」は小さく書かないわけか? 「ぃょぅ」で変換すると私の場合「(=゚ω゚)ノぃょぅ」が出てくるんだけど、可愛いよねコイツ ⇒ (=゚ω゚)ノ )


まあとにかく、ああいう女ってのは、そういう心境をスペイン語で何て言うかわからないほどのスペイン語力しか無いのに、というかはっきり言ってスペイン語力ゼロのまま‘つきあって’きたというのに、どうしてそういう心境にまで達することができたの? 言葉わからないで‘突き合って’ただけじゃないの? なのにどうしてそんなフレーズを言おうと思えるのか、そこがわからん。どんな魔法?

その程度のフレーズが言えないのなら、どんな会話をどのようにしてきてそのフレーズを言いたいという心境に到達したのか。ツッコみどころですね。

Posted by: Reine | Sunday, November 16, 2008 at 13:51

(1) 病室の隣のベッドの女性患者(とその一族)はムルシア出身なのだろうか。女性がムルシアからprimasが来るようなことを言ってたけど。これがどれくらいナチュラルな方言なのかわからないけど、すごい訛りようだ。

ジャスミナが「あのgitanaの一家の髪を結うことになった」と言うシーンがあとの方であったと思う。gitanoっぽい一族ではある。『ベンゴ』のときに私の昔の近所のことを説明したけど、あのオレンジ色の線よりも向こうの人々という風貌。

・その女性が「para que no pueda volver a estar al "laíco" de su madre.」という。
→・"laíco": これは「lado」に縮小辞がついているのだね。

どこかに書いてないかと探したけど、この辺かな:
usuarios.lycos.es/lacasadelarbol/3LetraL.htm
De 'ladico', dim. de 'lado', del latín 'latus'.
• Al laíco: (loc.) (col.): Cerquita. Muy cerca.
例) Ponte al laíco de mí y así nos calentamos los dos.


(2) ジャスミナとミゲルが急接近したのではないかと勘繰るカロラが、ああいう女には用心しなきゃとミゲルに言いたげである。

看護師カロラ: あなたって純粋なのねー。
ミゲル: 僕が純粋って、なんでだよ。
カロラ: Porque una de dos, esa tía o es muy buena, o es muy lista.

→・una de dos: 1. expr. U. para contraponer en disyuntiva dos cosas o ideas.
例) Una de dos, o te enmiendas, o rompemos las amistades.


(3) お夕食に招かれた人間がワインを持ってくる。遅れて到着した人に自らそのワインを勧める: Está feo que lo digo, pero estaba buenísimo. 持ってきといて自分で言うのもなんだが、あのワイン、すごく美味しかったんだよ。


(4) ジャスミナの兄弟が力を合わせて重い荷物をミゲルの家まで運んで来てくれた。バスを使って。4人がかりで。それに対しミゲルが、「Si llego a saber que no teníais vehículo, hubiera podido ir yo. 車が無いってわかっていたら僕が取りに行ったのに」

→・llegar a + 不定詞については「llegar a + 不定詞」のところでも説明したし、他でも説明したことがある

Posted by: Reine | Sunday, November 16, 2008 at 14:19

(5) カロラという看護師は口うるさくて強引で横柄なところもあるが、だからこそ面白くもある。出勤したミゲルに業務連絡をざっと早口で伝えたあと藪から棒に、「Tú has echao un polvo esta noche, ¿verdad? あなた、ゆうべヤったわね?」と切り込む。ミゲルは面喰らって「Carola, ¡qué bruta eres! カロラ、いきなり何を!」と言い、ヤってなどいないと否定する。

するとカロラ、「Pues tú estás muy raro para no haber follao. ヤってないにしては今日はあなた変なのよ」。

「お義母さんの経過が良好でホッとしてるせいじゃないか?」というセリフでミゲルが逃げようとすると、「Por lo de tu suegra, lo que hay que oír ... お義母さんのことでって、まーよく言うわ! Mira, a nadie se le pone esa cara que tú tienes porque hayan dicho que a su suegra le han quitado un mal rollo. いい? 姑の手術がうまくいったと言われたから、なーんていう理由で今のあなたみたいな顔をする人なんていないの!」

「Tú tienes cara de haber follao. とにかくあなた、ヤりましたって顔してんのよ」


(6) ジャスミナの家の周りは「夜になったらこんなところタクシー来てくれない」ような地区らしく、chorizo(こそ泥,かっぱらい)もうろうろしている。

マドリードの知人が自分の生まれ育った地区のことを「えっと、はっきり言っていい地区ではないです。でーもー、よくない地区の中では一番まともな地区だよ」と言っていたので思わず笑ってしまったのだが(東京で言ったら何区あたりかね)。

ジャスミナたちの地区はさしずめ「よくない地区の中でもかなりよくない地区」だと思った。二男坊ロベルの髪型・ピアス・上等とはとても言えないバイクなどなどから醸し出されるいわゆるDQNな雰囲気はわりとリアルでおもしろかった。

Posted by: Reine | Sunday, November 16, 2008 at 14:45

(7) 脚本のElvira Lindoエルビラ・リンド
はマノリートシリーズの作者。この作品では万引きのやめられない女性を演じている。

その万引き女性が「エルコルテの店内は目をつぶってても歩けるの」と言う。エルコルテでがんがん万引きしている様子を語るのだけど、映画の最後のクレジットを眺めていたら、「旅行代理店」の協力企業としてエルコルテの名前も出ていた。そういうの別にあんまり気にしないのかね。


(8) うちの子ったら食べすぎで太り過ぎでますます旦那に似てきてまったくイヤになるというお母さんが小児肥満の息子に向かって「もうボジカオは無いんだよ!」と怒鳴ったりする。ボジカオってのは有名なおやつ(bollycao; 音注意)のことだと思うけど、この文脈で商品名が出されるのって企業としてはオッケーなの? その辺、スペイン映画って神経質じゃなくておもしろいと思う。


(9) エルビラ・リンドの夫はAntonio Munoz Molina。スペイン時代の私の先生がこの人の本の愛読者だったな。


(10) ストーリーにかする
↓↓↓

ジャスミナの母親はずいぶん前に死んだ。その時、

三男イスラエルは1歳
二男ロベルは4歳
二女タティアナは6歳 
長男パキートは10歳だった

以来ジャスミナは身内の問題だのなんだのを一切合財を一人で受け止めて、幼い弟妹が何も知らぬまま過ごせるようにはからう役回りを努めなければならなかった。ジャスミナに配慮してウソをついてくれる大人など一人もいなかった。


(11) Que tú lo tengas más claro, que no quiero que me pase lo de siempre, que yo doy mi corazón entero y luego me dejan tirada.

Posted by: Reine | Sunday, November 16, 2008 at 15:12

あ。言い忘れてた。ジャスミナのセリフでは弟妹の名前にはほとんど必ず定冠詞をつけている。早口すぎるから聞こえないことも多いが、字幕ではそうなってるからそういうことなのだろう。

人名に定冠詞がついていることについては、『ボルベール』のときに説明してあった。

Posted by: Reine | Sunday, November 16, 2008 at 19:55

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