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Saturday, September 13, 2008

Encarnación / 化身 [アルゼンチン映画]

LBFF第5回スペインラテンアメリカ映画祭の作品紹介より:
B級映画のアイドルだったエルニも、中年を過ぎた今は芸能界の片隅で小さな仕事を淡々とこなすだけ。世間に忘れ去られることを恐れ、自分のブログを立ち上げる準備に余念がない。そんなある日、田舎の姪っ子アナから15歳の誕生パーティーの知らせが届き、帰省することに。あどけない少女からみずみずしい女性に変身を遂げつつあるアナと、女の盛りを過ぎた今も若さと美しさに執着するエルニの交流は、互いに新鮮な発見と変化をもたらすことに。

世代を超え“女”から“女”へと受け継がれていくものが静かな描写の中で輝く、全ての女性に贈る一本。end

(箇条書きにいろいろ)

・よかった。よかったよ。

・私にはけっこうこたえた。「きっついなあ」と思いながら観たりもした。

・シルビアさん本人とは上映後にロビーでキャッキャキャッキャとおしゃべりする機会に恵まれ、「いやぁ、よかったですよ。最後、ちょっと泣いちゃった」などと感想を述べたりしたのだけど、この女優さん本人は、彼女が演じたエルニという登場人物よりもよほど若く見えました。

・今IMDbで調べたら53歳なのか、御本人。いや、信じられない。

・映像が、それはそれはもう、きびしーーーーー(=リアルな)仕上がりになっていてだね。いやぁ、女優さんがこの主役のオファーを請けるのってあっぱれな決断だよなあと思ったよ。日本の女優のようにドラマの中で自分一人だけソフトフォーカスかけまくりなんてこと、してないわけです、彼女は。当たり前だけど。

・質疑応答の最後、彼女が「逆に私からおたずねするが、このエルニが感じていたような疎外感のようなものは日本の女性も感ずるのか」と問いかけてきた。会場からは「Sííííííííííí.」。

・そりゃ、そうだよ、「Sííííííííí.」だよ。私なんてここ数年、ほんと、エルニのような気分で来ているところだったので、この作品、ズキュンと来てしまって、いい映画だった、好きな映画だって思いながらも、やっぱりどこかドヨ~~~~ンと帰宅して、今このメモを書きとめている間、若いスペイン人男子とSkypeでチャットしてるわけだけど、愚痴りっぱなしよ、さっきからずっと。慰められ、励まされ、いたわられ、ねぎらわれ……。

・姪の顔がライトに照らされて輝くんだよな。

・私の姪がこの歳になるまであと何年かな、その時あたしは何歳かななどと考えてたら、ジワン。・゚・(ノ∀`)・゚・。 と来てしまったんだよな、ついつい。


Encarnacion@IMDb
・直訳: 権化,化身; 体現,具現(化),人間化; (キリストの)受肉,御托身,顕現

※動詞encarnar:
1. 具現化する,体現する; 具体的に表現する,象徴する
2. (俳優が)(役を)演じる


(つづきはコメント欄で)

監督: Anahí Berneri アナイ・ベルネーリ
脚本: Anahí Berneri  Mariana Dolores Espeja マリアナ・ドローレス・エスペハ  Gustavo Malajovich グスタボ・マラジョビッチ  Sergio Wolf セルヒオ・ウォルフ

出演: (※誰が誰だったか把握しきれてない)
Silvia Pérez シルビア・ペレス ... Erni エルニ
Martina Juncadella マルティーナ・フンカデーリャ ... Ana アナ (姪っ子)

Fabián Arenillas ファビアン・アレニージャス ... Jorge ホルヘ,ジョルジ (エルニの彼氏みたいな)
Luciano Cáceres ルシアノ・カセレス ... Roberto ロベルト (宿の支配人)

Inés Saavedra イネス・サアベドラ ... Dora ドーラ (エルニの妹だっけ?)
Osmar Núñez オスマール・ヌニェス ... Esteban エステバン (その夫だっけ???)

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Comments

映画祭
2008 Toronto International Film Festival
Asociación de Cronistas Cinematográficos de la Argentina
San Sebastian (PDF)
FESTIVAL INTERNACIONAL DEL NUEVO CINE LATINOAMERICANO

Posted by: Reine | Sunday, September 14, 2008 at 21:01

映画冒頭、薹(とう)が立ったというか落ち目といった不安定な年齢を迎えた女優エルニが自分の名前をググったり、過去の栄光とも言える若かりし頃の代表作の評などをLa Butacaなどの映画情報サイトで読んでいる。

ここから始まるおそらく数日の間におこる数々の出来事によって、彼女は否が応でも自分と向き合わなければいけなくなる。

そのプロセスはたいそうな苦痛を伴っただろうと思う。

外見に関して言えばたとえば白髪が増えて皺が増えて、俺たち女という生き物は、それを鏡で見てしまうたんびに命を削られるんだろう。

鶴の恩返しの鶴が「けっして私を覗かないで」って言ったのはそういうことなんじゃないかと、今そんなふざけたことを思いついたよ。私たちは羽を一本一本むしって血の滲む思いで美しい機を織ってるのね。そうしてやつれてぼろぼろになった姿を見られてしまった時に、よろよろと独り死地に向かって飛び立たなければいけないわけだ。

織った機は綺麗な思い出ってやつだよ。若く美しかった頃の私をあなたいつまでも覚えていてね、だ。それを残して去っていってしまうんだわ。なんて悲しい話だ。書いていてシクシク泣いてしまった。

で、なんの話だ?

そう、エルニだよ。エルニは姪っ子とのふれあいを経て、さぁ、どうするでしょうかと。

Posted by: Reine | Saturday, September 20, 2008 at 12:37

1) これ、観てからもう1週間以上も経ってるし一瞬だったから確信はないけど。

エルニのマンションの窓から見える建物、つまり通りの向こう側にあるのはEl Vesuvioっていう老舗のアイスクリーム屋さんじゃなかったか。


2) この映画を観てて、日の光の具合がいまいちわからなかった。朝の光なのか昼~夕方の3時4時の光なのか。時間帯がわからなかった。

朝のシーンを昼に撮ってるようだったり、その逆だったり、そんな風に見えた箇所が少なからずあって、そのたびに私は戸惑ってた。

でも、たぶん私の気のせいだと思う。

Posted by: Reine | Saturday, September 20, 2008 at 20:14

主演シルビア・ペレスさん質疑応答(+あることないこと思い出してみる)(ネタバレ的なことも含むかもしれません):

・練習に2か月、
撮影に70日、
録音など処理15日、かかった時間はそれくらい。

・経年劣化によって芸能界という場のみならず社会そのものに自分の居所がなくなっていく過程が描かれているわけだが、私自身アルゼンチンテレビ界でこれまでに多くの仕事をこなしてきて視聴者に知られる存在ではあったので、主人公エルニの人生と重なる部分はあった。

・私にとって本作はarduoでduroな(難しくつらい)仕事でした。私の芸能生活との類似性を多く見出すこととなりました。

・一躍有名になってから次第に知名度が下がっていき、外界でだんだん気づいてもらえなくなっていくなんていう苦悩は、私にも理解できる。

・タイトルの『Encarnacion』には、エルニが姪っ子アナに己の立場や才能を預けて託していくという意味合いも込められているのではないだろうか。

・知られるということが重要なのではなくて、自分自身であることこそが大事なのであると悟った。

・自分が自分でいるために私が重視して、また日々実践していることは、
一、自分のハートが感じていることに気づくこと
二、それを頭に運んで、きちんと理解すること
三、それを行動に移すこと。

「Con lo que siento, con lo que pienso, con lo que hago」で調和を図る。

・個人主義の社会では家庭を持っても友人といっしょにいても孤独を味わうなんてことはままあるだろう。その孤独とうまくつきあっていく必要がある。私の場合は瞑想をしてみたりすることで和を保っている。


※なにか彼女のコメントに対して質問者が「あなたはcreyenteなのですね」と言ったかと思う。それを通訳氏がシルビアさんに「あなたはcristianoですね」と訳したかと思う。するとシルビアさんは、「いいえ、特にこの宗教!というのを持っているわけではありません、神の存在を信じているのです」と答えていた。ように思うが、このころはもうメモをとっていなかったのでよく覚えていない。詳細に覚えてるわけではないがこんな一幕があったにはあった。

・この役を演じたことで「シルビア・ペレス」の名は再び広く知られるところとなった。彼女を再び押し上げた作品と言える。

Posted by: Reine | Saturday, September 20, 2008 at 20:54

他人様のブログでネタばれ的なコメントをしてしまいますが(そして、まだこの映画をご覧になってない方は、このコメントを読まないことをお勧めしたいのですが)、

(以下、ネタばれ)

映画の最後の方で、自分の部屋に戻ったエルニが、青く塗り直された壁に映画のポスターを貼るシーンがありますよね。

あれ、何の映画だろう?と思って、三回目に観た時に(←三回も観たのかよ)念入りに確認したところ、最初の方のシーンで検索結果に出てくる "La Buena Tierra" のポスターなんですよね。

そして、YouTubeで見かけた映像で確認したところ、"La Buena Tierra" はエルニのデビュー作ということのようです。

その上で、あのラストシーンを考えてみると、ちょっとグッとくるものがありましたね。

Posted by: abetchy | Thursday, October 02, 2008 at 01:17

あぁそうだ、abetchy、これありがとう。
このあいだこれをabetchyから教わって、「そしたらそれコメント欄に書いておくわ」って言ったのに忘れてたわ。

いや、忘れていたというか、どうやって書くか悩んで棚上げにしていたのを相談するのを忘れてたわ。

これ重要だよね。
自分のデビュー作(代表作)のポスターを、真っ青な壁に貼ってさ、過去と向き合うような、自分の生きてきた歳月を直視するような姿勢を見せて〆るんだもんな。

この映画、爽やかだったな。

Posted by: Reine | Thursday, October 02, 2008 at 12:26

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2001年、アルゼンチン。 ベバはずっと裕福な暮らしを送ってきた。美容クリームの会社を興してひと頃は羽振り良くやっていたが、国の経済が破綻した今、彼女の家計も火の車である。母の遺産も別れた夫と自分とで... [Read More]

Tracked on Saturday, December 27, 2008 at 21:44

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