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Thursday, September 18, 2008

Ó Paí, Ó / オーパイオー [ブラジル映画]

LBFF第5回スペインラテンアメリカ映画祭の作品紹介より:
ブラジル東北部のバイア州。一大観光地へと姿を変えつつある、黒人奴隷の歴史を象徴する州都サルバドルはカーニバル最終日を迎え色めき立っていた。貧しくても陽気に生きる、ペロウリーニョ広場近くの住人たちもまたしかり。しかし、カーニバル嫌いの厳格な大家がお祭り騒ぎに対抗し断水を決行したことで大騒ぎに!

満載のバイア・カルチャーと、歌、踊り、そして恋に溢れたカーニバルの一日を背景に、庶民の活気ある生活が鮮明に描かれる。主演は『マダム・サタ』のラザロ・ハモス、音楽はカエターノ・ヴェローゾが担当。華やかなカーニバルのフィナーレに待っていたのは・・・。end

私個人的には、非常に懐かしく耳慣れた音楽で、それについては満ち足りました。15年前に学園祭で演った曲なんかもあり、思わず口ずさんでた。懐かしかったね。やっぱりブラジル音楽っていいだろ? どうよ?という気持ちに浸った。


ただ…なんというかな。「弱ったな、これ、感想を書きにくいわ」と思った。

「貧困なんてなんのその」「明るくたくましく生きる庶民がどうのこうの」「そして怒涛のサウンドがなんだかんだ!」「しかし、やがて訪れるどうのこうのがああだこうだ」みたいなclicheをならべれば作文一つ仕上がる、それだったら楽に書けるんだけれども。

そういうんじゃない気分に辿り着いてしまった場合、はて困った、と。私の心や頭の中でモゾモゾしているこの「いらだち」に似た感情を、どういう言葉で表現すると角が立たないんだろうかと。考え込んだよ。

考え込んだ結果が↓こんな具合だ。


なんか、こう……もうちょっとみんなしっかりしてくれないか! と、じれったかった。

私なんかは、もしも自分の国の民の日常生活がああいう、…んーっと…「はちゃめちゃ」な感じ?に描かれている映画を観たら、よしんばそれが真実の姿だったとしても、居心地悪さ・きまり悪さをおぼえるだろうと思ったんだが。ブラジルの人たちはこれを観ていったいどう感じたんだろう?と疑問が湧いた。


Timbaladaが『Cada Cabeça É Um Mundo』に収録の「Camisinha」で、「コンドーム使えよ!」って歌っていたのは、だって、何年だよ? 94年か。あれから13~14年経ってもまだこの作品の冒頭でラジオから流れるメッセージは「コンドーム使え」だったじゃない。

なんつうか、そういう、啓蒙?みたいなもんがまだまだ足りてないのかしら、まぁそうよね、時間かかるわよねって感じられて、避妊大臣の私としては頭を抱えた。

たとえば、何年生になってもウチの子ときたらまったくもう!という気持ちにも似て。授業参観で母さん赤っ恥かいたよ、どうしてくれるんだい、と。「てめぇの馬鹿さ加減には、父ちゃん情けなくて涙が出てくらぁ(by あばれはっちゃく)」な気分。


もう、いいかげんコンドーム使ってくれと。(←え? 映画の感想がそれ?)


いや、もっといろいろと計画的に日々の暮らしを営んで人生を渡っていってくれまいかと。

「なにかにつけ、もっと‘律する’ことはできないものかと思った」とブラジルに詳しい友人(後輩…ものすごく歳の離れた後輩)に言ったところ:

pen多分、それ、「律することのできる社会」が美しいとは思ってないんじゃないかと。 ……略…… あれがよさというかすごさなのかなと自分は思いましたend


「あぁ、そうか、そうだよな、そうかflair」と、眠りに落ちる直前のチャットだったのだけども、一瞬目が覚めた。ありがとう。これで観方が変わるわ。ありがとう。

私は情動とか欲求を排除・抑制・黙殺して生きるように努めて来た(つもりでいる)のだけど、この人々から迸るものをすぐに受け止められなかったのは、そのせいなのだと思う。


(つづきはコメント欄で)


Ó Paí, Ó@IMDb

O Pai O サントラ

監督: Monique Gardenberg モニカ・ガルデンバルギ
脚本: Monique Gardenberg  Márcio Meirelles

出演: (間違いあるかも)
Lázaro Ramos ラザロ・ハモス ... Roque ホッキ

Luciana Souza ルシアナ・ソウザ ... Dona Joana ジョアナ (厳格な大家)
Felipe Fernandes フェリペ・フェルナンデス ... Damião (ジョアナの長男)
Vinícius Nascimento ヴィニシウス・ナシメント ... Cosme コズメ (ジョアナの二男)

Tânia Tôko ... Neuzão da Rocha ネウザ (barの女主人; 女だよね? レズビアンだよね?; 次長課長河本似)
Emanuelle Araújo ... Rosa ホーザ (ネウザのとこにJuazeiroかどこかから遊びに来てる美人)

Auristela Sá アウリステラ・サー ... Carmem カルメン(ジョアナの店子; 堕胎医; また、養子をたくさん育てている)
Dira Paes ヂラ・パエス ... Psilene ピシ (妹; ヨーロッパ帰り)

Érico Brás エリコ・ブラス ... Reginaldo ヘジナウド (ジョアナの店子; タクシー運転手)
Valdinéia Soriano ... Maria マリア (身重の妻)
Lyu Arisson ... Yolanda ヨランダ (ヘジナウドにお熱のニューハーフ?)

Wagner Moura ... Boca ボカ (ホッキのところに仕事を頼んでいる男; 『オイビシクレッタ』の父さんよね?)

Stênio Garcia ... Seu Jerônimo ジェロニモさん (商店主)
Edvana Carvalho ... Lúcia ルシア (そこで呼び込みしている女; 外国に憧れ)

Merry Batista メリ・バチスタ ... Dalva ダウヴァ (ジョアナの教会通い友達)

Virginia Rodrigues ... Biocentão (ビヨンセsign02

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Comments

メモ……って言っても、鑑賞中にとってたメモは、上記の↑役名と人物関係を把握するためのメモが大半で、特になにかここに書くようなものはないな。語句にしたって、どこでどのような語彙として聞こえてきたんだか思い出せないし。というか聞けてないし。

・maconha: 大麻,マリファナ

・bagunçar: vtd 1 pop Fazer bagunça, desordem, anarquia.
→ ・bagunça: sf. 1. gír Confusão,
desordem, embaraço.

・gringo: sm (cast gringo) pej 1 Estrangeiro louro ou ruivo. これはスペイン語から入った語なんだね。で、「pejorativo」なのね。

・「Onde comem □人, comen (□+1)人.」というフレーズはポルトガル語でも同じだね。直訳すると「3人食べる場所では4人食べる」というような。「3人も4人もいっしょじゃありませんか」と。

・acarajé: sm (acará1+ioruba je, comer) Folc Abará, ao qual se acrescentam camarões e muita pimenta, ficando assim mais suculento. Prato da culinária afro-brasileira. インゲン豆の粉を練ってヤシ油で揚げたもの.

⇒ ちなみにアカラジェは先週閉じてしまったそうですね。そのニュース聞いた時、すんごい遠い目しちゃったよ。

・bundão: sm aum (bunda+ão2)
→ ・bunda: 尻,臀部

増大辞ついてるんだからシンプルに考えて「デカっ尻」だよね。

この伝でいくと、・「peitão」は「peito + ão」なわけだよね。「デカパイ」か。

……ああ…なんか思い出したぞ……。
昔、男友達(日本人)数人が私に向かって「bundão」「bundão」とからかっていたわけで、そんなことは別に気に留めやしなかったのですが、一人が小声で「bucetão……」と言ったのだけはキッと振り向いて「てめぇ…angry」となりました。だってbucetaに増大辞つけられるなんて、そんな屈辱、無いでしょうが。


何の話だよ。映画の話したいよ。


って言っても、これ以上特に何を聞き取ったわけでもないしな…。かなり終盤の方まで、ほんと、人物の把握メモばっかりなんだよ。「ネウザ=河本」とか走り書きしてあるような。

Posted by: Reine | Saturday, September 27, 2008 at 20:34

えーっと、あとなにかメモしておくことは…

1) 映画の中ではこの地区について「昔は黒人の街だったけど今は白人が我が物顔」とか「ペロウリーニョ(広場)は黒人の掃き溜めだったけど今は秩序がある」などなどというセリフがあったと思う。

・PDF 東京大学大学院総合文化研究科附属アメリカ研究資料センター ニューズレター
6ページ: クレオール文化とミドルクラス
ブラジル、サルヴァドル市の調査から


2) カンドンブレって何っていう

・PDF 世界各地における諸宗教間対話
>ブラジルは……略……「世界最大のカトリック国」と呼ばれているにもかかわらず、……略……カトリック教会は縮小している。……略……アフロ・ブラジリアンの諸宗教のような「心霊主義的」運動の根強い伝統も存在する……略……これらの宗教の中で最も重要なカンドンブレは、黒人人口が多いバイアのずっと大きい黒人住民の間でよりも南部に広まっている。

>……略……彼ら独自の宗教的あり方を守りながらキリスト教徒であると公言するカンドンブレのような運動の指導者の中に現在も存続している。程度の差こそあれ、二重所属という現象はこの国のいたるところで見出される(おそらく北東地域のカトリック信者に最も著しく見られはするが)


伝統宗教「カンドンブレ」の聖職者 - ブラジル (AFPBB News)


海外職業訓練会 ブラジル
>ブラジルの宗教人口分布の正確な数字ははっきりしないという、それぞれの宗教が誇大に信者数を誇示したり、ひとりが複数の宗教の信者であることが多いからである。
>ブラジルでは宗教間或いは宗派による抗争はない。


・本の内容は知らないけど
バイーア・ブラック―ブラジルの中のアフリカを探して (TRAJAL Books)

Posted by: Reine | Saturday, September 27, 2008 at 21:25

3) あのぅ……つかぬことをお聞きしますが…。私、メモで忙しすぎて追い付かなかったのですが、新聞記事を読んで皆が子供がまた撃たれて(?)3人も(?)死んだらしいと話題にしていましたが、その被害者の子供たちはなんで死んだと言ってましたか?

流れ弾で死んだとか言ってた?
それとも殺されたと言ってた?

「殺された」としたら、それはストリートチルドレンだったから“始末”されたと解釈をすればよいのですか? (たとえば下に挙げるPDFの一節が語っているように)


・PDF 特定非営利活動法人HANDS 第2 回HANDS セミナー

>3.以前本を読んだとき、一般の人々には、ブラジルのストリート・チルドレンは抹殺すべき対象で保護すべき対象とは見られていないとあったのですが、今もそうなのですか。

>ブラジルのストリート・チルドレンの大量抹殺事件はかつてマスコミを騒がしました。今でも小規模では起こることと思いますが、大分改善されたような印象があります。


・PDF カトリック戸塚教会 教会だより 2007年10月
5ページ目
>彼らは一般的に、社会から必要な保護や愛情を受取るどころか邪魔者、犯罪者とみなされてしまうのです。サンパウロの他の有力紙によると、過去4 年間サンパウロ市内だけで1,053 人の未成年者が殺されているという事です。そして子供たち自身“町にいる子どもがいつ消えても、自分がいつそうなってもおかしくない”と言っています。


・これらも私は内容を知りませんが
風みたいな、ぼくの生命―ブラジルのストリート・チルドレン (PQブックス)
・『リオの路上から―イボネと子供たち

・後者の訳者、宮川智恵子氏のサイトより、ストリートチルドレン関連リンク集


などなど。

外国人観光客向け(?)の店の主人ジェロニモが、5人の子持ちで借りた金を返せそうにないという警官に対し、「返済はもういいから、その代わりこの店の前で商売の邪魔になる小僧らを追い払ってくれ」と頼むのだけど、あれを深く追っていくとこういう社会問題に辿り着くということなのでしょうか?

Posted by: Reine | Saturday, September 27, 2008 at 21:56

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