Ciclo de cine chileno / 『ベッドの中で』他、チリ映画上映会 [チリ映画]
セルバンテス文化センターのチリ映画上映会(※どちらの作品も日本語字幕で上映)
『PLAY』
クリスティーナは故郷を離れ独り都会で暮らす。「私を知っている人なんてこの街にほとんどいない」。病身の独居老人ミロスさんの家に住み込み、介護をしている。寝たきりのミロスさんに『National Geographic』を読み聞かせてあげるのも仕事の一つである。自由になる時間があればゲーセンでStreet Fighter IIに興ずる。そして街を歩く。「街を歩くのが好きなの」。「変わってるって言われたことはあるわね」。
ミロスさんのマンションのすぐ近くに公園がある。清掃人マヌエルのそばをクリスティーナが通り過ぎる瞬間、二人の視線がぶつかった。
ある朝いつものようにゴミ捨てに出たクリスティーナは焼却炉の蓋を開け、そこに洒落たビジネスバッグを発見する。好奇心から持って帰ってしまった。彼女は自分の小さな部屋で、バッグの中身を床に並べてみるのだった。
トリスタンはイレーネとの離婚が決まったところである。その夜、当てもなく街をうろつくトリスタンはとんだ災難に見舞われた。翌朝路上で目を覚ますと、昨夜仕事場を出る時にはたしかに肩から提げていたビジネスバッグが消えていた。
ところどころ時間が前後する造り。
なので、たった50時間前に観た映画なのにけっこう混乱してるぞ。どういう順番で何が起きて、だからココまでは書いてよくてココから先は伏せておこう…っていう作文を練るのに障壁となっている。
終わった瞬間の感情としては「ちょっと寂しかったかなぁ…」だった。
しかし、ここ要注意なんだが、他の人は(まったく)そんな風には感じなかったかもしれないのだ。私は基本的に生活と人生を見つめる目に悲哀フィルターの濃い奴がかかってしまっているので、この映画もそう見えてしまっただけのことかもしれない。
他の人はあのエンディングの情景に、彼女・彼らの明るく幸せで活力みなぎる明日を見たかもしれない。
『En la cama / ベッドの中で』
男と女がモーテルでセックスをし終えたところ。
「あのさ、君、苗字はなんだったっけ?」「あなた、私の名前、思い出せないんでしょ」
「何言ってんの。そんなんじゃなくて」「だってそれって、オサレに名前を聞き出すための常套手段よ」
「わかった。わかりましたよ。そうだよ」「へー、あなた、あたしが誰だかもわからないのにセックスしてたのね?」
「いや、君が誰だかはわかってるってば。ただ名前を忘れただけだって」
「あたし、名前についての本を持っててね…」「俺の名前は何だって書いてあった?」
「えっとね、『クラウディオ』はね…」「ちょっと待った。俺の名前、クラウディオじゃないよ」
二人は互いに名乗った。男はブルーノ。女はダニエラ。「どうも。はじめまして」「はじめまして」。
モーテルの部屋で二人の会話は続く。セックスをしてしゃべってセックスをしてしゃべって。時計の針は少しずつ進む。
『ルシアとSEX』なんかケチョンケチョンに言ってきた私のことですから、それじゃぁ、こんなセックスシーン高パーセンテージの作品もどうせまた気に入らないんじゃないかって思っていたのですが、さにあらず。
気に入ってしまった。というか、終盤、大泣きに泣いてしまった。
ただし、これ↑はたぶん例によって私の目に悲哀フィルターの濃い奴がかかっていたせいなので、泣く映画だなんて思って観ない方がいいと思いますよ、ということは書いておきたい。
Abetchyたちと話しながら帰って来たんだが、「いや、まぁ、Reineが大泣きしていたシーンは、たしかに、客席にそれなりの神妙な空気が漂っていたけども。いた・け・ど・も」「よっぽどなんかツボに入っちゃったんだなあと、『あー、泣いてんなあ』と思ってた」とのことでした。
私もいったい何であんなに涙が出たのかわかんなくって、我ながら戸惑ってた。
ダニエラとブルーノの目の動きを追って、二人の会話を聞きながら、何かを想像しまたは考察して、それで悲しくなって泣けてきたわけじゃないんだ。
私は何かを‘思い出して’いたんだ。ダニエラとブルーノの今後を想って泣いたんじゃない、私自身のこれまでが思い出されて、涙が止められなくなった。
私は自覚してる以上に疲れているのだと思う。
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Comments
・PLAY@IMDb
監督・脚本: Alicia Scherson アリシア・シェルソン
出演:
Viviana Herrera ビビアナ・エレーラ ... Cristina Llancaqueo クリスティーナ・ジャンカケオ(介護士)
Andres Ulloa アンドレス・ウジョア ... Tristán Greenberg トリスタン・グリーンベルグ(ある夫)
Aline Küppenheim ... Irene イレーネ(その妻)
Coca Guazzini ... Laura ラウラ(トリスタンの母)
Jorge Alis ... Ricardo (トリスタンの母の情夫)
Francisco Copello ... Milos ミロスさん(クリスティーナが介護している老人)
Juan Pablo Quezada ... Manuel マヌエル(近所の清掃夫)
Andrei Slobodianik ... Ruso ロシア人
※「Cinematography (撮影) by Ricardo DeAngelis」なのだが、それは劇中のリカルド(情夫)の役名と同じ。だったと思う。最後、クレジット眺めてて気づいた。
Posted by: Reine | Wednesday, June 18, 2008 23:59
・En la cama@IMDb
直訳: ベッドで
英題: In Bed
・En la cama 公式?
監督: Matías Bize マティアス・ビセ
脚本: Julio Rojas フリオ・ロハス
出演:
Blanca Lewin ブランカ・レビン ... Daniela ダニエラ
Gonzalo Valenzuela ゴンサロ・バレンスエラ ... Bruno ブルーノ
Posted by: Reine | Thursday, June 19, 2008 00:04
『PLAY』のクリスティーナが電話で故郷のお母さんとしゃべっている言語はマプチェ語というものらしい。(マプチェ語@Wikipedia)
Posted by: Reine | Thursday, June 19, 2008 00:41
『PLAY』 語句メモなど(語彙は特にそんなにメモるようなのは無かったような…)
・pololo: 1. m. Bol. y Chile. Hombre que sigue o pretende a una mujer.
・pieza: 8. f. habitación (‖ espacio entre tabiques de una vivienda).
・multiorgásmico, ca
・どこでかかってたか思い出せないけど、たぶんCompay Segundoの『Morir de Amor』(Duets)
あとで読むと良さそう
・Alicia Scherson監督との対談記事
・こちらも(別の記者によるもの)(←こちらはPDF)
Posted by: Reine | Saturday, June 21, 2008 00:39
『En la cama』 語句メモなど
・pololo(前出)
・ラジオから流れてきた曲に合わせてダニエラが口パクで歌いながら踊ってみせる。曲はSupernovaの『Herida』(『Retráctate』に収録)
・モーテルはMotel Cozumel (Vicuña Mackenna)じゃないかと思うのだけど、内装が映画と違うんだよなあ。
Posted by: Reine | Saturday, June 21, 2008 11:25
この2作品を観て、チリのスペイン語は2人称の活用がちょっと違うんだなと思ったので、調べた。
・PDFファイル: チリのスペイン語の特徴 VOL.2
>チリのスペイン語の文法で独特なのはtu よりも親しい間柄で次のような動詞の活用が存在することである……略……
・LA CONJUGACIÓN EN EL ESPAÑOL DE CHILE
Posted by: Reine | Saturday, June 21, 2008 11:36
ストーリーのおさらい
『En la cama』の会話の流れを忘れないようにメモっておこうと思う。ちょっと調べてきた
・名前について
(上述の、互いの名前を探る会話から始まって、名は体をあらわすよねとかそういう話)
↓
・握手について
(手を強く握る女が好きだ)
↓
・衛生について
(このシーツ誰が寝たかわかんない / 除菌シート常備 / 両親の離婚)
↓
・ラブホについて
(都市伝説 / 前にも来たことがあるか / ロドリゴと来て喧嘩になった / 浮気症で病的な嘘つき / バックパッカーをナンパ / ロドリゴより優しかった)
↓
・映画について
(映画の分類 / 映画愛好者の分類 / どんな映画を作ろう / キャンディキャンディのアンソニーとテリー)
↓
・回復するのを待つ
↓
・『Herida』をかけて踊る
↓
・まだ回復しないので逆立ち
(買い物は性的欲求の代替 / イったふり / 男はマヌアル、女はデジタル)
↓
・首マッサージ
(来週博士課程でベルギーに行く / 元カノとは遠恋が原因で終わった / こういうカジュアルな関係)
↓
・名前間違える
↓
・破れてた
↓
・帰ろう
↓
・神様信じる?
(神がいるなら飛行機は何故落ちる? 幼児は何故失踪する? 神はずいぶん凶悪じゃないか / でも今こうして私たちがいっしょにいるのも何かのエネルギーによってこうなったのよ)
↓
・ダニエラに電話
(鳥顔の男 / じゃぁ俺が君を喰ったんじゃなくて君が俺を喰ったんだ? さっきのエネルギーがどうとかいう話はなんだったんだよ)
↓
・傷について
(盲腸 / この傷は車の事故でできた。親父に愛されてるんだってその時はじめて思った。弟の方が大事なんだと思ってた。いっつも弟のことばかりだったから)
↓
・ブルーノに電話
(摂食障害)
(※このあと、私がグラッグラ揺さぶられるクダリが始まる)
(ので、ストーリーを書き出すのはここで止めとく)
Posted by: Reine | Saturday, June 21, 2008 12:42
『Play』について
帰り道にアリ・ババ39さんのお話をうかがって、それが面白かったです。
『En la cama』について
たった二人の会話だけでいったいどーーーーすんだろって、序盤は心配になったんだけど、それだけの設定で85分をガンガン運んでいくね。いや、面白かった。
テレ東かNHK衛星第二の平日深夜なんかでやってくれないかな。たぶん実況は盛り上がる。冒頭から「エロキタ━━━ヽ(∀゚ )人(゚∀゚)人( ゚∀)ノ━━━ !!!」だし、「( ゚∀゚)o彡°おっぱい!おっぱい!」だし。
だがしかし
もしももしも本当にこの作品が放送されるような日が来たら、その時は20代30代以上の女性陣に是非とも観ていただきたい。10代20代の男子が目ぇギラギラさせて'`ァ,、ァ(*´Д`*)'`ァ,、ァ言いながら盛り上がるための作品なんでしょなどと切り捨てることなく、どうか大人の皆さんが観てください。
女の私はダニエラの視点で会話を‘観て’いたけど、それじゃ男性陣はブルーノの身になっていたのでしょうか? 男性客の感想を知りたいと思いました。
Posted by: Reine | Saturday, June 21, 2008 13:14
"En la cama"は期待以上に良い作品で、観に行って正解だったなーと思いました。国内でDVD販売して欲しいな。買いますよ。(誰に向かって言ってるんだ。)
この映画の場面設定は、イーサン・ホークとウマ・サーマンの「テープ」みたいだな・・と思ったんだけど、「テープ」は本当にもう閉塞感がたまらなかったんだけど、"En la cama"は、頼む、このままずっとこの設定のままで・・という気分だった。それで全然飽きなかったので、随分練れた脚本なんだろうなぁと、今、改めて感じてます。
どういう視点で見たかということについては、自分はそれほどブルーノに、というか、あの二人に、そこまで感情移入せずに、ちょっと引いた視線で、あの二人の心情の揺れについてずっと考えてた気がする。そして、(この次に決定的にネタバレ的なことを書きますよ)この二人は二度と会ったり、連絡を取り合ったりしない方が幸せじゃないだろうか、と思った。なんていうの、あーいうシチュエーションだからこそ、あそこまで感情が盛り上がっちゃう、正直な気持ちの吐露まで出来ちゃったってことでしょ。
ネタ的なことを。非常口の表示が「SEXIT」で、オサレ!と思った。あと、「床を踏んだら世界の終わり」。
Posted by: abetchy | Monday, June 23, 2008 23:16
スペイン語をしゃべっているようだが聞き取れるところは僅か。小生74歳の男性、この歳でEn la camaを見て何かしんみりしてしまった。自分の人生の過去の姿、既に若くは無いが未だ未来を夢見ていた時期、しかしばら色の夢は既にはかなく消えより現実的で小さな幸せを結婚を通じて掴もうとするそんな人生の一時期の切ない思い出である。
Posted by: Koki Kojima | Sunday, November 11, 2012 22:51