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Friday, January 04, 2008

¿Hola, estás sola? [スペイン映画]

hola, estas solaもう10年以上も前になるのか、スペインの学校で何度か観た。『El Sur』で15歳になったエストレージャを演じていたIcíar Bollaínが監督した作品です。長編としては彼女の最初の作品。

私の手元にあるこのビデオはどうしたんだっけ? 私が買って帰ってきたPALを友人mona氏にNTSCにダビングしてもらったのかな??? (いつもthx!) 音質・画質はけっこう劣化しちゃってたな。10年以上経ってるからね。今世紀初頭に再生したのが最後だったからな。mona氏も、家にあるビデオ、早く観ちゃった方がいいですよ。溶けてるかもよ。

絵も不鮮明だからこれまで気づかなかったけど、主人公ニーニャのふにゃふにゃした彼氏役でDaniel Guzmánが出ていたんだな。(『Aunque tu no lo sepas』の‘番長’っぷりが印象強くてけっこう好きになっちゃってんのよ)

それと、IMDbで配役を眺めていて、『漆黒のような深い青』の兄ちゃん役だったAntonio de la Torreも出てたのかー!とこのたび知って、それがわかってて観ていたはずなのに気づかないまま終わっちゃったよ。この映画は登場人物が少ないので、「だって、彼だったとしたら‘あの人’しかいないじゃん。え? マジで? うそー。んな、無い、無い」と言いながらテープを巻き戻して頭から早送りして見直したらやっぱり‘あの人’だった。イヤー、気づかなかった。

Antonio de la Torreはマラガ弁ネイティブという理由もあって起用されたんだろうか。なんてことを考えた。そう、この映画、途中からはマラガ(トレモリーノス)が舞台になるのでね。


主人公ニーニャはバジャドリーに住む二十歳くらいの女の子。言わばニートです。何をするでもない娘に対し父は自分の経営する店を手伝うか何か学校でも行って勉強するようにと日ごろから口を酸っぱくしている。ある朝ニーニャは恋人と裸でベッドにいるところを父親に見つかり、いつもよりも激しく叱責される。今後は小遣いなどびた一文やらんと言われたので、荷物をまとめて家を出てしまう。

友人のトリニもちょうどアパートを叩き出されることになったので二人は「金持ちになる」ためにどこかへ行くことにする。荷造りをしているところへニーニャの彼氏がやってきた。

「私たち行くから」
  ―― (゚Д゚)ハァ?」
「金持ちになるの」

  ―― ( ゚Д゚) どうやって?
「それは着いてから考えるわ」
  ―― あぁ、うん、着いてからね。って、どこに?

「あぁ、そうだ。どこにする?」
「あんた、北と南とどっちがいいと思う?」
  ―― 俺は南はよく知らない

「北って寒いわよね」
「北はやめようよ」
「あたし、ビーチに行きたい!」

グラナダのアルハンブラの獅子の中庭など、スペイン各地の名所の写真が載っているカレンダーをトリニはめくっている。

  ―― 俺はカディスがいいね。第一グラナダにはビーチは無いよ。
「じゃ、これは?」
  ―― それはマラガ。トレモリーノスだろ

「マラガじゃ誰も働いちゃいないのよ。みんなヤシの木の下で一年中ダラダラしてるんだよ」


行き先はトレモリーノスに決まった。
「切符は?」「切符は高すぎ」。

車運車に積載された自動車の鍵をトリニがごちょごちょいじくっているとやがてカチンとあいた。南へ向かう列車の(上の車の)中で語らううち、ニーニャはトリニの孤独な生い立ちを少しだけ知らされた。トリニは施設で育ち脱走したこともある。父の顔を知らない。母にもほとんど会ったことがない。「他にやることがあったんでしょ」とだけ言うとトリニは窓の外を見て黙り込んでしまった。

トリニもまたニーニャの孤独を少しずつ知っていく。「 ニーニャ、あんた、マドリードにお母さんがいるって? なんでそれを早く言わなかったの? だったらマドリードに行こうよ」とトリニははしゃいだ。きっとそこには‘母’のいる‘家’があるから。

暗い瞳で「あんなオンナ」と吐き捨てたニーニャの横っ面を、トリニは思わず張りとばしていた。


二人の行く先に素敵な絵がたくさん架かっていて、この子たちはその絵に近づこうとするんだけど、足元をちゃんと確かめていないもんだから床に落ちている画鋲を踏んづけてばかりいる。画鋲を踏むたんびに痛い痛いと泣き沈み、悪態をついて当り散らす。でもそうやっていくうちにいつか素朴な絵を自分で描けるようになるんじゃない?

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


・(スペイン映画)
Hola, ¿estás sola? @IMDb
・直訳: ねぇ、貴女独り?
・英題: Hi, Are You Alone?

監督: Icíar Bollaín イシアル・ボジャイン
脚本: Julio Medem フリオ・メデム  Icíar Bollaín

出演:
Silke シルケ ... Niña ニーニャ
Candela Peña カンデラ・ペーニャ ... Trini トリニ
Álex Angulo アレックス・アングーロ ... Pepe ペペ
Elena Irureta エレナ・イルレタ ... Mariló マリロー (ニーニャの母)
Arcadi Levin アルカディ・レビン ... Olaf オラフ (ロシア人)
Daniel Guzmán ダニエル・グスマン ... Novio (ニーニャの彼氏)


大昔、このオリジナルシナリオ本(右)を買って帰国したのでした。(1800ペセタ; 円が0.9掛けくらいだった頃かな)

後でちょっと説明するけど、セリフなどが実際の映画とおんなじっていうわけではないです。

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Comments

語句メモ
・internado: 寄宿舎

・tricotar: intr. Hacer punto a mano o con máquina tejedora. U. t. c. tr.

・morro: 8. m. coloq. Descaro, desfachatez.

・pringado, da: m. y f. coloq. Persona que se deja engañar fácilmente. ちょろい

・borde: 2. adj. coloq. Esquinado, impertinente, antipático. U. t. c. s.

・perra: 5. f. coloq. Dinero, riqueza. U. m. en pl.
例) Tener perras.

・mono, na: adj. coloq. Dicho especialmente de los niños y de las cosas pequeñas y delicadas: Bonito, lindo, gracioso.

・cuatro: 2. adj. U. con valor indeterminado para indicar escasa cantidad.
例) Cuatro letras.
例) Cuatro palabras.

・hostia: 3. f. vulg. malson. Golpe, trastazo, bofetada.

・asunto terminado: もう済んだこと

・pelado, da: 3. adj. Dicho de una persona: Pobre o sin dinero. U. t. c. s.

・sopa boba: 2. f. Vida holgazana y a expensas de otro.
例) Comer la sopa boba.
例) Andar a la sopa boba.

・putón.(Del aum. de puta): m. despect. coloq. Mujer de costumbres sexuales muy libres.

・cuatro gatos: m. pl. despect. Poca gente y sin importancia.

・refuerzo:
3. m. Ayuda, socorro o complemento. Clases de refuerzo. Refuerzo vitamínico.
4. m. Persona o conjunto de personas que se unen a otras para aportar su fuerza o eficacia. U. m. en pl.

Posted by: Reine | Friday, January 04, 2008 at 14:05

(1) マドリードについた二人は、ニーニャの母が経営している美容院を外から覗く。ろくに確かめもせず「いないよ、行こう」と立ち去ろうとするニーニャをトリニが呼び止める。「誰かいるってば。電気ついてるもん」。

「電気ついてるもん」的文脈だとついつい「Está encendida ~」とか言いたくなっちゃうんだけれども、そしてオリジナルシナリオ本にも「Las luces están encendidas.」と書いてあるんだけれども、トリニ(カンデラ・ペーニャ)が実際に発した言葉はシンプルに「Hay luz.」。


(2) ニーニャはディスコでスペイン語を一言も話せないロシア人の若者をナンパする。そのクラブはSilikonaだな。(実際はここはどうなの? ディスコ/クラブっていうよか、ライブハウスって感じなの? マドリードは私は合計5日くらいしかいたことないから知らん)


(3) ニーニャはそのガイジンを連れて家に戻った。トリニは目を覚まし男の姿に驚く。オリジナルシナリオ本では「¿De dónde has sacao ese king-kong?」となっている。彼がものすごく長身だからだろうか。しかし、実際のセリフは「¿De dónde has sacao a este San José?」と言ってるようだ。これはどういうことなんだろう? 単にこの若者のルックスがSan Joseっぽいということか?

Posted by: Reine | Friday, January 04, 2008 at 14:25

(4) 翌朝ニーニャが買い物に出ていた間にトリニはその若者と何をどうしゃべったか知らないが‘会話'をしたらしく、「オラフはきっとマドリード観光したいと思うのよ」と言う。

ニ: ちょ、ちょっと、オラフって誰のことよ。それに観光したいってどうしてわかんのよ?

ト: じゃぁ何て名前なんですかー?

ニ: 知らないわよ

ト: オラフって名前なんですー。外国人だから観光したいに決まってるじゃない。だからね、あたしはね、まずゼロKm地点(=プエルタ・デル・ソル; 日本橋みたいな地点)に行ってね、それからロープウェイに乗ってね………

オリジナルシナリオ本では、「キラッキラしてるエルコルテイングレス(※デパート)にまず行かないと」となっている。そっちの方がおのぼりさんっぽくて面白いけどな。

Posted by: Reine | Friday, January 04, 2008 at 14:27

別のシーンでのトリニとニーニャの会話:

ト: 直接訊いてみなさいよ
ニ: 訊きたくなんかないわ

ト: 訊かなきゃわからないでしょうが
ニ: 私が質問するんじゃなくてあっちが私に話してくれるべきことでしょ

ト: 聞かれもしないことをわざわざペラペラしゃべりだす人なんていないでしょうが
ニ:私は知りたいんであって尋ねたいんじゃないの! 

ト: 知りたかったら尋ねないと始まらないでしょうが


性格の違いがこの会話にも、オラフを泊めた時の対応にもくっきりと出てる。ニーニャは自分から接近してナンパしてきて連れ帰ったというのに名前も知らない。一方、言葉が全く通じないはずのオラフから、朝だけのほんの短い時間だけで名前を聞き出すところまでトリニは漕ぎつけちゃうわけだ。

ニーニャに足りないのは相手に正面から向かうトリニの姿勢。トリニに備わる愛嬌がもうちょっとでもニーニャにあればもう少し楽に人と接することができるのに。

そしてトリニに足りないのは、もうちょっとの慎重性。ニーニャにはありすぎる他人への警戒心。他人の懐に喜んで飛び込むその性格が災いしていつか深く傷ついてしまいそうで心配になる。

二人は補完し合ってるんだわな。

Posted by: Reine | Friday, January 04, 2008 at 14:35

会話は微笑ましいよ。

(1) 行き先をトレモリーノス(マラガ)に決めた。「マラガじゃヤシの木の下で年中だらだらしてる」とトリニが言うと、ニーニャや彼氏は「ヤシの木なんか無いよー」と言った。さて、トレモリーノスの浜辺に到着した時のトリニの第一声は、「ほらーーー、ヤシの木あんじゃーーん!」


(2) そのヤシの木に寄りかかって新聞SUR(=南)の求人欄を読み上げる。

・「女性求ム。18歳~25歳。リラックスの相手。経験者優遇。固定給500000……!!!」「バカ、それって風俗だってば」

・「ホテルで働きませんか。イベント司会のお仕事です。ルックス重視、創造力、英語力」「ルックスは私がいるから良しとして、英語はあんたで……この‘そうぞうりょく’って何? 何のため?」「創造すんじゃん?」「仕事を勝手に作っちゃうわけ?」

Posted by: Reine | Friday, January 04, 2008 at 14:54

トリニをアパートから追い出すことにした大家はさっそく次の店子を探さないといけない。新しい住人が部屋を見に来ていたが、たぶんアフリカ系移民だったな。「papeles legales はちゃんと持ってるでしょうね? (=合法なんでしょうね)」などと尋ねていた。

マドリードで知り合ったオラフは一言もスペイン語の話せないロシア人だった。出稼ぎで建築現場で働いていたな。(ロシア人の出稼ぎ労働者というと、『Los lunes al sol』でもそういう人いたよね)

本作の公開は1995年。

その辺を踏まえてたとえばこういう記事(PDF)を読むとまた何か新しい観方ができるかもしれません。

LA SOCIEDAD ESPAÑOLA Y LA INMIGRACIÓN EXTRANJERA

まぁ、そこまで手を伸ばす必要はまったく無いと思ってるんだけどね。なんかいつもより書くことが少ないような気がしたので、とりあえず埋めてみたかったっていうか。

フランコ体制の終焉だとか、出生率が低下したとか、経済協力開発機構の加盟国ごとの全人口に占める外国人の率だとか、1990年から1999年までの10年間をみるとスペインは外国移民の増加率ではヨーロッパ第3位だったとか、○年当時の外国移民と△年当時のそれとを比較すると出自国の分布に変化が見られ…とかなんとか、いろいろ書いてあるようだから。

Posted by: Reine | Friday, January 04, 2008 at 15:17

あ、そうだ。大事なこと書き忘れてた。
「グラナダには海が無い」とニーニャの彼氏は言ったし、そのように思ってる人はアンダルシア在住経験者でもいっぱいいるし、私もそう感じてたんだけどね。

グラナダ‘県’は海なし県ではありませんからね。(Provincias de Espanaの図

私の友人の家もグラナダ県の住所だけど、そこに行く時はずーーーーーっと海岸線を走って、海の見えるバス停で降りて、降りたところの小さいレストランで海を見ながらご飯食べて、迎えに来てくれるのを待ったものです。

※ニーニャとトリニはValladolidの人でしたからね。「海に行きたい!」となったのもわかる気がする。

Posted by: Reine | Friday, January 04, 2008 at 19:49

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