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Thursday, November 29, 2007

Los Goya / ゴヤ賞の受賞作品

あとは何を買おうかなぁ」を検討する企画 ~2007秋冬~

とりあえずゴヤ賞の受賞作品(作品賞・脚本賞・脚色賞・外国映画賞)を眺めてみる。

(※基本的に私は悲しそうな作品は観ようとしません。なるべく避けます)


以下、
: セルがピンク色のもの; 当ブログにて紹介済みです)
: 手元にあるのでそのうち観ますの意)
(タイトル脇の数字はわたくし用メモ)


表中、「いや、これReineは外してるけどきっと気に入るよ?」と思うような作品があれば指摘してください。


私は今、DVDGOがスペイン国内送料無料キャンペーンか値引きキャンペーンなどを打つのをジトーッと見張っているところです。

こういった商品はスペインの友人宅にお届けして保管してもらうようお願いしてあるのです。後で私が受け取りに行くか、彼女が帰日する時に持ってきてもらうか。(Thx!!) イベリア半島内の送料は数ユーロだけども、前に一度無料キャンペーンでいい思いをしちゃってると、その数ユーロが惜しくなる。

問題は、こうして時機を見ている間に「品切れ」になってしまう危険と隣り合わせだという点です。こないだ9月に買った『ザ・チャイルド』だって、たしかその1ヵ月後くらいにはアッサリとDESCATALOGADOになっちゃってた。前、ベルランガBOXもそのように逃した。

油断ならんのだよ。


今手元にあるDVDとビデオと、年末年始などに日本に帰ってくる友人が持ってきてくれる分などを合わせると、むこう2年くらいはもってしまう数だと思うので、もうしばらくは購入しま宣言をせねばな。

これ以上DVDを買いま宣言。

手元に未見の映画がある限り、なんかの拍子に死んでしまったとしても、気になって気になって成仏できないからな。これ以上未見が増えては死に切れん。


2012.01.14 加筆
昨年アマゾンスペインがオープンしたので、最近はDVDGOよりもそちらで商品を検索することが多い。

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Saturday, November 24, 2007

¡Ay, Carmela! / 歌姫カルメーラ [スペイン映画]

carmelaどの国のいつの時代の話でも、魂を売らされる人の姿は悲しい。


90年代半ばにスペインの学校の授業で(何度か)見た。当時スペインで購入したVHS(PALをNTSCに変換したもの)なので、今日久々に見てみて懐かしさが胸にグッと来たが、経年劣化はその分悲しかった。画質・音質共につらいものがあった。私は自分のテレビの音は普段は行っても「5」、深夜なら「1」でも十分に聞けるのだが、このビデオの場合はヘッドホンをした上で「38」にしなければならなかった。ちょっと辛かったね。

メモ
DVDなら字幕は英・仏つき。今ならDVDGOで11.99ユーロ。
この映画は途中からイタリア訛りのスペイン語、怪しげなイタリア語、怪しげなスペイン語、それらのちゃんぽんの会話が続きます。DVDだとそれをどう字幕で示してくれてるのかな? いつかそれは確認したいものである。

だけども、たぶんこれ、よしんば字幕が無くても言ってることは分かるようにできてるから安心してていいです。文脈がわかりやすくできているから、イタリア語部分も理解できます。だいじょぶ。


今日の私は体調が悪いので、あらすじはgooから拝借
1938年、スペイン内戦期。
共和派とファシスト勢力の争いの中、旅芸人の一座が、兵士たちと市民の慰問に前線をまわっていた。一座の花カルメーラ(カルメン・マウラ)と、内縁の夫パウリーノ(アンドレス・パハーレス)、そして戦争孤児となった口のきけない青年グスタベーテ(ガビーノ・ディエゴ)である。

前線の街は空爆に脅かされ、3人はバレンシアへ向かうことにする。途中、フランコ勢力真っただ中の地に迷い込み、3人は捕えられて監獄に入れられる。カルメーラはそこでポーランドの捕虜たちと出会い、親しく言葉を交わす。

突然、カルメーラとパウリーノはイタリア人のリパモンテ大尉(マウリツィオ・ディ・ラッツァ)から呼び出され、捕虜と兵士のために舞台を見せることを命じられる。生き延びるために必死のパウリーノは一も二もなく承諾するが、カルメーラは……略…… (※一部人名修正)
______________________


フランコ側兵士の戦意高揚のための芝居の幕が開いてからの約30分は長いと感じるかもしれない。しかし、その30分は真剣に楽しむとよい。どさ回りの女芸人のカルメーラの根性をかみ締める30分。カルメーラという女性の華やかさに見惚れ、彼女のやるせなさを汲み取る30分。そしてまたカルメーラを演じる女優カルメン・マウラの魂に圧倒される30分。芸を楽しんでいる自分と、祈るように見守る自分と、その二人が並んで一つの画面を見ているのに気づくでしょう。芸を楽しんでいると言っても、いったい誰の芸を? 自分の目が追っているのがカルメーラなのかカルメン・マウラなのかわからなくなった頃、映画は悲壮なラストを迎えます。


悲壮とは「美的範疇の一。悲劇性の中に生じる崇高美」なり。


(コメント欄に大事なことをたくさんメモします)

監督: Carlos Saura カルロス・サウラ
戯作: José Sanchís Sinisterra ホセ・サンチス・シニステラ
脚本: Rafael Azcona ラファエル・アスコーナ  José Sanchís Sinisterra  Carlos Saura

出演:
Carmen Maura カルメン・マウラ ... Carmela カルメラ
Andrés Pajares アンドレス・パハーレス ... Paulino パウリーノ
Gabino Diego ガビーノ・ディエゴ ... Gustavete グスタベテ
Maurizio De Razza マウリツィオ・デ・ラッツァ ... Lt. Ripamonte リパモンテ大尉

(スペイン映画)
¡Ay, Carmela!(サウラ監督のサイト内)
¡Ay, Carmela! @IMDb
歌姫カルメーラ@goo

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Thursday, November 22, 2007

TV番組でプロポーズに失敗した男、相手を後日刺殺

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071122-00000076-reu-ent
TV番組でプロポーズに失敗した男、相手を後日刺殺

[マドリード 21日 ロイター] 
スペインの民放テレビ局アンテナ3の人気トーク番組(※Reine注: Diario de Patricia; いつまでサイトがあるかわからん)が21日、視聴者協会などから番組の打ち切りを要請された。

番組の中で元交際相手にプロポーズを断られた男が、この女性を5日後に刺殺するという事件が起きたことが背景。番組では、男が元交際相手のロシア人女性に対し、ひざまずいて結婚を申し込んだが断られる場面が放送されていた。

1回の視聴者数が200万人を超える同番組に対し、カタルーニャの視聴者協会(Reine注: Teleespectadors Associats de Catalunya)の会長は「テレビ制作者は視聴率を上げるために人の心を操作すべきでないことを学ぶべきだ」と指摘。番組の打ち切りを要請した。

(Reine注: TAC pide la retirada del programa “El diario de Patricia” ← 打ち切り要請)

男が過去にこの元交際相手を虐待し、裁判所から500メートル以内に近づかないよう命令を受けていたこともあり、番組に対しては女性団体からも非難の声が出ている。
________________


放送された番組のYoutubeのURLを一応書いてはおきますが、ちょっと、あんまり見たくないね:
・http://www.youtube.com/watch?v=6fGFnLjIyFI
・(ちょっと解説文つき)http://www.youtube.com/watch?v=mFCY9e-eISI
・(長い解説文つき)http://www.youtube.com/watch?v=TVO4LR0GbBU


(後で読む用MEMO)
http://www.abc.es/20071122/sociedad-sociedad/cgpj-denuncia-programas-como_200711220326.html

誰が出てくるかとかどういった内容の告白をされるのかなど、被害者のスヴェトラーナさんは知らされてなかったのか?

制作会社のディレクター曰く:
事前に容疑者側にも被害者側にも同じ書式で回答してもらっていたけど被害者はDVに悩んでいたとか接近禁止命令を出してもらってるとかそういうことには触れなかった、なのか。で、彼女には「番組を通して貴女にメッセージを伝えたがっている人がいらっしゃいます」とだけ伝えてあった、模様。

「製作スタッフは本件によってかなりのショックを受けている。しかしながら、謝罪をする予定は今はない。今回の‘事件’そのものについてまで責任があるとは思っていないから」。

って!

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Tuesday, November 20, 2007

My MEMO: SOA

左肩・左腕の具合もよくなってきたから今週末は映画感想文にかかろうかと思ってる。連休だし。途中まで観てある作品がゴロゴロしてていいかげん終わらせたいので。

一つ、南米のね、ロマンティックなラブストーリーっぽい作品ね、それ最初の五分の一くらいまで観てあるんだけどもね。つまり全く、あれなんだよ、愛の物語っぽいわけよ? 美しいお話なんじゃないかと、とてもワクワクしてるわけです。政体にまつわる直接的な描写なんて五分の一までで全然出てきてないし、この後もきっと出てこないだろうと思われるし。でもやっぱりさ、時代背景にちょっと思いを馳せようもんなら、途端にやっぱり独裁政権がどうだこうだ、圧制がどうで検閲がこうで…といった事柄を調べないといかんのかなぁという気がしちゃうわけ。

恋愛模様を観てジヮーーンとしたいってのに、やっぱりその辺を調べたほうがいいの?と思い浮かんだ時点で気持ちいいウタタ寝から揺り起こされちゃう感じなんだよね。冷や水というか。あぁ、そんなこと調べようなんて思いつかなきゃよかったのにロマンス気分が台無しだわと、┐(´д`)┌ヤレヤレな気持ちである。


翌日私はスペイン語学科卒の知人をつかまえて愚痴るように問いました。

「どうしてさぁ、中南米のあちこちの国にはさぁ、軍事独裁政権だの検閲だの拷問だのの歴史があったわけ? あたしは愛の物語をただ観たいわけなのにさぁ、うっとりほのぼのしてるような映画でもどうしたって薄っすらとそういう背景を描いてあるもんだから、結局そういう知りたくもない事を調べさせられて、ちょっとゲンナリすんのよ。あたしはそういうの忘れてラブストーリーにうっとりしたいのに。なに? なんであの人たち拷問してたわけ? 何がしたいの? なんであんな残酷なことできるの? 何がいけないの? なんで?」と。

そんなこといきなり聞かれても困ったでしょうが彼は仕事の手を止めて、

「‘なんで’って……Ummmm……‘なんで’っつうか………あぁ。あのさ、スクール・オブ・ジ・アメリカズってのがあったでしょ。あれでアメリカがさ、中南米の軍人たちにまとめてそういうノウハウを教えたでしょ。南米にああいうやり方が広まった経緯なんてのは、その辺の事情もあるんじゃん?」

と教えてくれた。


そう言われて思い出すのは『マチュカ(チリ映画)』のときにもちょっと書きましたが、『セプテンバー11』のケン・ローチの作品ね。それ(たまたまポルトガル語字幕バージョン)なんか見るとさ、やっぱり「合衆国で訓練された軍人が仕切っている拷問所」って言ってるもんね。

なるほどね。φ(`д´)メモメモ...
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私はSkypeをつけていてもほっとんど呼びかけに応じません。反応することはほとんどゼロです。すみません。というかいつ誰に話しかけられてるんだか、その気づき方がよくわかってないのです。なんか私は設定を間違ってるんだな? 全然わからんぞ? 時々覗くとメッセージが何十件と溜まってたりしてワケがわからない。いつも首をひねっている。

こないだ珍しく呼びかけに気づいて、これまた珍しく応える気になった。先方はアルゼンチンで生まれ15歳でイタリアに移り、34歳の今はスペインに暮らして数年が経つという人だった。なので、挨拶もそこそこに、いきなりで申し訳ないんだけどちょっとおたずねしたいことがあると切り出した。「なんでもどうぞ」と言うので聞いてみた。


私: ビデラ政権の頃のことを何か覚えてます?
彼: うん。僕が住んでいた地区では軍隊が家々にやってきて部屋を借りて、体制にとって危険だと思われる人々を監視できるようにしてたと思う。僕はまだ小さくてね、ある日、母が薬局から出てくるのを待っていた。待ってるあいだ僕はゲームセンターに入ってみたんだけど、そこに突然兵士がなだれ込んできて僕達を全部バスに詰め込んだんだ。僕は泣き出して、隣の薬局にママがいるから下ろしてくれって叫んだ。それで下ろしてもらえたのはラッキーだったね。そうだね、あの頃、表に出るのはそういう風に危険な場合もあったかな。今すぐ君に語れることってこれぐらいしかないよ!

(※このくだり、彼の書く行を追ってるだけでゾッとしたよ。「…え゛。その状況、ものすごくヤバくないの?」と)


私: ありがとう。本当にありがとう。
彼: 君はアルゼンチンで何かそういう体験でも?
私: Noooooooo. ただ、中南米の映画にはそういう政権下での事が描かれていることがよくあるなぁと思って。最近、その辺のことをぐるぐると考えてたもので。

彼: そうですね。
私: あなた、でも、小さかったでしょ? 何が起きてるかわかってましたか?
彼: うん。家では両親が軍部についてなどしゃべってたから。でもそういうことは家の中だけ。あの頃からアルゼンチンは変わってしまったんだよね。昔はリッチな国だったのに。

私: こんな質問に本当にありがとう。しゃべりたくないかもと心配でした。
彼: いや、もっといろいろしゃべってあげたいですよ。でも両親にきいてみないと;-)

私: あの時代さ、怖くなかったの? 私なんて映画観てるだけでおぞましく感じるんだけど。いや、観るまでもなく、映画作品についてちょっとinfoを集めただけで身震いする。

彼: 『La noche de los lapices』とかそういう?
私: そう!それとか!
彼: たしかにゾッとするよね。

……略……

彼: 日本は?
私: 1930年代かな、プロレタリア文学の人が殺されたりしてる。とか、第二次大戦中はあったでしょう。

彼: ちがーう! もっと現代の話で。
私: ピノチェトとかビデラとかそういう時代?
彼: そう
私: それくらいの時代なら‘無い’と思う。
__________________


私とほぼ同世代の人でも、ちょっと尋ねただけなのにやっぱりこういうエピソードをツルツルツルって即答するんだもんなぁ。話がリアルでビックリした。ゲーセンに居たのは若い人たちでしょうに、バスに乗せられて下ろしてもらえなかった彼らはその後どうなったんだろう……?


これからも私は幾つか中南米の作品を観るだろうよね。シリアスなものは徹頭徹尾避けるつもりでいるけど、ラブものだと思ってうっとりと観てても、こういう‘現代史’がフッと透けて見えたりするから始末が悪い。私はこれっぽっちも知りたくないのに、調べなきゃ映画が本当には理解できないのかもしれないなら、やっぱり調べちゃうかもしれないじゃない。非常に頭が痛いところである。

というわけで、書籍などをメモるくらいはしておこうと。

誰か、こういうの↓読んだり観たりした後にものすごくマイルドな言葉に置き換えてピー音を随所にかぶせて私に説明してくれるとありがたいです。私、たぶん自力では挑めません。ムリ。ゾッとする。

(※最後のはおまけで)(※大学1年の夏休みの宿題だったな。キツいだろうに、私ちゃんと最後まで読めたのかね?)

旧称: SOA

現在: 西半球なんたら長い名前

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Wednesday, November 14, 2007

Sexo con amor / 愛するSEX [チリ映画]

sexo"スペイン語作品を十数点メモって近所のレンタル店に行った。若い店員くんにメモを渡し検索してもらった。やがて彼は「いくつか現在当店に無い作品が」と言いながらカウンターから出てきた。

店員: っと…『愛するSEX』と『火星人メルカーノ』とコレとアレとソレが無いんです

私: あ。はい。無ければいいですいいいです。……あ゛。や、あれですよ、『愛するSEX』って、これ、別にやらしい話じゃないんですよ?

店員: あ、はい、いえいえ、あ、はい、大丈夫です、ええ

私: これ、ふt、普通のお話ですから


いや、なんかね、彼がその作品名を恥ずかしそうに口にしたもんだから、私もついつい言い訳しちゃったんだよね。二人でしどろもどろしちゃったよ。しかしこれは別に邦題が悪いわけでなく、原題の直訳が「愛のあるセックス」ですからしかたない。あの時レンタルできませんでしたが、Gyaoでやっていたのでちょうどよかった。(R15)


Gyaoの紹介文
SEXの悩みや不倫関係などそれまでタブー視されていた“愛と性”の問題を赤裸々に描き、チリ映画史上NO.1のヒットを記録した作品です。チリの事情を反映したリアルな人間ドラマが見どころ。監督を務めたのは、本国でコメディアンとしても活躍するボリス・ケルシア、豊満な肉体を惜し気もなく披露した主演女優はシグリッド・アレグリア。

小学校教師ルイザ(シグリッド・アレグリア)は、子供たちに「性教育」をどう教えるか模索中。そんなルイザ自身も “愛と性”の問題を抱えていて、彼氏とは別に生徒の親・ホルヘとも付き合っていた。一方、父兄の一人エミリオは、SEX嫌いの妻・マカとの関係に不満を抱いている。そして若い夫婦、アルバートとエレーナにも問題があって…。
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sexo人物紹介
ルイサ(女教師)

ホルヘ(ルイサの受け持ちの児童の父★; 愛人; 有名作家; 妻とは離婚必至; 近著『仮想のセックスと現実の愛』; 「愛している人を抱くのが幸せだ」派; 「愛とSEXの融合」派)

バレンティン(ルイサの彼氏; 絵描き)

アルバロ(★; 性豪; 女と見れば口説くビジネスマン; 結婚直後から浮気の連続; 「愛とSEXは別物」派)

エレナ(出産間近の妻)

カルロス・ロハス(エレナの大学時代の男友達)

アンヘリカ(アルバロの情交相手; 情緒不安定)

エミリオ(★; 肉屋; 一年以上夫婦生活なし; 罪悪感があるから愛人などとてもとても)

マカ(妻; 性交痛がひどいので夫を拒否)

スーザン(マカの姪; フランスから遊びに来た)
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そうね。
楽に観ちゃってよいのでは? 何日かに分けて少しずつ観ようかと思ってたけど、気づいたら最後まで観ちゃってたから面白いということなのだろう。

難を言えば、個々のカップルの問題が独立しちゃってるところかな。性愛にまつわるトラブルの事例を挙げたオムニバスのようになっちゃってる。散漫な印象。もっとそれぞれが絡み合って(ヤラシイ意味でなくて)くれた方が好み。

スペイン映画って人間関係は交錯しがちだと思うのね。それに慣れてしまった身としては、たとえば『靴に恋して』ほど複雑にもつれてくれとまでは言わないが、本作においてももうちょっと登場人物同士で関わり合ってほしかった。

そこに目をつぶれば終始ニヤニヤと苦笑しながら楽しめると思うよ。男と女がいったい何が原因でどんなタイミングで腹を立てるのかが覗ける。特に男性は女性のその辺の心情を‘勉強’できるかも。


真面目な観方しようと思えばできそうだけどね。
たとえば、ルイサの受け持ちのクラスの父兄の中でも若い年齢層であるアルバロの宗教観について。彼がマリオ神父にあからさまな拒絶反応・嫌悪感・不信感を示したのだけど、あれはチリ現代史を知っている人にはすぐにピンと来る・合点が行く態度なの? ちょっと調べたら何か知識が拾えそうかなという気がしたシーンではあった。

けど、今の私はあちこちの骨がズシンズシン痛むので深追いしないことにしました。今回は楽に流そうと思います。また、今回はチリのスペイン語という私の苦手な音なので語句メモも少なめ。体調が万全ならもうちょっと聴き取りを頑張ったかもしれませんが、肩・腕が重すぎたため流し気味に終了。


(チリ映画)
監督・脚本: Boris Quercia
出演
Sigrid Alegría シグリッド・アレグリア ... Luisa ルイサ
Patricio Contreras パトリシオ・コントレーラス ... Jorge ホルヘ
Francisco Pérez-Bannen フランシスコ・ペレス=バネン ... Valentín バレンティン

Álvaro Rudolphy アルバロ・ルドルフィ ... Álvaro アルバロ
Cecilia Amenábar セシリア・アメナーバル ... Elena エレナ
Carlos Osorio カルロス・オソーリオ ... Carlos Rojas カルロス・ロハス
Catalina Guerra カタリーナ・ゲラ ... Angélica アンヘリカ

Boris Quercia ボリス・ケルシア ... Emilio エミリオ
María Izquierdo マリア・イスキエルド ... Maca マカ
Javiera Díaz de Valdés ハビエラ・ディアス・デ・バルデス ... Susan

Sexo con amor@IMDb
(直訳: 愛のあるSEX)
愛する SEX@ぽすれん

・主題歌 "sexo con amor" by Pettinellis


これから言うことが月並みすぎて我ながら萎えますが:
えーっと、男ってのは、基本、やっぱ、なにかね、そのぅ……挿れることばっか考えてんのかよ? 挿れることとか挟んでもらうこととか、そうにぅことばっかかよ? 本作の性欲旺盛なアルバロなんか見てると「しょーーーーーがないねーーーーー」って苦笑いしか出てこないよ。ほんと、しょーがないね ┐(´д`)┌


参考: 「しょーがないねー」
http://www.youtube.com/watch?v=Qn72obcbThA
「笑てんメンバー」より)

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Monday, November 12, 2007

¿Por qué no te callas?

しょうがないね、チャベスは

http://www.afpbb.com/article/politics/2310269/2338064
スペイン国王、ベネズエラ大統領に「だまれ」と激怒

http://www.elmundo.es/elmundo/2007/11/10/videos/1194716971.html
El Rey a Chávez: ¿'Por qué no te callas?'

「¿Por qué no te callas?」のニュース検索

他のバージョンもMEMOっとく
http://www.youtube.com/watch?v=z91exbBZFVA
http://www.youtube.com/watch?v=ZwfGOGQRDmI
http://www.youtube.com/watch?v=rXnmdVpeHAg

ディクテーションとか細かいことは後で。


たとえば日本に政権交代があったとして、たとえば東アジアなんかの会議の場で無作法な他国のリーダーからお宅の国のこないだの首相はとんだファシストだとか言われたらば、「私が彼と主義を異にしているのは事実であるが、しかし私の国の国民の代表者としての彼に対して敬意を示すことは忘れないでいただきたく貴方に強くお願いする次第だ」と果たしてこのサパテロのようにまともに言ってくれるものかね。えへらえへら笑って同調しちゃったりしてな。

それにしても「君、ちょっと黙ってろ」か。

ドン・フアン・カルロス♥


(KLE4cさんの日記が詳しいですから ⇒ http://d.hatena.ne.jp/anhelo/20071111/p1

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Saturday, November 10, 2007

Una pausita

夏以降、いいペースで映画感想文をUPできていたのですが、昨夜別記事のコメント欄でちょっと言ったとおり、体調がヒドすぎるので(と言っても、臓器じゃなくて骨組みの不調)しばらくおやすみ。したい。

「しばらくそのままでお待ちください」ということで、音楽でも聴いていてください。

( ゚д゚)ハッ! こういう作業でまた痛めるじゃんね。


11.11 加筆
友人たちにこの記事を覗いてもらった結果、FireFoxだとすんなりと表示も再生もできるが、IEだと変なエラー表示のようになっており「clicking here」のところから別窓を開かなければ聴けないようです。友人のみなさんはIEの更新やらなにやらまでして確認してくれました。お手数おかけしました。さんきぅ! 加筆終わり


この2つは鼻歌レベルで歌ってたって涙出てくる。なんでだろな。

Torremolinos 73でもかかってた曲



volver a + 不定詞で説明した『Para volver a volver』という曲も含めた4曲メドレー。『マイウェイ』のスペイン語版で始まる。ほんとに好き、これ。

これを歌ってアンダルシア方言の「-s」の落ち方をマスターしてください。アンダルシア弁は一日にして成らずです。ただ「s」を抜いて発音すればいいっていう簡単な話じゃないです。



肩が戻ったら何か書き足すかもしれません。


加筆
ちょっと休んでちょっと良くなった気がするので、他にも探してみることにした。これまでにこのブログでチラッと話題にした曲、何があったかね……?

これか。『ハモンハモン』の「エクスタシー、エクスタノー」(Chimo Bayoの『Así me gusta a mí』)。元気出るよね。イヤな元気。

ちきたん ちきてぃたんたん たん け とぅんばん ばん け とぅんばん け てぺてぺ たんばんばん け とぅんばん け ぴん

ビガス・ルナはこの曲がよっぽど気に入っているのか、昨年(か? 一昨年?)の『Yo soy la Juani』でも使ってる。


あぁ、そうだよ、音楽について書いたと言えば、『Habana Blues』じゃんね。

たとえばこれね。このシーン、切ないんだよ、夫と妻の心境を思うとたまんないのよ。

あと、これか。音楽が印象に残ってた作品といえば『ローサのぬくもり』(Neneh CherryのWoman; 『Man』に収録)


ライブ・フレッシュ』より、Alberto Plaの「俺が苦しんでいるのと同じだけおまえにも苦しんでもらいたい」という曲


音楽がらみで今ざっと思い出せるのはこれくらいかな。

思い出し作業過程で『Aunque ~』のラスト2分を観てしまい、たった2分で泣いたりしてた。いや、この映画はマジで泣けるぜ。メロドラマの王道だな。しかしこの映画のサントラから私が紹介したいと思っている曲がgoear.comには置いてなかった。――というかほとんどどこでも聴けないな――残念。


※他にも「あの曲は? あれだよ、あれ」というようなのを思い出したら言ってください。「あの映画のどこそこで使われてる曲って何ですか」みたいのでもいいですよ。


んー。ちょっと体力回復してきたかな。映画一本片付けるくらいはできるかもしれない。そんな気がしてきた。いやぁ、もう一晩休んでおくかな。背骨がまだ変な感覚があるもんな。

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Sunday, November 04, 2007

Cría Cuervos ... (2) / カラスの飼育(解読編)

データ編ではとてもとても書ききれなかったので)

さて本題。(※この解読編ではネタバレ必至です)

大人になったアナが子供時代のアルバムをめくっているようなシーンで映画は始まる。自分が生まれた日の母の幸福に満ちた顔、母と二人で写る自分もまた穏やかに笑んでいて、庭を姉と元気いっぱいに走り回り、妹が生まれやがて大きくなって…。母がいた頃アナは幸せだったのね。母に愛されて、母を愛して。

母の若い頃の写真に「ママ、18歳、社交界デビュー。綺麗!」と書き込んでいる。よっぽど母親が好きじゃなきゃ書かないでしょ、これ。どうかね。

そんなアナが、夫の浮気を嘆き病苦に苛まれた晩年の母の姿をどう脳裏に焼き付けたのか、父と母の不和をどう受け止めていたか、母の死をどう理解したのか、そもそも理解できていたのか、喪失感と孤独感はやがて何に転化して、アナはそれをいったい何に転嫁していったのか、そういうの考えるとこの映画つらいよね。10歳にも満たないうちにずいぶんと重苦しい人生を覗いちゃったよね、この子。何を抱えこんできたのか、この後彼女は解放されたのか。


父の死後、アナは叔母に言う。「前にパパがアメリアさんは綺麗だってママに言ってたのよ。ママは『そんなでもないんじゃない』って言ってたけど、わたしは綺麗だと思うの。でしょ?」

猟色のアンセルモと知人アメリアの間に起きていることに母ももう気づいていただろうし、両親の短い会話だけでアナも察してしまったのだろうし、あるいはアナは父の浮気現場を実際に目撃したのだろうし。それらは幼女にはきつすぎる。何よりも、母が知ってしまったんだと悟ってしまったことが、アナにとっては最も不幸だったと思う。


この映画はオカルティックでもあるよね。
私なんて廊下を左から右へ歩いていった母が再び左から現れた時はゾヮッとしちゃったよ。これはアナが勝手に見てる幻影だからとわかりきっていても。

「うちの子供には霊が見えてるみたいです」「よく一人でお話しています」などという相談事をネットで見かけたら「いい大人が何を言ってるんだ」「お子さんのもっと別の方面を心配してやらにゃいかんよ」と思いますが、アナの場合もそこが心配になったね。

(知りもしないでいい加減なことを言いっ放しにしますが)「イマジナリーコンパニオン」というの? アナが見ているのはそんな感じのものだよね。でも、そういう‘相棒’に自分の母親を据えるっていうのは、よくある症例なの? そこんとこが薄ら寒い。

アナにはイマジナリーな母をできるだけ早く健全に失って欲しい。で、この映画はたぶん長期休暇の間の出来事を描いているのだけど、この休暇中にアナはイマジナリーの世界から脱け出したのだと思うよ。もうたぶんイマジナリーな母の姿を見ることはないだろう。


この先、もうネタバレ不可避です。勘弁。


サスペンスでもあるよね。
アナは二人の人間を殺し、更にもう一人に自殺教唆(だか自殺幇助だか嘱託殺人だか)をはたらくわけですよ。いや、実際には一つも達成できていないのだけど、アナの思い込みの中ではアナは有能で冷然とした殺人者でしょ。

前章で書いたあらすじ紹介より: 
>父の葬式の朝、アナは姉のイレネに語る。
>「苦しそうな声が聞こえたから部屋に入ったらパパは死んでたの。そしたらママが来てね…」

この少女は嘘はついていない。けれども真実を語ってもいない。隠すべきことをしっかり隠してる。「パパは死んでた」のと「ママが来て」との間の自分の行動を伏せてる。こんな叙述トリックまでこなす少女ってどうよ。家族を易々と欺いてるのよ。


パパの部屋にあったコップを片付けているところへ母がやってきたよね。あの時のアナの嬉しそうな誇らしげな笑顔。あれは「ママ、あの男を殺してあげたわよ」ではないの? 後からじわじわ来る怖さだ。

そして、亡き父に代わって自分の家での専横的な存在となった(と勝手に思い込んだ)叔母を同じ手口で殺る。もう手慣れちゃってるの。コップを洗う手つきもいっしょ。作業としての殺人。どうよ、この少女。


さて。データ編と解読編と、二章にわけてまで長々と書いてきましたが、ここまで書いてもまだ45%だね。ここからがこの映画の本当の本題。


冒頭のアルバムの中には父との写真もある。母や姉妹との写真と比べて、父の写真のなんと少ないことか。そして、父の写真に何かしら言葉を書き添えている様子はまったくうかがえないのである。父の写真はとりあえず挿んであるといった感さえ漂う。

cuervos

国王フアン・カルロス1世がさまざまな正装でポーズをとってくれているサイトの写真を見たかんじ、アナのお父さんアンセルモは陸軍の人だよね。そして屋敷の広大さ加減や交友関係から察するにたぶんわりと高官だよね。

女中ロサが彼の経歴を三姉妹に説明するシーンがあったね。「Se fue de voluntario, luego estuvo en el frente de Rusia en la División Azul. 青の部隊に志願してロシア前線へ行った」。

División Azulとは
スペインハンドブックより:
【第二次大戦と国際的孤立】
ドイツ・イタリアの援助を受けて内戦に勝利したフランコ政権は,1939年9月に第二次大戦が始まると,枢軸国に対する親近感を隠しはしなかったものの,内戦による荒廃の中で新たな戦争に参加する余裕もなく,独ソ戦線に約2万の「青い旅団」を義勇兵として派遣する(1941年7月)にとどまった.

スペイン・ポルトガルを知る事典(旧版)より:
【孤立化と国内統合】
外交分野では,フランスとの国境の町アンダイで,フランコとヒトラーの会談が行われ,第1に第二次世界大戦におけるスペインの中立政策,第2に枢軸国と友好関係を保ちつつも,戦争協力はしないことが取り決められた(しかし,最近,第2の点には疑念が出ている).ところが41年,フランコはロシア戦線へ<青い旅団>(計約5万人,フランコ体制の一翼を担ったファランヘ党の青色の制服を兵士が着用したため,こう呼ばれたといわれる)を派遣した.このため第二次世界大戦後ソ連はスペインが国際連合の原加盟国になることを承認せず,その国連も46年にはスペイン排斥決議案を可決した.


いつもの私ならさっきのとこまでで完成とするところですが、今回は珍しくここで他人の解釈を探し求めてみた。(※普段は私は書く前に他人の文章は絶対に見ない) それはやっぱり軍服が気になっていたからでした。

そうして斜め読みしたのはこれらのサイト(個人サイト含)(以下、精確には訳していませんよ。私の都合のよいように訳しています←ヒデぇ)


1) Cría cuervos. La enfermedad de la inocencia. (crítica/review)

・祖母: 無言・意思表明できない・家族から隔ったところで思い出の中だけで暮らしている・音楽と写真が生活 ⇒ 「芸術」

・毒として用いられる牛乳: 子供にとっての基本的な栄養源・アナはそれを母からは得られなかった

・大人の真似をする子供たち、あるいは大人が子供のようにしかふるまえないということか

・ピアニストの夢をアンセルモとの結婚によって捨てなければならなかったマリア ⇒ 「独裁政権の出現によって殺された芸術、そして女性に対する男性の破廉恥な強権」

・アナがピストルを構える ⇒ 「当時の軍部の攻撃的なありようを連想させる」


2) La Huella Psicológica del Franquismo en el Cine Español de los Noventa (※たぶん学生の論文; 「気に入らない」との読者コメントもあったりする)

・この作品は寓意的にはフランコ独裁体制の末期を描いたものだと読み取ることができる。

・アンセルモ ⇒ フランコ
・妻 ⇒ スペイン; 失望と不満を抱えている
・娘アナ ⇒ 若い世代; これまでのカウディージョによる支配に服従しない世代・あまつさえ支配者の滅亡を企図する

・「1974年から構想を練り1975年に撮影が行われたのであるから、つまりフランコはまだ生きていたのだが、サウラ監督はフランコ総統の死よりも前にフランコ体制が死んでいることを確信していたのである」

・サウラはスペインの将来をはっきりと描くことはしていない。アナの両親の代替として登場するパウリーナ叔母はやはり軍部的ともいえる‘権力者’であるし、

・ニコラスもまた旧友アンセルモ(=フランコ)に裏切られた格好である

・アナの姉妹 ⇒ 順応主義の若者

・祖母 ⇒ 変革を期待することに疲れ果てもはや何も夢を抱くことのない世代

・女中ロサと愛人アメリア ⇒ 権力のそばにそれぞれ居ながらもその方策に本当の意味で賛同することはなかった階層

・アンセルモの死でいろいろと崩壊していく。女中ロサは生前は特に抵抗するでもなかったくせにアンセルモが死んだ途端に厳しい批判を展開する……略……

・カルロス・サウラはこう語った。「『カラスの飼育』は死と崩壊のプロセスを描いた映画だ」


3) Cria Cuervos: Criterion Collection
・サウラがこの作品を撮ったとき、スペインはまさに過渡期にさしかかっていた。右派の独裁者フランシスコ・フランコが本作の公開からまもなく死ぬことをサウラはもちろん知らなかったが、フランコ体制の終焉を見事に予知していたといえよう。

・三世代が描かれている。スペイン内戦前を知る世代、フランコ体制と同時進行で成長した世代、そして今、解放されることを待ち望んでいる次世代

・アンセルモ ⇒ フランコ
・マリア ⇒ スペイン、傷つき病んだスペイン
・アナ ⇒ 若者、新しいスペイン、古いスペインを葬ろうとしている


4) ペンシルバニア州立大学でのなにか教材としてのファイルかな
5) その英語版か


もうこの辺で切り上げていいと思います。

こんな風に映画を作るのって大変だと思うのよ。そしてこのように映画を観なきゃいけないとしたら、それもホント難問だよなと思います。

私なんか、そういう鑑賞眼はほとんど無いからね。おでこに札(ふだ)でも貼っといてくれないとわかりません。

こんな風に
cuervos02

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Cría Cuervos ... / カラスの飼育 [スペイン映画]

cuervosamazonのレビューにもあるが、この映画の原題はスペイン語を知っている人にとっては頻出フレーズの一つである「Cría cuervos y te sacarán los ojos. (カラスを育てて、いつか目をほじくり出される)」の前半部分。「Amarga expresión de desengaño, aconseja no excederse en la práctica del bien, pues suele generar ingratitud. 恩を仇で返されるので善行もほどほどに」『ことわざ辞典』より)。

つまり、「飼い犬に手を噛まれる.」です。

だから、いきなり上の句を切り取って『カラスの飼育』って言われても、ねぇ? 当時の関係者はもうちょっと何とかしようとは思わなかったんだろうか。私なんか物心ついた頃には既にこれは『カラスの飼育』だったわけですから、この作品は『カラスの飼育』として認識されちゃっていてそれはどうしようもないのですけれども。


あらすじ 
父親の部屋からクスクス笑う声とひそひそ話す声が聞こえてくる。女が来ているのだろう。アナは階段を静かに下りてきて暗い居間の片隅に佇んだ。やがて、父が悶え苦しむ声と「アンセルモ、アンセルモ」とその名を必死で呼ぶ女の声が聞こえた。「息ができない…」というのが父の最期の言葉であった。

女が転がるように走り出てきた。アナは彼女を前から知っている。両親の旧知のアメリアである。

髪は乱れブラウスの前は大きくはだけている。身じろぎもせず見つめるアナと、それに気づいて吃驚するアメリアの視線がつきあたったのも束の間、アメリアは取るものも取り敢えず屋敷から逃げて行った。

父はベッドで目を見開いて息絶えていた。ナイトテーブルに飲みさしの牛乳があった。アナはそのコップを台所で綺麗に洗う。後ろからそっと近づいてきた母が「こんな時間に何しているの?」と問いただす。「眠れないの」とアナは答えた。そうやって叱られながらもアナにはわかっていた。母は怒っているのは口だけだと。はたして母はいたずらっぽく微笑んでやさしく抱きしめてキスしてくれた。それでやっとアナも眠りについた。

父の葬式の朝、アナは姉のイレネに語る。
「苦しそうな声が聞こえたから部屋に入ったらパパは死んでたの。そしたらママが来てね…」

イレネは遮ってたしなめるように言った。「って、ママはもう死んだじゃないの、アナったら」。
__________________________


cuervosこれは凄い作品だな。考えれば考えるほど唸らされる。

これ、何層構造だろか。こんなに何層も重ねた作品って、作る方もホントたいへんだったと思うのよ。凄いと思うよ。だけど、観てブログに感想文を書く方もたいへんだよ、これ。


今夜はもう寝る。こんな夜中に簡単に書けるような話じゃない。続きは後日(コメント欄)。たぶんものすごく長くなる。


監督・脚本: Carlos Saura カルロス・サウラ

出演:
Ana Torrent アナ・トレント ... Ana アナ
Geraldine Chaplin ジェラルディン・チャップリン ... Ana - The Mother 母マリア・成人したアナ(二役)
Mónica Randall モニカ・ランドール ... Paulina パウリーナ叔母
Florinda Chico フロリンダ・チコ ... Rosa ロサ(女中)
Héctor Alterio エクトール・アルテリオ ... Anselmo 父アンセルモ
Germán Cobos ヘルマン・コボス ... Nicolás Garontes ニコラス・ガロンテス(父の知人)
Mirta Miller ミルタ・ミジェール ... Amelia Garontes アメリア・ガロンテス(ニコラスの妻)
Josefina Díaz ホセフィナ・ディアス ... Abuela 祖母
Conchita Pérez コンチータ・ペレス ... Irene イレーネ(アナの姉)


(スペイン映画)
Cría cuervos@IMDb
カラスの飼育@CinemaCafe
カラスの飼育@goo
カラスの飼育@映画生活
カラスの飼育@象のロケット

← 長いこと○万円もしていた『カラスの飼育』DVDですが、2009/11/28、HDニューマスター版発売だそうです。


←窓を拭きながら家政婦さんが歌ったりおばあちゃんが聴いていたりなど映画の随所で流れるのはImperio Argentinaの『¡Ay, Maricruz!』という曲らしく、たぶんこのアルバムに収録されている。(www.music-city.orgのAlbum Descriptionのページを参照)

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