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Sunday, November 04, 2007

Cría Cuervos ... / カラスの飼育 [スペイン映画]

cuervosamazonのレビューにもあるが、この映画の原題はスペイン語を知っている人にとっては頻出フレーズの一つである「Cría cuervos y te sacarán los ojos. (カラスを育てて、いつか目をほじくり出される)」の前半部分。「Amarga expresión de desengaño, aconseja no excederse en la práctica del bien, pues suele generar ingratitud. 恩を仇で返されるので善行もほどほどに」『ことわざ辞典』より)。

つまり、「飼い犬に手を噛まれる.」です。

だから、いきなり上の句を切り取って『カラスの飼育』って言われても、ねぇ? 当時の関係者はもうちょっと何とかしようとは思わなかったんだろうか。私なんか物心ついた頃には既にこれは『カラスの飼育』だったわけですから、この作品は『カラスの飼育』として認識されちゃっていてそれはどうしようもないのですけれども。


あらすじ 
父親の部屋からクスクス笑う声とひそひそ話す声が聞こえてくる。女が来ているのだろう。アナは階段を静かに下りてきて暗い居間の片隅に佇んだ。やがて、父が悶え苦しむ声と「アンセルモ、アンセルモ」とその名を必死で呼ぶ女の声が聞こえた。「息ができない…」というのが父の最期の言葉であった。

女が転がるように走り出てきた。アナは彼女を前から知っている。両親の旧知のアメリアである。

髪は乱れブラウスの前は大きくはだけている。身じろぎもせず見つめるアナと、それに気づいて吃驚するアメリアの視線がつきあたったのも束の間、アメリアは取るものも取り敢えず屋敷から逃げて行った。

父はベッドで目を見開いて息絶えていた。ナイトテーブルに飲みさしの牛乳があった。アナはそのコップを台所で綺麗に洗う。後ろからそっと近づいてきた母が「こんな時間に何しているの?」と問いただす。「眠れないの」とアナは答えた。そうやって叱られながらもアナにはわかっていた。母は怒っているのは口だけだと。はたして母はいたずらっぽく微笑んでやさしく抱きしめてキスしてくれた。それでやっとアナも眠りについた。

父の葬式の朝、アナは姉のイレネに語る。
「苦しそうな声が聞こえたから部屋に入ったらパパは死んでたの。そしたらママが来てね…」

イレネは遮ってたしなめるように言った。「って、ママはもう死んだじゃないの、アナったら」。
__________________________


cuervosこれは凄い作品だな。考えれば考えるほど唸らされる。

これ、何層構造だろか。こんなに何層も重ねた作品って、作る方もホントたいへんだったと思うのよ。凄いと思うよ。だけど、観てブログに感想文を書く方もたいへんだよ、これ。


今夜はもう寝る。こんな夜中に簡単に書けるような話じゃない。続きは後日(コメント欄)。たぶんものすごく長くなる。


監督・脚本: Carlos Saura カルロス・サウラ

出演:
Ana Torrent アナ・トレント ... Ana アナ
Geraldine Chaplin ジェラルディン・チャップリン ... Ana - The Mother 母マリア・成人したアナ(二役)
Mónica Randall モニカ・ランドール ... Paulina パウリーナ叔母
Florinda Chico フロリンダ・チコ ... Rosa ロサ(女中)
Héctor Alterio エクトール・アルテリオ ... Anselmo 父アンセルモ
Germán Cobos ヘルマン・コボス ... Nicolás Garontes ニコラス・ガロンテス(父の知人)
Mirta Miller ミルタ・ミジェール ... Amelia Garontes アメリア・ガロンテス(ニコラスの妻)
Josefina Díaz ホセフィナ・ディアス ... Abuela 祖母
Conchita Pérez コンチータ・ペレス ... Irene イレーネ(アナの姉)


(スペイン映画)
Cría cuervos@IMDb
カラスの飼育@CinemaCafe
カラスの飼育@goo
カラスの飼育@映画生活
カラスの飼育@象のロケット

← 長いこと○万円もしていた『カラスの飼育』DVDですが、2009/11/28、HDニューマスター版発売だそうです。


←窓を拭きながら家政婦さんが歌ったりおばあちゃんが聴いていたりなど映画の随所で流れるのはImperio Argentinaの『¡Ay, Maricruz!』という曲らしく、たぶんこのアルバムに収録されている。(www.music-city.orgのAlbum Descriptionのページを参照)

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Comments

書くことがありすぎてコメントする順番で悩む。どうするかな。まず語句メモから始めておくかな。今回は最後の最後まで丁寧に読んでください

・embargar:
1. tr. Dificultar, impedir, detener.
2. tr. Dicho de los sentidos y potencias del alma: Suspender, paralizar a alguien.

・en cuerpo y alma: loc. adv. coloq. Totalmente, sin dejar nada.

・まだまだ幼い三女マイテが「Mi mamá cuando murió, todavía yo no había nacido. ママが死んだとき、あたしはまだ生まれてなかったの」とトンチンカンなことを言うのでパウリーナ叔母が呆れ顔で「¿Quién te ha dicho semejante disparate? いったい誰がそんなわけのわからないこと言ったの?」。
→ semejante: (antepuesto / pospuesto)
De tal clase, de tal categoría:
例) Nunca he conocido semejante mentiroso como tú.
例) No había visto nunca una belleza semejante.

・母も早くに亡くし、いま父も死んだ。父の遺言により母の妹パウリーナが三姉妹の後見人となった。
→ tutela: f. Autoridad que, en defecto de la paterna o materna, se confiere para cuidar de la persona y los bienes de aquel que, por minoría de edad o por otra causa, no tiene completa capacidad civil.

・contar con: 11. intr. Confiar o tener por cierto que alguien o algo servirá para el logro de lo que se desea.
例) Contamos CON tu hermana PARA el viaje.

・長年この家に勤めている女中ロサによると、三姉妹の父アンセルモは手が早い男だったらしい。
→ manos largas: 3. m. Hombre que toquetea a una mujer sin el agrado o consentimiento de ésta.

・「Ya veo que acabaremos llevándonos bien.」
acabar + 現在分詞はたしかまだペリフラシスとして説明していないね。いずれ。

・meón, na: adj. Dicho especialmente del niño: Que se orina en sus ropas o fuera del lugar debido; que mea mucho o frecuentemente. U. t. c. s.

・¡habráse visto!
1. loc. interj. U. para expresar reproche ante un mal proceder inesperado.
何と言うことだ,こんなことってあっただろうか

・delicaducho, cha.(De "delicado"): adj. despect. Dicho de una persona: Que se halla débil y enfermiza.

・desbarajuste.(De "desbarajustar"): m. desorden (= confusión).

・ser el colmo: fr. coloq. Haber llegado a tal punto que razonablemente no se puede superar.

Posted by: Reine | Sunday, November 04, 2007 at 11:21

・No conviene que esté aquí.
→ 動詞convenir

・¿Qué más te da?
→ これ頻度高いと思う。映画の中だけでなく日常会話でも。

・小声で何か言ったアナを聞きとがめてパウリーナ叔母が大きな声でもう一度言うようにと迫るが、アナは今度は口をつぐんでしまう。「No me gustan las medias palabras. 言うなら言う、言わないなら言わない、どっちかにしなさい。中途半端にモゴモゴ言うのは叔母ちゃん、嫌いよ」

・アンセルモの遺品のピストルを見て知人ニコラスが「Es una Luger Parabellum, calibre 38. ルガー、パラベラム、38口径だね」。

・アナたちの邸宅は町の中心街に、中心街のくせにだだっ広い敷地であるような。その外壁が一瞬映る。TriNaranjuの壁広告が見えた。

・後のシーンでEristowのウォッカの広告も外壁に確認。

Posted by: Reine | Sunday, November 04, 2007 at 11:37

子供の遊びの中で身につけ実際に日常会話で使う、誰もが知っている囃子詞のようなものは、20歳も過ぎたおっさんになってから外国語として学ぼうとする人間はなかなか知ることはできないと思う。

たとえば「いーけないんだー、いけないんだー、せんせーに言ってやろー」だの、「ゆーびきりげーんまん」、「どーちーらーにしよーかなー」、「あげようか、‘か’がつくから考えよー、‘よ’がつくから止ーした」……そのたぐい。そういうのは教室で教科書で習うものではないし、それじゃぁストリートなんかの日常会話で身につくかと言っても、二十歳すぎのおっさんはこんなの耳にする環境に無いからね。よっぽどホストファミリーの子供と密に接しているとかいう状況でもない限りあんまり‘学ぶ’ことはできないでしょ。あとは、自分が現地で子育てする時にやっと知るんじゃないかい?

その点で『カラスの飼育』は三姉妹のお遊戯によってそれらのフレーズを聞けるので楽しい。

1) 「その本をあげるよ」と言われたけどお礼をうっかり忘れている子供に対して大人が、「¿Qué se dice? ほら、何て言うんだっけ?」というのはスペイン語でもおなじだな。

2) 子供たちはニコラス・アメリア夫婦の庭園でかくれんぼ(escondite)をする。鬼が数を数えて、日本語だったら「もーーーいーーーーかーーーい」と聞くところ、スペイン語では「Ronda, ronda, el que no se haya escondido, que se esconda, y si no, que responda.」と叫ぶのですね。

3) そして、「死ねー」なんて言われると「や・ら・れ・たー」などと言いながら倒れこんでみたりするじゃないですか、そういう場面では「¡Ay, pobre de mí! (おぉ、哀れな私よ)」と言っていたな。

4) 自分の持ち物だと主張しているモノを取り上げられそうになったアナが家政婦ロサに口答えして曰く、「Santa Rita, Rita, Rita. Lo que se da no se quita. (直訳: 聖女リタよ、贈与されたものは没収されることはない)」。

前段のサンタ・リタ・リタ・リタは、最後の「no se quita」と韻を踏むためのもので、特に意味はないと思う。………と思ったら、ちゃんと言い伝えがあってのことだと。面白いねぇ、まったく。

由来、ずいぶんヒッドいこと書いてあるぜ?

一) 『ことわざ辞典』より:
Se cuenta que así decía a la santa de Cassia cierta mozuela feísima después de haber perdido al novio que la santa, con gran esfuerzo, le había dado por un tiempo. Se dice jocosamente cuando no se quiere devolver algo que se había tomado como regalo. 昔々あるところにブッサイクな娘がおりまして、そのブスっ子にカッシアの聖女(=リタ)がどうにかこうにか彼氏を授けてくれたんだけど、それもほんのつかの間ですぐにいなくなっちゃったんだと。その時にそのブスがリタに言ったセリフとされている。贈り物として一度受け取ったものを返せといわれても返したくない時に、冗談めかして言うフレーズ。

二) ORIGEN DE LOS DICHOSというページにもありますから

Se dice que una doncella le pidió un novio a Santa Rita de Cassia, abogada de los imposibles. No se sabe si fue un milagro pero el caso es que a los pocos días le salió un pretendiente, pero el mozo no estuvo mucho tiempo con ella, por lo que la doncella se plantó delante de la Santa y la dijo: -"Santa Rita, Rita, lo que se da no se quita". El novio no volvió pero a nosotros nos dejó el popular dicho.

Posted by: Reine | Sunday, November 04, 2007 at 11:45

アナがポップスを聴くシーン(Youtube)でかかっている曲は、言うまでもなく、Jeanetteの『Porque te vas』(『Serie 3 X 4』などに収録)

ちょっと検索すると気づくと思うけど、『Porque te vas』と『Por qué te vas』と表記が揺れている。ここ、意味違って来ちゃうから大事なとこだよね。文法的な意味が違ったら歌詞の気持ちも変わるから。

http://es.myspace.com/jeanetteeeeeeのトップにおかれたビデオだと前者「Porque te vas」。そしてまた当時のレコードジャケットにも「porque te vas」だから、そうなのだろう。

先ほどのYoutubeは私も持っている日本版のシーンだけど、「porque te vas」に沿った字幕となっているよね。「あなたが去るから」と。私の心は沈みます、あなたが行ってしまうからというわけだ。ちょっとそのシーン、見てみようか:

窓には光がふり注ぐけど
街を眺める私の心は沈むの
あなたが去るから

毎晩あなたを考えて
目を醒ますの
時計の針が空しく時を刻むわ
あなたが去るから

あなたと共に去りゆく私の恋
私のことなど忘れてしまうのね
駅のそばで子供のように泣くわ
あなたが行ってしまうから
あなたが行ってしまうから ……略……

porque te vas」だとそのように訳される。「Because you're going away」。
現在の悲しい心境を列挙して「あなたが行ってしまうからよ」と添えている。これをどう解釈するかだけど、そうだなぁ、私が思うにこの女性は別れについては納得してるね。男が自分を置いて出て行ってしまうという現実を、彼女はもう呑んだ。そりゃたしかに辛いけれどもしかたのないこととみてる。今更じたばたするでもない。男はもう荷物まとめて玄関で靴を履いてるような最終段階ですよ。女は去っていく男の背中に向かって「あなたが行っちゃうから私は寂しいのよね」とチクチクと刺すけど、それをもってサヨナラに代えている節がうかがえる。ウジウジしてるようでいて彼女は案外とタフだと思う。

じゃぁ、「por qué te vas」としてしまうとどうなっちゃうか。「Why do you go?」。
上述の和訳の「あなたが去るから/行ってしまうから」の部分をすべて、「どうして行ってしまうの?」に変えて読むと、往生際の悪い甘ったれた女の姿が浮かんでこないかね。この分じゃ男はまだ荷造りしてる段階かもしれないな。その周りをちょろちょろしながら女がのべつ訊いてるわけよ、「ねぇ、どうして行っちゃうの?」って。≒「行かないで」なんだろな。この女性は男の決断をまだ承諾してないのでしょ。男の翻意もまだまだありうると考えてる。期待してる。悪あがきすればもしかしたら男は残ってくれるかもって。こういうのを女々しいという。

※女々しい: 柔弱である。いくじがない。未練がましい。[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]


私のこうした偏見によれば、この二人の女性はまったく性格は違ってくるね。

Posted by: Reine | Sunday, November 04, 2007 at 13:00

その他、思ったことMEMO

・叔母さんが妹マイテを抱えて湯船に入れてやるシーン。湯が熱かったのか、マイテ(役の子)はヤダヤダと抵抗する。

このシーンはたぶん素だったと思う。NGシーンすれすれで撮影続行したんだと思う。浴槽から慌てて飛び出しながらマイテ役の子がチラッとある方向を見るんだよね。撮影スタッフの誰かがソコに立っているような、その人の顔をうかがうような表情で彼女は見る。

そして、浴槽のへりに腰掛けて妹の入浴を見物しているという設定だったであろう長姉役の子も、「これ、どーすんの? (・∀・)ニヤニヤ」とでも言いたげな笑顔で、マイテ(役の子)が見たのとまったく同じ方向に視線を送ってる。

そしてマイテが泣き出すんだけど、これはマジ泣きだな。


・美しき母を演じたジェラルディン・チャップリンは監督カルロス・サウラと長くつきあっていて子供ももうけていたのか。彼女のスペイン語はとてもわかりやすい。夜中にご帰館のアンセルモと話し合うシーンなんかで、ちょっと訛りが出たような気もしたけどね。ディクテーション向け。


・バスルームはあちらの人にとっては「ルーム」なんだな。歯磨きをする人、髪を整えてもらう人、整える人、その脇で便座で用を足す人がふつうに会話しながら居る場所。

これ、スペインで暮らしていた時に欧州の子たちに仕込まれた。「あんたも早くこういうの慣れなさいよ」と。夜遊びなんかに繰り出す時、一人ずつやってたら間に合わないじゃないですか。みんなでいっぺんにいろんなことを済ませちゃうんだな。

ちなみに、クラブなんかで女子トイレに行列ができてる時によく見かけ(そして私も実践してい)たのは、友達二人とかでいっしょに個室に入っちゃうやつね。「目ぇつぶってて」的な。

「こういうのは日本だと小学生までだ」と最初は説明して抵抗してたんだけども、そのうち私も「あぁ、たしかにこの方が合理的っちゃ合理的か」と納得してた。

Posted by: Reine | Sunday, November 04, 2007 at 13:18

さて、とてもとても書ききれないので、このあと『第2章』を書きます。

何時間かかるかわかりません。本題は第2章です。

第2章をよろしくどうぞ。

Posted by: Reine | Sunday, November 04, 2007 at 13:24

本文中にも加筆しておきましたが、長い長い間ずっと○万円もしていた『カラスの飼育』DVD、2009/11/28、HDニューマスター版発売だそうです。これで手に入りやすくなりますね。

Posted by: Reine | Wednesday, September 16, 2009 at 08:45

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