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Sunday, September 16, 2007

Machuca / マチュカ~僕らと革命~【ワールド・チルドレン・シネマ】[チリ映画]

machucaクーデターがどうした、軍事独裁政権がこうした、粛清がどうで、拷問がこうで……っていうようなこと、私、知りたくないんだよね。知らないで済むなら知らぬまま一生を終えたい。

そういうテーマの映画ってホンットに嫌い。リアルに描いていようがぼかしていようが、どこの国のいつ頃の話であろうが、ヤだ。怖い。身震いがするわ。(∩゚д゚)ワーワー


というわけで、観てしまった記憶を消したいのに何年経っても消せないのが、たとえばこういった作品群:

・『蜘蛛女のキス
・『愛と精霊の家
・『死と処女
・『キリングフィールド
・『ベント~堕ちた饗宴~【字幕版】

どうして観ちゃったのかなと、呪わしい。あまり用いたくない表現だけど、‘トラウマ’ です。そして、もう一作挙げると、

・『セプテンバー11』のケン・ローチの篇 ⇒ http://es.youtube.com/watch?v=7vrSq4cievs (ポルトガル語字幕)

このオムニバス映画はたしかNYの911のちょうど1年後、つまり2002年の9/11深夜にテレビ放映されたと思う。私はそのとき観た。今、これを書くために5年ぶりに観るけど、アジェンデ政権が崩れた5分50秒から先を観たくない。あー、やだ。ほんと、観たくない。なんで、私、こんなの観直してんだろ……

………(やだやだ言いつつ観ているとこ)………

で、観終わって、たった11分の映像なのにドッと疲れているわけです。なんて恐ろしいんだろう。

IMDbのレビューよりストーリー説明:
>A man from Chile writes a letter to the American people of what happened the 11th September 1973. That was the day president Allende was killed in Pinochet's coup d'état with aid, as Loach puts it out, from CIA and support from Nixon and Kissinger. You see films from Allende's days and from the coup days, hearing stories about the sexual torture of political prisoners, including women being raped by dogs and so on.

Youtubeのポル語字幕から一部:
Um dia, na prisão, vi um homem sendo arrastado pelos braços. Ele não conseguia andar. Sangue saia de seus ouvidos. Quebraram os ossos dele e depois o assassinaram. Ficamos sabendo sobre os campos de tortura dirigidos por oficiais do Exército treinados nos EUA. Ficamos sabendo sobre os que foram estripados, jogados de helicópteros, torturados diante de seus filhos e cônjuges. Sabem o que eles faziam? Ligavam fios elétricos nos genitais. Enfiavam ratos na vagina das mulheres. Treinaram cães para estuprar mulheres. 

ごめん、私、こんなの日本語にしたくない。やだ。文字打ってるだけで身の毛がよだつ。こんなこと思いつくのも正気の沙汰でないし、実行できるのはますますどうかしてるよ………っつってもたぶん我々は誰でも実行できてしまうのだろうと思えてくるから、余計に恐ろしいのである。


さて、ここでようやく『Machuca』の話に入るわけです。「チリ、サンティアゴ, 1973」という文字から始まる。

南米のことはよく知らないので、1973年のチリについて予習しないといけない。ということで、映画は始まった途端にひとまず停止。中南米の映画となると予習タイヘンすぎ。

チリ・クーデター@Wikipedia

日刊ベリタ : 記事 : もうひとつの9・11 チリでの軍事クーデターの日 社会の痛手は癒えたのか?


さて、予習はほどほどにして映画に戻ると、冒頭、朝のラジオニュースが聞こえてくる。
「…ホセ・トア大臣は野党の反動主義的な案を非難し…」

また停止。まだ映画は2分30秒しか観てないのに、ここまで書くのに2時間はかかってる。

えーっと、ホセ・トア大臣とは?

アジェンデ政権(=世界ではじめて選挙によって合法的に誕生した社会主義政権)の内相・国防相だった人なのですね。社会主義者。チリの911で身柄を拘束されてから半年後に亡くなったようです。亡くなったんですか、自殺したんですか、殺されたんですか。『Memoria Vivaというページ (チリ軍政下の人権侵害に関するサイト)』を読むと、半年で27キロも痩せて最後の病院施設に移送された頃には、BMIなんて13.29だったみたいじゃないですか。ひどいことされたんだろうな……((((;゚Д゚))))


で、えーっと、もうここらでホントに映画を観始めたいと思います。

つまり今日の映画『Machuca』は、チリに上述のような時代が訪れてしまう直前のサンティアゴを舞台としたお話です。ピノチェトの時代はすぐそこまで来てるんです。(予習終わり)
____________

DVD(スペインから購入)のあらすじ紹介
チリ、1973年。ゴンサロ・インファンテとペドロ・マチュカはサンティアゴに住む11歳。ゴンサロは裕福な地区、ペドロは数ブロック先に最近違法に建てられた貧困層のバラック密集地にそれぞれ暮らす。学校が統合政策を試みたことで、この二人の少年は出会うのであった。二人を分かつ目に見えない強大な壁。革命の希望に満ちたこの時代、夢を実現したくてその壁を打ち破ろうと願う者もいた。
____________

ここまで読んだら、あのジャケ写で女の子を挟んで肩を組む二人の少年の、どっちがゴンサロ・インファンテ(お金持ち)でどっちがペドロ・マチュカ(貧乏)だか、顔でもうわかるでしょう。
_________


1) ネクタイも結んで制服もパリッと決めたゴンサロ少年の教室に、校長であるマッケンロー神父が、穴のあいたセーターを着た浅黒い肌の子供を数人連れて入ってきた。

神父: 新しいお友達を紹介します。この子たちは学校のすぐ近くに住んでいるので、どこかですれ違った覚えのある子も多いんじゃないかな

児童たち: ……。

神父: えぇぇ? ほんの何ブロックしか離れてないんだよ? .

児童その1: 僕あの子のこと知ってます。うちの洗濯の小母さんの子供です。

神父: ほらね。よーし。今日からは同級生ですよ。きちんと迎え入れましょう。兄弟を迎えるようにね。いいですか。

ペドロ・マチューカがたまたまゴンサロ少年の後ろの席に座ることになり、二人は仲良くなっていった。


2) いかにも意地の悪そうな卑怯な目をした狡猾で陰湿で粗暴な面もある威張り屋のガストンが、休み時間にさっそくペドロ・マチュカをつかまえて言い放つ:
「俺たちが施してやってるんじゃん。君、授業料なんか払ってないだろ? うちのお父さんたちが君らの分まで払ってやってるんだぜ」


3) ペドロの近所の、ちょっと大人びた女の子シルバーナ。ゴンサロが「momioってどういう意味?」と聞いたとき:
「なんにもわかっちゃいない金持ちのことよ、あんたみたいなね」。(※momioについては後述)


4) ペドロの父はアル中。ペドロが父にゴンサロを「友達さ」と紹介した。アル中親父は言う:
「‘友達’? ‘と・も・だ・ち’? あと5年もしたらその‘友達’とやらがどうなるか、お前はわかってんのか。このお方は大学に行くんだろーよ。お前は便所掃除でもしてるんだよ。それじゃ10年後はどうだって? 10年後はこのお友達はパパちゃんの会社で働いてるよ。お前はまだまだ便所を磨いてるんだろうが。15年後にはこの方はいよいよ会社を継いで、はい、お前は? 言ってみろ。まだまだ便所掃除だよ。‘友達’ってか。その頃にはお前の名前だって覚えちゃいねーよ」


こういう人物関係から成るストーリーです。


ゴンサロの5つ年上の姉には彼氏パブロがいる。パブロ青年はテレビに映るアジェンデを指し、「こいつ、馬鹿じゃねーの」と言っている。富裕層ではあるが社会主義にも理解があるゴンサロの父はこの若者をよく思っていないようだ。パブロ青年は、ペドロ・マチューカに初めて会ったときも、やはりと言うべきか、嘲りからかい、そして威嚇するのであった。冷たい顔をしたこの青年はやがてナショナリズムに傾倒する。

映画序盤でパブロ青年(Tiago Correa)が映った時には「いゃん♥ 冷たい系イケメン(*´Д`*)」と色めいたんだが、映画が進むにつれこの男のその後が想像されてゾッとした。『愛と精霊の家』のヴィンセント・ギャロ並みに忌まわしい存在に思えてきた。


陰険なクラスメートのガストンやパブロのような人が、もうちょっと大人になって権力や武力を手にしたら何をすると思う? ペドロたちのような‘川向こう’の人々をいったいどうするだろうね。

『Machuca』は素晴らしい映画。でも、私、これを‘いい話’とは言いたくない。

これは、恐ろしい話。


(チリ映画)
・まさに今日スペインラテンアメリカ映画祭で上映された作品
Machuca@IMDb
Machuca 公式
マチュカ ─僕らと革命─@ぽすれん

・DVDGOで12.93ユーロ

2009.09.18 加筆 
DVD発売日: 2009/12/18sign03

監督: Andrés Wood アンドレス・ウッド
脚本: Eliseo Altunaga  Roberto Brodsky Mamoun Hassan Andrés Wood

出演:
Matías Quer マティアス・ケール ... Gonzalo Infante ゴンサロ・インファンテ
Ariel Mateluna アリエル・マテルナ ... Pedro Machuca ペドロ・マチュカ
Manuela Martelli マヌエラ・マルテリ ... Silvana シルバナちゃん
Ernesto Malbran ... Father McEnroe マッケンロー神父(校長)
Aline Küppenheim ... María Luisa Infante ゴンサロの綺麗なママ
Federico Luppi フェデリコ・ルッピ ... Roberto Ochagavía ロベルト・オチャガビア(ママの友達)
Francisco Reyes フランシスコ・レジェス ... Patricio Infante ゴンサロのパパ
Tiago Correa チアゴ・コレア ... Pablo パブロ青年
Alejandro Trejo アレハンドロ・トレホ ... Willi ウィリー小父さん
Sebastian Trautmann セバスティアン・トラウトマン ... Gaston いじめっ子ガストン

←クレジットタイトルなどでかかる曲:
チリのバンドLos Jaivasの『Mira niñita』

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Comments

<参考>
たぶん学習用の資料(英語・スペイン語) ※pdfファイル

・あと、私は目が痛くなっちゃったので斜めにしか読んでないけど、熟読したらきっと面白いと思う国立教育政策研究所の論文。PDFファイル。『教育における国家原理と市場原理 ─軍政下チリでの新自由主義的教育政策の形成過程─

Posted by: Reine | Sunday, September 16, 2007 at 23:56

キオスク(?)の新聞の見出し

1) Si el comercio queda en una sola mano: La del estado!

2) ¡Renuncie!
Hágalo por chile.

3) La Vieja Economía Capitalista ha Muerto

4) Hoy, gigantesco paro de trabajadores
¿arranquen momios, vienen los roootos!
El pueblo, en guerra contra momios y fascistas.

・momio, a: [Chile] Carca, reaccionario.
・roootos: ←この語がわかんないんだけど、これ何ですか?

Posted by: Reine | Monday, September 17, 2007 at 00:01

ウィリー小父さんとシルバーナちゃんとペドロの‘仕事’につきあうゴンサロ坊ちゃん。その‘仕事’とはデモ隊に小旗を売ることなのだが、左右両派の旗を用意してあってそれぞれに売りつけるのだ。

デモのシュプレヒコールは韻を踏みがちで、けっこう面白い。うまいこと言うもんだなあと思う。

まず右のデモ
1a) 「Allende, Allende, la Patria no se vende. アジェンデよ、国を売ることはできないぞ」

1b) 「(ぴょんぴょん飛び跳ねながら)¡El que no salta es de la UP! 跳び撥ねてないのは人民連合の奴だ」

・UP: Unidad Popular(人民連合)のことか


小旗を売り切ったら左のデモに移動。
2a) 「Allende, Alldende, el pueblo te defiende. アジェンデ、国民はあなたの側だ」

2b) 「El que no salta es momio. 飛び跳ねないのは反動野郎だ」

1のデモで周囲がみんなぴょんぴょんしてる時に「ほら、跳んで跳んで」と目で促してたウィリー小父さん。ゴンサロもペドロもとりあえず跳んでみた。シルバーナちゃんは跳ぼうとしなかったね。いや、跳ぶまいとしていたね。そして2のデモではシルバーナちゃんは積極的に跳ぶのでした。


そして左右の対立は激しくなり、もっと右のデモが現れる。
3) 「Nacionalismo, Presente, Nacionalistas, Adelante. Frente Nacionalista, Patria y Libertad」。

(ゴンサロのお姉さんの彼氏パブロが参加する)

Frente Nacionalista Patria y Libertad (= Patria y Libertad)ってのは、「祖国と自由」っていうのかな? 右翼ね。準軍事的なナショナリストの団体って。で、この人たちがCIAから援助を受けて活動していたとか、ピノチェト政権下での73年~90年の間に人権蹂躙に加担した者もいるとか。


4) 「Comunistas, desgraciados, cafiches del estado. 共産主義者、ろくでなし、国家のヒモ」

(このデモには、ざーます系の奥様連中が参加してます)

Posted by: Reine | Monday, September 17, 2007 at 00:13

・二人の少年が自転車に二人乗りするシーン。町の壁に『UNCTAD III』という落書きが見える。Conferencia de las Naciones Unidas sobre Comercio y Desarrollo(国際連合貿易開発会議)か。第3回は1972年にサンティアゴで開催されたのね。

・マチューカの家というか掘っ立て小屋には「Venceremos! 勝利」と書いたアジェンデのポスター

・町の通りに沿った壁。最初に映ったときは「No a la guerra civil. 内戦反対」だった壁の落書が、次に映ったシーンでは「No」の語が消されている。「A la guerra civil. いざ内戦」。そして最後に映るときには……。

Posted by: Reine | Monday, September 17, 2007 at 00:18

テレビニュースなどの映像は当時のリアル映像なのかな???

・夜のテレビ番組:
「Por primera vez, un presidente chileno llegó a la Unión Soviética. En el Palacio de Kremlin, se firmó el comunicado conjunto. La Unión Soviética respalda a Chile ... チリの大統領がソ連を訪問するのは初めてのことです。クレムリン宮殿にて共同声明に調印しました。ソ連はチリを支持します」

・ついに9月11日(火)がやってきた。La Moneda(大統領官邸; ラ・モネダ)爆撃の様子と、アジェンデが自殺した(と思われる)という報道を見つめる。テレビから「después de tres años de soportar el cáncer marxista, que nos llevó a un descalabro económico, moral y social que no se podía seguir tolerando わが国を経済・道徳・社会的敗北への道連れにした有害なマルクス主義に3年ものあいだ耐えてきて…」とかなんとか聞こえてくる。

Posted by: Reine | Monday, September 17, 2007 at 00:29

前出の教育政策研究所のPDFの6ページ:

>新しい社会主義的人間像の形成をめざすというイデオロギー的色彩の濃い統合国民学校の構想は、保守派のみならず、それまでアジェンデ政権に対して比較的中立の立場を取ってきた教会や軍部をも警戒させるものとなり、激しい論争を巻き起こした。

>また、政権誕生の際の公約に反して私立学校への介入をも示唆する姿勢を示したことでキリスト教民主党の離反をいっそう深めた。権力基盤が弱体であり、またますます混迷の度を深めていた経済状況もあり、統合国民学校の構想を実行に移すことは事実上不可能であった。まもなく政府はその撤回を宣言するにいたる。

>しかしながら、統合国民学校をめぐる論争の激化は、教育の枠をこえた政治的問題となり、最終的に軍のクーデターを招く要因の一つとなったと言われている。

↑↑↑↑
ゴンサロたちの通う私立小学校のPTA総会の様子、わかりやすかったです。児童の親たちの対立の構図。ゴンサロのお父さんは学校の(神父さんの)やり方に理解を示しているし、猛烈に反対する人に反論もしてる。

でも、ゴンサロのお母さんは、「どうして梨とりんごをいっしょにしなければいけないんですの? えぇ、私、わかってますわ、どちらが良くてどちらが悪いというものでもないってことは。でも、だって、‘違う’んですから」と発言する。

お父さんは、「いや、‘違う’からこそ、こうして統合する試みが重要になっているんだよ」と隣に座る妻に言い聞かせる。

もうね、この夫婦は愛情面でも思想面でも離れてしまっているのよね。

Posted by: Reine | Monday, September 17, 2007 at 00:35

今から、大事なシーンのことを話しちゃうから

↓↓↓↓

大事なシーンについて話しちゃうよ

↓↓↓↓

学校はいよいよ軍部のコントロール下に入った。マッケンロー校長(=神父さん)は、軍部の執り行うミサに闖入する。一礼してから聖櫃に歩み寄り口付けするや、聖体をぜーーんぶ食べてしまう。子供たちや教職者、軍部が息を呑んで見つめる中、泣きながら噛みしめるように全部を。

そして、「Este ya no es un lugar sagrado. ここはもはや聖域でもなんでもない」と言ってろうそくの灯を消し、「El Señor ya no está aquí. 神はここにはもうおられない」と言い、立ち去る。


と、ここら辺で、おーーー。こう来たか。「ぉほーーーー」と声(というか吐息)が出ちゃったよ。これは予想してなかったわ。こんな『Dead Poets Society』的な展開をここに挿んで来るとは。

おーーーー。ほほぅ。そうか。

ちなみに:
「The ending of Dead Poets Society. A Great Scene」@Youtubeのシーンは好きだし、この5分20秒を観ただけでも泣けるんだが、『Machuca』を見た後だと、やっぱり暑苦しいと感じるな。

Posted by: Reine | Monday, September 17, 2007 at 00:44

・「どうか、裏切らせないで」と祈りながら観ていました。子供同士の裏切りを私に見せないで、と。

二人の少年の笑顔がいい作品なんだけど、やっぱり、IMDbのジャンルで「Drama」となっているのはキツいな。私は「Comedy」って書いてないとつらい。


・ゴヤ賞の最優秀スペイン語外国映画賞にノミネートされたそうだけど、これが受賞しなかったらいったい何が受賞できたっていうのさ。と思い、調べてみたら、『ウィスキー』とぶつかったのですか。そうですか。なるほど。

Posted by: Reine | Monday, September 17, 2007 at 00:48

語句メモはあとで。

さすがに疲れた。中南米の映画には予習が必要になってくるので時間がかかってしょうがない。たぶんこれまでの約50作品(?)の中でも労力最大級だったと思う。


おぉ、そうだ。
これまでにブログで扱ってきた作品の中でも最大級といえば…

この映画のキスシーンのエロさはすごかった。子供なのに。

Posted by: Reine | Monday, September 17, 2007 at 00:52

ゴンサロのママ。16歳と11歳の二児の母とも思えない美しさを保っている。奥様連中といっしょにいても一際目立つ美貌とセンス。爪を整え、髪をセットし、おしゃれ最先端の服を仕立て、海外出張へ旅立つ夫に靴をねだり。

Piedras(靴に恋して)』で、富裕層ながら万引きをやめられない、高級靴コレクションを虚しく続けているイサベル夫人が晩餐にて、「女なんてみんな娼婦なんですから」と発言していたけれども、ほんと、ゴンサロのママなんてビッチだな。

私も「…puta……」と思わず呟いたシーンがあったよ。

Posted by: Reine | Monday, September 17, 2007 at 09:30

語句メモ
・huevón, na: adj. despect. vulg. imbécil (= alelado).

・pituco, ca
1. [形][名] despect. coloq. [アルゼンチン・ボリビア・チリ・エクアドル・パラグアイ・ウルグアイ] presumido (= que se compone o arregla mucho).
2. [形][名] coloq.[ペルー] Dicho de una persona: De clase alta.

・once: Chile Onces; merienda de por las tardes.

・hacer, o tomar, las once:
frs. Tomar un refrigerio ligero entre las once y las doce de la mañana, o a diferentes horas de la tarde, según los países.

・manilargo, ga: [形] largo de manos
→ [形] Inclinado a hurtar o a robar.

・「Los niños y los curados no mienten, ¿no? 子供と酔っ払いはホントのこと言うわよね」

・curado: 2. adj. [アルゼンチン北西]. ebrio (= embriagado por la bebida)
・curarse: [Chile] Embriagarse, emborracharse.

・concientizar: [アメリカ] concienciar
→ concienciar: 意識させる,自覚させる

・víveres: [男][複] Comestibles necesarios para el alimento de las personas.

・cafiche: [男][蔑][チリ] proxeneta
→proxeneta: Persona que obtiene beneficios de la prostitución de otra persona.

・エンディングで説明: En memoria del sacerdote Gerardo Whelan c.f.c. rector del colegio Saint George de Santiago entre los años 1969 y 1973. (1969年から73年までサンティアゴの聖ジョージ校の校長だったジェラルド・ウェラン司祭を偲んで)


・ちなみに『愛と精霊の家』はスペインで授業中に吹き替えものを見た。その時の先生は北スペイン出身ということも関係あったかなかったか、とにかく真面目で厳しい母親というイメージの女性だった。

彼女は、ヴィンセント・ギャロがウィノナ・ライダーに尋問するシーンでは、「ここからのシーンは鬼畜ですから、ちょっと早送りします」と言ってテレビ画面を隠すように立って、すっ飛ばしてくれました。

なので私はギャロの行為については「サイテーなことしたんだろう」という想像しかできてません。

Posted by: Reine | Monday, September 17, 2007 at 09:56

タイトル『Machuca』について。これ、極貧家庭のペドロの苗字ね。

のちに極右活動に傾くパブロ青年とペドロの初対面のシーン。ゴンサロ少年が制止してもきかず、パブロはペドロをからかう。「名前は?――ペドロ? (・∀・)ニヤニヤ 苗字だよ、苗字は? ――マチュカ? マチュカって言うんだ( ゚∀゚)アハハ  マチュカだって」みたいな失礼な態度。


このシーン観たとき、「マチュカ」っていう苗字はなんかこう先住民的な被征服民的な典型的な苗字だったりしてそういうのもあってパブロは嗤ってんの??? 

と思ったんだけど、そういうわけでもなくて、スペインから行った苗字のようだし。スペインでは数からいうと3806番目の苗字だって。

Posted by: Reine | Monday, September 17, 2007 at 10:22

もう一つだけ書いとこうかな。

ケン・ローチのあの短編ね。あれを作った意義はわかるし、知りたくないことを知らせてもらったのはヤだけどやっぱり知らなきゃいけなかったんだと思うし、知ってよかったのだと思うし。

でも、なんつうかな。それはやっぱり自分だけで作れば?と思っちゃったよ。別の機会にいくらでも言いなよ、と。この場で言うこととは、私はあーーんまり思わなかった。
↓↓↓
>2001年9月11日、ニューヨークとワシントンD.C.を震撼させた同時多発テロ事件。この事件を風化させないため、11人の有名監督が各々の視点で「11分9秒1フレーム」の短編映画を製作し、平和へのメッセージを描いた(amazon.co.jpより)

Posted by: Reine | Monday, September 17, 2007 at 11:29

コメントありがとうございました。
すばらし〜〜♫これは体力消耗しましたね。
ついつい、全部読んじゃいました。
自分のブログのコメントにも書いたのですが、
この背景となっている時代から、ピノチェト政権と崩壊、
そして今のバチェレ政権ができたところまでを知ると、
あの切ないラストシーンが絶望の最後というだけではなく、
「ここから始まったんだ」という希望もちょっと持てるのですが。
残念ながら、映画だけだと、絶望で終わっちゃう感じですね。
あのコンデンス・ミルクを口に含みながらのキスが切ないなあ。
ラテンアメリカもアフリカも貧しい人々にとって、
「砂糖」や「甘いこと」が一番の贅沢なので、ほんと、切ない。


Posted by: vagabunda | Monday, September 17, 2007 at 21:19

vagabundaさん
この映画、絶望の10数年への扉が開かれたところで終わっていますからね。あの子やこの人はその後どうなったんだろうと想像するのが苦しかったです。そのあとに残虐の歴史が展開していくってことを、後世(?)の我々はわかってしまっていますからね。

スペイン内戦もイデオロギーが違えば隣家同士でも敵対するような状況だったと思いますが、内戦だの何だのってのは本当にダメですね…。『Machuca』で、市民同士の反感がどんどん敵意に変わり憎悪にまで煮え立っちゃってる様は絶望的でした。ほんとに、何もかも誰も彼もが引き裂かれちゃうんだよなあ……。いかんねぇ、内戦は。ゴンサロの学校もそこかしこに空席が目立っていましたね。

ヌンチャクを振り回しペドロを威嚇し、それでもひるまないペドロにいっそう苛立っていたパブロは、ピノチェト時代には何をしたでしょうか。パブロに限らず、システムに組み込まれた時には人間はやれるところまでやっちゃうんだろうな、と。『Machuca』ではもうそこから先の時代のことは描いていませんでしたが、私はそれがひたすら怖かったです。

※今日は、やはり今日映画祭でかかっていた『Estrellas de la Linea』(やはりDVD購入)について仕上げたかったのですが、さすがに『Machuca』後遺症で腕が痺れていたのでできませんでした。

Posted by: Reine | Tuesday, September 18, 2007 at 00:23

1. SilvanaはPedroの従姉だったような

2. ※物議を醸した1974年ワールドカップ予選

>(……なんだかんだといろいろ勝ち上がってたりして…略……) 1973年9月26日=クーデターの2週間後、モスクワでアウェー。引き分け。こんどはホームだったんだけど、ソ連がチリの国立スタジアムで戦うのはごめんだと言う。

>Ante la situación, la FIFA se negó a trasladar el partido a una cancha neutral. FIFAはどこか別のサッカー場に場所を替えることはしないと発表。

それがあの新聞『El Mercurio』誌の見出しだったわけだな。クーデター勃発後のシーンでちょっと映ったでしょ。なんのことかなあと思ってたんだ。
↓↓↓
新聞見出し
『FIFA informó al Mundo que La Vida en Chile es Normal. --- Hablan Álamos y Jugadores: Nos habría gustado ganarles jugando. FIFAはチリの情勢はいたって正常と発表。 アラモス監督はじめ選手は語る: ソ連にはちゃんと試合で勝ちたかったね』

>ソ連は最終段階まで抵抗していたから試合に間に合わなくて、結局、チリの選手だけの状態で試合開始の笛が吹かれて、ボールを回してゴールを決めて、形としてとにかく勝った。んだってね。


ソ連が拒絶したというチリ国立スタジアムってのは、9/11クーデター勃発から同年11/9までは市民を逮捕して拷問するための収容所として使われていたって。ビクトル・ハラが指をつぶされて殺されたのもこのスタジアム?

※日本のサイトなどでもこういったサッカー事情についての記事はたくさんあるようですが、最初に目に入ったのはこちらでした
↓↓↓
「ピノチェト危篤」の報にもう一つの「9.11」を思う・・・

Posted by: Reine | Tuesday, September 18, 2007 at 12:38

映画祭で見てきました。このマチュカをはじめ今年はやたらと社会的暴力を扱った映画が多かったような気がするのだけれど、それがほとんど失敗して消されてそれでおしまいみたいなのが多くて、あまりに救いがないものばかり。マチュカはまだ主人公は生きているわけだけれど、El camino de los inglesesやEl violínやHacia la oscuridadに至っては破滅してるし、Manda Balaはドキュメンタリーで現在進行形。正直かなりきつかった、テレビで怖いシーンが出てくると、チャンネル変えちゃうくらいな人なので。

Posted by: KLE4c | Wednesday, September 19, 2007 at 14:07

KLE4cさん
そうそう、映画祭行かれたんですよね。私も行こうかなどうしようかなとけっこう悩んだのですが、基本的に私は‘並ぶ’のが嫌いでね。並んでチケット買うとか、無理です。

あと、これっだけの労力を注がないと結局『Machuca』の感想なんて書けなかったわけですから、やっぱり私は映画館で観るのは無理なんだなぁとあらためて思いました。

今回は重苦しいというようなコメントは目にしますね。

私は一昨日から小分けに『Estrellas de la Linea』を観ているところです。そろそろ観終わります。ふゅ~ん、これもやっぱりキツいかもしれません。

Posted by: Reine | Wednesday, September 19, 2007 at 21:05

本文にも加筆しておきましたが、DVD発売のおしらせです。『【ワールド・チルドレン・シネマ】マチュカ~僕らと革命~ [DVD]

これ、ほんと、観てね。

昨夜LBFFのパーティーでWood監督に「『Machuca』観ましたよ。泣いてしまいました。ほんとに泣いた」と言ったところ、「ありがとう。それから、ごめんね。悪いことしたね」と言っていましたhappy01

Posted by: Reine | Friday, September 18, 2009 at 12:06

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Tracked on Sunday, December 28, 2008 at 21:21

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([E:danger] わりとサラっと観たので注意点がいくつかあります。[E:danger])(サラっとどころか別の作業の時にBGVとしてつけていただけ、みたいなもの)(あと、たいへん困ったことにこれはホラー映画なので、なるべく画面を見ないように声を聞かないように努めていたという致命傷もあって……それにやっぱり怖くて巻き戻して確認することなどとてもできなかったので記憶も非常に曖昧で……って、それダメじゃん。ぜんぜん観てないじゃん!)(これでは鑑賞したとはとても言えないのですが……じゃあ書かなきゃ... [Read More]

Tracked on Wednesday, July 15, 2009 at 21:17

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