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Thursday, August 16, 2007

Iluminados por el fuego / ステイト・オブ・ウォー [アルゼンチン映画]

Iluminados por el Fuego(1年前の第3回スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映されたアルゼンチン映画)

2001年12月ブエノスアイレス
エステバンは友人バルガスの妻マルタから電話を受ける。バルガスが薬を大量に飲み自殺を図ったという報せであった。エステバンは昏睡状態のバルガスをマルタと共に見守る。バルガスはフォークランド紛争で行動をともにした戦友であった。

「自殺を図った帰還兵は290人を超えた」「あの島で戦死した兵士の数に匹敵する人数だ」。バルガスの枕頭に詰めるエステバンは戦場での日々を回想する。'82年4月、エステバン18歳。
_______________

子供の頃、あれはなんだったのかなぁ、あれかな、田中邦衛が銃でどうかしちゃうやつは『人間の條件』ですか? たぶんそれを観たのよ。それとか、太っちょがああなっちゃってどうのこうのしちゃうのは『フルメタル・ジャケット』だよね? あれも見るともなしに見たね。

あれらが強烈な印象を私に与えたとみえて、私、戦争映画、大NGなんだよね。まず上等兵の理不尽な言い草が頭に来るだろ、人が死ぬし、((((;゚Д゚))))ビクビクしてなきゃいけないし、とにかく悲惨で頭に来るから、もうホントにヤなのよ。

高校生のときには『プラトーン』を見て1週間後くらいに夢の中のジャングルで私はケヴィン・ディロンにぶっ殺されてたわ。あなたのお兄さん(の顔)の大ファンだと言うのに。まったく。怖すぎて死ぬかと思ったよ。

そんなだから、とにかく戦争映画嫌い。見たくない。

そうやって観るのも考えるのも避けてきたせいでしょうが、私、今回この『ステイト・オブ・ウォー』を観てようやく、「あ。そうだよね。兵士、風邪ひくじゃんね」と気づいた。気づいた時、本当に恥ずかしかった。

八甲田山』の寒そうなのも覚えてるのよ、子どもの頃に見たんだもん。けど、それでもぜんぜん、「兵士が風邪をひく」という当たり前のことには思い至らずこの歳まで生きてきてしまいました。

兵士、風邪ひくでしょう。本作では若い兵士が大風邪に苦しんでいて、ホント、やめてあげてほしいと思って、後半は鑑賞が苦痛でした。(と、これを書いているのが実は100分中の52分の時点なのですがね。できればここで観るのをやめたい)


Iluminados por el Fuego(フォークランド紛争について私は何もわかってない。当時小学生だったな。帰りの会で山田くん(実名)が説明してくれた姿は覚えてる。

大人になってスペインに行って、小勉強して1年経った頃のクラスは、北欧の子と私の3人だった。授業中ヒアリングテープでフォークランド紛争に関するドキュメンタリー番組を聞いた。聞き終わってから先生が「今のは何の話だったでしょうか」と質問したので、我々は「ナメんなよ、それくらい聞き取れましたよ」と、「Pues, el conflicto de Falkland, ¿no?」「O ¿la Guerra de las Islas de Falkland?」と答えた。先生は「Falkland?」と眉間にしわを寄せ、呆れたように「Son las Malvinas.」と言った。我々生徒は3人ともキョトーンとしてた。あの島々がLas Malvinasと呼ばれているのを、3人ともその時知った。

あの戦争についてどのサイトを読めばいいかわからないので、どこも挙げないでおきます。どこがどういう視点で書いてあるのか私にはわかんないから。

スペインの新聞『El Pais』にFOTOGALERÍA - Aniversario de la guerra de las Malvinas フォークランド紛争メモリアル写真集というのがあったので、それだけとりあえず和訳して紹介します。写真とこっちとチラチラ見てみてください。そうか今年2007年は25周年なんだね。

【マルビナス紛争終結から25周年を記念して回顧する】

1枚目: 誘因
開戦に先立つこと15日、アルゼンチンの捕鯨船乗組員が、船体の(?)解体作業のためにマルビナス近海の英領サウスジョージア島に上陸。イギリス政府は抗議声明を発表、船員が島にアルゼンチン国旗を掲げたとして強制退去の警告も発した。この一事が両国間に緊張をもたらした。

2枚目: アルゼンチン軍、マルビナスに侵入
1982年4月2日アルゼンチン軍が英領マルビナス諸島(アルゼンチン沿岸から480km)に侵攻開始。同日、英国は軍隊に厳戒態勢を指示、国連安全保障理事会は本件について協議を行った。

3枚目: マゼランに発見され、後に英領に
マルビナス諸島は1520年のマゼラン遠征で発見された。その領有権はスペイン、フランス、アルゼンチンと移ったのち、1833年にイギリスの手に渡った。以来、マルビナス諸島は常にイギリスとアルゼンチンの外交的緊張の核であった。1982年4月2日から6月14日まで続いたマルビナス紛争は、まさにその結着ともいえる事態だった。

4枚目: イギリスはアルゼンチンと国交断絶
アルゼンチンはマルビナス諸島および 南ジョージア・南サンドウィッチ諸島の領有を主張。同日イギリスはアルゼンチンとの国交断絶を通告。出軍および対アルゼンチン経済制裁を発表した。

5枚目: 対陣
4月5日、イギリス軍がポーツマス港およびプリマス港からマルビナス諸島へ向かう。5月1日、イギリス軍はマルビナス諸島の主都プエルト・アルヘンティーノを、翌日にはもう一つの主要都市プエルト・ダーウィンを海空から攻撃した。5月6日、アルゼンチンの巡洋艦ヘネラル・ベルグラノが原子力潜水艦コンカラーによって撃沈され、323名の海軍兵士が命を落とした。

6枚目: 外交
5月6日、国連は両軍の撤退、平和交渉の開始、対アルゼンチン経済制裁の撤回、交渉中の国連による暫定統治などの項目を含む調停案を提示。サッチャー政権はこれを拒否

7枚目: 英国軍の動員
5月12日、輸送艦としてのクィーン・エリザベス2号に乗り込んだ3000人のイギリス兵士がサザンプトン港を出発。その中にはグルカ兵もいた。以降、海戦・空戦ともに激化した

8枚目:
国際機関はいずれも終始両国に対し紛争の解決を訴えていた。教皇ヨハネ・パウロ2世はアルゼンチン・イギリス両国の枢機卿を召集し、平和祈念のミサを執り行った。国連では幾つかの国が拒否権を行使したため、停戦決議に至らなかった。

9枚目: 陸戦開始
6月1日、イギリス軍がプエルト・アルヘンティーノから20kmのケント山占領。陸戦の開始。以降、アルゼンチン軍陣地へ大きく前進していく。

10枚目: 降伏
6月14日、イギリス軍のジェレミー・ムーア将軍とアルゼンチン軍司令官マリオ・ベンハミン・メネンデスが停戦調印。アルゼンチンが降伏を受け入れた。ブエノス・アイレスでは降伏に抗議するデモが行われた

11枚目:犠牲者 
74日間の戦闘で600人強のアルゼンチン兵士と、200~300人のイギリス軍兵士が死んだ。(死者数について諸説あり)


Iluminados por el fuego @IMDb
・英題: Blessed by Fire
・公式サイトの英語表記: Enlightened by Fire
・2006スペイン・ラテンアメリカ映画祭では『火に照らされて』という邦題だった

Iluminados por el Fuego 公式
ステイト・オブ・ウォー@ぽすれん
ステイト・オブ・ウォー@映画生活

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Wednesday, August 15, 2007

schedule (Latin Beat Film Festival '07)

Latin Beat Film Festival '07 / ラテンビートフィルムフェスティバル2007 / 第4回スペイン・ラテンアメリカ映画祭のスケジュールが発表されていたので、表にしました。ここじゃ見づらいかもしれませんが。

主催者発表
主催者配布のpdf

※タイトルはそれぞれ適当に短くしてあります
※「セミナー」「Q&A」はそれぞれ「監督:セミナー予定」「監督:Q&A予定」

『パンズ・ラビリンス』特別試写会は9/10(月)18:30~
『サルバドールの朝』特別試写会は9月11日(火)18:30~

  14金 15土 16日 17祝 18火 19水 20木
11:00    

ローラ
117分

  
ビンタ
30分
※参照
ローラ
117分  
漆黒
105分  
XXY
90分  
夏の雨
120分  

15歳
90分

13:30   

夏の雨
120分

漆黒
105分
セミナー
夏の雨
120分
トラウマ
22分
セミナー
見えざる者
25分
セミナー
ローラ
117分
16:00 オープニング  ビンタ
30分
※参照
マチュカ
121分 
レイルロード
90分
Q&A
ビンタ
30分
※参照
闇に
90分 
バッファロー
100分 

15歳
90分

15歳
90分
18:30

バッファロー
100分

 
撃て
85分
Q&A 
XXY
90分
Q&A 
塩のキス
17分
バイオリン
98分 
夏の雨
120分 
XXY
90分 
目覚め
90分
21:00

チャベス
78分

 

バッファロー
100分

 
バイオリン
98分 
闇に
90分 
塩のキス
17分
撃て!
85分
Q&A 
漆黒
105分
目覚め
90分

昨年だって『エルサ&フレド』のような良い作品をもってきてくれてたんだから、今年も期待していてよいよね。映画館で映画観るのは好みではないんだけど、観に行ってみようかな、どうしようかな。

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Tuesday, August 14, 2007

Elsa y Fred / エルサ&フレド [アルゼンチン映画]

Elsa y Fred(1年前の第3回スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映されたアルゼンチン映画)


マドリードに暮らす78歳のAlfredo(以下、フレド)は7ヶ月前に妻に先立たれ、失意の底にあった。生きる意欲を失い、心気症の傾向は強くなり、ただ薬の数だけが増えていく。仲の良いフアン医師が何かと口実を作っては誘いにやってくるが、フレドは家に閉じこもりっきりで、たまの外出といえば亡き妻のお墓参りである。

ヒステリックな娘クーカとその夫はフレドの引越など一応の世話はしてくれる。しかしそれは独りになった老父の健康や安定を願っている態度とも見えず、ただフレドの生活や生命を管理しておきたいだけのようである。あるいはフレドの資産をも自分たちで自由に動かしたいのかもしれない。

フレドの引越当日、クーカとお向かいの部屋の減らず口の老女エルサとがさっそく激しく衝突する。エルサがクーカの車に傷をつけてしらばっくれていたためだ。

後日、エルサは不満たらたら修理代をもってフレドを訪ねる。その時にフレドが見せた優しさにエルサは心を打たれる。(が、「あの娘、母親に似たんだわ。お父さんはこぉんなにいい人だってのに……」とクーカへの悪口をそっと呟くことは忘れなかった)


その日からエルサの猛攻である。エルサはフレドを半ば強引に家に招き入れおしゃべりをする。亡き夫のこと、生涯の夢……。「『甘い生活』のマストロヤンニとアニタ・エクバーグみたいにトレビの泉に行ってみたいのよねぇ」

エルサは単刀直入・天真爛漫にフレドの生活にも心の内にも入り込もうとする。突き放すような態度を見せてもいっこうに減速しないエルサの洒脱で大胆な言動に、‘石部金吉’で生きてきたフレドは圧倒されるばかり。二人の距離が一歩縮まった夜、エルサはフレドに向かって言ってのけた。

「あなた、あまりこれまで笑ったことがないんでしょ。でもね、まだ間に合うわよ。私のそばにいればいいの。友だちとしてでもご近所さんとしてでも、んもぅ、何だってかまわないから。私といれば絶対にまた笑えるようになっちゃうんだから!」「あなたは死を怖れてるんじゃないのよ。貴方はね、生きるのが怖いの」「ビビってんのよね」


エルサの大小さまざまな嘘に振り回されながらもフレドは彼女に恋をする。フレドはもはや‘臆病者’などではなかった。「Te amo más de lo que nunca quise a nadie antes. かつてこんなに人を愛したことはない

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


泣いちゃったね。そりゃ私はしょっちゅう泣いていますが、今回はいつもとはちょっと違って、哀しいとか寂しいとか切ないとかで泣いたんじゃない。嬉しくて泣いた。ほんとに嬉しくなる映画なのですよ。

たいていの人に薦められます。どうか観てください(英語・スペイン語字幕あり)。そしてどうか、日本のおじいさんおばあさんがこれを観られる日が来るようにと念じてください。これね、お年寄りにプレゼントしたい作品ですよ。還暦じゃまだまだ若すぎる、古希以上の大人たちにこれを観てもらいたい。

これが日本では手に入らないなんて、本当に残念だ。老いらくの恋じゃぁてんでショーバイになりませんか、ダメですか。なんともったいない。こんなに美しく愛らしく優しく逞しい作品に出会う機会を奪われるとは、日本のビューアーのなんと不幸なことか。


(←劇中、何度か言及のある『甘い生活』)

監督: Marcos Carnevale マルコス・カルネバーレ
脚本: Marcos Carnevale  Marcela Guerty マルセラ・ゲルティ  Lily Ann Martin リリー・アン・マルティン

出演:
Manuel Alexandre マヌエル・アレクサンドレ ... Fred フレド
China Zorrilla チナ・ソリージャ ... Elsa エルサ
Blanca Portillo ブランカ・ポルティージョ ... Cuca クーカ(フレドの娘)
José Ángel Egido ホセ・アンヘル・エヒード ... Paco パコ
Roberto Carnaghi ... Gabriel ガブリエル(エルサの長男)
Carlos Álvarez-Novoa カルロス・アルバレス=ノボア ... Juan(フレドの友人)
Gonzalo Urtizberéa ... Alejo アレホ(エルサ次男)
Federico Luppi ... Pablo

Elsa & Fred @IMDb
Elsa y Fred 公式

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Monday, August 13, 2007

Crónicas / タブロイド [エクアドル映画]

cronicas1) タブロイド@映画生活
人気レポーター・マノロは、子供ばかりを狙う連続殺人犯“モンスター”を追って、エクアドルにやってきた。事件を追うTVクルーは偶然、聖書販売員のビニシオが無実の罪で投獄される現場に居合わせる。

翌日、追跡取材で留置所を訪れたマノロに、ビニシオが耳打ちする。「番組の力で無実を証明してくれ、そのかわり誰も知らない“モンスター”の情報を教えよう」マノロはビニシオが、犯人ではないかと疑いながらも、取材を始める。

コロンビアとエクアドルで実際に起きた、2件の連続殺人事件から着想を得たサスペンスフル・ドラマ。豊かな大自然を有する一方、先の見えない貧困と1.4時間に一人が命を狙われるという過酷な状況下にあるエクアドルを舞台に、人間が持つ悪魔的な二面性を鋭く切り取っていく。スクープ欲と倫理観の狭間で揺れ動く、TVクルーの葛藤も軸になっており、現実味にあふれたラストまで飽きさせない。

本国エクアドルで半年以上ものロングラン・ヒットを記録した本作は、サンダンス・NHK映像作家賞のラテンアメリカ部門で最優秀脚本賞を受賞したほか、カンヌ映画祭「ある視点」部門に選出されるなど、国際的にも熱い注目を集めた。

2) タブロイド@シネマカフェ
タブロイド番組の人気レポーター・マノロ(ジョン・レグイザモ)は、連続殺人鬼“モンスター”を取材するため、エクアドルへとやって来た。取材中、彼は偶然にも、聖書販売員の男・ビニシオ(ダミアン・アルカザール)が無実の罪で逮捕収監される現場に居合わせる。翌日、留置場を訪れたマノロに、ビニシオは番組の力で冤罪を晴らして欲しいと懇願するのだが…。人間の二面性とマスメディアに潜む危険性に鋭く切れ込む社会派サスペンス・ドラマ。連続殺人事件を追うTVレポーターがスクープ欲に駆られて突き進んだ果てに、抜き差しならない状況に追い込まれるさまをスリリングに描き出す。

3) タブロイド@ぽすれん
セバスチャン・コルデロ監督によるサスペンスドラマ。エクアドルの連続殺人鬼“モンスター”を追うTVレポーターの目の前で、少年が車にひかれる現場に直面する。逮捕された販売員は、自分の保釈を条件にモンスターの情報を提供すると申し出る。

4) タブロイド amazonの作品紹介
内容(「DVD NAVIGATOR」データベースより)
セバスチャン・コルデロ監督が人間の持つ二面性を描いたサスペンスドラマ。連続殺人鬼“モンスター”を追うマノロとマリサ。インタビューという名の壮絶な心理戦の中で、TVレポーターの目を通して人間が持つ悪魔的な二面性に鋭く切り込む。

内容(「Oricon」データベースより)
人は誰しも“被害者”“加害者”になる可能性がある。人間の二面性を鋭く描き、過剰なマスメディアの危険性を切り込んだ衝撃作。実在した連続殺人事件にインスパイアされた社会派サスペンスストーリー。

5) タブロイド@exciteシネマ
6) タブロイド@シネマトゥデイ

※いつもは自力であらすじを書くか和訳するかしますが、今日はお盆ということで(←理由になってねー)手抜き。


「暴力、しかも拷問的・リンチ的なシーンがあるっぽい」「・゚・(ノД`)・゚・。ジーンとか('・c_,・` )クスッとかいうシーンは全く無さそう」「また、あーた、レオノール・ワトリングの乳で釣ろうってんじゃないでしょうね?」などなど、つまり私に嫌われるための条件を揃えた作品なんだろうという思い込みがあったのですが、観終わってみると別に嫌いじゃなかった。

映画をふつうに楽しんで終わりました。いや、「流血」「不衛生」「理不尽」という意味で反吐が出そうな映像ももちろんあったし、マスコミ嫌いな私にとっては唾棄すべき人間模様を描いた作品でもあったのですが、話は楽しみましたよ。

おもしろいんじゃないかい。
まず、恐ろしい、いろんな意味で。行政警察(と治安警察)も司法警察もなーんにもちゃんとしてない感じがおっそろしいわ。こんなところであらぬ嫌疑をかけられでもしたらと思うとゾッとする。

この作品、後味が悪いと書かれているのを多く目にした。たしかに後味悪いね。司法も警察も無力で怠惰だし、それを糺してやるだなんだと大威張りの公器とやらいうマスコミもあまりに下種だった。正義が機能してないんだもんな。社会正義と良心と、どちらに照らしても恥じない働きをしようと努めているのはロハス警部だけでしょ。

ただ、最終的に、卑しい人物が、「善」の皮を剥ぎ取られ他人から蔑まれ自分の卑しさにうなだれていたから、その惨めな姿を見届けられたという点では溜飲が下がった。

(※私が見たのは10分ほど短い日本版で、たぶん本当のラストと違うだろう)

(※特典映像で‘特別エンディングバージョン’を見ると、ロハス警部はポイントダウンだな)


(メキシコ映画・エクアドル映画)
Crónicas @IMDb
・英題: Chronicles
・邦題: タブロイド
サンセバスチャン映画祭で紹介

脚本・監督: Sebastián Cordero セバスティアン・コルデロ

出演:
Damián Alcázar ダミアン・アルカサル ... Vinicio Cepeda ビニシオ・セペダ(聖書販売員)
John Leguizamo ジョン・レグイザモ ... Manolo Bonilla マノーロ・ボニージャ(花形レポーター)
Leonor Watling レオノール・ワトリング ... Marisa Iturralde マリーサ・イトゥラルデ(プロデューサー)
José María Yazpik ホセ・マリア・ヤスピク ... Iván Suárez イバン・スアレス
Henry Layana ヘンリー・ラヤーナ ... Don Lucho ドン・ルーチョ
Camilo Luzuriaga カミロ・ルスリアガ ... Capitán Bolivar Rojas ロハス刑事
Luiggi Pulla ルイジ・プージャ ... Robert ロベルト

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Saturday, August 11, 2007

La Caza / 狩り

cazaたぶん全編、荒野で撮影されているけれども、これは密室劇なんだね。広々とした野っ原に実は閉じ込められている。空気の熱さなんかを想像するだに息苦しい作品。

※映画冒頭の注意書き:
Esta película ha sido realizada en una finca acotada para la caza del conejo en el término de Seseña (Toledo) y en el pueblo de Esquivias (Toledo). (「ウサギ猟指定区域で撮影しました」とのこと)

そう、ウサギ猟。
……これさ……リアルに殺してると思うんですよ。猟銃、ぶっぱなしてるんですよ。ウサギ、たくさん殺されてるんです。犬やフェレット?にウサギを攻撃させる手法で狩っているから、Ummm………、ウサギに何かしらの思いがある人にとってはショッキングなシーンもありますね。

あと、もっと大型動物の解体シーンもあります。吊り下げて腹を掻っ捌いてます。「かっさばく」という動詞がちゃんと変換されるんだと今知りました。

なので、元々あんまり肉食人種じゃない私のようなヤワい人にはきついシーンもあります。ウサギのぴょこたんぴょこたん逃げる様と、噛み殺されつつあるときの断末魔の叫びとか……途中、「やーめーてーくーれー」と独り言を漏らしました。何度も見直したくなる映像ではなかったです。(なんて言ってても私も、ウサギの肉だって食べたことはあるわけですがね)

以上、鑑賞上の注意事項をお伝えしました。次に、DVD(スペインから通販)のジャケットに書かれたストーリー紹介を訳します:

マドリード近郊の狩猟区。夏の日。古くからの友人同士である男が3人と青年が一人。些細なできごとが積み重なって、徐々に暴力・恐怖・憎悪・不満の記憶が男たちに蘇る。

日が傾くころには、彼らの照準器は互いの姿を捕らえるようになっていた。やがて撃ち合いが始まり、もはや死者の地と化したこの山から、青年だけが逃げ延びるのだった。
__________

……って、ストーリー丸ごと説明しちゃってあるじゃん! いいの? えっと、まんまです。つまりこういう物語でした。おしまい。


それだけではアッサリしちゃっているので、なんかくだらないことを書き足しておこうと思います。3人のおじさんが似ていて識別が難しいと思うので、ちょっとメモしておきます。

ここで思い浮かべてもらいたいのは、のび太・ジャイアン・スネ夫の3名です。あの3人が青年期を共に過ごし、中年期に達したと想像してください。

力の差や経済格差も今ではすっかり縮まりました。似たり寄ったりの人生を歩んできました。一時期には共同でビジネスまでやっていたのだし、今日だってこの狩りにみんなでウキウキとやって来たんですから。仲が悪いなんてことは決してないんです。良好ですよ。一応

しかし、そうは言っても、昔ながらのいろんな意味での力関係がどこかで時々顔を覗かせます。このところ8年ばかり行き来の絶えていたこういう3人のおじさんが、今日は久々に集まって狩りを楽しもうというのです。


ドラえもんの3人はそれぞれが象徴的でしたよね。

のびた:使い走りっぽさ・ドジ・ヘマ
ジャイアン:威張り散らしてるっぽさ
スネ夫:お金は持っているっぽさ

その「~ぽさ」に、『La Caza』の壮年3人を当てはめてみるのです。

ルイス ⇒ のび太:
※冒頭、ジープに乗ってやって来る時点からSF小説を読み耽っている人

ホセ ⇒ ジャイアン:
※猟犬を連れてきた人。

パコ ⇒ スネ夫:
※ジープを運転してきた人。

こういう風に見ていくと、どれが誰だかわからなくなっちゃうっていう事態は避けられます。…たぶん……。たとえ途中で顔がわからなくなりこんがらかったとしても、のび太的なコンテクストならルイス、ジャイアン的なのがホセ、スネ夫的なのがパコです。これは映画の中でほぼ一貫していますから。

おまけとなりましたが、唯一の若者、エンリケは「しずかちゃん」ってことにしておけばいいと思う。肌露出担当だし。

・スペイン映画
La Caza @IMDb
・英題: The Hunt
スペイン書房でもビデオ取り扱いあり

監督: Carlos Saura カルロス・サウラ
脚本: Angelino Fons アンヘリーノ・フォンス Carlos Saura

出演:
José María Prada ホセ・マリア・プラダ ... Luis ルイス
Ismael Merlo イスマエル・メルロ ... José ホセ
Alfredo Mayo アルフレド・マジョ ... Paco パコ
Emilio Gutiérrez Caba エミリオ・グティエレス・カバ ... Enrique エンリケ (パコの義弟)
Fernando Sánchez Polack フェルナンド・サンチェス・ポラック ... Juan フアン(山守?の男)
Violeta García ビオレッタ・ガルシア ... Carmen (フアンのところの娘)

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Binta y la gran idea / ビンタと最高のアイディア

来たるラテンビートフィルムフェスティバル(スペイン・ラテンアメリカ映画祭)でも上映される短編作品です。良いと思う。

Binta y la gran idea (2004) @IMDb 7.7
・スペイン映画
・英題: Binta and the Great Idea
・邦題: ビンタと最高のアイディア
・言語: フランス語・Jola-Fonyi(ジョラ族のフォニィ方言ということかな)

・Unicefによる詳しい紹介記事:
第79回アカデミー賞  ユニセフの女子教育支援をテーマにしたスペイン映画  短編映画部門オスカー候補に!

・Javier Fesser監督:
('64年生まれ) 広告映像畑の人なんだね。たぶん『レアル ザ・ムービー』なんかにも彼の会社が関わってる。というか、『ミラクル・ペティント』や『モルタデロとフィレモン』の監督なのか。そうか。それは興味深い。そういうのを撮っていた人が『Binta~』も撮っているというのがなんかおもしろい。

・セネガルについて:
外務省 各国・地域情勢: セネガル共和国の『セネガルに対する渡航情報(危険情報)』には、車輌襲撃、銃撃戦、地雷、戦闘、殺害、強奪、触雷、襲撃、拉致…などと言った語句が見られるけど、冒頭でまず「現在、セネガルは、政治的におおむねして安定しており、治安も比較的落ち着いています。」とも書いてある。この作品の舞台はそういう落ち着いた地帯なんだろうと思って観ることにした。だって、冒頭からあまりにものどかだったから。

ビンタちゃん7歳(←可愛いよ)。
父親は漁師。ヨーロッパかぶれの友人は、「ヨーロッパじゃこんなに苦労しないで漁をしてるのにな。白人一人がたった一日で獲る魚の量は、お前さんが一生かかったって食べきれないほどだってな」などと言う。魚群探知機などの白人の技術に学ばなければいけないと。しかしビンタの父は自分が小舟で漕ぎ出て釣ってきた分で十分に満足している。

※「tubab」という単語がよく出てくるけど、「白人」みたいな意味で合ってますか?(情報求ム)

ビンタちゃんの学校の先生は言う。「互いを尊重すること。肌の色や性別や宗教や障害によって分け隔てるのではなく、違いを受け容れること。今学校でそれを学び、大人になったら社会で実践しなさい」。

ビンタちゃんは学校が好き。多くのことを学べるから。チビであることをからかわれたりもするが、それでも好き。ビンタちゃんは学校に通えることを‘幸運’と捉えている。「私のようにラッキーな子ばかりではありません。従姉のSoda(ソダ)のような子もいるのです」。

従姉のソダは薪を集めてくる家事の合間に柵越しに学校を覗くだけ。校庭では、ビニール袋に空気を入れて口を縛って作っただけのボールを追って子供達が走り回っている。ソダは同じ年頃の子供たちのそんな笑顔をしばし見つめていたが、やがて目を伏せて立ち去るのだった。


「ソダ! いったい何でこんなに遅くなったの!?」
「ママ、あたしクタクタなの。ママあたしも学校に行きたい。弟みたいに。あたしだって、本に何て書いてあるのか知りたいの!」
「ソダ、お父さんがダメだって言うのよ」

「あなた、この子は学校に行きたがっているわ」
「娘を学校にやるだって? 馬鹿を言うんじゃない! 女は結婚したら台所が居場所だ。勉強して何になる?」
 
 …というのは、実はビンタたちの学校で今練習中の劇のセリフである。劇の発表会が近づいている。子供たちの練習にも熱が入る。

そんな折、学校から帰ったビンタちゃんに父親が代書を頼む。彼はある構想を実現するために世に訴えることを思い立ったのだ。ビンタちゃんがたどたどしくも代筆した手紙を携えて父は町に向かう。
_______________


高校のとき、姉のおさがりの『詳説日本史研究(むか~しの版)』を読んでいた。近代・現代の章の【参考】というコラムにこうあった:

“日本の資本主義は欧米先進諸国が200~300年を要した過程を、せいぜい半世紀という極めて短期間に達成し、急速に成立をみた点に大きな特色がある。……略……日本の「高度成長」はきわめて例外的であった。こうした「高度成長」の秘密をどこに求めるかについては、様々な考え方があるが、国民教育の広汎な普及による「民度の高さ」、教育制度をつうじて中下層の庶民が国家の指導階層にまで上昇しうるようなタテの社会的流動性の高さ……略……などはその重要な条件といえよう”

それはこの本で唯一頭に残った一節だった。517ページのその本で本当にここしか覚えてない。(※いや、私は受験科目としては日本史は不要だったのでね…とか言う…。世界史選択だったんすよ。でも、高3の時点で日本史必修という馬鹿正直な学校だったんですよ。だからこの参考書も期末試験前に読んだんですよ)

以来、初等教育の充実なくして近代化をどうして遂げられようかというのが頭の片隅にいつも在る私です。頭にあるだけで特に何をするでもないですが、例えば幼馴染がカンボジアに学校を作っていると聞けば、なるほどそれは有意義な活動であると思うわけです。

話飛びますが、母校の校歌には「選ばれてこの学校で3年間過ごせるって嬉しいよねー」といったくだりがある。

私は母校を昔も今もヒドく愛していますが、つまるところ私は愚かしい人間だったので、どーーーしてもその「選ばれて」の箇所を歌えなかった。なんつか、だって、ほら、得意気みたいでヤじゃね? みたいな抵抗があったんだろう。馬鹿だから。

毎月の朝礼やイベントで歌うんだから全部で40回くらいは歌う機会があったのにね、片手で間に合うくらいしか歌わなかったんじゃないか、その箇所。

選ばれて学校に通える人生がどれだけ稀有な幸せなのか、どうしてわかんねーかな。


脚本・監督: Javier Fesser ハビエル・フェセール
出演:
Zeynabou Diallo ... Binta (ビンタちゃん)
Agnile Sambou ... Binta's father (父さん)
Aminata Sane ... Soda (従姉のソダさん)

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