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Saturday, August 11, 2007

Binta y la gran idea / ビンタと最高のアイディア

来たるラテンビートフィルムフェスティバル(スペイン・ラテンアメリカ映画祭)でも上映される短編作品です。良いと思う。

Binta y la gran idea (2004) @IMDb 7.7
・スペイン映画
・英題: Binta and the Great Idea
・邦題: ビンタと最高のアイディア
・言語: フランス語・Jola-Fonyi(ジョラ族のフォニィ方言ということかな)

・Unicefによる詳しい紹介記事:
第79回アカデミー賞  ユニセフの女子教育支援をテーマにしたスペイン映画  短編映画部門オスカー候補に!

・Javier Fesser監督:
('64年生まれ) 広告映像畑の人なんだね。たぶん『レアル ザ・ムービー』なんかにも彼の会社が関わってる。というか、『ミラクル・ペティント』や『モルタデロとフィレモン』の監督なのか。そうか。それは興味深い。そういうのを撮っていた人が『Binta~』も撮っているというのがなんかおもしろい。

・セネガルについて:
外務省 各国・地域情勢: セネガル共和国の『セネガルに対する渡航情報(危険情報)』には、車輌襲撃、銃撃戦、地雷、戦闘、殺害、強奪、触雷、襲撃、拉致…などと言った語句が見られるけど、冒頭でまず「現在、セネガルは、政治的におおむねして安定しており、治安も比較的落ち着いています。」とも書いてある。この作品の舞台はそういう落ち着いた地帯なんだろうと思って観ることにした。だって、冒頭からあまりにものどかだったから。

ビンタちゃん7歳(←可愛いよ)。
父親は漁師。ヨーロッパかぶれの友人は、「ヨーロッパじゃこんなに苦労しないで漁をしてるのにな。白人一人がたった一日で獲る魚の量は、お前さんが一生かかったって食べきれないほどだってな」などと言う。魚群探知機などの白人の技術に学ばなければいけないと。しかしビンタの父は自分が小舟で漕ぎ出て釣ってきた分で十分に満足している。

※「tubab」という単語がよく出てくるけど、「白人」みたいな意味で合ってますか?(情報求ム)

ビンタちゃんの学校の先生は言う。「互いを尊重すること。肌の色や性別や宗教や障害によって分け隔てるのではなく、違いを受け容れること。今学校でそれを学び、大人になったら社会で実践しなさい」。

ビンタちゃんは学校が好き。多くのことを学べるから。チビであることをからかわれたりもするが、それでも好き。ビンタちゃんは学校に通えることを‘幸運’と捉えている。「私のようにラッキーな子ばかりではありません。従姉のSoda(ソダ)のような子もいるのです」。

従姉のソダは薪を集めてくる家事の合間に柵越しに学校を覗くだけ。校庭では、ビニール袋に空気を入れて口を縛って作っただけのボールを追って子供達が走り回っている。ソダは同じ年頃の子供たちのそんな笑顔をしばし見つめていたが、やがて目を伏せて立ち去るのだった。


「ソダ! いったい何でこんなに遅くなったの!?」
「ママ、あたしクタクタなの。ママあたしも学校に行きたい。弟みたいに。あたしだって、本に何て書いてあるのか知りたいの!」
「ソダ、お父さんがダメだって言うのよ」

「あなた、この子は学校に行きたがっているわ」
「娘を学校にやるだって? 馬鹿を言うんじゃない! 女は結婚したら台所が居場所だ。勉強して何になる?」
 
 …というのは、実はビンタたちの学校で今練習中の劇のセリフである。劇の発表会が近づいている。子供たちの練習にも熱が入る。

そんな折、学校から帰ったビンタちゃんに父親が代書を頼む。彼はある構想を実現するために世に訴えることを思い立ったのだ。ビンタちゃんがたどたどしくも代筆した手紙を携えて父は町に向かう。
_______________


高校のとき、姉のおさがりの『詳説日本史研究(むか~しの版)』を読んでいた。近代・現代の章の【参考】というコラムにこうあった:

“日本の資本主義は欧米先進諸国が200~300年を要した過程を、せいぜい半世紀という極めて短期間に達成し、急速に成立をみた点に大きな特色がある。……略……日本の「高度成長」はきわめて例外的であった。こうした「高度成長」の秘密をどこに求めるかについては、様々な考え方があるが、国民教育の広汎な普及による「民度の高さ」、教育制度をつうじて中下層の庶民が国家の指導階層にまで上昇しうるようなタテの社会的流動性の高さ……略……などはその重要な条件といえよう”

それはこの本で唯一頭に残った一節だった。517ページのその本で本当にここしか覚えてない。(※いや、私は受験科目としては日本史は不要だったのでね…とか言う…。世界史選択だったんすよ。でも、高3の時点で日本史必修という馬鹿正直な学校だったんですよ。だからこの参考書も期末試験前に読んだんですよ)

以来、初等教育の充実なくして近代化をどうして遂げられようかというのが頭の片隅にいつも在る私です。頭にあるだけで特に何をするでもないですが、例えば幼馴染がカンボジアに学校を作っていると聞けば、なるほどそれは有意義な活動であると思うわけです。

話飛びますが、母校の校歌には「選ばれてこの学校で3年間過ごせるって嬉しいよねー」といったくだりがある。

私は母校を昔も今もヒドく愛していますが、つまるところ私は愚かしい人間だったので、どーーーしてもその「選ばれて」の箇所を歌えなかった。なんつか、だって、ほら、得意気みたいでヤじゃね? みたいな抵抗があったんだろう。馬鹿だから。

毎月の朝礼やイベントで歌うんだから全部で40回くらいは歌う機会があったのにね、片手で間に合うくらいしか歌わなかったんじゃないか、その箇所。

選ばれて学校に通える人生がどれだけ稀有な幸せなのか、どうしてわかんねーかな。


脚本・監督: Javier Fesser ハビエル・フェセール
出演:
Zeynabou Diallo ... Binta (ビンタちゃん)
Agnile Sambou ... Binta's father (父さん)
Aminata Sane ... Soda (従姉のソダさん)

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Comments

この短編映画のサントラとしては
・Salif Keitaの『Tekere』(『Folon』)とかがあるらしい。
Mundos Perifericosというブログより)

そのほか、情報求ム

Posted by: Reine | Saturday, August 11, 2007 at 04:04

・作品について、ちょっとしたpdf
fcat.es/medios/2006/films/Binta.pdf

・ビンタがクレヨンでお絵かきをし、「黄色は太陽の色」「肌の色が好きなんだ」と言ってそれぞれ黄色のクレヨンと茶色のクレヨンで塗るシーンで『日本語と外国語 (岩波新書) / 鈴木孝夫』を思い出した人は挙手願います。'`ィ (゚д゚)/

Posted by: Reine | Saturday, August 11, 2007 at 04:05

紹介してもらってありがとう。明るいな、ていうのが第一印象。バックミュージックの選曲もいいよね。フランス語圏ミュージシャンの有名どころを集めたのかな。

ビンタのお父さんの手紙がなかったら、女子の就学を勧める普通の啓蒙映画だけど、最後までお父さんの手紙を引っぱられてあったかい気持ちになった。

「Toubab」は「白人」。でも、肌の色が黒くない人の総称なので、日本人もセネガルではToubabて呼ばれる。

舞台となってるのはセネガル南部のカザマンス。ここはもう20年来分離独立運動があって、日本政府は渡航を勧めていない地域。義足をつけた女の子が踊るシーンが出てくるけど、分離独立派が埋めた地雷の犠牲者は深刻な問題になってる。こういうところを舞台にしてるのも、平和へのメッセージを込めたかったからかな。

Posted by: Maimouna | Thursday, August 16, 2007 at 00:58

Maimounaさん、Maimounaさんにしか教えてもらえそうにない情報をほんとにありがとう。セネガルについて私の友人知人の中で一番(というか唯一か?)専門的に知ってるのはMaimounaさんですからね。頼みにしていました。さすが。

この作品の舞台が、まさかそのように警戒されるべき地域だとは思いませんでした。のどかな村だとばかり思ってました。漁を終えたお父さんが稲田で働くお母さんと手を振り合うシーンなんて実にホンワカしてたし。

また何かあったらコメントください。お待ちしてます。

Posted by: Reine | Thursday, August 16, 2007 at 11:16

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