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Friday, May 04, 2007

Spanglish / スパングリッシュ 太陽の国から来たママのこと [アメリカ映画]

spanglish父親が家を捨てて出て行ったきりなので、クリスティーナは母フロールの女手一つで育てられた。十分に辛かったろうに、母はクリスティーナには涙の一粒も見せはしなかった。つましい暮らしの中でも強く潔く清く生き抜こうとする母の姿は、クリスティーナにとっては故郷メキシコそのものであったし、そのまま己のアイデンティティとなっていた。

娘にそのラテン気質が受け継がれたのを確認するや、フロールはアメリカに移ることを決意した。母娘は‘経済的な方法で’国境を越え、ロサンゼルスに根を下ろした。メキシコをそのまま再現したかのようなその町で、二人は貧しいながらも愛情に溢れた生活を送る。

フロールは夜昼なく働いていたが、少し大人びてきた娘に悪い虫がつくのを危ぶみ、夜間の勤務をやめることにした。メキシコの人々とメキシコの言葉だけに囲まれて暮らしてきたフロールは英語はまるで話せなかったが、昼間の割のいい仕事を求めて遂に‘外界’へ踏み出すのだった。

フロールはジョンという腕のいいシェフとその妻デボラの家庭で家政婦として雇われることとなった。富も名声も得て子ども達も心優しく育っていて……傍目には幸せそうに見えるジョンの家庭も、一歩入るとほころびが見える。フロールとジョン一家が関わり合っていく中で、互いの人生にどのような変化がもたらされるのだろうか。
__________

こないだ観たっきり清書していなかったもの。すぐに一息に書き上げられなかったのは、忙しかったというのもあるけど、やっぱりどうも違和感というか不完全燃焼っぽさがあったせい。あの夜、観た直後に私は「何かが足りなくて何かが余計だ。途中から散漫」とメモっていた。

その後でもう一度丁寧に観ようとしたが、二度目は130分のうちの35分のところでオシマイにした。そう、その辺から話がぼやけていくんだよ。

この映画、投げっぱなしなんだよな。いろんなことが投げ上げられたまま落ちてきてないよね。回収されてない小ネタが多すぎやしないか。長尺(130分)のくせに。いろんなものを詰め込み過ぎてる。

嫌いじゃないよ。嫌いならもっとイヤそうな書き方をする。好きです。だけど、要らないものがけっこうあったと思う。例えばジョンの息子ジョージー、あの子、要ったのかなぁ? あの子がいなくてもストーリー展開は同じだったと思うぞ。

それから、もっと要らないものあっただろ。

ネタバレっぽくなりますけど

↓↓↓↓

あのね、猫も杓子も惚れた腫れたと浮かれ出すなんていうどんちゃん騒ぎは朝ドラに任せとけばいいじゃない。朝ドラと言えば、コクる⇔コクらない、結ばれる⇔結ばれないの二者択一クイズ形式で話をひっぱるためだけに脚本をこねくり回して、途中まではかろうじて存在したかもしれない物語性をあっさりと破壊するのが常ですが、なんで『Spanglish』もそんな展開にしちゃったんだか。

あれこそ要らん。
どうしてあんな安い話に逃げちゃったかね。ああいう路線に迷い込んじゃったら、作品前半の家族群像としての静かで好感を持てたストーリー展開が台無しだよ、台無し。

夫と妻が各自を省みて、相手を見つめて、ひいては夫婦のあり方を二人で捉えなおす姿とか、二組の娘と母親の関係の成熟の過程を見たかった。ノー。二組じゃない、三組だ。三つの母娘関係をもっとじっくり見たかった。もっと見たい姿があった。

『スパングリッシュ』は小さい挿話をこれもこれもと欲張ってチグハグに散りばめ過ぎ。それらがパッチワークの体を成さない作品、残念ながら。これが130分の映画でなくて1クールの連ドラだったらたぶんおもしろかったと思うよ。

(アメリカ映画)(言語: 英語ときどきスペイン語)(コメント欄にメモ)

spanglish02Spanglish @IMDb
スパングリッシュ@象のロケット
スパングリッシュ 太陽の国から来たママのこと@シネマトゥデイ
スパングリッシュ太陽の国から来たママのこと@映画生活
スパングリッシュ 太陽の国から来たママのこと@シネマカフェ
スパングリッシュ@ぽすれん
スパングリッシュ@goo映画

監督・脚本: James L. Brooks ジェームズ・L・ブルックス
出演:
Adam Sandler アダム・サンドラー ... John Clasky ジョン・クラスキー
Téa Leoni ティア・レオーニ ... Deborah Clasky デボラ・クラスキー
Paz Vega パス・ベガ ... Flor Moreno フロール・モレーノ
Cloris Leachman クロリス・リーチマン ... Evelyn Wright エヴリン・ライト(デボラの老母)
Shelbie Bruce シェルビー・ブルース ... Cristina クリスティーナ
Sarah Steele サラ・スティール ... Bernice バーニー

SPANGLISHについての参考書・辞書など(洋書)

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Comments


(このところ数ヶ月~数年間、酷使してきたためにもう腕が動かない。もう本当にヤバいと思う、右腕)

(パソコンのキーボードが寿命だというのも大きな原因なんだがね)

(語句メモなどは後日)

(何かコメントがあれば私にかまわず先に書いちゃってください)

Posted by: Reine | Friday, May 04, 2007 at 22:43

こんにちは。連ドラにしたら確かにもっと面白そうでしたね。
まあ所詮はアメリカのヒューマンドラマ…にありがちな落としどころは確かに鼻につくんですよね。アメリカ的価値観ってこういう(よくいえばシンプル)ことなんだ、と。

個人的にはメキシコ人娘の進学に関する最後の落ちが一番嫌でした。
ママと違う人間になって何が悪いのー?メキシコ人としてのアイデンティティを持ちながら、利用できるものは利用してたくましく教育受ければいいじゃん、と思ったり。

ジョンの息子ジョージー記憶にもありません…。

パス・ベガとその娘のキュートさが好きですがどちらかというとアダム・サンドラーとティア・レオーニのいかにもな夫婦っぷりとあの小太りの娘の可愛さの方がよく描かれていた印象があります。

スパングリッシュ、自体の面白さもあんまりなかったですねえ。
でもこういう方面の映画はもっと見てみたい気がしてます。

Posted by: unica | Friday, May 04, 2007 at 23:13

unicaさん、おひさしぶりです。

>ジョンの息子ジョージー記憶にもありません

やっぱり。そうですよね。あの子、意味無いと思うんですよ。
例えば、弟がいることで姉バーニーの身の置き所がどうのこうのとか、そういう描写でもあったっけ?と思って超早回しで点検してみましたけどやっぱり無かったと思うんですよ。

例えば、「おばあちゃんの相手をまともにしてあげるのはジョージーだけ。他の家族は無関心」とでもするなら、それはそれでまたあの家庭の問題点を示すことになったと思いますが、おばあちゃんの話に心からリアクションしてあげるのはバーニーだってやっていたことですから、やっぱりジョージーの存在は意味が無いような…。かわいそうに。

たぶん何箇所もカットされてるんでしょうね。

Posted by: Reine | Saturday, May 05, 2007 at 13:05

留守番の娘に食事とおてがみを残して仕事に出かける母。「Pon queso en la tortilla y ponlo dentro del microwave por 1 minuto. (Te quiero MAMI)」という手紙。

el microwave: うっかりふつうに読んじゃって流しちゃいそうだったけど、これはスペイン語だと el microondas (el horno microondas, el horno de microondas; [男] 単複同形)ね。

でも、「マイクロ波,極超短波」は la microonda。

Ediciones SM社のDiccionario Didactico De Espanol (AVANZADO)によると:

microonda: [女] Radiación electromagnética cuya longitud de onda está comprendida en el intervalo del milímetro al metro y cuya propagación puede realizarse por el interior de tubos metálicos.

microondas: [男] Horno que funciona con ondas electromagnéticas que calientan rápidamente los alimentos. (Invariable en número)

Posted by: Reine | Saturday, May 05, 2007 at 13:06

英語のまったくわからないフロールは従姉モニカ(=Cecilia Suárezが山本モナに似ていた)に連れられてジョンの家を訪れる。そこで夫人デボラと面接をする。

1) デボラがフロールを一目見て「You're gorgeous.」という。フロールがきょとんとしていると、モニカが「Que estás muy bonita. (あなた綺麗ですねだって)」と訳してくれた。

2) 夫人が「OK, Let's just talk!」といったときはモニカは「Que platiquemos. (話しましょうよって)」と訳す。

1)ではqueの後に直説法、2)では接続法が来る。その違いは何によるもの? 考えて、そしてチラシの裏に答えを書いてみて。スペイン語で。


私の学んだ学校ではこういうのをポンポン聞かれて即答すると先生はニコニコでした。その代わり、即答できないと「ぬっ殺す」と言われた。

話逸れますけど:
某SNSのスペイン語関連コミュニティなどで‘偉そうに’書き込んでいる人たちの大半は、実はけっこう怪しげなことを言っている。語学留学・学部留学・駐在・なんだかんだの在住歴の別に拘らず。ああいうの――勿論ここも――鵜呑みにすると危険ですよ。「あぁ、いい説明をしますね」「わかっているからこそこういう説明をしているのですね」と感じられる回答を寄せる人はこれまでに2人だけだった。

その2人ね、たまたま別のコミュニティでも見かけてわかったことなんだけども、2人とも私と‘スペインの同窓生’にあたる人たちだった。おんなじ講師陣に「死ろす」と言われて育ったんだね、たぶん。おなじように教わったからこそ説明の仕方も見ていてすとんと落ちるんだろうな。

Posted by: Reine | Saturday, May 05, 2007 at 13:07

(2) ジョンの家で雇われることが決定し、フロールは長年の困窮状態から解放されるのを喜んだ。その夜ばかりはクリスティーナと二人でおめかししてちょっと高めのレストランに出かける。男性客二人がウェイトレスを介して母娘をナンパしてきた。ウェイトレスが、「あちらの男性二人が何かお飲み物をとおっしゃっていますが」と言いに来た。

フロールは憤慨する。「何のつもりよ。幼い娘といっしょなのよ! ¡Por Dios Santo! ¿Qué les pasa? ¿Que no ven que estoy con mi hija?」

これを英語で男達に直接ぶつけられればいいのだが、あいにくフロールは英語がしゃべれない。だからと言って、娘のクリスティーナに、あの男達のところに行ってコレコレこう言って来なさいと命ずるわけにもいかない。娘にそんなことをじかにさせるわけにいかない。

だからフロールはクリスティーナに、「コレコレと言ってくださいとウェイトレスさんに言いなさい」と言うしかないのです。

このシーン、たとえば教室でスキットとして活用したら直接話法・間接話法と、直説法・接続法のいい練習ができると思うよ。自分はフロール役、そしてウェイトレスにどのような言動をしてもらいたいかを考えて、クリスティーナに説明し、ウェイトレスが男達に伝えに行く、というシミュレーション。それの三者それぞれになりきってセリフを考えると、けっこういろいろできるね。

Posted by: Reine | Saturday, May 05, 2007 at 13:11

フロールは、いかなる形の施しも受けたくないのですね。そういう自尊心。そういえば……と思い出した。4歳くらいの頃、午前中に何軒か先のお友達の家で遊んでて、そのままお昼をいただいて帰ったらmy両親にえらく叱られた。高校時代に友人の妹の家庭教師をしてたんだが、行くたんびに夕飯も食べてけ食べてけと言われてた。それもmy両親はまったくよく思ってないようだった。

で、私はというと、「それぐらい別にいいんじゃねーの?」という大人に立派に育ってしまったわけですが。

Posted by: Reine | Saturday, May 05, 2007 at 13:12

・面接中の雑談の流れでモニカがデボラに「奥様はお仕事は…?」と聞いたら、デボラはほんの一瞬ではあったが返答に詰まったような様子を見せ、次の瞬間には微かにつっかかるようなトーンで「なぜそんなことを聞くの?」と言った。わかるなぁ、あの苛立ち混じりの切り返し。

デザイン会社を終わらせて(=潰してしまって)専業主婦になっているという現況は彼女をああも不安定にさせるのか。認められていないという思いに苛まれてデボラはますますふらつく。彼女の思惑がことごとく裏目に出てますます焦って孤立していくのを見ると同情もするけれども、その危うい空回りに巻き込まれる周囲の人々にとっては甚だ迷惑だろうと、そっちにも同情する。

Posted by: Reine | Saturday, May 05, 2007 at 13:13

夫のジョンなんて大変だろうよ、あれじゃぁ。ジョン、いい夫だったよなぁ……。いい具合に力の抜きどころがわかっている、ある意味理想の男だね、ああいう人。(※あくまでも映画前半ね。この作品の後半は話自体がつまらんので)

でもね、映画としてはもうちょっと問題のある夫であって欲しかったな。デボラがどうやって袋道に入り込んでしまったのか、もうちょっと、こう、無神経な朗らかさを描くとかしてもらいたかったな。

表向きたぶん誰もが「いい旦那よねー」と羨むような‘マイホームパパ’でも、そういう人の無意識・無神経・無自覚から来る発言って奥さんを逆撫でし、そして追い詰めるもんだよ。一見‘やさしい’言葉でもね。というか、一見やさしい言葉だ・か・ら・こ・そ・ね。たちが悪いんだよ、そういうの。

ジョンはもう少しそういう風に描いて欲しかったんだよな、私のストーリーの好みとしては。

Posted by: Reine | Saturday, May 05, 2007 at 13:13

祖母のエヴェリンについても、母としてどのように娘と接してきたのか、その過去と未来をもっと見たかったのですが、130分じゃそこまでは望めなかった。残念。

この映画の最優秀賞はジョンの娘のバーニーですよ。中村梅雀にそっくりの。(※音注意 www.baijaku.com

あの子供女優サラ・スティールは2000人強の中から選ばれたそうだけれども、素晴らしいよ。この作品は後半はメッタメタでしたけど、(前半の)あの子を見られただけでもいいや。どのシーンでも彼女はとても良いんだよ。

父親に関する新聞記事を当人に読んで聞かせてあげる。そして読みながら感極まってしまう。こっちまで泣けた。本当に幸せなシーンだった。

Posted by: Reine | Saturday, May 05, 2007 at 13:14

語句メモ
booga-booga
・full-time mom
・zip: nada, nothing, zero.

・フロールが使っていた英西辞典
Vox Compact Spanish and English Dictionary: English-Spanish/Spanish-English (National Textbook Language Dictionaries)

・バーニーが読んでいた本
A Tree Grows in Brooklyn (Perennial Classics)

・あぁ、メモを見ていて思い出したけど、失言の多いデボラも悪い人じゃないんだよ。いいとこも勿論あるんだよ。だけど、彼女の善意は他人からは独善としか評価されないタイプの善なんだな。要領が悪いというか。

Posted by: Reine | Saturday, May 05, 2007 at 13:21

ようやく見ました!
ちょっと焦点がボケちゃったようなストーリーで、もったいなかったです。
でも、この映画の見所は子役ですよね。
バーニーはすごくいい味を出してましたし。
フロールがジョンに意見をする時に通訳していたクリスティーナ、言葉の口調も仕草も全く瓜二つで傑作でした。

Posted by: ヒロコ | Sunday, July 29, 2007 at 15:03

ヒロコさん、こんばんは。
バーニー可愛かったですよね。なんか、彼女のシーンの一つ一つがジーンと来ました。彼女が色んな悩み・コンプレックスをあの後どのように克服していったのか、もっとそっちを長期で見守りたかったです。だから、朝ドラか大河くらいの時間をとって欲しかったなぁと思いました。

クリスティーナの通訳シーンは面白かったですね。ただ、大人同士の思惑の全てを訳して伝えなきゃいけない役目をあの歳で背負わされる子の立場を思うと、ちょっと可哀想にもなりました。だから、フロールが自分でスペイン語を勉強し始めてくれた時はホッとしましたよ。

Posted by: Reine | Tuesday, July 31, 2007 at 21:22

あ。上のコメントから9か月経って今気づいたぞ

>フロールが自分でスペイン語を勉強し始めてくれた時はホッとしましたよ

「英語を」だよな。

Posted by: Reine | Friday, April 18, 2008 at 00:27

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