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Sunday, May 13, 2007

El sueño de Valentín / バレンティン [アルゼンチン映画]

el sueno de valentin昔の過酷な職場時代に常に私を守ってくれた女友達が、互いに違う環境に移って何年も経ったある日、不意に本を贈ってくれた。「貴女を思い出した」と一筆添えてあった。

パパのカノジョは』というその本を読むよりも何よりもまず、遠く離れた彼女が唐突に私のことを思ったという事実が全くありがたいことだと思って、なんだかポロポロ泣けたのだった。もちろんその後本をちゃんと読み、その内容にもジーーンとした。


読んでみてください。

>すっごくカッコわるいパパの新しいカノジョと、あたしの微妙な関係…。

>離婚した父親と二人暮しの女の子がパパの新しい恋人について語る現代的な内容の絵本。自分のことを理解しようとする彼女との交流によって心を開く姿をさわやかに描く。(amazonより)


私はね、『El Sueño de Valentín』の最初の6分くらいを観たときにこの本を思い出してしまったために、「あぁ、これは私の好物だ」と思ってしまったのでした。子供モノで、ほのぼのにこにこくすくすふんわりぼよよんすくすく系で、「おやまぁいたずらっ子ね」系で、『コーリャ 愛のプラハ』とか『Secretos del Corazon』とか路線で、万が一しんみりしたとしても『800発の銃弾』、サイアク(いい意味で)『Cachorro』くらいだろうと………、そのように思ったのでしたよ。

だから『El sueno de Valentin』は6~7分のところで停めといたんだ。給食の三角食べが苦手だった私は、好物はあとにとっておくタイプだからね。こういう嬉しそうな・可愛らしそうな・楽しそうな作品は後の楽しみにしたかった。駄作とかヘビーなやつとか薄幸系とか、そういうのを先に片付けちゃおうって思ったんだわ。

そろそろいい頃だろう、残りのDVDもだいぶ減って来たもんねと、こないだやっと観てみた。


El sueno de Valentinあらすじ
60年代末のブエノスアイレス。
バレンティン少年、8歳。将来は宇宙飛行士になるつもりで自己流のトレーニングを積んでいるので、無重力で歩くのも宇宙で息を止めるのも(?!)朝飯前。お向かいのアパートのピアノ青年ルフォは、何かにつけバレンティンをかまってくれる。年は離れていても友人である。

両親が別れたのは「3歳ぐらいだったかな」とバレンティン。母には会えずにいる。父は他所で働いており、バレンティンは何年もずっと祖母と二人暮らしである。祖母は夫――つまりバレンティンの祖父――に先立たれてからというもの、いつもぶつぶつ言っている。「可哀想なおばあちゃん。僕が聞いてあげるほかないよね」。

父は時々連絡をよこすが、そのたびに恋人が替わっている。「どうしてパパのカノジョはいつも長続きしないんだろう」。性懲りもなく父が新しいカノジョのことを知らせてきた。「今度の人はどんな人? パパのお嫁さんになってくれればいいんだけどな」。

バレンティンはカノジョとお出かけすることになった。期待に胸をふくらませ、待ち合わせ場所にもずいぶん先に着いた。やがて向こうから手を振りながら駆け寄ってきたおねえさんはあまりにも魅力的だった。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


これは……罠でした。ヒドく泣かされた。不意打ちを食らった。

いま計算してみたんだが、全体の21%、私は泣いていた。ラストに向かう10数分なんて久々に‘噎び泣いた’ぞ。ムセビナイタのはイツが最後だったかね。『モーターサイクル・ダイアリーズ』以来、ちょうど8ヶ月ぶりだな。あ、ノー、『Habana Blues』以来、5ヶ月ぶりだ。

ただ、一つ言っておくべきは、観た人のマジョリティーが泣くとは思っていないということ。私の涙腺や琴線はちょっとチューニングが狂ってるので、なんとも言えない。今回は特にネジが緩んでいたようで、我ながらこれはちょっと泣きすぎですよという違和感はある。


『El sueño de Valentín』は黒地の画面に白文字のオープニングクレジット。小鳥のさえずりと大勢の子ども達がキャッキャッキャッキャとはしゃぐ声に混じって親達が呼びかける声が聞こえてくる。画面は真っ黒のまま。でも、きざったらしい言い方をすれば、光を感じる音声。

イメージとしては木漏れ日。そして、芝生であり噴水であり。親たちをはらはらさせるほどに子どもたちが駆け回っているんじゃないかね。そしてはらはらさせられながらも親たちは子どもの姿をいつまでもどこまでも追っている。そんな印象。


子どもはそれを当たり前に望む生き物なんでしょ? だからどうか子どもを幸せにしてやってください。あなたが父親であれ母親であれ何であれ。


(アルゼンチン映画)

Valentín @IMDb
・この作品のアルゼンチン本国などにおけるタイトルは『Valentín』なんだが、2003年公開当時スペインでは同名の『Valentín』という作品がかかっていたので、こちらは『El sueño de Valentín (直訳: バレンティンの夢)』としたらしい。

シネフィル・イマジカで5/14の19:30、5/31の07:30放送)
(コメント欄にかなりメモする予定; 内容的にもコトバ的にも)


監督・脚本: Alejandro Agresti アレハンドロ・アグレスティ (キアヌ・リーブスとサンドラ・ブロックの『イル・マーレ』とかの)(監督自身の少年時代の思い出をモチーフに描いたような脚本らしい)

出演:
Rodrigo Noya ロドリゴ・ノジャ ... Valentín バレンティン(8歳)
Carmen Maura カルメン・マウラ ... Abuela 祖母
Mex Urtizberea ... Rufo ルフォ(ピアノ青年)
Alejandro Agresti ... El padre 父
Julieta Cardinali フリエッタ・カルディナーリ ... Leticia レティシア(新しいカノジョ)
Jean Pierre Noher ... El tío Chiche チチェ叔父さん
Carlos Roffé ... Dr. Galaburri ガラブーリ医師

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Comments

こんにちは♪
遊びにきました。
涙腺ゆるゆるでしたか?

私はママのお友達から、今でもバレンティンのことを愛していると聞いたときのバレンティンのあの表情を見てだーーーっと涙があふれてきました。

いい話だなぁと、
偶然見つけた作品ですがこの映画を観ることが出来てちょっと幸せでした。

Posted by: さと | Sunday, May 13, 2007 17:10

さとさん
こんばんはこんばんは。
これ、観られる環境にある人には観てもらいたいですね。

あぁもうさぁ……ホント、どうしてくれんのってぐらい泣けました。いや、そりゃたしかに私、こういう作品ではたぶん「ぐすん」くらいは泣くだろなと思ってましたよ。それは予想してたんですよ。だけど、こんなに泣かされるとは思ってなかったぞという。「なんだよ、泣いちゃうじゃねーかよっ」と、なんつうか、恨めしくさえあった。

それではその「泣きどころ」について、この後、コトバ関連メモを先に書いちゃってからダーーーと書くつもりですが、今夜中には無理かもしれないです。いっぱい書くことあって、困ります。

Posted by: Reine | Sunday, May 13, 2007 21:53

(ストーリーに関して書きたい事柄が山ほどあり、それはネタバレにもなっちゃいそうだから、今回は先にコトバMEMOを片付けます)

・plata: お金

・visitador: Persona que visita a los médicos para mostrar los productos farmacéuticos y las novedades terapéuticas. 医薬品セールスマン。(これはMRという職業のこと???)

・pituco, ca: [形][名][軽蔑][口][アルゼンチン][ボリビア][チリ][エクアドル][パラグアイ][ウルグアイ] presumido (= que se compone o arregla mucho) きざな; 気取り屋

・plumero: はたき,羽箒

・ponerle cuernos a 誰それ = (妻が)浮気する、不倫する

・dar la teta a 誰それ = ~ に授乳する

・extrañar: 会いたくてたまらない(※ちなみに私は、「I miss you.」を動詞extrañarで表すんだというのはリッキー・マーティンの『Te extraño』で知りました。『A Medio Vivir』収録)

・recreo = (学校の)休み時間

・bombonazo:
→ bombon = すごい美人、いい女
→ -azo,za = 増大辞

・porfiado, da: [形][名] Dicho de una persona: Terca y obstinada en su dictamen y parecer.

・roñoso, sa:
2.[形] Puerco, sucio o asqueroso.
4.[形][口] Miserable, mezquino, tacaño.

・teatro: . m. Acción fingida y exagerada.
例) Arturo le echa mucho teatro a sus intervenciones.

・sonarse: [他][再] Limpiar de mocos las narices, haciéndolos salir con una espiración violenta.

・de vuelta: [ラ・プラタ] Otra vez; de nuevo.

・mina: [アルゼンチン][ボリビア][ウルグアイ] mujer

・fulero, ra:
1. [形] Dicho de una persona: Falsa, embustera, o simplemente charlatana y sin seso.
2. [形][口] Chapucero, inaceptable, poco útil

・rajar: 9. [自][口][アルゼンチン][キューバ][ウルグアイ] Irse de un lugar precipitadamente y sin que nadie lo advierta.

・cuota: Cantidad que se paga regularmente a asociaciones, comunidades, seguridad social, etc.

・perro: [男] Persona despreciable.

・salame: [男][軽蔑][口][アルゼンチン][ウルグアイ] Persona tonta, de escaso entendimiento.  

・morocho, cha:
2. [形][アルゼンチン][パラグアイ][ウルグアイ] Dicho de una persona: Que tiene pelo negro y tez blanca.
3. [形][アルゼンチン][ペルー] Dicho de una persona: Que tiene la piel morena.

・tarado, da: 2. [形] Tonto, bobo, alocado.

あのさ、すっかり忘れちゃったんだけどさ、これ、(ブラジル)ポルトガル語でも頻出単語だったりする? ブラジル人と遊んでる時によく耳にしたような気がするんだが

・bolilla:
dar bolilla a alguien o algo: [成句][口][アルゼンチン] dar bola (= prestar atención).

・macanudo, da: [形][口] Bueno, magnífico, extraordinario, excelente, en sentido material y moral.

・pichón: [男][口][親愛] Persona del sexo masculino.
・pichona: [女][口][親愛] Persona del sexo femenino.

・memoria:
→hacer memoria: Recordar, acordarse

・retar: 叱責する,小言を言う

・noviar: [自][アルゼンチン][あんまり使われない] Mantener una relación de noviazgo.

・pibe, ba: [アルゼンチン][ボリビア][ウルグアイ] chaval

【DVDの特典映像中、記者会見映像から】
・plató: (スタジオの)セット,フロア

・filmar:
1. [他] Registrar imágenes en una película cinematográfica.
2. [他] Rodar una película.

Posted by: Reine | Sunday, May 13, 2007 21:56

・「胸が張り裂けそうだ」と嘆き苦しむ人に向かってバレンティンが、「Pues, tomate un Geniol. じゃぁヘニオルを飲めば」と言ってたと思うんだが、これのこと?
↓↓↓
NovoGeniol: http://www.gvhdesign.com/farmacia/novedades_mas.asp?id=43

・¡Está rebueno!

こういう「re-」は接頭辞の「re-」で、
Con adjetivos o adverbios, puede reforzarse el valor de intensificación añadiendo a re- las sílabas -te o -quete.
例) Retebueno. Requetebién.

・A todos los chicos que les pasa eso terminan siendo iguales.

分けてみる
→A todos los chicos les pasa eso. ソレは全ての子に起こる
→Todos los chicos terminan siendo iguales. 全ての子がおんなじ結果に至る

そういう目に遭った子はみんな結局おんなじようになる
(※ちょっとこれ、保留; もうちょい考える)

・terminar + 現在分詞: とうとう…する,最後に…する
= terminar + por + 不定詞:

・パパの彼女レティシアがバレンティンに問う
「¿Lo querés mucho a tu papá? (パパのこと好き?)」
「¿Y no la querés ver a tu mamá? (ママには会いたくないの?)」

こういう直接目的語の繰り返しは私には「んんん?」だったので調べてみたら、そうか、特にラ・プラタ周辺に顕著なんだってさ。他のスペイン語圏のほとんどの地域ではそれは正統からは外れてるって。

アカデミアの説明:
La duplicación del complemento directo en otros casos (Lo vi a Juan; La saludé a María) es ajena a la norma culta de gran parte del ámbito hispánico, pero es normal en algunas regiones americanas, especialmente en los países del Río de la Plata:
例) Al pasar la madre cerca del baño la vio a Mariana tomando comprimidos. (Rausch/Bay Anorexia [Arg. 1990]).

・途中、ゲバラの銃殺刑のニュースを知ります。1967年10月9日のことね。この辺りが作品中の‘現在’

・最後の方だったかな、かかる曲: Luis Alberto Spinetta

Posted by: Reine | Sunday, May 13, 2007 21:59

この作品や『僕と未来とブエノスアイレス』、隣国ウルグアイの映画『Whisky』でもよくユダヤ人が出てくるので、「???」と思っていたのですが、やっとちょっとだけ調べてみました。

The Virtual Jewish History Tour - Argentina
「Argentina is the second largest nation in Latin America and boasts the largest Jewish community in the region.」

[JETRO 特集 イラク関連情報]
「アルゼンチンには、約50万人のユダヤ人がおり、ユダヤ人居住者数は、米国、イスラエルに次いで世界で3番目である」

PDFファイル www.ofcf.or.jp/4/pdf/s-america/argentine.pdf
「ユダヤ系移民が中南米最大の約30 万人に上り、大半がブエノスアイレスに居住。米ニューヨークに次ぐ世界有数のユダヤ系社会」

あぁ、そうなんだ? 全然知らなかった。恥ずかしながら。
なるほど。これでまたアルゼンチン映画の理解度が少~~~~しだけあがったかも。φ(ロ-ロ^) メモメモ

Posted by: Reine | Sunday, May 13, 2007 22:00

ここから先は色々語っていきますがどうしてもネタバレになっていくと思います。


DVDの特典映像に記者会見映像などが収められている。壇上に監督、カルメン・マウラと共に主人公役のロドリゴ・ノジャ少年も。「これはどんな映画?」とマイクを向けられた彼は、「La película es ... muy buena ......... y ........ eh ........ es muy triste también. (とても良くて……それから悲しいの)」と言っちゃうんだわな。ある意味上映前に自らネタをバラシたようなものです。

彼もこれは哀しい映画だと思いながら演じていたとわかって私はなんとなくホッとした。幾らなんでも私は泣きすぎじゃないだろか、こんなに泣いちゃうのは私がおかしいんじゃないかなどと考えたりしてたもんだから。

そう。
私はほんわかと泣いたのではなかったのです。記事冒頭で引き合いに出した4つの子どももの作品を観て笑顔でほのぼのと泣いたのとは、バレンティンは若干違う涙だったのです。この子が可哀想で哀しくなって、大げさに言えば‘絶望的’な思いで私は泣いたのです。大げさに言えばですけど。

ここから先は、また後日。かな。たぶん今夜は無理だな。

Posted by: Reine | Sunday, May 13, 2007 22:05

(ここからはますますネタバレ。というか、私の勝手な解釈――しかも多分にペシミスティックな――を好き勝手に展開していくので、ネタバレじゃないといえばネタバレじゃない)

祖母は、夫を一途に愛してた。大恋愛の末に、猛反対する実家を捨てて駆け落ちした。赤貧の時代もあったが、夫がそばで「大丈夫だよ」と言ってくれるだけで何も怖くなかった、幸せだった、大好きだったと彼女は言う。

亡き夫とのなれそめを孫のバレンティンに洗いざらい――しかも恐らく何度も繰り返して――話して聞かせるときの彼女は、愛する者を亡くした現実をしっかり受け止めているとは言い切れぬ様子で、痛々しくさえある。彼女はバレンティンを抱き寄せ、「おじいちゃんに会いたいの、会いたくてしかたないの……」とうわごとのように繰り返す。

しかしね、彼女はその悲しみをバレンティンにぶつけてしまっているんだな。

「彼みたいに私の話をちゃんと聞いてくれる人なんていないんだもの」って、今、現に目の前で毎晩聞いてくれているバレンティンに向かって言っちゃダメでしょう。

「私が独り言ばっかりぶつぶつしゃべってるって皆は言うけど、ちがうのよ、私はおじいちゃんとしゃべっているの」って、二人暮らしの‘相方’であるバレンティンに言っちゃいけないでしょう。

「今、私は一人なの。おまえがいるけど、ちがうの、そういうことじゃないの、私は一人なの」って、バレンティンに言っていいセリフじゃないでしょう。


………ダメだ……ここまでで既に書きながら涙が止まらん。こんなんでこのさき書けるんだろか。

Posted by: Reine | Wednesday, May 16, 2007 22:54

あるいは彼女は悲しみを苛立ちや更には怒りに変換することで消化している。

二男の嫁Silvitaはタクシー運転手と駆け落ちしてしまった。嫁のその不行跡のせいで自分の夫が生きる気力を失い、そのせいで早世してしまったのだ、それで私が独り置き去りにされたのだ、という理屈で彼女は嫁のことを憎んでいる。

長男の嫁、つまりバレンティンの母親のことも同様に憎んでいる。「あんたのママには最初っからほんとの娘のように接していたのに。あの女はお前におっぱいをあげてるときから浮気してたんだからね! あんな女、死んじゃえばいい。もう二度とあの女のことなんて訊くんじゃないわよ!」

いっしょに暮らすたった一人の肉親から明けても暮れてもそんな怨み言をぶつけられる8歳の少年の気持ちってもんはよ……orz


※それでもここは‘祖母’の孤独感が十分に伝わってきて、さっそく泣いてしまったシーンでした。

※ちなみにDVDの特典映像によれば、この‘祖母’の恋物語は監督の祖父母(だったかな? 両親だったかな?)の実体験と似通っているらしい。

監督は、撮影の合間にカルメン・マウラと二人で近くのカフェに行った。監督はその実話をぺらぺらと語り、カルメン・マウラは軽くコーヒーでも飲みながらふむふむと聞いていたらしい。

そして小一時間もそんな思い出話を一気に語ったあと、「じゃ、カルメン、今の話で撮るよーん」って言ったんだとさ。カルメン・マウラは「撮るって何を?」状態だったらしい。「シ、シナリオは?」ってカルメン・マウラが尋ねたら監督は、「今ずっと聞いてたでしょ。あんな感じでよろしく」と。

監督曰く、あのシーンは‘祖母’が‘亡夫’との日々を懐かしく思い出しながらしゃべるわけだから、カルメン・マウラがカフェテリアでさっきサラッと聞いただけの概要を思い出しながら肉付けしながら演ずるくらいできっとちょうどいい演技が撮れるだろうと思った、んだってさ。

Posted by: Reine | Wednesday, May 16, 2007 22:57

・祖母の語るバレンティンの父の性格:
キザで気取り屋で、新品の靴を買って小奇麗なジャケットだのスーツだので身を飾ることばかり考えている。

バレンティンの父親(=監督が演じている)は、ほとんど姿を見せないんだ。でも、おばあちゃんやバレンティンのコトバの端々から、その人間性はうかがえる。

はっきり言ってバレンティンへの態度は、「ネグレクト」という形の虐待だよね。お金だけ送ってくるけど――それすらもふんだんに送ってきているわけではないじゃないが――自分の老母に息子を押し付け、ちゃらちゃらと女と惚れた腫れたやってるような男なんですよ。(※監督は記者会見でこの‘父親’を「bestia y seductor barato ロクデナシで、やっすい女ったらし」と形容していた)

新しいカノジョができた時だけ帰宅して父親面するのね。それはどうして。カノジョにバレンティンを紹介するのはどうして。小道具として息子を使っているんじゃない? 息子には「今度こそお前のお母さんになってくれるかもしれない人なんだよ」と、期待させるだけさせて。

しかし、カノジョとの仲がこじれると途端に、お前がヘマをやらかしたんだろうと息子を責める。お前はあのおねえさんとお出かけしたときにいったいどんな失言をしたのだと厳しく問い質す。なじってののしってつきはなす。


あんたのカノジョは、そういうあんたの本性が透けて見えたから去っていっただけだっつうのにな。

Posted by: Reine | Wednesday, May 16, 2007 22:58

※ちなみに、別にDVD特典で語られていたわけでもなんでもなくて、ほんっとーに私の想像なんだけど、猛り狂った父親(=監督)がバレンティンを怒鳴りつけるシーンは、なんかリハとは違うことをしたんじゃないだろかって。台本よりも罵詈雑言が何倍もヒドかったとか、バレンティンの腕を掴むなんて設定は無かったのに急にガシッと掴んで体を激しく揺さぶったとか、たとえばなんかそういうアドリブ的な。

烈火のごとく怒る父親の前に愕然と呆然と悄然と立ち尽くすバレンティン少年の表情と瞳の暗さと言葉の失い方が、もう、演技を超えてるように見えたんだよね。

「……こ、こんなはずじゃぁ……」の顔ができすぎてると思った。ホント、勝手な想像だけど。

Posted by: Reine | Wednesday, May 16, 2007 22:58

さて、バレンティンの父親は置いといて、母親は? 母親はどうしてバレンティンに会いにきてくれないんだろう。バレンティンがどれほど母を求めているか、観てるこっちだって胸が苦しくなるくらい、それはそれは強烈に母を待ち続けているのに、どうして?


※ちなみにママのことが語られる大事な大事なシーン、あれがバレンティン役のオーディションで出題されたシーンらしい。(DVD特典・記者会見映像より)

他の子は皆一様に「ママ! 。・゜・(/Д`)・゜・。」「マミー! ( iдi ) 」などと大仰に演じたのに対し、ロドリゴ・ノヤだけは全く違う演技をしたんだと。それでこの子に決めたとか。


さて、母親。
祖母がこき下ろしていたような尻軽のあばずれだからバレンティンのことなど知ったこっちゃないんだろうか?

ネタバレになりますけども


たぶん


そうではない。


たぶん


ママは


もう来られない。

Posted by: Reine | Wednesday, May 16, 2007 23:00

「『あぁ俺はなんて馬鹿だったんだろう、死にたくないってあんなに大騒ぎするなんて。こんなに天国がステキな場所ならどうして俺はもっとサッサと死んでいなかったんだろう』って、おじいちゃんは思ったかなぁ? 

仕事のことだとかSilvita叔母ちゃんのこととかで生きてるうちは辛い思いばっかりしなきゃいけなかったのにもしも天国がそんなにいいところだったんなら、もっと早く死んでいた方がおじいちゃんにとっても良かったじゃんってことを僕は言いたいのね。

でもさ、天国がそんなにいいところならさぁ、おじいちゃん死ぬの、もっと遅くならなくてよかったよねって僕思うんだ」


※もっともっと幾らでも書きたいことがあるんだけど、全部しゃべっちゃいそうなのでこの辺で切り上げます

Posted by: Reine | Wednesday, May 16, 2007 23:08

この映画のことだったんですね。
大泣きですか。覚悟しておきます。
近所のレンタル屋さんにあるかな?
ちょっとのぞいてきますね。

Posted by: Fuka | Saturday, May 19, 2007 09:48

Fukaちゃん、そうそう、この映画です。
でもそんなにみんながみんな大泣きするというわけでもないと思います。私も「何もここまで泣かなくたって……」と我ながら思ってましたから。

近所のレンタル屋さんには無いと思います。残念なことに。シネフィルが今回(と、以前にも)放映していたというのがアッパレだと思ったくらいで、これはまだ日本には入ってないと思いますよ。DVD化はもちろん、ビデオでも無理だと思います。

ネットの映画情報サイトでもかなり内容が充実していると思うのはallcinemaですが、そこでもまだこんな状態です

あとはアルゼンチン映画祭などで上映された・されることがあるようです。

Posted by: Reine | Saturday, May 19, 2007 22:30

おろろろろ。。。残念です。
スペインに行かれた時に買ってきはったんですね。
今度スペインに行った時に覚えていたら買ってこよっと。

私もえーっって言うので号泣したことあります。
私の場合はイアン・マクレガー主演のBig Fishを見た時。
一緒に映画を見に行った友人にびっくりされました。
帰りの車の中でも涙が止まらなかったですよ。
人によっては意味不明な映画になりますがおすすめです^^

Posted by: Fuka | Tuesday, May 22, 2007 22:06

セルバンテス文化センターで、6月上旬にアルゼンチン映画週間。

『バレンティン』の予定は6/5(木)、18:30~。

(※詳しいこと・正確なことはサイトなどで事前にチェックした方がよいと思います)

Posted by: Reine | Saturday, May 17, 2008 21:46

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» El abrazo partido / 僕と未来とブエノスアイレス [アルゼンチン映画] [Reino de Reine]
セルバンテス文化センターのイベント、「アルゼンチン映画週間 6/3(火)~7(土)」の初日に上映されるので今日までに書き上げたかったのだが、体調悪く時間もとれず途中までしか済んでいない。もう1年前から... [Read More]

Tracked on Sunday, June 01, 2008 11:05

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