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Saturday, March 24, 2007

El Sur / エル・スール [スペイン映画]

el sur02今回は、あんまり書くこと無いんだよね。『モーターサイクル・ダイアリーズ』の時と同様、今回も眉毛とか脛毛とか抜きながら鑑賞してた。しかし、『モーター~』の時も書きましたけど、それは作品が好きになれなかったからではないですよ。『モーター~』の時はボロ泣きしてたし、ヒドく打ちのめされていたし、今回はオチ(←‘オチ’って言うな)のとこで「えぇぇぇ……」って心細そうな悲鳴をかすかにあげたりしつつの鑑賞でした。

これは良い作品ですよ。それは間違いない。多くの人に薦めることのできる作品。静かで美しくて物悲しくて、懐かしくてね。

そう、懐かしいな。
my父は若い頃は帰りがさほど遅くない職種だった。まだ陽が落ちてしまっていない時間帯に帰宅する父親の姿が、この作品を観ていて呼び起こされたねぇ。

セブンブリッヂとキャッチボールは、そういう夕暮れ時の親父と俺の定番だった。親父の晩酌がてらセブンブリッジをする時、得点は私が数えたな。「おー、レネヲは足し算が速くなったな」と褒められたのが、人生で最後の褒め言葉だったかもしれない。セブンブリッジで練習を積んだ私はほどなく家族麻雀での‘お豆’扱いを脱したし、娘の体格など度外視した本気キャッチボールのおかげでやがて私は強肩の女学生になった。

などなどと、少年時代の夕暮れ時をやたら思い出す映画だったな。


ただ、なんていうか……
私の書くことは他にはあまり無いっていうか。「良い」以外の感想を持ちようがないような。なにもわざわざ私が感じ入らなくても、という横着な気持ちとか。そんな、今更私が感慨を込めて何か書く必要の無かろう、たいていの人の胸に染みるはずの作品ですのでね。

バチ当たり修道院の最期』を観終わったとき、「はて。この山はどこから登ればいいのか」と途方に暮れ、書き始めるのに何日かかかったのですけど、今回もきっとそういう作品なんだと思う。それなのに、観終わった直後に書き始めてるから攻めあぐねているのだな。


うちの親父に投影しきれないのが敗因だろうかとも考えた。娘の私が思い煩い胸を痛めた親父の秘密なんて、むりやり挙げてみたところで、カバンの中にわりかしハードなエロ本が入ってた一件くらいなもんだからな。

ああ。あと一つ思い出した。娘が気を揉む親のヒミツ。
数年前わたしは親父の古い机をパソコン置き場に使ってたんだが、その一番上の引き出しには使い古しのボールペンやらホチキスの針といったガラクタと化した文具に紛れて、なぜかコンドームが一箱保管されていた。その引き出しは私は絶対に開けないように気をつけていた。

だって、ヤだぜ、親のそういうのは。しかも、何歳当時に購入したんだかと計算すると鬱だ。

しかし、親が――特に母親が――やれマイナスドライバーはどこだったか、おにいちゃんの彫刻刀セットはここだったかしらとしょっちゅう探しものにやって来てはぞんざいに引き出しを開けやがる。自分らでしまいこんで忘れきったブツを、娘のあたしの眼前で発見してしまった時の腹積もりは、あぁた、できてるんでしょうね? と、私はそのつど固唾を飲んで、引き出しの中を大雑把にかきまわす母親の指先を見つめるのであった。

しかし、気づかないんだよね。まったく目に入らないようである。今そこにある危機なのに。

嗚呼。気づいてほしいような、気づかれたくないような。親がついに気づく日が来たとして、娘はこれにいつから気づいていたのだろうかと遡及的に赤面するであろうことを予期することで今から私は頭を抱えているのである。

あのコンドームはあの引き出しに少なくとも15年は入っているだろう。あれを私はコッソリ持ち出して捨ててくるべきなんだろうか。あー、もー、サッサと気づいてくれや。そして娘のあたしに隠れてコッソリと捨てて来てくれや。

……などと愚痴っていたら友人が、「おかあさんたちはおかあさんたちで、そのコンドーム、レネ山のだと思ってんじゃない? 『早く気づけや、とっとと始末しろや>娘』と思ってんじゃない?」と言った。勘弁してほしい。


えーっとね、今回はビクトル・エリセ監督の『エル・スール』を観ました。素敵でした!

el sur01El Sur @IMDb
・直訳: 南部
・英題: The South
・スペイン映画
・Abetchyが貸してくれた
エル・スール@シネマカフェ
エル・スール@goo映画

(スペイン語学習の面で大切なことはコメント欄)

監督: Víctor Erice ビクトル・エリセ 
脚本: Victor Erice, Adelaida García Morales アデライダ・ガルシア・モラレス
原作: Adelaida Garcia Morales

出演:
Omero Antonutti オメロ・アントヌッティ ... Agustín Arenas アグスティン(父親)
Sonsoles Aranguren ソンソレス・アラングレン ... Estrella エストレージャ(8歳)
Icíar Bollaín イシアル・ボジャイン ... Estrella エストレージャ(15歳)
Lola Cardona ローラ・カルドナ... Julia フリア(妻)
Rafaela Aparicio ラファエラ・アパリシオ ... Milagros (ミラグロス; アグスティンの乳母)

15歳のエストレージャを演ずるIciar Bollainについては、私は監督としての活躍を先に知ってしまった。『Hola, estas sola?』は何度かスペインの学校で観た。他に、『Flores de otro mundo』、『Te doy mis ojos(2004年ゴヤ賞作品賞)』など。どれもかなーり秀作だと思うんだけど、それがゆえに日本には入ってきやしねえ。


二人が踊る曲。『En er mundo』という曲(pasodoble。これで合ってるかな?)

どんなに楽しくいっしょに踊っても、やがて人の記憶の濃淡には打ち消しようのない差が生じるものであるという寂しい現実。

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Comments

数少ないセリフの中に、スペイン内戦前後の時代背景がわかってると理解しやすいものが幾つかあったね。こないだの『ベル・エポック』の記事はその助けになると思います。(※スペイン内戦関連書籍など

>内戦の前はおじい様が悪い側で、パパが良い側だった。フランコが勝ってから、大旦那様は聖人になり、パパは悪魔になった。勝てば官軍。戦争に負けると監獄に入れられるの。

>パパは今まで一度も教会に行ったことが無いのよ

>Nunca se llevó con tu abuelo. A mí me han contado que los dos andaban siempre como el perro y el gato. パパはおじいちゃんとは全くうまくいかなかったの。犬猿の仲だったらしいわ

Posted by: Reine | Sunday, March 25, 2007 at 01:05

映画の録音技術って何がどう発展してきたのかわからないのですが、昨今の作品と比べるとこの作品はとても音がクリアなのですね。なんか、こう、アフレコ感がくっきりと。だから、聞き取りやすい。

本を読み聞かせてくれるようなナレーションが入る(主人公エストレージャの一人称独白スタイル)。そのナレーションも、また登場人物のしゃべりもたいへん聞き取りやすいです。乳母ミラグロスの南部方言(後述)を除いて、ですがね。

perífrasisの使用例としても好いのがあったね。
Fui creciendo mientras nos trasladábamos de un lado a otro.
・Poco a poco fue llegando la noche.
ペリフラシスの「ir + 現在分詞」でしょう

Posted by: Reine | Sunday, March 25, 2007 at 09:36

1) パパはダウジング名人です。水脈探査名人。パパのような力を私も持てるのかしらと問う娘にママが「No lo sé. Como eres hija suya, igual sí. わからないわね。でもパパの娘だからそうかもね」

igual
[12. adv. duda coloq.] quizá.
例)Igual mañana nieva.

2) どこで出てきたか忘れたが、totalという言葉。「結局,つまり,要するに; …なのに」
[3. adv. m.] En suma, en resumen, en conclusión.
例) Total, que lo más prudente será quedarse en casa.

3) Ahora ... A dormir. 「さて、と。寝なさい」 
「A + 不定詞」
『Atraco a las tres』で説明した件

前置詞 a
[6. prep.] Indica la dirección que lleva o el término a que se encamina alguien o algo.
例) Voy a Roma, a palacio.
例) Estos libros van dirigidos a tu padre.
[Usada en frases elípticas imperativas]
例)¡A la cárcel!
例)¡A comer!

※1)のigualと2)のtotal、この二つを普通にポロっと使えるくらいの人については、あぁスペイン語での会話に慣れている人だなぁと私は感じる。

Posted by: Reine | Sunday, March 25, 2007 at 09:52

・tener alguien malas pulgas
fr. coloq.: Ser malsufrido o resentirse con facilidad, tener mal humor.

・「La bulla que estás armando.」
bulla: 1. f. Gritería o ruido que hacen una o más personas

・¿A quién se le ocurre?
ocurrírsele ALGO a ALGUIEN: ほにゃららが誰ソレの頭に思い浮かぶ,誰ソレがほにゃららを思いつく

・No tiene arreglo.

・Ceca2.
de Ceca en Meca, o de la Ceca a la Meca.
[locs. advs. coloqs.] De una parte a otra, de aquí para allí.

・a tiro limpio: 激しく銃撃して
・en resumidas cuentas:
[loc. adv. coloq.] En conclusión o con brevedad.

・Cansada del ambiente que se respiraba en la casa, quise protestar a mi manera: me escondí debajo de una cama, dispuesta a no salir.

こういうのは動詞と前置詞とセットで覚えちゃう

・al caer la tarde (いや、なんか好きな表現なのでメモ)

Posted by: Reine | Sunday, March 25, 2007 at 10:14

>Mi madre fue una de las maestras represaliadas después de la Guerra Civil.

動詞represaliar
[tr.] Castigar, tomar represalias.
報復措置をとる、ような意味だね。

それでは「私の母は内戦後に報復された教師でした」とはどういうことか。頼りっきりでアレなんだが『三省堂 スペインハンドブック』の‘教育’の章から拾ってみる(章の担当はコントレーラス先生):

「1931年に第二共和制が成立すると,共和国政府は教育問題に積極的に取り組み……略…….‘改革の二年間’と呼ばれる共和国発足当初の2年間には,初等・中等教育計画によって一連の画期的な改革が実行に移されたが……略……

共和国は最初の2年間に教育の改革,改良に関する野心的計画を立てた……略……最大の誤算,少なくともマイナス要因として働いたのは反宗教的色彩が強いことであった.

1930年から1931年ころには……略……共和国政府による世俗教育の推進は,当然のことながらこれら教会系の学校の抑圧を意味した.……略……一方,教会側の抵抗に加え,旧カスティーヤやバスク地方の中流階級や下層階級さえも含む多数の父母が世俗教育に反対し,共和制と対立する側に回ってしまったのである.

……略……しかし第二共和制の成果も内戦の間に水泡に帰し,教育改革を推進した人々も人民戦線崩壊後スペインから逃れたため,スペインはまったく文化的荒野の状態に陥った.

(※そしてフランコ時代に入り) ……略……1939年の政治責任法,1940年の秘密結社及び共産主義抑制法を始めとする公務員粛清に関する諸法規は,スペインの教育者に大量の検挙者や死者をもたらす結果となったが,それは初等・中等学校の教師,大学の教授・助教授を問わずあらゆる階層に及び,スペインの教育界に測り知れない打撃を与えた.」

ということで、エストレージャのママの事情はこの辺だと思います。こないだの『ベル・エポック』の記事と併せて読むとbetterじゃないかね。

Posted by: Reine | Sunday, March 25, 2007 at 12:11

さて、アンダルシアからやってきたおばあさまと乳母のミラグロス。乳母のしゃべりは、‘アンダルシアじこみ’という自覚がある私なんかには、もーたまらん響き。お国言葉の嬉しさ。

ミラグロスを演じたラファエラ・アパリシオは、マラガ県・マルベージャ生まれだそうで、「a symbol for the Andalusian woman」だそうな。アンダルシア方言ネイティブですね。

ひとまず留守にするので、とりあえずここら辺を斜め読んでおいてください(って、誰に向かって話しているのだ)
スペイン語 方言 "アンダルシア OR 南部" の検索結果
Resultados de "habla andaluza"
resultados de andalucia vocal pronunciacion

Posted by: Reine | Sunday, March 25, 2007 at 12:21

とりあえず、乳母ミラグロスさんの喋りは、奥様(=エストレージャの祖母)のそれとは明らかに違ってたでしょ。そしてエストレージャも「パパの話し方と違う(から、なんかおもしろい)」と笑っている。そこでミラグロスは「貴女のパパは上流のお生まれですからね」と説明していた。(え? なに? そういう違いもあるわけ?)

えーっと、あたしの喋りなんかはたぶんミラグロスさん寄りです。エストレージャのパパのとは違うでしょう。

私は向こうにいる間、現地の方言は知識として覚えるよう努めつつも、自分の発話はいわゆる標準語を意識していた(つもりな)ので、日本人の友人に言わせると「Reineちゃんはアンダルシア弁じゃないと思う」そうなのだが、スペイン人としゃべると一発でバレるようだ。「君は南でスペイン語を覚えたね」と。

エストレージャがミラグロスさんをキラキラした目で楽しそうに見つめていたように、彼らは私の口元を見ている。私が「そんなに se me nota(=わかる)?」と尋ねると、「いや、若干ね」「ところどころにね」と言いつつも何やらニンマリしているのだった。

さて、ミラグロスさんの喋りでわかりやすいところを挙げると:
1) 語末の-sが落ちてたでしょ(pérdida de la -s al final de sílaba o palabra)

2) 過去分詞の「-ado」なんかの-dが落ちて「-ao」に聞こえたでしょ (Pérdida de -d- intervocálica en terminaciones -ado)。desconfiaoとか言ってたでしょ、ミラグロスさん。

しかし、ただ単に「-s」「-d-」を抜いてしゃべればアンダルシア弁のできあがりかって言ったらそうじゃないですよ。関西の人は関東の女優がドラマで関西弁をしゃべると耳障りで受け付けないみたいですが、それと同じようなものでね。付け焼刃のアンダルシア訛りなんて、ガイジンの俺らにだって丸わかりです。

授業で各地域・各国のしゃべりというのをテープで聞かされた中にアンダルシア地方のもあったんだが、てんでなってなかった。うちのクラスでは「なんだこれ」「何このワザトラシイの ( ゚Д゚)∂゛チョットコイヤ」と、ブーイングの嵐でした。アンダルシアの音は一日にして成らずだろ。

音をすっ飛ばしちゃえばいいというんじゃないんだよな。なんかがあんのよ、そこに。

Posted by: Reine | Sunday, March 25, 2007 at 15:11

他にアンダルシア方言の(音の)特徴と言えば……って書こうとしたら大仕事なので、あとはおまかせします。こんなような語で検索してみてください。

・seseoとceceo(セセオ)
・yeísmo
・vocal cerrada (閉母音)
・vocal abierta (開母音)
・aspiración (気音化)
・pérdida de la -s
・Pérdida de la -d-
・pérdida de consonantes finales
・Neutralización de r y l
apócope(脱落): para⇒pa

とかその辺じゃないだろか。

Posted by: Reine | Sunday, March 25, 2007 at 15:36

あぁ、あとあれだ。
毎度おなじみの『スペインハンドブック』の言語の章、アンダルシーヤ方言のページにいろいろ説明があり、そこに、「音節末の -l と -r が混同されてすべて -r と発音される」とありますが、だから父娘が初聖体拝領の日に踊った曲は『En er mundo』なのでしょうかね? そういう理解でよろしいか?

Posted by: Reine | Sunday, March 25, 2007 at 15:43

エル・スールの感想を書くのに、ここまで個人的なエピソードを公開しなきゃいけないもんだろうか・・・と思いましたです。ある意味、映画レビューにおける新機軸でもあるかも。

そうそう、主人公の女の子だったのが "Flores de otro mundo" を監督したんだよね。公開当時も話題になってたな。

Posted by: abetchy | Saturday, March 31, 2007 at 14:11

◆Abetchy
>ここまで個人的なエピソードを公開しなきゃいけないもんだろうか・

そうそう、それについては別の友だちからも言われました。「だ、だいじょうぶなの?」と。まぁ、この映画、どこがどういう理由でどれだけ感動したかをいっぱいいっぱい書き連ねてもしかたない、というか、書き連ねる必要が無いくらい良い作品だと私は思うので、あえて別方向から長文にしてみました。そうそう、新機軸、新機軸。いい表現だな、新機軸。

そっか、『Flores de otro mundo』公開の頃にちょうどAbetchyはスペインにいたんだね。これも何度か買おうと試みたんだけど、そのたんびにストックがなかったり、通販業者と喧嘩になったりで(←喧嘩すんな)、手に入れられずに今に至ります。

今年中になんとかしたいものです。

Posted by: Reine | Monday, April 02, 2007 at 20:01

だいぶ前になりますがコメントありがとうございます

ビクトル エリセーは大好きな監督です

スペインの本当の姿がわかりますよね

ちなみに某大学のスペイン語学科出身なんですよ~

Posted by: bluenote | Thursday, April 05, 2007 at 17:51

bluenoteさん、コメントありがとうございます。
そうですか、スペイン語学科のご出身でしたか。

bluenoteさんのblogは、スペイン映画・スペイン語映画について検索して以前からよくお見かけしていました。スペイン事情(と書くと講義名みたいですが)をよくご存知の方だなぁと感じており、楽しく読んでいました、実を言うと。

これからもよろしくお願いします。

Posted by: Reine | Saturday, April 07, 2007 at 12:38

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