« Héctor [スペイン映画] | Main | Está que trina. »

Monday, January 08, 2007

después de que

先日観た映画『Héctor』の中で、エクトル少年と従姉のファニーが、エクトルの亡き母の思い出を語らうシーンがある。ファニーの母とエクトルの母は姉妹であったが仲違いをしてかれこれ3年が経っていた。しかし、ファニー自身はエクトルのお母さんのことを好きだったと言う。

「あなたのお母さんはずっと私の聖人の日のお祝いをしてくれたわ。うちのお母さんと喧嘩した後でもね(Incluso después de que se peleara con la mía)」というファニーのセリフについて:

過去のことをしゃべってる時に‘después de que + 接続法過去’とするのはホントはNGだよと私は教えられてきて、自分ではそう書かない・言わない。しかし、実生活では‘después de que + 接続法過去’を用いた文を見聞きすることも多いんだよね、これがまた。

■ネットでもこの件についてはよく論じられてる。
たとえば、Centro Virtual Cervantes(バーチャル・セルバンテス・センター)のこのスレッド('Después de que' con subjuntivo referido al pasado)などは面白いと思うよ。「きょうび、新聞・雑誌ばかりか文壇でも接続法過去を使っているんだよなあ……もう直説法は追いやられてしまったのか!?」「しかし、それでもなお僕は自分の生徒にそれを薦めはしないぞ」などなど。

わたしも、もしも教える立場にあるならばそう思うと思う。「それでもなお私の生徒にはそうは薦めないぞ」と。

ネイティブが‘después de que + 接続法過去’を使っているんだもんという事実と、じゃぁ外国人の学習者もそう言ってみたってかまわないじゃんかというのは、んーー、ちがうと思うぜ、ちがうんだよ、そういう理屈じゃないんだよ。

非ネイティブの人間は、‘過去のことをしゃべっている時は después de que + 直説法 だよ’というシンプルなルールの方をしっかりと知っておくべきだろうと思う。

そのルールをきちんと知っていてこそ、「破格」の言い方が存在するという現実をも把握できるのであって、例えば映画でこんなセリフが聞こえた時に、「今、‘después de que + 接続法過去’だったね」と気づき、そして聞き流せるのであるから。やっぱり、原則はきちんと知っておいた方がいい。原則を知った上で、そうじゃないのも知っておく、と。

ちなみに私の場合は、「‘después de que + 接続法過去’はNG(とされてきたの)であると知った上で自・分・は・使・わ・な・い」です。

それが望ましいんじゃなかろうかと私は考えてる。「NGだときちんと知った上で使うのは、別にいーじゃん、実際に使われてるんだからかまわねーじゃん」、ではないと思ってるんだ。

まあ、その辺はイズムの問題にもなりましょうからな。
とにかくね、他にもいろんなサイトで扱われているので、読んでみるとおもしろいでしょう。ただ、気をつけたいのは、意見を言っている人がどれほどのもんじゃいということを常に探りながら読むべきだろうという点です。どういう人間がどういう知識・経験を基に何を主張してるのか。そこのところを見極めながらでないと、ネットでこういうのを見てまわるのは危なっかしいよね。

■「después de que」を辞書で調べてみようか。
1) 小学館 西和中辞典(※私のは初版第11刷・1999年1月10日)
(⇒ この件については特になにも書いてない。だからこの辞書はあまり一般的にはお薦めしないわけだ、私は)(これはわかってる人がひく辞書になっちゃってんのよ)

2) 研究社 新スペイン語辞典(※私のは初版第10刷・1999年)
…してから.
(☆[語法] 過去を表すときは点過去形を用いる,未来を表すときは接続法現在を用いる) // Después de que llegó el último, comenzó la reunión. 最後の人が来てから会議が始まった. // Después de que compren el coche, viajarán por todo el país. 彼らは車を買ってから国中を旅行するだろう.

2') 最新版のプエルタ新スペイン語辞典(2006年11月22日発売)(※後述)でどのように説明されているかは後ほど確認する。今は手元にない。
↓↓↓
2007.01.12 加筆 
確認した。ちょっとだけ書き方が変わっていた。例文は変わらず。
↓↓↓
([語法] 過去を示すときは点過去形を用い,未来を示すときは接続法現在を用いる)


3) 三省堂 クラウン西和辞典(※私のは初版第1刷・2005年2月20日)
〖+直説法 / (未来を表す場合)接続法〗
…した後で,…してから.
Después de que te escribí no he vuelto a verle. 君に手紙を書いた後,彼には会っていない.◆未来を表す場合以外は普通直説法を用いるが,時には接続法も用いられる. Después de que lloviera, salió el sol. 雨が降った後太陽が出た.

………と、まぁこういった具合で、この3つの中では三省堂クラウン西和がいちばん私の好きなタイプの説明を載せていると言えるな。


そもそもこの‘現象’はいったいどーゆーワケで拡がってきたのかというと、んーーーー、どうなんでしょう。「モノカキの連中がカッコつけてそーゆー言い回しを好んで使ってきたせい」と、これまで私はそのように理解してきた次第です。そのように伝え聞いた次第です。

■『El Subjuntivo』(J. Borrego, J. G. Asencio, E. Prieto著)のRegla57の項では、ANTES DE QUEが必ず接続法だから、そこから類推して、「じゃー、DESPUÉS DE QUEも接続法でやっちゃおうぜ」となったのではなかろうかと書いている。

ANTES (DE) QE y A QUE (con valor temporal) exigen siempre subjuntivo porque la oración que introducen sitúa los acontecimientos en un tiempo posterior al que se indica en la oración principal.

例文
Llegó antes de que le avisaran.
Lleará antes de que le hayan dicho nada.
Agardó a que le hicieran la maleta.
Esperará a que le feliciten por sus éxitos.

Quizá por analogía con respecto a su opuesto ANTES (DE) QUE, las oraciones temporales introducidas por DESPUÉS (DE) QUE y LUEGO (DE) QUE admiten el subjuntivo en referencia al pasado:

例文
Eso fue construido después de que los fenicios vinieron (直説法) a la Peninsula Ibérica.
Eso fue construido después de que los fenicios vinieran (接続法) a la Peninsula Ibérica.
Comenzó a descubrir su verdadera personalidad luego (de) que le eligieron (直説法) para el cargo.
Comenzó a descubrir su verdadera personalidad luego (de) que le eligieran (接続法) para el cargo.

■この件は1年くらい前にもどこかで軽く触れたと思う。あぁ、そうそう、Jan 17, 2006 9:33:55 PM のコメントだわ。

|

« Héctor [スペイン映画] | Main | Está que trina. »

Comments

こんばんは。上の記事を、昔お世話になった先生を思い出しながら読んでました。やはり、その先生も、reineさんの先生と同じことを言ってました。言葉は生き物で、時間の中で変化していく側面をもってますが、でも、なるべく、正しい使い方をしていきたいなあと、私も思います。決められたルールの中で、いかに美しい、おもろしい表現ができるか、自由に遊べるか(実際にはできませんが・・)が、語学のおもしろさなのでは、と個人的には思うので、基本的なルールを守ってないと、訳がわからなくなっちゃう気がします。
そういう訳で、reineさんのスペイン語の解説は、まさに私のツボです!下手な教科書より、おもしろいです。これからも楽しみにしています。それでは。長々失礼いたしました。

Posted by: mami | Tuesday, January 09, 2007 at 00:41

↑すみません。下手な教科書より、”数倍”おもしろい、と書くつもりが、数倍がぬけてました。読み方によって、失礼にあたりますよね。すみませんでした。

Posted by: mami | Tuesday, January 09, 2007 at 00:44

mamiさん、コメントをありがとうございます。数倍とかそんな、もう、ほんとに。どうかお気になさらず。いや、なんだかホントにお恥ずかしい。

ちょっと今もう布団の中から指一本だけ出して書いている状態ですので、また明日以降にお返事いたします。ではでは。おやすみなさい。

Posted by: Reine | Tuesday, January 09, 2007 at 00:53

あらためましてmamiさん、コメントありがとうございました。グルグルと同じことをいつまでも書いているようなまどろっこしい、しかも説教っぽい(?)文に対してコメントをいただけたのは、とても嬉しいことでした。

> 基本的なルールを守ってないと

そうそう、そうなのです。それは各人のイズムも関わってくるのでしょうが、私はそうなのです。「きちんとルールに則りたい主義者」というか。

これからもああだこうだと好き勝手なことを書き散らすと思います。いろいろとご意見をお聞かせいただけたら幸いです。お待ちしております。

Posted by: Reine | Wednesday, January 10, 2007 at 20:37

> 私の好きなタイプの説明を載せている

これなんだけども。
あー、でもやっぱり、んーー、どうなのかな。

三省堂『クラウン西和』のあの書き方(◆「未来を表す場合以外は普通直説法を用いるが,時には接続法も用いられる.」)だと、利用者は「で、結局どっちなの? 直説法なの? 接続法なの?」って戸惑っちゃうかもしれないんだよね。

辞書の場合、スペースの問題があるだろうからなぁ。ここで私がダラダラと書いたようなこと全てを載せるわけにはいかないんだもんな。

しかし、だからと言って、小学館西和中みたいな書き方(というか、この件について書いてないんだから、‘書かな方’)では、利用者にとっては不親切でしょ。辞書が文法書である必要は無いっていう姿勢もあると思うんだが、そして小学館はソレだと思うんだが、でも私はやっぱり好きじゃない。

でも、三省堂クラウンみたいな書き方をすることで、もしかして利用者を惑わせちゃうんだったら最初から‘非文情報’みたいなもんは載せないでおこうという、ある意味‘割り切った’姿勢――つまり研究社みたいな書き方――は、それはそれでアリなのかもしれないな。

うーん。難しいなぁ。スペースがどうしたって厳しいからな。

とは言いつつ、どれが好きっちゃ、私は『クラウン』が好きだがね。

Posted by: Reine | Wednesday, January 10, 2007 at 21:28

白水社がどう書いているかを見てみた。

■90年3月10日第1刷発行(90年10月1日第2刷発行)
después (de) que + 直説法 
…した後で【未来を表す場合は +接続法】 
Después de que se enteró de ello, no quiso verme. 彼はそのことを知ってから,私に会おうとしなかった. Iremos a comer después de que acabemos con esta tarea. この仕事を片付けたら食事に行こう.

■99年1月15日第1刷発行(2004年3月15日第6刷発行)
después (de) que + 直説法
…した後で:
Después de que se enteró de ello, no quiso verme. 彼はそのことを知ってから,私に会おうとしなかった. Iremos a comer después de que venga José. ホセが来たら食事に行こう. 【過去でも +接続法過去 のことがある】 Vivía sola después de que su hijo se marchara de casa. 彼女は息子が家を出てから一人で暮らしていた.


と、まぁ、こういう具合です。
世紀末から世紀またぎくらいの時期に、なんか、思うところがあったんでしょう。90年当時には「después de que + 接続法過去なんて、載せるまでもないわい、んなもん」みたいだったかもしれなかったのが、99年時には「そろそろこっちも載せとかなきゃマズいんかのう」くらいに温度が変わったのかもしれない。スペ語の現状の温度が。

Posted by: Reine | Tuesday, February 20, 2007 at 12:30

先日(2007年3月末)発売になった『小学館 西和中辞典〔第2版〕』を立ち読みしてきた。今度はちゃんと「después de que + 直説法/接続法」の説明があった。

書き方は三省堂クラウンや白水社とおんなじ感じだったと思う。つまり、現況は、四社のうち、研究社新プエルタだけが少ない説明の仕方をしているということか。

Posted by: Reine | Wednesday, April 04, 2007 at 20:03

The comments to this entry are closed.

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/33847/13387756

Listed below are links to weblogs that reference después de que:

» El orfanato / 永遠のこどもたち [スペイン映画] [Reino de Reine]
これはネットに上げられちゃってるものをチマチマと観るような作品ではなくて、きちんと映画館で観るべき作品。あるいはDVDを迷わず買っちゃうべき作品。そのように純正のものを正当に観なかったら後悔する作品。... [Read More]

Tracked on Friday, October 10, 2008 at 00:58

« Héctor [スペイン映画] | Main | Está que trina. »