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Sunday, November 26, 2006

Inconscientes [スペイン映画]

inconscientes原題の『Inconscientes』を「無意識の人々」とでも読んでおこうかと思う。

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第一次大戦開戦も間近い1913年。
エクスタシーの合成に成功した製薬会社が特許を取得し、アーサー・ウィンがクロスワードパズルを、メアリー・フェルプス・ジェイコブ(Mary Phelps Jacob)がブラジャーを、それぞれ考案した。性欲理論を展開したフロイトは各国を廻る旅の途中であった。

※ちなみに、ちょっと調べた感じでは、1913年はフロイトが『トーテムとタブー(Totem and Taboo: Resemblances Between the Psychic Lives of Savages and Neurotics)』を発表し、ユングと訣別した年みたいですね

スペインは……スペインはどうだったのか。当時のスペインでは大っぴらに語られる「エクスタシー」といえば「聖女テレサの法悦」くらいなものだった。


♀アルマ
♂レオン(アルマの夫; 精神科医)

♀オリビア(アルマの姉)
♂サルバドール(オリビアの夫; レオンの親友; 精神科医)

♂ミラ博士(アルマとオリビア姉妹の父親)(精神医学の権威; 病院長; レオンとサルバドールは部下)

ありふれた昼下がり、マンションに戻りエレベーターで昇っていくときにアルマは階段を下りていく人影を見た。胸騒ぎをおぼえて家に駆け込むと、夫レオンが絶望にぶちのめされて泣き濡れていた。「家も財産もすべて君のものだ」「君を愛しているが行かねばならない」と言い置くやレオンは、追いすがるアルマの手をふりほどくようにして家を出ていってしまった。「警察に知らせたりしたら君を殺すよ」とまで言い残して。

アルマは、友人(であり義兄)のサルバドールを巻き込んでレオンの探索を開始する。レオンの書斎に残された『ヒステリックな女性の4事例』という草稿が唯一の手がかりである。二人は彼の足取りを辿るうち、あの論文に記録された女性患者の一人を発見し尾行する。

女を乗せた車は郊外の怪しげな館で停まった。胡乱な男が出入りしている。サルバドールはしぶしぶ乗り込んでいくのであった。

レオン失踪の真相を追うこの旅はやがて潜在していた真実を暴き、抉り出す。

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観てる我々が登場人物の性格を分析・推理する。「何がこの人のコンプレックスなのか」「この人、どういう風に育ってきたのか」って。それを考えながら観ている自分がおかしかった。友人同士とか姉妹の間に横たわっている嫉妬のような厄介なネガティブな感情を、普段は抑えて隠して生きるのがちゃんとした大人というものですが、それがチラチラと垣間見られるのが、覗き趣味的な面白さをもたらす。そんな映画です。

他人に対してのみならず自分自身に対してもウソをついて隠し通そうとしてしまう「私」の中の欲求・欲望は、普段は「三猿ブロック」で堰きとめているものなのだけれども、決壊してしまうときが来たらどうするの? その欲望に素直にしたがって生きるのかどうするのか。そうした先に待ち受けているのは解放という幸福か、崩壊という不幸か。

………なーーーんてムリヤリ小難しく考えずに、まずは楽しんで観たい作品。謎解きなんかをね。まぁ、正直、私、ここまでの数十行でかなりデカいヒントを残しちゃったつもりですけれどもね。

日本のレオノール・ワトリングファンの間で、彼女の可愛らしくセクシーな魅力は、この作品で語られるようであって欲しい。『マルティナは海』よりも。


(つづきをコメント欄で)



監督: Joaquín Oristrell ホアキン・オリストレル
脚本: Dominic Harari ドミニク・アラリ Joaquín Oristrell  Teresa Pelegri テレサ・ペレグリ
音楽: Sergio Moure セルヒオ・モウレ
撮影: Jaume Peracaula ジャウメ・ペラカウラ

出演:
Leonor Watling レオノール・ワトリング (Alma アルマ)
Luis Tosar ルイス・トサール (Salvador サルバドール)
Alex Brendemühl アレックス・ブレンデミュール (León レオン)
Mercedes Sampietro メルセデス・サンピエトロ (Sra. Mingarro ミンガロ夫人)
Núria Prims ヌリア・プリムス (Olivia オリビア)
Juanjo Puigcorbé (Dr. Mira ミラ博士)

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