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Saturday, December 24, 2005

Whisky / ウィスキー [ウルグアイ映画]

whisky※ウルグアイ映画です

ウルグアイ ―― モンテビデオ。
ハコボ・コレルはさびれた靴下工場の経営者。それ以外の一切を排除したような単調な生活。マルタは信頼のおける従業員。女工としての仕事の他にハコボの秘書的な役割もこなす。しかしこの二人が労使関係を超えることはありえず、時計の針のように精確なリズムで静寂な日々を刻むのみ。

毎朝カフェテリアで朝食をとるハコボ。工場の前で待つマルタ。やがてハコボがやってきてシャッターを開ける。おはよう以外に交わす言葉は無く、マルタは更衣室に向かいハコボは機械の電源を入れる。二人の一連の動作は、テープを巻き戻して再生しても1mmも1秒も位置やスピードが狂わないのではないか。

そろそろハコボの母の一周忌である。長らく交流が絶え母の葬儀にも来られなかった弟エルマンがブラジルからやってくることになる。ハコボの、そしてマルタの人生に変調がもたらされる。エルマンが滞在する数日間、妻のふりをして一緒に暮らしてほしいとハコボがマルタに頼んだのだった。

弟エルマンが到着し3人で数日を過ごすうちに誰かの中で何かが変わるのか、あるいは誰の中でも何も変わることがないのか。
___


この映画、感想を書いちゃいけないんだと思う。
「………った」。その点点点に嵌まる形容詞を私が書いてしまったら、それ自体がネタバラシにもなろうし、これから本作を観る人にとってのミスリードにもなっちゃうのだと思う。だから何も書かないよ。

一コマ一コマのディテールがどうとでも解釈できちゃうのだと思うよ。だから、観終わってからIMDbCinemaScape答え合わせをすると、皆がてんでんばらばらな解釈を披露しているので「へっ?」って思わず首が前に出ちゃう。「え? そっち?」「なんでそう見えたの?」「あのシーンをそう受け止めた人がいるとは……」と。

「この映画、観るべき? 観なくていい?」という質問に答えるならば、「観といてくれ。必ず」です。

一コマも見落とすことのないようにということと、鑑賞前に一切のレビューを封印しておいてほしいということをお伝えしときます。真っ白な頭で観て。私は映画を観る前に、レビューの星の数とジャンルくらいは薄目を開けて見ちゃうんです。だってそれによって観るか観ないかを決定するんだから。しかし今回はソレをやるべきじゃなかった。ホントに真っ白な状態で観た方がよかったな。

『ウィスキー』は観る人が観るように観えるでしょう。その人が観るようにしか観えないでしょう。自分が正解だと思った解釈が自分にとっては正解なのですよ。「いや、映画って本来そういうもんでしょ」などとツッコみたくなるかもしれないけど、えーっとね、そりゃそうなんだけど、『ウィスキー』は、なんつうか、違う。
___________

メモ
1) 「matzeíbe」とは? → 「matzeiva」か
・a stone that serves as an open religious center, around which anyone wishing to serve Gd may gather.
・a single stone, that are used for worship.
・a tombstone is placed at her grave.

2) 女子工員がききたがるラジオDJの番組はOceano FMのOrlando PettinatiのMalos Pensamientosという番組?

3) capaz que: [副][口][アル,ウル] a lo mejor.

4) お店で財布がどうのこうの言ってるのは、Tony Ramosという人のこと?

5) エルマンがピリアポリスへの小旅行へ二人を誘う。ピリアポリスってどこなんだろう? Piriápolis

6) ホテルの部屋備え付けのミニバーのことをfriobarって。スペインでもそう言うんだっけ? minibarじゃなかったっけ?

7) discar: [アル、ボリ、ホン、パラ] marcar (pulsar en un teléfono los números de otro)

8) ヘルマンがホールで歌う歌は、Leonardo FavioのO Quizas Simplemente le Regale Una Rosa

9) 「これを2つ乗っけて」というような命令文、スペインのスペイン語では、ラフなのが「Ponme dos.」、丁寧なのは「Póngame dos.」。しかしウルグアイ近辺のスペイン語では「Poneme dos.」となるのですか? これが、よくわからん。これは、二人称に対する命令形なの? 三人称なの?

10) 「ウィスキー」というのは、写真を撮るときに笑顔がうまく作れるように発する一言 (la palabra que se utiliza para simular la sonrisa al hacer fotos.)。「はいチーズ」ね。スペインだと「patata」。


Whisky オフィシャル
ウィスキー 日本公式

Whisky @IMDb
ウィスキー @みんなのレビュー
ウィスキー@映画生活
ウィスキー @goo映画
ウィスキー@ぽすれん
ウィスキー@象のロケット
Whisky la película de Pablo Stoll @Yahoo! Cine
@シネマカフェ

監督: フアン・パブロ・レベージャ Juan Pablo Rebella パブロ・ストール Pablo Stoll
製作: フェルナンド・エプスタイン Fernando Epstein クリストフ・フリーデル Christoph Friedel エルナン・ムサルッピ Hernan Musaluppi
脚本: フアン・パブロ・レベージャ Juan Pablo Rebella パブロ・ストール Pablo Stoll ゴンサロ・デルガド・ガリアーナ Gonzalo Delgado Galiana
撮影: バルバラ・アルバレス Barbara Alvarez
音楽: ペケーニャ・オルケスタ・レインシデンテス
 
出演:
アンドレス・パソス Andres Pazos
ミレージャ・パスクアル Mirella Pascual
ホルヘ・ボラーニ Jorge Bolani
ダニエル・エンドレール Daniel Hendler
アナ・カッツ Ana Katz
アルフォンソ・トール Alfonso Tort

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Comments

コメント欄で私なりの解釈を書いておくかどうか悩みちゅう

Posted by: Reine | Saturday, December 24, 2005 at 17:15

 地元には大きなレンタルビデオ屋さんないし、そもレンタルビデオ屋さんに行かないので、TV放映に期待しないと視れない映画ばかり...ちょっとウズウズしますね。ウズウズが飽和したら買っちゃうかも。
 TesisあたりReineさんの書いているのを読んでいるだけでゾクゾクしました。怪物ものはともかく人間がらみで怖いのはたまりませんね。

Posted by: hirosh1 | Saturday, December 24, 2005 at 21:47

私の住んでいる所にもレンタルショップが無いのです。

一番近いところで自転車で25分でしょうか。10月下旬くらいまでは、それでも、自転車を漕いで借りに行くのは気分の良いイベントでしたが、以降ダメです。寒すぎます。かと言ってバスで行こうというのも……。帰りのバスを何時間待つんだ?という交通事情でして。

そこは、鄙には稀な…というか、わりと頑張ってスペイン映画なんかも揃えてはいるようでした。ですが、やはり、掴まされる作品にはマルティナは海だの、ルシアとSEXだの、私の好きじゃないものがどうしても多くて。

なので、レンタルDVDを利用してみることにしました。ある程度観てしまったら退会・休会をしようと思ってはいますが。

http://www.discas.net/
http://posren.livedoor.com/
http://www.dmm.com/rental/
http://www.geoland.jp/

『TESIS』、あれを撮った時点でアメナーバル監督は23、4歳だったのではないでしょうか。その点が驚嘆とともに賞賛されもしますが、ただその若さは青さでもあるのかもしれません。「粗い」と批判する人もいるようですよ。

Posted by: Reine | Saturday, December 24, 2005 at 22:09

あ。そっか。hirosh1さんは、私の『Tesis』を読んじゃいましたか? 映画を観る楽しみが目減りしちゃったかもしれませんね。私のblogはネタバレが多いと思いますので。すみません。

Posted by: Reine | Saturday, December 24, 2005 at 22:12

reneyamaさん、オバンデス。

>Whisky / ウィスキー
大好きで今年見た中のベスト3に入ると思っています。reneyamaさんがおっしゃるように「観る人が観るように観える」と思いますし、そこがこの映画の魅力のひとつです。
 何時放送されるかは未定なんですが知人(悶々クラブ会員)がNHK放送予定版の字幕を担当しました。彼女曰く「マルタが通勤中にいつも聞いている曲ありますよね。ハコボが配達に出かけた途端カセットでかけるのも同じ曲。それがヘルマンがカラオケで歌う歌と同じ」なんだそうです。ベタな歌だけどスペインチックで好きです。

Posted by: benita | Sunday, December 25, 2005 at 00:01

ぬは~ 便利なサービス! 知らなかった。
TesisもWhiskyもしばらく封印しましょう。といってもそんな深い鑑賞ができない人みたいなので大丈夫かも。

そういえばprofileで鬼平が.....素敵な好みでウレシイです。

Posted by: hirosh1 | Sunday, December 25, 2005 at 01:02

「verlo todo de color de rosa」という成句があり、「すべてを楽観する」「to see everything through rose-coloured glasses」という意味です。

薔薇色の眼鏡で外界を見ることのできる人とそうでない人がこの世にはいるんだろうな。そして、この『ウィスキー』は、観る人の眼鏡のレンズの色で解釈が変わっちゃうのだな、たぶん。その人が元々ペシミストかオプティミストか。

だから、他の人の解釈を聞いて(読んで)みると、自分は思いつきもしなかったことが述べられてて新鮮。

Posted by: Reine | Sunday, December 25, 2005 at 12:00

benitaさん、それ(カセットの曲)、重大情報。

そうそう。何を聴いてるんだろうなと思っていたんです。で、それがあれと同じ曲だったとなると……。

ど、どーすんの? どーしてくれるの? あれぇ……そうなってくるとどうなるんだろ。解釈が変わってくるのかもしれない。よね? 見直さないといけないかもな。

……といった具合に、これは何重にも楽しめる映画かもですよ>hirosh1さん

Posted by: Reine | Sunday, December 25, 2005 at 12:07

そして鬼平。

大事に大事にホコリも入らぬような箱にしまいこんでいます。そうやって保管するようになってから読み返す回数が減ってしまいました。大事にして却って疎遠になっちゃうという皮肉な展開に。昔は1年に1度は24巻(文庫)を読み返す勢いだったのに。

ちなみに、そうやって読み返すときも、5巻だったかな、『鈍牛』、あれだけは飛ばしちゃうのね。どうも苦手だ。なんだか、哀しくてね。

ちなみに私の友人の鬼平フリークな方は、第24巻は絶対に読まないんだって。絶筆してるのが哀し過ぎてとてもとても本を開ける気持ちになれないって。

Posted by: Reine | Sunday, December 25, 2005 at 12:13

僕も箱じゃないけど、少し別格扱いで置いてあります。読んでいる本に疲れたとき、ピンチヒッターで読み始めるともう止まらないこと。

 鈍牛...読んだら泣けた。僕は第11巻の『密告』がたまりません。微かな行為が与える影響ってすごい..上手く言えないや。

で、第11巻完読……

Posted by: hirosh1 | Monday, December 26, 2005 at 03:10

> で、第11巻完読……

そう、それが危険。

最初に読み始めた時も、軽~い気持で1巻を買ってきてその夜に読み終えたらもうたまらず。翌々々日までに24巻を一気に買い込み、一気に読んだんじゃなかったかな。

止まらないですよね。

あの本の中の人々とその暮らしが羨ましいというかなんというかで、彼らを見ていたいというかそういう気持ちが強くて、次の巻を読まずにはいられないというか。いつまでもいっしょにいたいというか。なんというか。

Posted by: Reine | Monday, December 26, 2005 at 13:32

9)はvos(二人称単数)に対する命令ですね。vosの命令形の活用は、基本的にはvosotrosからdをとる、です。
-ir動詞の場合は一人称単数の点過去と同じなのでややこしいです。dormi'って言われても「私は眠った」なのか「眠りなさい」なのかわからないのです。
例外なのがirで、irの命令形はanda'です。

Posted by: Waleska | Monday, December 26, 2005 at 16:23

Thx>Waleska
あの質問(9番)は貴女宛に書きました。
テレパシーが通じたようで嬉しいです。
しかし、ほんとに、その活用はわからんちゅうねん(方言指導無し)。

Posted by: Reine | Monday, December 26, 2005 at 22:00

※以下、ネタバレ含みます。映画観てない人は以下に挙げるページを読みに行かない方がいいです。

ふらふらと検索していて立ち寄ったサイト(brujaさんの宇柳貝四方山話)を読んだ。

面白い。というかヒドいというか。何がって、そちらのblogから飛べるようになっているんですけれども、第57回カンヌ映画祭レポート Vol.11  22/05/2004っていう『Whisky』評がすごいってば。一読の価値…

※筆者「石橋今日美」?
・パリ第三大学から映画博士号
・東大の人?


ねぇ、映画観た? 観ないで書いた? 観てたら絶対にやらかさない勘違いをしまくってるでしょ、貴女。

それとか、ことばの問題?
カンヌで観ると字幕とか音声とかどうなってるの? いずれにせよ、このお嬢さんは置き去りにされてたんでしょうな。としか思えないですよ、あんな勘違い。

いや、ちがう。彼女が上記textで晒している誤りはことばがわかる・わからないの問題ではないです。あんなご大層な↑経歴なのにそれはないでしょう。

彼女はまともに観ていないのでしょ。作品をちゃんと観てれば間違うわけのない根本を間違ってるのは、「礼」の問題。わかってないなら/観てないなら書くな、と。わかりませんでした/寝てましたって書いていただきたい。

Posted by: Reine | Friday, December 30, 2005 at 17:06

ショックだ。これからもっともっといろんな映画を撮れた人じゃないか。撮りたいものいっぱいあっただろうに。それとも無くなっちゃったのか? 無くなっちゃって死んじゃったのか? どうしてよ。もっと作って欲しかった。

http://news.google.es/news?hl=es&ned=es&ie=UTF-8&ncl=http://www2.eluniversal.com.mx/pls/impreso/noticia.html%3Fid_nota%3D70620%26tabla%3Despectaculos

Posted by: Reine | Saturday, July 08, 2006 at 13:27

MEMO
PDFファイル www.frif.com/guide/whis.pdf

matzeivaについて「By Jewish custom, the grave stone, called the matzeiva, should be placed on his mother’s grave one year after her death.」 

あと、AFF + SUNDANCE/NHK AWARDの記事

Posted by: Reine | Thursday, February 08, 2007 at 20:19

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