Lucía y el Sexo / ルシアとSEX [スペイン映画]
(注: 私がこれからイライラと述べる事柄にはきっと誤解などが混ざっていると思う)
_______
私のblogにチャット小窓がついてます(2005年11月現在)。私がこのblogを見ていれば「reneyama」が居ると表示されてるね。私は日中ブログを開きっ放しですから、あたかも常駐しているかのように表示されている。しかし実際はここに張り付いてまさか自分の文章を読み続けているわけでもないので、ここに居るようでいて私はここには居ないのです。
実はこのチャットツールはチャットとしての用を成していない。
その小窓を見てreneyamaが‘居る’と思った友人が「もしもーし。居る~?」などと話しかけてくれても、小窓を監視でもしていない限り、私は気づけないからです。音でも鳴るとか、何かしら知らせてくれたなら気づけるのだが。
こないだ、私は『ルシアとSEX』を鑑賞していた。女友達がチャット小窓で話しかけてくれた。「お腹すいたー」と。私がその書き込みに気づいた頃には彼女はもう‘退室’してしまっていた。私はメールで詫びておいた:
「あ。すまん。気づかなかった。映画観てた。貴女が話しかけてくれた頃はたぶん、カップルが互いにハメ撮りに興じているシーンがダラダラ続いていた頃だと思う。あ。いや。別にポルノじゃないよ? ほんとだよ」
______
この映画、結局ソレだぁね。
不快だ。
長丁場の性交描写に辟易した。
(義理とは言え)父娘相姦っつうか親子丼っつうかをイメージさせるような描写にゲンナリだった。勝手にそーゆーのをイメージしたのはオマエ自身ではないかと言われればそれまでですけれども。
冒頭の20数分は面白い。
最後の20数分も面白い。
しかし、中間の70分強はエロティックパレード。
舌打ちして溜息ついてアクビして鼻ほじって(←ほじってないですよ)、何度投げ出そうと思ったことか。
あの70分強は要らねーよ。馬っ鹿みたい。実際に私は観ながら、「馬鹿馬鹿しい」「なんーだ、これ」と呟いてた。腹式呼吸で吐き捨てていた。かなり大声の独り言だったと思う。
あの70分強が要らねーんだよ。
いや。待て。違う。
その70分強だって、plotはよく組み立てられていると思うのよ。昔に飛んだり現在に戻ったり、現実なのかオハナシなのかがパズルのように組まれていくような、私にとっては複雑な造りだったんだけども、それでも私ですらちゃんとついていけたんだから。
主人公Lucíaの「いったい何があったのよ?」という戸惑いはそのまま観る者の戸惑いであり、Lucíaが一つずつ真相に近付いていく手探り感をこちらも共有していくわけで。それはたいへんに面白かった。
つまり、じゃぁ、何が要らなかったのかというと、「あの70分強が」ではなくて、「あの70分強の間ひっきりなしのハダカが」なのですよ。
ハダカが要らねーんだよ。頭に来た。脱ぎゃいいってもんでも舐めりゃいいってもんでもないだろうが。
あーあ、なんでアタシこんなの観てんだろ、と。いや、10月11月を‘メジャーどころ(=日本でレンタル可能な映画)観賞月間’と決めたのは私自身ですけれども。ロクなもんじゃねぇな、と。こないだの『マルティナは海』でも味わったが、「こんなの(失敬)よりももっと日本に入れてほしいスペイン映画はあるんだよ」という嘆きですわ。怒りでは無いです、嘆きです。トホホ感でした。
さて。
私は映画ビジネスって何がどうなってるのかわからないのです。興行会社と配給会社についてを読んでも、よくわからじ。そして、DVDを発売するのはまた別の話なの? 「発売元」と「販売元」ってのはまた別なの? どの会社が何をうけもつんだ?
この『ルシアとSEX』は、株式会社オンリー・ハーツとな。Video LINEUPとMovie LINEUPを見てみた。スペイン映画は……:
・Nadie hablará de nosotras cuando hayamos muerto (死んでしまったら私のことなんか誰も話さない
・Entre las piernas (スカートの奥で)(※2006年9月16日鑑賞)
・Los Sin Nombre (ネイムレス 無名恐怖)(※2007年3月7日鑑賞)
・La Mujer Más Fea del Mundo (世界で一番醜い女)(※2007年3月13日鑑賞)
・Días contados (時間切れの愛)
良いものもあるしそうでないのもありそうだ。私がかつて観たいと願っていたものも幾つかある。
しかしね、LINE UP欄をズラーっと見ているうちに、私の眉間の皺は深く深くなりましたよ。不快である。「他にはこーゆー映画を扱ってる会社ですか、そーですか」と。「こんなのやあんなの(と言ったら失礼ですけども)と一緒くたにされてるのが、『ルシアとSEX』だったわけね。ふーーん」。
なんなんだろうか、このムカムカは:
こんなの(失敬)と一緒に売られるのなら『ルシアとSEX』も売ってくれなくてけっこう / ところで、よその会社は何故に『ルシアとSEX』に手を伸ばさなかったのか / そして何故この会社は目をつけたのか / っつうかそもそも『ルシアとSEX』よりももっと日本で売って欲しいスペイン映画は幾らでもあるのだ / しかし他の佳作は見向きもされず、よりによって『ルシアとSEX』みたいなの(失敬)が日本ではありがたいことに手に入る / こんな映画(失敬)を扱ってきたような会社のおかげで /
……と、グツグツ考えた。それで、なんとなくこのムカムカの理由がわかった気がしたのね。
ハダカですか、と。結局エロなのですか、って。
スペイン映画がそういう役割をあてがわれたのだろうか……などと考えていたら頭抱えちゃって。考え過ぎだろうし、私のこの拒否反応もそこそこ異様なのだろう。でも、なんつうか、スペイン(映画、国、人)が好奇の目に晒されているようないたたまれなさを覚えたというか。「…もうそういうのはよしてくれ……」と力なく呟く感じ。
スペインという国とスペイン人という人々は、『ルシアとSEX』ではなくて是非とも他の作品で感じ取っていただきたいものであると、私は強く願ったのでした。
イヤーな気持ちになって、Formentera島の美しさが台無しよ。本当に本当に景色は美しかった。
本当に美しかった。
______
(スペイン映画)
・Lucía y el sexo @Imdb
・Lucía y el sexo @ Yahoo! Cine
・ルシアとSEX@シネマカフェ
主演のPaz Vega(パス・ベガ)
・Nadie Conoce a Nadie
・カルメン
・El Otro Lado de la Cama
監督はJulio Medem(フリオ・メデム)
・La Ardilla roja
・Tierra
・アナとオットー
・La Pelota Vasca. La Piel contra la Piedraは持ってる。(⇒ 2007年12月8日にようやっと観た)
監督: フリオ・メデム Julio Medem
製作: フェルナンド・ボバイラ Fernando Bovaira
製作総指揮: アナ・カッシナ
脚本: フリオ・メデム Julio Medem
出演:
パス・ベガ Paz Vega
トリスタン・ウジョア Tristan Ulloa
ナイワ・ニムリ Najwa Nimri
エレナ・アナヤ Elena Anaya
ハビエル・カマラ Javier Camara
・ルシアとSEX ヘア無修正版 [DVD]
・Sex & Lucia (Rated) (Sub) [VHS] [Import] (2001)
The comments to this entry are closed.
Comments
で、あらすじ? 今の私にあらすじを書く気力体力やる気元気井脇が残っているだろうか。
主人公ルシア
レストランで働くウェイトレス。ロレンソという小説家の作品を愛読していたが、著者ロレンソへの思いが募り、街なかでこっそり尾行して住まいまで突き止めている。ついにある日カフェテリアでロレンソに話しかけ、思い切って全てを打ち明けた。
「私がいっしょに生きていきたいのは、あなたなの。あなたがいつも独りぼっちだからという同情なんかじゃないわ。私はあなたが好きなの。そして私と付き合っていくうちに、あなたもきっと私を好きになる」
二人はその時から激しく愛し合う。
が、ある時からロレンソは情緒不安定になっていく。小説を書く手も止まってしまっている。何も語ってくれぬまま憔悴しきったロレンソのそばでルシアは一人苦悩する。ある日ルシアは激しくロレンソをなじりそのまま仕事に出たものの、気がかりでならず、仕事を抜けて急いで帰宅した。ロレンソの姿は無かった。「僕のことを待たないで」というメモを残していなくなっていた。
そこへ警察からロレンソが交通事故に遭ったと報せる電話が入った。ルシアはとても最後まで聞くことができず切ってしまった。孤独や絶望から逃れるようにマドリードを飛び出していた。船で彼女は辿り着いた。ロレンソがいつも昔語りに聞かせてくれた美しい島にルシアは独りで下り立った。
Posted by: Reine | Friday, November 11, 2005 22:16
決して私のタイプではないのだが、ロレンソ役のTristán Ulloaは昔つきあった人にたいへん似ており。それはよかった。ニヤニヤしてしまった。
「アゴの下っていうかノドボトケ周りに肉がついてきたのが最近の俺の悩み」と言っていた彼と同じようなタルタル感がたまらなかった。
Posted by: Reine | Friday, November 11, 2005 22:25
上述の、ルシアが恋情を告白するシーンですが、そこはホントに可愛かったです。一生懸命な感じが。
Posted by: Reine | Friday, November 11, 2005 22:35
あ。忘れてた。参考までに、私がこのblogで書いた作品でレンタル可能なものについて、「発売元」をみてみた:
・オープン・ユア・アイズ、パズル → ポニーキャニオン
・スパニッシュ・アパートメント → 20世紀フォックス
・靴に恋して → Avex Pictures?
・マルティナは海 → アミューズソフトエンタテインメント
・オール・アバウト・マイ・マザー → 東芝エンターテインメント? アミューズ?
・トーク・トゥ・ハー → 日活
・ハモンハモン → 東芝デジタルフロンティア?
・ローサのぬくもり、殺しのセレナーデ → キングレコード
・13 サーティーン みんなのしあわせ → アットエンタテインメント
Posted by: Reine | Friday, November 11, 2005 23:19
いや~、あの~、じつわ~、しょうがくせいのころ、しょうねんのふねでおきなわにいったことがあるんだけどね・・・・・
しょうねんのふねって、その~、やるきげんきいわきのひとがやってたやつ・・・・・。
Posted by: いしい | Saturday, November 12, 2005 23:54
ひらがなonly表記が、絶妙な‘トラウマ感’を醸し出してますな。
Posted by: Reine | Sunday, November 13, 2005 10:27
ここ数日この作品タイトルで激しく検索されているようなので、「これは……」と思って見てみたらやはりGyaoで放送なのですね。よそでは褒めてる人も多数いましょうが、このブログではあんまり薦めてないですね、検索でヒットしてしまって申し訳ないですが。
(※しかし、冷静に振り返ってみると、『ルシアとSEX』のオハナシをそこまで徹底的に嫌ったわけでもなかったんだよな。この文に溢れている私のイライラは、この作品の出来そのものに因るのではなく、もっと構造的なナニカへの不快感っていうかね。そこのところよく読みとっていただければ幸いですが)
まぁ……そのぅ……だいたいね、(スペインの)固有名詞のカタカナ表記には限界があるって話はこれまでにもしてきましたけどね、Paz Vegaが「パズ・ヴェガ」などというサイアクの書き方で紹介されている時点でアレですよ。
作品を紹介しようと思ったらさ、カタカナ表記くらいはさ、もうちょっと手をかけたって罰あたらないと思うのよ。東外大言語モジュールの中の ⇒「サバイバルのためにこれだけは」⇒「9 日本語にない音:「歯間」のサ行音(文字z、ci、ce)」とか、「11 文字の約束ごと:bもvもバ行音」とかさ、ちょろっと見てくれたってよいでしょう。
しかし、もうこれはしょうがないんだ。日本語ではPaz Vegaは「パズ・ヴェガさん」という一つの人格でもあるかのように、おおっぴらに「パズ・ヴェガ」なんだな。例えばhttp://www.allcinema.netでもそうだ。もうしょーがないね ┐(´д`)┌
Posted by: Reine | Thursday, January 25, 2007 18:06