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Monday, February 07, 2005

Smoking Room [スペイン映画]

smoking roomRamírezの会社はアメリカ資本に買収された。トップもアメリカ人に代わり、全館禁煙となった。喫煙者は寒さに震えながら表の通りで吸うか、やはり寒風吹きすさぶ屋上での喫煙を強いられる。

【Ramirezの場合】
「スペインにはスペインの流儀がある、社長がアメリカ人になったからって急に全館禁煙というのはあんまりだ / これは喫煙社員を排除(マージナライズ)するもので、ある種の‘人種差別’だ / 寒い思いをせずにタバコを吸える部屋が欲しいだけだ / あのガラクタ置き場(2メートル四方)を喫煙ルームとして使わせてくれって願い出る権利は俺たち社員にはあるだろう / その権利を行使するだけの実にシンプルな話だ / みんなだってそう思ってるだろ、な?」

⇒署名を集めるべく、喫煙社員を一人一人当たっていく。


【Enriqueの場合】
「署名? 上の人間には意味無いぜ。(……中略すっごく中略……詳細はコメント欄に……) おめぇらみんなぶっ殺してやる!」

Ramriezが署名について説明を終えるか終えないかのうちにEnriqueはしゃべり始め、6分半まくしたてる。Ramirezは所在無げに署名用紙をチラ見してるが、とても口をはさめる状況じゃない。15年のサラリーマン生活を総括して、Enriqueは涙さえ浮かべます。ものすごい真情の吐露………
⇒激昂してて署名を頼むどころではなかった。


【TitoとFernándezの場合】
⇒ 週末のサッカーの試合に出たがる社員が多すぎて、ポジションやら誰を補欠に回すかなどの調整が忙しく、喫煙ルームどころではなさそうだ。


【Rubioの場合】
「前は‘fumador empedernido(ヘビースモーカー)’だった / 禁煙しようと思ってもできなかった / 指先が黄色くなってたくらいだ / 全館禁煙という規則のおかげで減煙できた / 前はチェーンスモーカーだったけど、それができなくなったら身体が慣れた」

と、一般論的なおしゃべりを一気にだらだらと。署名するのかしないのかという二者択一の質問から外れたところで長広舌をふるう。署名したくないのがミエミエ。
「ちょっと前だったら署名したんだけど、今はダメ、状況が違うんだよ、いろいろ動き出しててさ、マジで今はダメなんだってば」

⇒はいはい、昇進がありそうだとかそういう大人の事情?


【FernándezとMartínezの場合】

Fernandezが『エイリアン4』のあらすじを説明する。Martinezは唐突な話題に戸惑う、「なに、なに? 何の話?」。
彼女のクローンが…………どうでこうで中略(省略部分はコメント欄に)……実際のところ、Nadie conoce a nadie.(=みんな誰のこともわかっちゃいないんだよ)……」

⇒Martinez、お前はあんなのに署名するべきじゃなかったんだ
⇒さて、Martinezはどう出るか


【スペイン人ボス、Armeroの場合】
「君は給料をあげて欲しいわけか? / 皆その署名のことでナーバスになってるんだ / アメリカ人の連中には気に入らんだろうよ / トラブルはマズい、もう中止しなさい。Estás jugando con fuego(=危険を冒してるんだぞ)」

⇒部下とアメリカ人上層部との板挟み。


20人の喫煙者のうち署名したのは5名であった。
___


以下3点を留めてこの映画を観ると、多くのシーンでニンマリできると思う。

《私見: スペイン喫煙事情》
今はどうか知らないが、8~9年前に私は、スペインでも6,7番目くらいの都市のブティックにて、右手で服を見ながら左手でタバコを吸ってるきちんとした身なりの40がらみの女性を目撃しました。ホントよ。少なくとも当時の印象としては、「いつでもどこでも吸う」でした。

《私見: スペイン人の会話の特徴 1》
よくしゃべる。
ときに口角泡トーン。
なので喧嘩腰にもみえる。
友人の家族と食事してる時、御両親が大激論モードだったので私はキョロキョロしてて。友人に「お父さんとお母さん、喧嘩してるよ」ってヒソヒソ言ったら、「あれはフツーにおしゃべりしてるだけだよ、揉めてるとかでは全然ない」って涼しい顔で。

《私見: スペイン人の会話の特徴 2》
しゃべる人はしゃべりまくり、聞いてくれてる相手にしゃべらせようとはしない。だから、‘しゃべる人vs.しゃべる人’の会話は上記1のようになる、当然のことながら。
_________

(スペイン映画)
Smoking Room (Roger Gual/Julio D. Wallovits監督)
Smoking Room @IMDb
Eduard Fernández(エドゥアルド・フェルナンデス)Juan Diego(フアン・ディエゴ)
Smoking Room @Yahoo! Cine

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Comments

(1) 多分に‘映画っぽくない’。‘舞台劇(対話劇?)’っぽい。って言うか、人物の顔のアップが多い(多すぎるかも)。風景だの空間だの小道具だの、そういうのはカメラに映らないの。いつもだったら映りこんだ小ネタを探して楽しむところ、これはほとんどそういう外れた鑑賞ができないというか。

会話(セリフ)が多く長く、やけにリアル。アドリブを多く含んでると思う。それで話者の顔の大写しだから、その場に居合わせたような妙な感覚に引きずり込まれる。臨場感っていうか。

この映画はセリフがホントに面白い(※interestingの方)。

Posted by: Reine | Monday, February 07, 2005 at 15:58

(2) 《私見》の付け足しなんだけど。
スペイン人って、どうなのかなぁ、「人種差別」というものに鈍感じゃない? なんでもかんでも差別だ放禁だ言葉狩りだっつって、言いたいことも言えないこんな世の中じゃポイズンな我が国はそれはそれで「なんだかなぁ」と嘆息だけど、スペインの、よく言えば大らかさ悪く言えば鈍感っぷりはあれはあれで「なんだかなぁ」だよ?

(たいていの場合)自覚が無いみたいなので悪気は無いんでしょうよ。啓蒙が行き届いてないというか。つまり、鈍感。それ以外に表現できないや。こないだの「スペイン・サッカー協会に罰金」の一件(サポーターが選手に人種差別的な罵声を浴びせた問題)もさもありなんというか。(まぁかく言う私も差別と区別は違うと言い切る人間だからな)

そんなこんなで。アメリカからやってきた新しい社長についてのヒソヒソ話:

「黒人だってよ」「黒人?」「黒人」「ほんとの黒人?」「黒人」「アフリカ系?」「そういったところかな」「つまり、有色人種?」「有色人種」「お前とはいろいろ話せる仲だよな?」「あぁ、何を話してくれてもかまわないよ」「お前、俺のこと人種差別主義者だと思う?」「ううん」「だよな、俺、人種差別主義じゃないもん、俺は‘違い’について言ってるんであってさ、差別とかじゃないわけよ」「そりゃそうだ、そうそう」「中国人もフィリピン人もキューバ人も、とにかくさ……俺だって家ではルイ・アームストロングとか聴いてるわけでさ」「とにかくまずはありがとう」「ありがとう?」「そんなとこまでぶっちゃけてくれたことが嬉しいわけよ。いや、だっておまえ、それ普通の感覚よ。黒人は黒人だよ、黒いんだから。違うものは違うんだからさぁ」

……などとヒソヒソと続きます。

Posted by: Reine | Monday, February 07, 2005 at 16:21

(3) Enriqueの長ゼリフ
「署名? 上の人間には意味無いぜ。署名集めてどうかなると思ってんの? あいつらこの紙でケツ拭いて終わりだよ。俺にはもっといい考えがある。今夜連中が退社するまで表で待ってて顔面を殴りつけてやるんだよ。そっちの方がよっぽどマシだろ。

あいつら、だいたい、サノバビッチなんだよ。ろくでもねぇよ。この4週間、4週間だぞ、俺は毎晩毎晩3時4時まで残業してきた。そうまでして仕上げた俺様の企画書を、「Hemos desestimado la idea.」の一言で却下しやがった。

帰りが遅いって俺が女房に追い出されたことなんて、社長にはまーーーーったく関係ないんだもんな。こないだ夜遅く家に帰って鍵を開けようとしても開かないの。女房のヤツ、錠を替えたんだぜ。どうよ!鍵をつけかえたんだぜ! ピンポン押したって出てこねぇ。ドアの下から光は漏れてんのよ?留守じゃないわけ。居んのよ。居るのに出て来ないんだよ!

俺は表の公衆電話から家にかけたわけ、窓を見上げながらさ。プルルルプルルル…出ねぇよ…プルルルプルルル……ぜんぜん出ねぇよ。俺がもうブチ切れそうになったらアイツ、「もしもしー?」だってよ。夜中の3時に「もしもしー?」かよ! 「おっまえ、何やってんだ!」って俺が怒鳴ったら、「今までいっしょにいた女のところで寝ればいいじゃないのよ」ってよ。今・ま・で・いっ・しょ・に・い・た・女・って誰のことだよ! 俺は夜中の3時まで働いてたんだろーがよ! で、女房、電話切ってさ。

お前、自分で自分が怖くなった瞬間ってある? 俺はあん時自分が怖かったね、ドアを蹴破って女房ぶっ殺してやろうと本気で思ったからね。女房が悪いわけじゃないって? あぁ、そうだよ、悪いのは会社だよ、ぜんぶ会社のせいなんだよ!

まだ続きがあるんだよ、聞けよ。
きったねぇホテルに泊まってさ。一晩中考えたよ、なんだこれって、どうしてこんなことになってんだよって。で、朝会社に来たらお前んとこのボスのメモがあって。「電話してください、あるいは部屋まで来てくれ」って。「部屋まで来い」ってことなんだろーが!おはようおはようなんつってよ。お前、アイツがそれで何て言ったと思うよ、「君の企画書はいいね」ってよ。「でも幾つか変えた方がいいな」って。どう変えるかって? あいつらの思うようによ。俺の企画なんてどっか行っちゃうわけ。あいつらの線で行けって。あんなどーしよーもない企画でやっていけるかよ!

とにかくな、俺はホテルで暮らしてるの。家に入れてもらえないからな。人生って素敵だろ。こないだ俺はホテルの部屋で考えた。自分の家があるってのに俺はこんなとこで何やってんだって。まぁこれも悪くないかなとかいろいろ考えたよ。その時、壁を見ててさ。ピエロだかなんかの絵がかかってて。反対側にはバスルームで。…俺に与えられたのってこれ?……俺はこれだけの価値しかないのかって…。15年サラリーマン生活してきて、やっと手に入れたものがこれか、これなのかって…。

もう、ピエロの絵もバスルームも見ていられなくなって、壁についてたシミをボーッと見てた。そのとき思ったんだ、「ぜんぶまるごとカタつけてやる」って。俺、猟銃もってるんだ。二連銃よ。

おめぇらみんなぶっ殺してやる!

(このEnriqueの長ゼリフは早口だけどヒアリングはしやすい。実・に・丁・寧・な・罵詈雑言の嵐)

Posted by: Reine | Monday, February 07, 2005 at 16:30

(4) Fernandezのエイリアンの話
「Part4だと、彼女(エイリアンの女主人公)はちょっとエイリアン的な能力も持ってるの。見れるんだよ。何をって、他人を見てエイリアンが中に巣食ってるかどうかが見ただけでわかっちゃうわけ。でも俺らはそのパワー持ってないよな。

エイリアンの話はたとえ話だよ。俺らは誰が何を思ってるかなんて、まったく知らないんだよなってことを言いたいわけ。簡単に他人を信じられないってこと。口では何とでも言えるけど、腹ん中じゃ何考えてんだかわからない。だから、うっかり妙な連中とつきあっちゃったりしないように気をつけないと。

だいたいさ、あんな署名集めてアイツなんの得があるの? 何かメリットでもなきゃあんなことしないだろ、フツー。そこがどうにも臭うのよ」

(4') Martinezとの会話
M: マズいかね
F: マズいよ。だって、俺、あいつのこと知らないし。お前は知ってるって言えんの?
M: 知ってるも何も、Ramirezじゃん

F: だぁかぁらぁ。ほんとにほんとに知ってるのかって。同僚ってだけだろ。人としては俺たちお互いに何にも知らないわけじゃん、机を並べて顔つき合わせて何年いっしょに仕事していようがなんだろうが。お前がたとえば強姦魔だったりロリコンだったりもするわけよ。怒るなよ、たとえ話だよ。実際のところ、Nadie conoce a nadie.(=みんな誰のこともわかっちゃいないんだよ)。

だいたい、喫煙ルーム作ってくれって表向きにはそういうことになってるけどさぁ、なーんか他にあるはずなんだよ。あいつ、なんか考えてんだよ。なにかはわからないけど、絶対なんか狙いがある。なにかがあるに決まってんの、何かは知らないけど。何かはわからんが腹ん中になんか隠してるはずだよ。

M: …エイリアン……か…。
F: m9(・∀・)ソレダ!

(4") Fernandezは「Nadie conoce a nadie.(=みんな誰のこともわかっちゃいない)」と繰り返す。映画『パズル』の原題がまさにそれ。その映画については後日。

※友人Abetchyがblogで私の言いたかったことを書いておいでだ

Posted by: Reine | Monday, February 07, 2005 at 16:56

【成句・語彙メモ】
(1) kilo = 百万ペセタ

(2) mear fuera del tiesto = 朝顔(便器)から外れたとこにオチッコしちゃう ⇒ 本題から外れる,筋違いなことを言う。

「tiesto」は普通は「植木鉢」の意。googleでイメージ検索したら「男性の小便用便器」の写真がhitするのかい?って検索してみたけど、全然ダメ。どれもこれもtiëstoの写真。ちがーう。

Posted by: Reine | Monday, February 07, 2005 at 17:27

不満があるんだったら行動しちゃおうよ、誰も動かないんだったら俺がやるしかないのかな、一度あそこまで言っちゃったからには態度でも示さないといけないかな……といった思考回路・行動パターンの人のことを、西村さんや私は昔々から「○○侍」と呼んできました。

PTA役員に成り手が居なけりゃついつい手を挙げてしまう「PTA侍」とか、憎まれ役承知でサークルのメーリングリストに峻厳な意見を敢えて投稿する「ML侍(ここは‘えむえるざむらい’と読みます)」とか。また、「ざむらう」という動詞もよく用います。

ざむらうには覚悟とエネルギーが要る。後に退けなくなり「ざむらい侍」に陥ることも。周囲は「たいへんねぇ」と言い、時に「偉いよねぇ」などとねぎらう風でありながらも絶対に自分では動かない。そんなだからざむらう人がざむらってしまうわけ。

「みんな○○を持ってるんだよ」「みんなって具体的に誰だか言ってみなさい」ってな会話は子どもの頃よくあったでしょ。でもあの「みんなが、みんなは」ってのはオトナも多用してるよね。

「みんな」はおうおうにして事なかれ主義、めんどくさいこと嫌い、っつうかたいていのことはどうでもいい、誰かが貧乏クジを引くまで或いは痺れを切らしたザムライが名乗りを挙げるまで静観してるが勝ち。それが大人[社会、会社]というものなのね?

Ramirezはさしづめ「喫煙室ざむらい」。

「みんな」はそれにどう応えるのか。そういうオトナの映画です。オトナって嘘つき。同僚にもアッサリと嘘つくのね。ホント、他人のことなんて俺らなーんもわかっちゃいないよな(Nadie conoce a nadie)。

Posted by: Reine | Monday, February 07, 2005 at 18:05

今週からおちごと先で小さな引っ越しが始まっている。隣のビルにフロアを拡大するとか、誰々の机が移るとか、傘立ての位置が変わったとか、そういう引っ越し。

ここのオフィスでは昔は各自の机でも皆さんタバコを吸っていたが、そのうちに喫煙スペースはエレベーターホールに据えてある空気清浄機らしきマシンの前と決まった。

しかし、ついに今週からは非常階段に灰皿がポツンと置かれているだけとなりました。

私、このたび初めて非常扉を開けて外を覗いてみたんだけど、その非常階段って高所恐怖症の人には耐えられないような透明感だった。えーっと、下とか脇とかがスカスカな感じ。ただの鉄板をビルに貼り付けましたという感じの、丸見えという意味での透明感

それは、まぁ、よし。怖くない人は怖くないだろうから。

しかし今日の豪雨はどうだい。
非常扉を開けて首を突き出しただけでドボドボと上階から落ちてくる水で頭のてっぺんから濡れてしまうような事態だ。

打たせ湯みたいだった。


「こ……これはさすがに……かわいそうだ……」と呟いてしまった。

Posted by: Reine | Saturday, October 07, 2006 at 00:03

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