Mi primer viaje 初めての旅行 [第3章] セビーリャ
(第2章でようやくセビーリャに到着し、よろよろとバスを降りた私)
スペインのタクシーは悪質だなんだと日本を発つ前にさんざっぱら予習していた私だが、ここは一つ腹を括って乗るしかあるまい。
乗りました。怪しげなスペイン語で、「カテドラル、ソバ、友達2人ワタシ待ッテルラシ」「私ノ友達、2人、待ッテルネ、私、行カナイトネ、ワタシ探スネ」みたいなことを言った。
そしたら運転手さんが
「宿は全部、カテドラルのそばなんだぜ?」って……。
そ、そんなぁ……。きっ、聞いてないっ。
(冷静に考えると、前の晩の電話ではストリートの名前だけは彼女たちは叫んでくれていたんだよね。ギリギリ最後に。でも、このとき私は通りの名前をすっかり忘れていたのだ。動転してたの)
だけどそのとき、ビビビ、わたくし電波を受信しました。
運転手さんと私の間にはある種のテレパシーのようなものが働いたのだった。彼のスペイン語はわからないけど、彼の言ってることはわかった(気がした)のよ。彼は間違いなくこう言っていた。はず。
「今夜のところは俺が適当なホテルに連れてってやるから、値段次第でお前はそこに泊まってしまえ。そして明日の朝元気になったらその後ゆっくり友達を探せ」
そして彼の言葉に従い、彼が見繕ってくれた三ツ星ホテル(※第5章参照)に私は泊まった。悪質でもなんでも無かったよ、運転手さんありがとう。運賃600ペセタのところ、200ペセタもチップをあげたらしい(←当時のアルバムにそのようにメモしてある)。
ようやっと寝ようとして電気を消した瞬間に思い出したんだ。「サンタ・マリア・ラ・ブランカ通りだ!」って。だからまた服を着替えてフロントに行き、「地図下さい」と言ったの。
エルコルテイングレスというデパートがサービスで作って配布している地図だと思う。エルコルテの店舗が在る街なら、ツーリストオフィスとかホテルフロントなんかに、たいがいはこの地図を置いてあるんじゃないかな。
「エルコルテはココ」っていうマークがしっかり入っているのね。もちろん私はこの旅行の時点ではそんなことは知らなかったから、「なんだか緑の三角のマークがあるなぁ」と思ってただけでしたが。
翌朝
スペインとポルトガルの時差がもはや省略されたんだっけ? えっとなんだっけ? 同時刻なんだったっけ? それともスペインが一時間早かったんだっけ? 早いとしたらなんなんだろう? えっと、何時なんだろう? 私が持ってきた目覚ましはどこの時間なんだろう?
と混乱をきたした私は、たぶんスペイン的にはとんでもない早朝に起き出して、地図を片手にサンタ・マリア・ラ・ブランカ通りを探した。スペインなんかでは通りの名がプレートに掲げてあるからこういう時には助かるね。
そしてサンタ・マリア・ラ・ブランカ通りに辿り着いた。
「ここねっ。ここにあるペンションに行けば、彼女達はまだ寝ているはずねっっ」と意気込んで、その角を曲がった…。
…
……ペンションだらけだった。
…………
…あっ…
…………
アリババと40人の盗賊かよっと思いつつ私は片っ端から起こして回った。「日本人ノ女2人イルカ?」と訊いて回った。ずいぶん迷惑な話だ。
だがどこにも彼女たちは居なかったのです。
私はいったんホテルに戻りました。朝9時頃にチェックアウトして、サンタ・マリア・ラ・ブランカ通りに移って、一つのペンションにチェックインした。当然その方が安いからね。そのペンションを拠点にして半日かけて街を探せば2人はきっとまだセビーリャ観光をしているだろう、会えるだろうと思ったのでした。
そして私の一日が始まった。もうスペイン語もかなり強引に使っています。
日本人旅行客(時期的に、主に学生)はたくさんいたので、会う人ごとに捕まえちゃぁ、M子・K子らしき2人組を見かけなかったかどうか聞いて歩いた。カフェバーの紙ナプキンに、私の名前と私のペンションの名前を書いて、「丸顔の女(M子)とタヒチ顔の女(K子)を見かけたら、この紙を渡してください」と頼んで回った。
その時、ヒラルダの塔が目に入ってしまったのね。すごく高くって、でも観光名所で、でも登るのは大変で、建築に相当な時間を要したもんだから、たしか途中で△△様式になったりそこから上は○○様式に変わったりしてるとか…それくらい高い塔ではなかったかな?
……ここは一つ、腹括って登るしかあるまい。
登った。あの二人は絶対にこういうところを見る筈だと思ったのです。だから登った。(その途中で知り合った日本人の女の子とはその後しばらく文通が続いた)。登りきったらゼェハァゼェハァですわ。そりゃぁもぅ。
しかし、居ないのです。街中探しても居ないのです。(第4章へつづく)
卒業旅行顛末
1章: リスボン着
2章: セビーリャを目指す
2章の補足 位置関係
3章: セビーリャ 朝~昼
4章: セビーリャ 夕~夜
5章: 余談
6章: セビーリャを去る
7章: ポルトガルへ
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