Sunday, September 23, 2012

EVA / エヴァ [スペイン映画]

EVAdanger わりとサラっと観たので注意点がいくつかありますdanger

Latin Beat Film Festival 2012 / 第9回ラテンビート映画祭 / ラテンビートフィルムフェスティバル2012 / スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映される。


映画祭の作品紹介ページ(『EVA < エヴァ >』)よりストーリー
hairsalon舞台は近未来の2041年。エンジニアのアレックスは、雪に閉ざされたサンタイレーネのロボット研究所に10年ぶりに戻り、少年のロボットの製作にとりかかる。

一方、かつての恋人ラナは、兄ダビッドと結婚。一人娘エヴァを授かっていた。エヴァの個性にひかれたアレックスは、彼女をモデルにロボットを作りたいと願うが…。hairsalon

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オープニングCGの出来栄えが評判となった作品です。

この作品については今年初めのゴヤ賞の記事でも少し書きました:
Premios Goya 2012: candidatos / 第26回ゴヤ賞ノミネート : Cabina
Premios Goya 2012: palmareses / 第26回ゴヤ賞発表: Cabina


2012年10月27日(土)シアターN渋谷梅田ガーデンシネマにて公開

(つづきはコメント欄で)


EVAをエヴァと書くのは私はどうしたって抵抗があるが、まあ勝手にすればという気分です。舞台はどこでもありうるのだし。

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Sunday, September 09, 2012

No habrá paz para los malvados / 悪人に平穏なし [スペイン映画]

No habra paz para los malvados Latin Beat Film Festival 2012 / 第9回ラテンビート映画祭 / ラテンビートフィルムフェスティバル2012 / スペイン・ラテンアメリカ映画祭で上映される。

この作品は、私、断言するけど、一回観ただけで話の流れ・登場人物の関係を把握できる(日本)人はいないね。エンリケ・ウルビス監督の過去の作品、『La caja 507 / 貸し金庫507 [スペイン映画]』でも同じようなことをボヤいたけど、これはもっともっと難しかった。大仕事だったよ。


だからとにかくそれを追います。

鑑賞前にこの記事で予習してもらえれば幸い。……と言いたいところだが、本来作品を観ながら理解した方がいい事柄まで私がここで淡々と説明してしまうので、鑑賞前に読んでしまうのはあまりお薦めできないという、私のブログの抱える永遠の矛盾。

鑑賞前に流れ・人間関係を知ってしまうか、鑑賞後にワケがわからなかった点を確認しに来るか、それは自分で決めてください。

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映画祭の作品紹介ページ(『No habrá paz para los malvados / 悪人に平穏なし』)よりストーリー: 
hairsalon マドリッドの中年捜査官サントス・トリニダは、泥酔して立ち寄った酒場で、怪しげな男たちと遭遇し、事件を起こしてしまう。サントスは、事件の発覚を恐れて、現場から逃走した目撃者の足取りを追い始めるが、まもなく、目撃者の背後に不穏な動きをする犯罪組織があることを突き止める。……略…… 2004年にマドリッドで起きた爆弾テロ事件をベースにした作品で ……略…… hairsalon


danger もう一度警告しますが、108分のうち80分くらいまでを説明してしまうよ danger

danger ↓↓↓ ほんとにかなり書くよ ↓↓↓ danger

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diamond サントス・トリニダによる殺戮の現場となるのはClub Leidy'sという売春宿。


(1) 売春宿にて
shadow サントス・トリニダ: 第一線を外れ失踪者捜索班で人探しに当たっている。アル中気味。

shadow イングリッド: 売春宿のママ; コロンビア人(帰化)

shadow 若い男: 売春宿の用心棒

shadow ドン・ペドロ・バルガス: 売春宿のオーナー; コロンビア人


サントスはこの3人を射殺。しかし、二階にいた若者にだけは逃げられる。サントスはこの若者(→)を探し回ることとなる。

shadow 美形の若者: 売春宿でサントスに殺されず、唯一逃れた若いイケメン; 店の防犯ビデオに写っていた; (danger 終盤まで名前は出てこないので「イケメン君」で通します)


eye サントスは死体を探り身元などを調べる。用心棒の財布からホテルのカードキー、店主のポケットからパスポートや携帯などを取り出す。用心棒の使っていた名前が“ウーゴ・アングラーダ”だとわかる。


shadow キューバ人労働者: 売春宿から出てきたサントスとすれ違った; のちにチャコンたちに目撃証言をする(→(7))


サントスは現場から持ち去った物品を燃やして処理しちゃう。自分の撃った薬莢も拾い集めてきたので捨てる。用心棒が持ってたホテルのカードキーなどは残しておいた。

サントスはホテルに電話して「“ウーゴ・アングラーダ”の部屋につないでくれ。部屋番号を教えてくれ」と言う。(danger 実際、電話でこんなこと教えてもらえるとは思えないけどな)


(2) 売春宿殺害事件の捜査
shadow チャコン判事: 殺害事件の捜査を指揮する

shadow レイバ: その部下; サントスとは同期採用


(3) 警察署内
shadow ロドルフォ: 失踪者捜索班でのサントスの相棒; サントスに仕事をすっぽかされて頭に来たりしている

eye サントスは売春宿で射殺したペドロ・バルガスらのパスポートなどを警察のデータベースと照合している。バルガスが「2003年からスペインに居住; 2004年にはコカイン密輸に関与」していた記録など。また、バルガスの携帯の発着信履歴から、下記の男が浮かび上がる

NHPPLMshadow アウグスト・ロラ: コロンビアのバランキージャ出身; 前科欄には「2004年 麻薬売買, ペドロ・バルガスの関与」, 「2005年 税務犯罪」, 「マチューカという店で喧嘩」とある。


(4) ホテル
サントスは仕事をほっぽり出して、死んだ用心棒“ウーゴ・アングラーダ”が滞在していたホテルへ。部屋番号は教えてもらったし、カードキーを持っているので楽々と侵入。車のキーを見つけたので地下駐車場に下りていく


(5) 地下駐車場
用心棒“ウーゴ・アングラーダ”の車(Audi)発見。車中でGarmin社のカーナビ発見。カーナビの表示履歴に「トリブレテ通り 21番地」という番地があったので、サントスはその番地まで行ってみる。


(6) その番地を訪ねる。その建物に入ってみたが見当がつかないのでとりあえず出て、その辺のベンチでしばし独りで過ごしている

eye ちなみにグーグルのストビューはこれ(Calle de Tribulete, 21)。映画の画面と比べると、たしかにここだね。

それから、この時にサントスの隣に腰掛けているお爺さんは、Don Simonかどこかのやっすいやっすいワインをパックから直に飲んでいる(という、“貧困地域っぽさ”の演出か)。

(7) チャコンの事務室
チャコンとレイバは売春宿殺害事件発生直後に“容疑者(danger それはサントスなわけだが)”とすれちがった労働者(→ (1))から目撃証言を得る。

そしてチャコンの秘書アナが、殺害された売春宿オーナーのペドロ・バルガスについて書類を揃えてきた。「2003年からスペインに居住; 2004年にはコカイン密輸に関与」。「もう一つの死体(=用心棒)については未だ身元不明。指紋照合をインターポールに依頼中」。

danger 用心棒が“ウーゴ・アングラーダ”という名であることが未だわからないのは、サントスがいろいろ隠滅しちゃったから…)


(8) クラブ~セリアの家
サントスは手がかりを持っていそうなラチー(ド)という情報屋を探して、クラブのトイレで若い男に「ラチーを知っているか」と尋ねたりしている。(danger 逃げた男がモロッコ人かと見て、そこに近そうな人物としてラチー(ド)をまず当たることにしたのだろう) 

shadow Celia セリア: ゴーゴーダンサー; ラチーの元カノ;
サントスはラチーの居所を聞き出そうとするが「知らない」らしい; サントスはラチーの写真などをぱらぱらと見る; 「ラチーはまだコロンビア人の連中と組んで“ビジネス”してるのか」

shadow ラチー(ド):
ゲーノー活動もしているらしいが早い話が前科者のちんぴら; 警察の情報屋; (danger この男が登場するのはもっと後のシーンである)


(9) 売春宿の事務室
チャコンやレイバは売春宿の金庫を開ける。30万ユーロもの場違いな大金。

そして、この日ようやくチャコンたちは用心棒の人定ができた。“ウーゴ・アングラーダ”の他にも多数の偽名を使い分けており、ヨーロッパの複数の国から指名手配をされている人物である、と。


(10) アウグスト・ロラから聴取
チャコンは、アウグスト・ロラ(→ (3))から事情を聴く。殺害されたペドロ・バルガスと過去に様々な犯罪捜査で名前のあがった男である。周到なことに、弁護士を同行している。

アウグスト・ロラが言うには、「食料品の輸出入とかホテル業を展開している; “マチューカ”というナイトクラブは経営しているがあれは断じて売春宿ではない」。

2004年の麻薬密輸がらみの捜査でペドロ・バルガスとアウグスト・ロラの名が挙がったが、弁護士曰く、「あの件は棄却されました」。


(11) 用心棒が滞在していたホテル
danger 殺害後にサントスが痕跡を消してしまったから、レイバやチャコンがここまで辿り着くのに時間がかかった)

ローマ⇔マドリードの飛行機のチケットの半券が見つかったのでレイバは乗客名簿の照会をする。

駐車場で車も見つかるがGPSが無い(danger だってそれもサントスが…)。駐車場の防犯カメラを調べることにする。

そして、Brigada Central de Estupefacientes 麻薬取締局のセルダン刑事にアポをとる。


(12) チャコンはセルダンを訪ねる
チャコンは麻薬取締局のセルダン刑事を訪ね、殺害された用心棒“ウーゴ・アングラーダ”またの名を“アンドレス・ダビッド・ウルタード”について尋ねる。セルダン曰く、「コロンビアマフィアの殺し屋で、FARC(反政府武装組織)の元メンバーだ」。

チャコンはまた、ペドロ・バルガスとアウグスト・ロラが04年に関与した疑いのある麻薬事件の捜査がなぜ頓挫したのかを質問する。

セルダン曰く、最近はバルガス達のようなコロンビアマフィアはマグリブ(=モロッコ、アルジェリア、チュニジアなど)のハシシを取り扱うよう方針転換をしているようだ。コロンビアマフィアの捜査はすでに麻薬取締局の手を離れ中央情報局に移っている。急進的イスラム主義者の活動と関係していると考えたのだろう、と。


(13) ナイトクラブ、マチューカ
アウグスト・ロラの経営するナイトクラブである。サントスがやってきた。(danger サントスはこの店の名を(3)の時に知っている)  

そこでずっと探してきた情報屋のラチーをやっと見かける。

ちょうどその時、マチューカの事務室ではレイバがアウグスト・ロラと“会話”をしている。アウグスト・ロラは相変わらずの弁護士同伴。なかなか尻尾を出さない抜かりない男。

danger (11)の飛行機のチケットの半券の話がここで繋がる) 


ここで従業員がアウグスト・ロラを呼びに来た。

shadow フラビオ: マチューカの従業員; (danger この人はぶっちゃけチョイ役なのだけど、この人の顔をこのシーンで覚えておかないと直後のシーンで「???」ってことになっちゃう)


サントスは店内ではしゃぐラチーを見張っている。ラチーが店を出て行くのを追いかけるが、タイミングの悪いことにレイバに会ってしまい、話の相手をする間に見失った。「ちっきしょう……」と地団駄を踏んだが、そこで駐車場にいる一人の男に目を留める。

flair これがさっきの従業員、フラビオである。車が一台寄ってきてフラビオを拾って走り去る。サントスはあとを追って深夜の飲食店に入るわけです。


(14) 深夜の飲食店
すると殺害現場からただ一人逃がしてしまったあの「イケメン君」が店に来たではありませんか。

その後サントスは「イケメン君」の車を追って、とあるマンションまで来た。

「イケメン君」の部屋を「男」が訪れた。

翌朝、「イケメン君」と「男」が出て行く。サントスは後をつける。2人はバスターミナルで到着する白人男性を待っていた。

そしてショッピングセンターでサントスは三人を見失った。


(15) メリダ捜査官
shadow メリダ刑事: 中央情報局の捜査官(danger Unidad Central de Inteligencia Exteriorとのことだけど実在する機関の名称かどうかは知らない)

eye チャコン判事は、なぜ麻薬事件などを中央情報局が追うのかを質問する。メリダ捜査官は、「コロンビアマフィアとモロッコの急進的聖戦主義組織とが関係を深めていると、我々の情報屋が言うもので」「我々がマークしているのは、組織のリーダーの“セウティ”という男です」「しかしセウティはバルセロナに移動した後の足取りがわからなくなっています」。

チャコンはセウティとやらいう男の書類を送ってくれるようメリダに依頼。情報屋とも会いたいと告げるが、メリダは「それは……いろいろと難しい話なので、うちの部長と直接交渉してみてください」。


(16) 「イケメン君」のマンションに侵入してみるサントス
室内の引き出しを開けたりして物色している。


(17) shadow 中央情報局のオンティベロス部長
チャコンはメリダ捜査官から言われたとおり、その上司であるオンティベロスと密かに会う。と、ここへやって来たのが、ラチーである。情報局のタレコミ屋とはラチーだったのだ。

ラチーはアウグスト・ロラのことも知っているし、またセウティとも知り合い。「セウティはこわいやつですよ。宗教にいかれちまいました」。

「セウティとアウグスト・ロラを引き合わせたのはあなたなんですね?」「そうっすよ。ロラは新しいことを始めたがってたから紹介してやりました」

オンティベロスはチャコンに、「そちらが捜査している売春宿殺人事件はコロンビアマフィアの殺し屋のしわざでしょう。セウティは関係ないし、ましてや聖戦主義者ウンヌンはまるで関係ないでしょう。セウティはあなた方が追うべき人物とは思えませんな」という。


(18) とある夫婦のお宅を訪ねるサントス
実はこれは「イケメン君」の住むマンション一室の大家さん夫婦。さきほど(16)で「イケメン君」の部屋に侵入した時、サントスは引き出しを探っていたでしょ? あれで大家さんのことが判ったからこちらに来てみたのでしょう。

大家さん夫婦の娘さんが結婚した時にあのマンションをあげたのだそうだ。しかし娘さん夫婦は今はあそこに住んでいない。ロンドンにいるそうだ。サントスは娘さんとその夫の写真を手に取る。

(14)で見かけて、そして見失ったあの「男」が写っているではないか。

この夫という人物はアラブ人ではなくて、セウタ生れで、国籍はスペイン、ラバピエス地区の文化センターでアラビア語の講師をしていたというので、サントスはそのセンターの場所を聞く。


(19) レイバたちの捜査本部
殺害された用心棒のホテルの防犯カメラ映像(→ (11))を見るうち、レイバはそこに写る一人の男(danger これがサントスなんだけど)に目を留めた。

そして、売春宿の事務室の金庫などから採取された指紋の照合結果が届いた。若い男のものであった。これが「イケメン君」である。


(20) イスラムの文化センター。
さっき(18)で聞いたセンターまで来てみたサントスは、壁の写真に気づく。セリアの家にあったラチーの写真とおんなじ一枚である。(→ (8))

だからセリアに厳しく迫り、今度こそラチーの電話番号を聞き出した。


(21) 「イケメン君」のマンション。
レイバらは(19)で指紋があがった「イケメン君」の部屋を家宅捜索。「イケメン君」は真面目な学生。数人の若者とハウスシェア暮らしらしい。

チャコンのもとへオンティベロスがセウティの書類を届けに来た。一枚の写真に、セウティがスペイン人妻といっしょに写っている。

「この男の奥さんはマドリードの出身なんですね!? なぜそれをもっと早く言ってくださらなかったんですか!」と、オンティベロスに対して怒気まじりに問いかけるチャコンである。


(22) サントスは遂にラチーを見つける
サントスはついにラチーをつかまえた。セウティの居場所を聞き出そうとする。「知らないわけないよな。お前、一緒に写ってるじゃないか」。

「昔のことっすよ。サッカーやって、みんなで食事したりやつの家に行ったりしてただけで」とラチーが言うので、じゃあその家とやらに案内しろという流れになるわけです。


(23) 大家さんの奥さんふたたび
チャコンたちが事情を聞いています。さっき(21)の資料を見て、セウティの妻がマドリっ子だとわかったから、その親を呼び出したというわけね。

セウティのことをいろいろ尋ねていたら奥さんが「……でも、もうこないだの刑事さんにおなじことをお話ししましたよ…?」と言うので、チャコンとレイバは「???」となる。「刑事さんとは、いったいどこの誰のことでしょうか?」。


(24) セウティの家とやらを探して
(22)でラチーがセウティの家がどうのこうのと言ったので、サントスはラチーを連れてその家を探す。ラチーの記憶を頼りに、郊外にあるその家に辿り着いた。


(25) チャコンの事務室
レイバとチャコンの会話。


(26) トリブレテ通り 21番地
サントスは(5)(6)のトリブレテ通り 21番地まで再び来てみました。得意の不法侵入。建物内は雑然としている。

とりあえず近くのバルで飲んでいたら21番地から男たちがものを運び出していて、その中にセウティの姿をついに視認したのである。

サントスは彼らの車を追う。やがて一行は夜のアトーチャ駅に着いた。


………と、ざっとこんな感じです。ここまで来れば、残りの30分は何も見失わずに観られると思う。これでだいじょうぶ。

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Friday, September 16, 2011

キューバの恋人 / Kyuba no koibito / La novia de Cuba / Cuba No Koibito [日本映画]

第8回ラテンビート映画祭のオープニング作品、『キューバの恋人』を観てきた。下記のcinematopicsにあるとおり製作当時でも自主上映で、Marysolさんのブログによればキューバでも長らく公開されず(⇒ 紹介「アキラの恋人」プロジェクト|MARYSOL のキューバ映画修行)、アマゾンじゃ2万円なんていう値がつけられている、そういう作品なので、今回を見逃したらきちんと映画館で観られる機会なんてもう無いかもしれない。

今日(16日)の上映(10:45~)にはもう間に合わないと思いますが、ラテンビート映画祭はこのあと京都~横浜と移動するので、この機会に是非。


キューバの恋人 - 映画作品紹介 
1969年/日本/101分
配給:黒木プロダクション
製作:キューバ国立映画芸術協会作品

ハバナにやってきた日本青年アキラが、現地でタバコ工場の女工マルシアと会う。彼女は民兵でもあった。キューバの革命精神に奉ずる彼女と、彼女に愛を説くアキラのあいだの齪賠。そしてアキラが彼女に追いすがるうち、キューバという幻の革命の聖地の、貧困と明るさの実相がドキュメントされる(キューバの記録映像も盛り込まれる)。採取された現地音楽と松村禎三の音楽の調和も見事。同作は自主上映により公開された。end


Kyuba no koibito (1969) - IMDbには「Language: Japanese」とあるけど、これは間違いだな。津川さんのセリフも込みでほぼ全編スペイン語だったと思う。


あらすじ キューバの恋人 - goo 映画
一九六八年の夏。キューバで漁業指導員をしているアキラは、ハバナの下町で混血娘マルシアに出会った。彼女は、煙草女工であり、銃を巧みに使いこなす筋金入りの女民兵でもあった。アキラは、故郷に旅発つマルシアの後を追って求愛の旅に出た。瀕発する反革命の陰謀に対する厳しい警戒態勢をとる灼熱のキューバの奥深くへと。無償で残業労働をする工場労働者たち。チェ・ゲバラ部隊の戦車兵たちは、広大な原野を開墾している。……略……

danger このgooの解説文、「……ん?」と思った。なんか、「二人は激しく求めあった」というできごとの順番が違うような……。私の記憶が間違ってるのかも。

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面白かった。
津川さんのトークも面白かった。


銃を持って「バンバーン」「バキューンバキューン」「ダダダダダダダダッ」って戦争ごっこ、革命ごっこ。アキラは当時の「日本; 日本人」。

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Monday, August 08, 2011

『苺とチョコレート』(Fresa y Chocolate)について ~3~

(第1章: 『苺とチョコレート』(Fresa y Chocolate)について ~1~: Cabina
(第2章: 『苺とチョコレート』(Fresa y Chocolate)について ~2~: Cabina


diamond ディエゴの部屋は知識のミニ宝庫

A:  ディエゴの部屋に一歩足を踏み入れると、ダビドでなくとも口をポカンです。キューバの守護女神カチータCachitaは前述しました。字幕にあるような聖母マリア像ではない。

B:  中央上部の人物が先ほどのホセ・マルティですね。

A:  その真下で葉巻をくわえているのがホセ・レサマ=リマ、『パラディソ・楽園』の著者、レサマ式ランチが狂言回しになっている。

B:  ダビドが君の「お父さん?」と訊いた人。入る早々目に飛び込んでくる官能的な抽象画は誰のですか。

A:  セルバンド・カブレラ=モレノ(1923~81)というキューバの画家の絵です。ピカソの「青の時代」の雰囲気があった。ニューヨークで美術を学び、スペインやフランスで活躍、ミロやクレー、キュービズム、印象主義、表現主義の影響を受けている。キューバで知ってる画家といえば彼しかいない(笑)。

B:  彼が選ばれたわけは何ですか。

A:  1954年にアレアとフリオ・ガルシア=エスピノサが共同監督して「エル・メガノ」という20分のドキュメンタリーを撮った。それに彼の描いた木炭画のシリーズが使用されたようで、それかな。(⇒ El mégano (1955) - IMDb

B:  アレアの画家へのオマージュが込められている。

A:  それに革命前も後も繊細なエロティシズムあふれる絵を描いた。勿論、革命後は農民、民兵、ゲリラ兵、一般女性も描いて生き延びましたが、革命後も絡み合う男の裸像、剥きだしのペニスを描いた。でも猥褻な感じを受けません。現在多くの作品が世界各地の美術館に所蔵されています。

B:  あの部屋には細かな仕掛けがあるんですね。

A:  2008年生誕85年を祝ってハバナで開催された展覧会には、官能的な方は展示されませんでした。他にソプラノのリタ・モンタネル、フェルナンド・オルティス、フリアン・デル・カサルなど。

B:  オルティスは前述しました。フリアン・デル・カサルはロマン主義のデカダンな詩人と言われています。

A:  19世紀のペシミスティックな感受性豊かな詩人、1863年生れ、30歳という短命でした。モデルニスモの詩「風にそよぐ葉」「降る雪に」「胸像と抒情詩」など。ディエゴと同じホモセクシュアルでした。

B:  アールヌーヴォーのランプ、中国製らしき陶磁器の薬瓶も並んでいた。

A:  オスカー・ワイルドの『サロメ』やフロベールの『マダム・ボヴァリー』の挿絵を描いたビアズリーも。ビアズリーも26歳の若さで一生を駆け抜けた。

B:  ワイルドも同性愛者でしたね。大拙の禅の影響か、ディエゴの法被は泣かせる。

A:  欧米では禅は宗教ではなく哲学です。ドアの内側に眼の形の張り紙があった。“Te estan mirando”、いつも誰かがお前を見張っているという意味。

B:  ナンシーの部屋にはビートルズの写真が貼ってあったが、こちらはマリリン・モンローでした。

A:  敵の杯ウィスキーもあるしね。ただしラジオカセットはソ連製だそうで、部品を輸入しキューバで組み立てた。これを持っているのはオカマ、というのも主にオペラを聴いたりバレエを見たりするのはオカマだから。

B:  ストレートも見たり聴いたりする(笑)。


A:  原作にあっても映画にセリフとして出てこない人でも、ディエゴの部屋などにさりげなく登場しているのが分かります。映画はかなり楽観的な終わり方をしてますが、ICAICの最終検閲を考えると頑張ったと言えるかも。

B:  両方の根底にパスの楽観主義があるからだと思う。小説の読者と映画の観客では質も量も格段に違いますが、互いの多様性を認め合うことの必要性というテーマは同じです。

A:  キューバでは、政治や社会を論じるときの教科書になっている、とパスも語っています。

B:  革命の行きすぎは映画の中でも語られますが、助監督のフアン・カルロス・タビオもUMAPに行かされたそうです。


A:  舞台となった1979年、製作された1993年、キューバも変化している。パスもビデオテープではあるがハリウッド映画を見ることができるようになり、スピルバーグをテープで見ていると。

B:  欲を言えば、二人の心の葛藤がもっと描かれていたなら、普遍的な心理ドラマになったかもしれない。ちょっと物足りない。

A:  欧米に続いてアメリカでも同性婚を認める州が増えている。「夫と妻」欄も「配偶者1と2」になる。現在は表向き米軍も同性愛者の軍務を禁じているが、秋には全面的に撤廃する。いまや結婚の形も流動的、人間の価値を決めるのが時代精神なら、現在の一夫一婦制も変わらざるを得ません。

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『苺とチョコレート』(Fresa y Chocolate)について ~2~

(前章からお読みください ⇒ 『苺とチョコレート』(Fresa y Chocolate)について ~1~: Cabina


diamond子供は独り歩きをする

A:  分かる範囲でしたが、カビナさんの疑問に応えられたでしょうか。友情・不寛容つまり差別・同性愛などは、昨今では映画のテーマとして珍しくも何ともありません。しかし、これに「反体制」と「自由への希求」という要素が加わると、俄然別の顔が現れてきます。本当のテーマはこちら、と言いたいのですが。


B:  積み残しになっている「カストロ擁護の映画だ」と憤慨している話から入りましょう。


A:  順を追って簡単にご説明すると、亡命キューバ人のネストル・アルメンドロス(Néstor Almendros - IMDb)とオルランド・ヒメネス・レアル(Orlando Jiménez Leal - IMDb)が1983年に“Conducta impropia”というドキュメンタリー(Mauvaise conduite (1984) - IMDb)を撮った。「不適切な振舞い」とでも一応訳しておきます。これが【1】です。

B:  キューバの同性愛者差別を糾弾して、当時かなり話題になりました。

A:  これを見たアレアが、要約すると「キューバと縁を切ったはずのネストル(・アルメンドロス)が、こんな負の部分を図式化、単純化した辛辣なドキュメンタリーを今更どうして撮ったのか理解できない」と怒った。さらに彼は既に撮影監督として成功しており、あるステータスも勝ちえている、彼の才能に相応しくないと。


B:  アルメンドロスは体制批判で革命後間もない1962年にフランスへ亡命していますね。


A:  アレアはいつかこの回答として映画を、それもドキュメンタリーでないフィクションで撮りたいと考えていた。そこへパスの中編『狼と森と新しい人間』が現れ映画化を決意した、この中編が【2】です。

B:  アレアが前述した「これを映画にしなければという義務感におそわれた」に繋がるわけですね。するとこの『苺とチョコレート』がその回答というわけ?

A:  そうです、そしてこの映画が【3】です。“Encuentro de la cultura cubana”(1996年夏号 four)という季刊雑誌のインタビュー記事で延々と語っています。このインタビュー記事が【4】です。私が知らなかっただけで新資料でもなんでもないんですけど(笑)。

B:  アレアは1996年4月に死去していますから、これはアレア追悼号ですね。


four  ENTREVISTO Tomas Gutierrez Alea por Michael Chanan “Estamos perdiendo todos los valores”pp71~76
亡命キューバ人がマドリードで発行している高レベルの季刊雑誌。インタビュアーのマイケル・チャナンはイギリスのドキュメンタリー監督、ローハンプトン大学「映画&ビデオ科」の教授でもある。著作多数、ラテンアメリカの映画や音楽に通じ、イギリスでのラテンアメリカ映画紹介に尽力している。)


A:  ええ、そうです。その後、亡命キューバ人でバルセロナ在住のロヘール・サラスという作家が、アレアは「キューバの同性愛者に自由があったかのように描いている。事実とはあまりにかけ離れていて、フィデリスタ擁護の映画」と噛みついた。

B:  つまり、このサラスが憤慨したひとですね。

A:  1998年11月に“Ahora que me voy”という13編からなる短編集をスペインで上梓した。そのなかの‘El cordero, la lluvia y el hombre desnudo’という副題付きの1編“Helados de pasion”(仮訳「情熱のアイスクリーム」)がそれ、これが【5】です。

B:  副題の「子羊と雨と裸の人間」は、パスの「狼と森と新しい人間」の語呂合せというかパロディなのかな。

A:  サラスはこの短編集をパスに捧げていて、「まったく忠実とは言えないが、自分が亡命する前のキューバが息づいている」と評価しています。サラスはパスが中編を書くにあたってキューバのゲイ世界を取材したときの協力者。ディエゴの人格形成に多くの資料提供をした。サラス自身はtravestiつまり異性装者、男ですから女装愛好者、勿論差別の対象者です。1981年にスペインに亡命するまで、ハバナの国立美術館で働いていた。

B:  じゃ、サラスはディエゴの分身なのかな。

A:  彼は現在、「エル・パイス」紙の舞踊欄のコラムニストのかたわら、バレエの衣装や舞台装置のデザインをやり、あの巨大服飾誌「ヴォーグ」の仕事もしている才人です。(Roger Salas - Roger Salas - ELPAÍS.com

B:  原作にディエゴの「得意分野だったバレエ・・・」とか、「日本の唐傘をさし、舞台衣装みたいな服装の彼は・・・・ブレスレットだらけの手を振る・・・」とか描写されているのは、サラス情報だ。


A:  レサマ=リマ(Jose Lezama=Lima)がディエゴの間接的な分身かと想像していたんですが。なにしろ、レサマ=ディエゴ説もあるくらいですから。サラスが特に拘るのが、「僕は君が思うような高尚な人間じゃない」で始まるディエゴの告白シーンです。

B:  コッぺリアでダビドをナンパしたときのイキサツを語るところですね。

A:  ディエゴは“Por eso, por eso, te he pedido muchas veces un abrazo porque pensaba que al abrazarte me iba a sentir mas limpio”と続ける。

B:  字幕は「だから君に・・・抱いて欲しかった。僕自身が清められる気がしたから」となっている。


A:  この‘limpio’に拘った。辞書では「きれいな・清潔な」のほかに「公正な・純粋な」という語義もある。

B:  迷わず後者だね。「清められる」というと「汚れ」を落とすみたいな強い感じになる。しかしサラスは前者にとったんだ。

A:  小説にはこんなセリフはなく、「こんな下らないセリフはなかったじゃないか」という怒りかもしれない。多分「ホモは穢れているから矯正しなくてはならない」という苦い体験に直結したのだと思う。

B:  日本語字幕も踏み込みすぎ、ピュアとかフェアの感じだと思う。差別というのは、する側にその意識がなくても、される側が差別と感じれば差別になる。

A:  個人的には原作と映画は違っていいという立場です。パスの台本で舞台化もされています。3つを比較すると微妙に変化して面白いのです。


B:  それはまた別の話、深入りは止めましょう。

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『苺とチョコレート』(Fresa y Chocolate)について ~1~

アリ・ババ39さんが『Fresa y Chocolate / 苺とチョコレート [キューバ映画]: Cabina』にコメントをしたいとおっしゃるので、いっぱい書いてくださいとおねがいしていました。私がたぶん一生知らずに済ませてしまうであろうことをアリ・ババ39さんが教えてくださる。いつも本当にありがとう。

では、以下に書き写していきます。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


diamond 原作と映画は「かなり違う」が印象

A: 今やキューバ映画の古典入りした感じの『苺とチョコレート』ですが、最近、原作を再読する必要があって、映画も改めて鑑賞しなおしました。

B:  1994年秋、岩波ホール20周年記念作品として公開されました。キューバ映画を見るのはこれが初めてという観客が多かったのではないか。

A:  今でも「キューバ映画はこれ1本」という人も(笑)。キューバ大好き人間には叱られそうですが、それくらいマイナーです。

B:  例年12月に首都ハバナで開催される新ラテンアメリカ国際映画祭(Festival Internacional del Nuevo Cine Latinoamericano)で最優秀作品賞に与えられる珊瑚賞のほか8部門制覇という快挙を果たしました。

A:  通称ハバナ映画祭と呼ばれていますが、これまたマイナーな映画祭です。世界が注目したのは珊瑚賞受賞ではなく、翌年のアカデミー外国語映画賞ノミネートです。キューバ映画がノミネートされたのも史上初めて。国交断絶以来の両国のぎくしゃくを思って感慨深かった人もいたのでは。

B:  残念ながら結果は露仏合作『太陽に灼かれて』のニキータ・ミハルコフの手に落ちましたが。このブログでは既にお馴染みになっているゴヤ賞スペイン語外国映画賞受賞にも輝いた

A:  当時の日本ではゴヤ賞の存在すら殆んど認知されておりませんでしたが、ベルリン国際映画祭銀熊賞の一つ「審査員特別賞」の受賞は報道されました。男優賞は『フィラデルフィア』のトム・ハンクスが受賞した。

B:  ゲイ対決ともいわれたが、残念ながらディエゴ役のホルヘ・ペルゴリアは涙を呑みました。

A:  しかし、この年のベルリンは殊のほか豊作で、金熊賞はジム・シェリダン『父の祈りを』、銀熊賞の監督賞はキェシロフスキの『トリコロール/白の愛』だったから、カリブの小さな島からやってきた『苺とチョコレート』が審査員特別賞に選ばれたのはサプライズだったのです。

B:  意外性をアピールする主催者側の政治的力学もはたらいたかな。


B: カビナさんはアップ段階では原作を読んでいないようで、いくつか疑問が出ています。

A:  まず原作『狼と森と新しい人間』は、ハバナ大学生ダビドのモノローグで進行します。物語が時系列ではなく、フラッシュバックを織りまぜての行ったり来たりです。

B:  映画は小細工なしの時系列で進むから安心して見ていられる(笑)。

A:  ディエゴは既に亡命していて、これから語られることは回想であることが分かる仕掛けです。

B:  大雑把にいうと、物語は「コッぺリア」で始まり「コッぺリア」で終わるという円環的なせいか、どうもこれで終わったという感じがしない。

A:  閉じられていないから、ダビドのその後を書いてくれなくちゃという印象でした。モノローグのなかに「 」なしに相手のセリフが挿入されることもあり、時々読み手は迷子になる。決して読みやすい小説とはいえず、翻訳も細かい工夫が凝らされ、結果かなり大胆なところもあります。

B:  キューバの歴史や文化に関する本の題名、人物名がこれでもかと繰り出されてきて、初めて目にするだけに注記がないとお手上げです。

A:  無視して読むことも可能ですが、キューバの政治体制、経済や文化的な背景を知って読むと面白いということね。映画とは登場する人物名にも違いがあり、小説と映画の受取り手の違いを考えて、うまくバランスを取っています。

B:  結果的に各国で翻訳されましたが、日本では映画化がなければ翻訳されなかった作品かもしれない。まずは海外に暮らすキューバ人、次いで国内のキューバ人向けだったのではありませんか。

A:  原作のダビドは映画のような共産主義青年同盟のステレオタイプ的な学生ではなく、ずっと知的好奇心にあふれたナイーブな青年として描かれている。ディエゴのアパートに行くことになったそもそもは、彼がちらつかせるバルガス=リョサの新作『世界終末戦争』に釣られてのことです。

B:  キューバでは発禁本の小説ですね。原作には「ナンシー姐さん」は出てこないし、ビビアンの出番も刺身のツマ程度です。

A:  ダビドはビビアンに振られてしまっているようだが完全に切れてるようでもなく、映画のように外交官とも結婚していない。ダビド以上に教条主義的な友人ミゲルがいない。

B:  反対に原作で重要と思われる人物イスマエルが、用心深く映画では消されてしまっています。

A:  目指すテーマは同じように見えながら、二つは≪かなり違う≫が印象です。

B:  しかしシナリオもセネル・パスが一人で書いていて、クレジットにもアレア監督の名前はありません。

A:  オフィシャルにはそうなっていますが、ナンシー役のミルタ・イバラによれば、二人で相談しながら大枠を決めていったようです。

B:  周知のことかと思いますが、彼女は監督夫人。

A:  『狼と森と新しい人間』1本での映画製作は無理で、物語を膨らませるためにナンシーを絡ませることにしたと。シナリオは三つの短編を素材に組み立てられている。

B:  どの映画にもいえることですが、シナリオ通りかどうかも実は分かりません。

A:  パスは原則として、シナリオを渡してしまったら撮影現場には出向かないそうです。執筆中に他人にあれこれ言われたくないから、自分も撮影現場に出かけて監督や俳優たちに干渉したくないということです。

B:  当時の監督と脚本家の力関係からすると「変更あり」も考えられるかな。

A:  そういう個所が随所に見えますね。特に助監督のフアン・カルロス・タビオと思われるユーモアがね。監督の仕事はハイ「スタート」、ハイ「カット」だけではありません(笑)。

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Sunday, July 31, 2011

No-Do / ゴースト・オブ・チャイルド [スペイン映画]

no-do01 no-do02danger わりとサラっと観たので注意点がいくつかありますdanger

おはなし(amazonの商品ページから)
出産を終え子育てに専念したいと思い、郊外の邸宅に引っ越してきた元小児科医のフランチェスカ(アナ・トレント)と旦那のペドロ。
多少の修繕は必要だったが、この邸宅を2人は気に入りすぐに引っ越して来た。しかしその日から、フランチェスカの回りで不思議なことが起こり始める。誰もいない深夜の2階で物音がしたり、見知らぬ老女が家の周りに出没し、意味ありげなことを告げたり、遂には子供たちの亡霊までもが見えてしまう。周囲の人達には育児ノイローゼによる幻覚を見ているのだと思われていたが・・・・。

誰にも信じてもらえない彼女は、この家の秘密を探り始める。すると……略……hairsalon

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danger 今日の時点では走り書きメモ程度です。少なくとももう1回は観ます。観る(再生する)だけの時間はとれても書く時間がとれないという作品がもう十作品は頭の中にたまっていて、そういう頭の中のカオスがストレスなので、いいかげんこんなメモ程度であってもいったんブログに移しておきたいのです。だから今はメモだけ。danger


・ヒロインのフランチェスカを演じるのは言わずとしれたアナ・トレント。

・夫ペドロを演じるのはフランシスコ・ボイラ。IMDbの記載上の話になるが、ボイラの名がこんなに上位に来ているのは滅多に無いんじゃないか、というのがまず思ったこと。

・フランシスコ・ボイラは『Taxi / タクシー: Cabina』の冒頭で主人公女子を振って去っていく彼氏だった人。そして『La Mala Educación / バッド・エデュケーション [スペイン映画]: Cabina』での彼を覚えている人は多いのではないかな。

・以前Mixiのスペイン映画コミュニティでフランシスコ・ボイラのことを知りたがっている人がいた。あの人がこの『ゴースト・オブ・チャイルド』を観てくれるといいのですが。この作品ではボイラがたくさんきちんと映っています。

・ホラー映画としての仕掛けは、たぶんフランチェスカ&ペドロ夫婦が屋敷に来た時にはもうわかる。

・『El orfanato / 永遠のこどもたち [スペイン映画][メキシコ映画]: Cabina』を連想しない人はいないんじゃないかと思うほど、私は連想した。それから、『La habitación del niño / スパニッシュ・ホラー・プロジェクト ベビー・ルーム [スペイン映画]: Cabina』。それと、屋敷などの雰囲気は『Aquella casa en las afueras [スペイン映画]: Cabina』に似ていなくもない。あとは、“仕掛け”はもう「あの作品だよね」というのがあるけど、それを言ったらイクナイから書かない。

・タイトルにもなっている‘no-do’は(スペインの)スペイン語学習者なら耳にしたことのある単語だと思う。この作品中でも何度か繰り返されるとおり、“Noticiarios y Documentales”という二語の頭文字をつないだ単語。

book DRAE
En las salas de cine de España entre 1943 y 1981, cortometraje documental que se exhibía antes de la proyección de las películas.

book Noticiario de exhibición obligatoria en las salas de cine españolas entre 1942 y 1976. という説明も他所で見かけた。

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Thursday, June 30, 2011

Tropa de Elite 2 - O Inimigo Agora É Outro / エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE [ブラジル映画]

tropa de elite 2今日までにこのブログではちょうど250のイベロアメリカ映画作品を扱ってきたようだ。私はそのうち95%は「好き」か「すごく好き」になって鑑賞を終えていると思う。たいていは好きになりそうな作品を探し回って観ているんだから、当然といえば当然か。

そんな中でも「もう本当にすごく好き」という作品は幾つかに絞られる。2007年のブラジル作品、『Tropa de Elite [ブラジル映画]: Cabina』がその一つ。今回はその続編である。


おはなし
“ナシメント大尉”とは、ジョゼ・パヂーリャが監督し2008年のベルリン映画祭で金熊賞を獲得した作品『Tropa de Elite』の主人公であり、演者ヴァギネル・モウラの経歴に燦然と輝くキャラクターである。

その続編『Tropa de Elite 2』では前作から十年後の、出世したナシメントを描いている。BOPEの司令官を経て公安部の次官となった彼は、BOPEの組織力の増強と麻薬密売組織の撲滅に心血を注いでいるが、それこそが真の敵にエサをやっているというからくりにはまだ気づいていないのであった。汚職警官と政治屋どもが選挙の裏でほくそ笑む。

今度の敵は凶悪だ。

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前作を観ていなくてこの作品だけを観るのであっても理解にそう大きい支障はないと思う。もちろん前作を観てあった方が良いけれど。前作には若きマチアスの人となり、彼がBOPEを志願した経緯―――それはすなわちマチアスとナシメントの出会いの経緯でもあるのだけど―――や、そもそもBOPEとは何であるのか、彼らはどのようにBOPEの一員となりどのようにBOPEの一員であり続けるのか、などが丁寧に描かれているからね。

(……私のブログ(『Tropa de Elite [ブラジル映画]: Cabina』)ではだいたいの流れがわかるように書いてしまってあります)


今度は別の奴が敵だ」という意味の副題があるので、それは誰だと言うのかと考えながら見始める。電車の中で観ていたのだが、15分辺りで早くも暴力描写に狼狽し「ひゃっ」って画面を閉じた。刑務所内の暴力が映し出されていた。停止ボタンをドタバタオロオロと大慌てで探したよ。向かいの席の乗客が怪訝そうだった。

前作ではPM(軍警)の腐敗っぷりを描いていたけど、じゃあ今回は刑務所の汚れを描いていくのかしら?とまずは思った。でもそんなシンプルなわけないわね。


刑務所で発生した暴動を鎮めるため、フラガという学者が交渉人として呼ばれる。ナシメントはフラガのことをこう説明してくれる:
「面倒なのは、犯罪者を擁護することで生計を立てていらっしゃるサヨクのお利口さんたちだ。そしてああいった連中からいらんことを吹き込まれてしまう人がこの世には大勢いるってことも厄介だ。フラガは俺のことをファシストと呼んでいたが、それを俺に面と向かって言うほど度胸のある奴じゃあなかった。表向きは俺に敬意を払っていたよ。俺も奴に対してそうしなきゃいけなかったから胸糞が悪かった」。

ああ、じゃあ今回は、そういう連中こそが国家・社会の敵ではないかと訴えていくつもりだろうか?と思った。ああ、そうかもしれん。まさにああいう奴どもこそが敵たりうると日頃から私は考えているから。そういう連中ほどタチの悪いものは無しと、私は苦々しく忌々しく思ってきたから。

だが、この作品の狙いはそこでも無いようだ。


それではいったいどこの誰がナシメントの真の敵だと言うのでしょうか。つまりブラジルの民の真の敵とは、いったい社会のどのようなからくりに巣喰っていると言うのでしょうか。それを115分かけて抉り出すように見せていく迫力の作品です。


映画冒頭に緊張感漂うシークエンスが映し出され、そこに至るまでの歳月をじっくり描いていき、ついには冒頭のシーンに戻ってくるっていう作りは前作とおなじ。おはなしは前作よりは難しいかもしれないな。前作の方が《敵》の正体も《敵》が肥大化するからくりもシンプルだった。そして今回は社会のインフラまでもが《敵》に利するような構図なので、前作にも増して恐ろしい。兇悪な敵の姿が浮かび上がってきて、観ている者を戦慄させる。正直なところ、私はあの社会で生き延びていく自信はない。

敵が手強いだけに、前作よりも今作の方がイライラ、ジリジリさせられると思う。「ナシメント、頼むよ、こいつらみんな始末してくれよな」と願いながら辛抱して見続けたよ。



TROPA DE ELITE 2 - Site Oficial
Tropa de Elite 2 - O Inimigo Agora É Outro (2010) - IMDb
エリート・スクワッド ~ブラジル特殊部隊BOPE~ - DVDレンタル ぽすれん

2011.09.29 加筆
前作(第一作)と合わせてDVD発売だって。
キタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!

なぜ邦題を素直に「エリート・スクワッド 2」としてくれなかったのか、よくわかんないんだけど、まあ観られるだけいいか。でも、この邦題じゃ、先にこっちを観ちゃってワケわかんなくなる人、続出だと思うわ。やっぱり前作を先に観た方がいいのよ。(⇒あっちを先に観て! エリート・スクワッド [DVD]

(語句メモなどはコメント欄に)


序盤で舞台となるのは刑務所: Penitenciária Laércio da Costa Pellegrino (通称: Bangu 1)。ここで4年前に起きたある‘事件’からストーリーは始まります。

大きな地図で見る

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Saturday, May 21, 2011

Los ojos de Julia / ロスト・アイズ [スペイン映画]

los ojos de julia los ojos de julia おはなし
フリアは双子の姉サラが死んだことを知らされショックを受ける。このところ数ヶ月連絡をとらずにいたことで後悔の念にさいなまれる。状況に鑑みて自死と考えるのが妥当だという警察の説明にどうしても納得の行かぬフリアは、死に至るまでのサラの身辺を探ろうと動き出す。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


「ギリェルモ・デル・トロ製作!」という触れ込みで、それはこの作品の謳い文句の筆頭でもあると思うけれども、それに対し「Y ¿qué? だからなに?」という一言を漏らしたくなる仕上がり。出来がいいとは思わない。出だしの雰囲気は好きだけど15分辺りで飽き始め、40分辺りからは退屈でため息。終盤で少し緊張感を取り戻したけれどもそれも長くは持たなかった。

この作品が1月にゴヤ賞(主演女優賞)にノミネートされた時、記事を準備するのに公式サイトを覗いた。あの時に覗き見た雰囲気は魅力的だったが、ワクワクしながら鑑賞した結果こんな感想に至ってしまい、私だって残念な気持ちだ。もっともっと期待していました。

ただ、ホラー映画に慣れ親しんでいない私の言うことだから、あまり当てにはなりません。単に私が楽しみ方を間違っているのでしょう。


あともう一つ、私があまりこの作品に好い印象を抱けなかったのはベレン・ルエダへの思いが原因かな。

昨年9月のサンセバスティアン映画祭で『El mal ajeno / 命の相続人』を観たが、途中、ゲンナリした顔でスクリーンから目を逸らしてしまった。ベレン・ルエダの演技で居心地の悪さを覚えたからだった。あれ、この人はこんな厭な演技をする人だったろうか、と。

Mar Adentro / 海を飛ぶ夢』や『Orfanato, El / 永遠のこどもたち』での彼女とは違って、色気を出しちゃった人の厭らしさをまとっていた。「色気」って言っても、いろけ【色気】の意味 - 国語辞書 - goo辞書でいうところの《「6 社会的地位などに対する興味・関心。「大臣の椅子に―を示す」》の「色気」ね。

『海を飛ぶ夢』への起用を告げようとアメナーバル監督が電話を掛けたというのに、イタズラ電話かドッキリだと思ってサクッと切ってしまったという逸話があるほどいわゆる“遅咲き”のベレン・ルエダだが、その後たちまちサクセスストーリーを成したかと思えば、『El mal ajeno / 命の相続人』ではもうこんな厭らしい演技を見せるようになったのかと、まるで『吉原炎上 [DVD]』で名取裕子に向かって「君はいつから心の底までそんなんなっちゃったんだ」(大意)とつぶやいた若旦那(根津甚八)みたいな気持ちだった。


その違和感を引き摺ったままこの『Los ojos de Julia / ロスト・アイズ』を鑑賞したので、私の彼女を見る目が冷たすぎたのかもしれない。といってもこんなどうでもいい感想は私だけのものかもしれないので、そこは差っ引いてもらいたい。

今回だって"interpretacion de belen rueda" - Buscar con Googleにもうかがえるように、大勢が高い評価をしているのではないかな。じゃあ『El mal ajeno / 命の相続人』と『Los ojos de Julia / ロスト・アイズ』における彼女の演技の何がザラッと来たのか説明しろと言われたところで、私もきっと説明できないだろう。

それでも試みるならば、……黒木瞳かな。うん。それだな。「黒木瞳 演技」の検索結果の中からネガティブなコメントを拾って読んでいった場合、それはきっと私がベレン・ルエダの演技を見て抱いた嫌悪感と似通っているだろう。

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Sunday, February 20, 2011

O Cheiro do Ralo / 下水って、匂う。 / 尻に憑かれた男 [ブラジル映画]

O cheiro do Ralo 2008年のブラジル映画祭で上映、2009年のブラジル映画祭で再上映された作品。

映画祭公式サイトによるストーリー紹介
「いやなにおいがしないか?下水のにおいだ」ロウレンソの営む骨董店では下水のにおいが充満中。金に困り骨董を売りにくる客を冷たくあしらうロウレンソの人生は、ある女性の尻に魅了されてから狂いはじめる。

監督はその突飛な発想で“下水のにおい”に「誰もが隠してきた場所、人間の陰の部分」を描き出す。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


Cheiro do raloリオ在住のウルグアイ人の友人が公開当時からわりと勧めてくれた作品。ブラジル映画祭に行くことができず、モタモタしていたらありがたいことにDVDをプレゼントしてくれた。やっと時間ができたので今週観てみました。

彼は『Estômago / イブクロ ある美食物語 』も勧めてくれた。彼も私もこの2作品は面白かったと思っていますが、2作品とも会う人会う人みんなに薦められる作品だとは思ってないです。

そういった趣の作品です。一応そのようにことわっておこうと思います。私のこのニュアンスを酌み取って、観るか観ないか、好きそうか嫌いそうかなどの判断材料の一つとされるのであれば幸いです。


あと数日で日本でも発売になるようです。

アマゾンより
傲岸不遜な男が“完璧な尻”との出会いをきっかけに変わっていく姿を描いたコメディ。骨董屋を営むロウレンソは客の品を二束三文で買い叩き、屈辱を味わわせることに楽しみを見出していた。そんな折、彼は偶然出会ったウェイトレスの尻に魅了され…。

アマゾンより
倒錯のエロティシズム“尻フェチ”男の頓狂な顛末を描いた異色作。骨董屋を営むロウレンソは、金に困って店に来る客の品を二束三文に買い叩き、屈辱を味わわせることに無上の楽しみを見出していた。だがある日、ランチをとる店のウェイトレスの美しく豊かな完璧な尻に魅了されてから、彼の人生は数奇な道を辿り始める…。


んーーー、どうだったかな……。上記の三つのストーリー紹介文、私がDVDから受け取った印象とはどこかちょっと違っているように感じる。特に三つ目。ミスリードっぽいなと思わないでもない。

dangerでも、ポル語音声+英語字幕で観て、しかも二三日かけて途切れ途切れに観たものだから私の頭の中が整理されてないだけかもしれない。あるいは私の「フェティシズム」に対するビジョンが、この作品を“尻フェチ”男の物語だとするビジョンとはちょっと違っていて、違和感はそこから生じているのかもしれない。

(コメント欄に語句メモなど)

こうやっていろんな人々が物を売りに来ます。
Cheiro
Cheiro

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