Friday, July 03, 2009

Fuera de Carta / シェフズ・スペシャル [スペイン映画]

fuera de cartadanger わりとサラっと観たので注意点がいくつかありますdanger)(サラっとどころか別の作業の時にBGVとしてつけていただけ、みたいなもの)(でも3~4回は回してるから)


2008年の「マラガ スペイン映画祭」のラインアップをまとめてみたとき、ちょっとだけ気になっていた作品。ハビエル・カマラ、ローラ・ドゥエニャス、チュス・ランプレアベ、フェルナンド・テヘーロなどが出演とあれば、興味は湧くよね。

そして今年2月発表のゴヤ賞では、『Fuera de Carta』のハビエル・カマラが主演男優賞に、フェルナンド・テヘーロが助演男優賞にそれぞれノミネートされたりしていた。(受賞には至らない)


公式サイトから ストーリー紹介
マキシは完璧な人生を送ってきたと自負している。名の通ったシェフであり、マドリードのチュエカ地区にたつスタイリッシュなレストランを経営しており、ホモセクシャル・ライフを謳歌しているのだ。

しかし、見せかけの婚姻であった妻との間にできた二人の子供を引き取ったこと、またアルゼンチン出身の元サッカー選手が隣に引っ越してきたことで、彼の生活に変化が生じる。マキシは価値観の転換を図ることとなる。end


来たる7/10から開催される東京国際レズビアン&ゲイ映画祭2009で『シェフズ・スペシャル』というタイトルで上映されるらしい。


私はスペインでゲイの友人に恵まれ、帰国後十数年経った今でもしょっちゅう(メッセンジャーとかで)話すし、これからもつきあい続けるだろう。そのせいなのか、「gay」がキーワードに来るような作品には評価が甘めだと思う。しかしこの作品はどうだろうか。今回ばっかりは私もあまり褒められないかもしれん。


・こども預かる系=家族増える系の話というと『Cachorro / ベアー・パパ』を思い出すけど、『Fuera de Carta』は及ばない。あまり心に響かない。

・「( ̄ー ̄)クスリ」とするシーンもあまりないしね。

・『Va a ser que nadie es perfecto』のときにも「終盤のハチャメチャ・ドタバタはとってつけた感あり。」と書いたけど、本作でもおんなじことを言おう。

・イケメン元サッカープレーヤーというオラシオ役のBenjamín Vicuñaの体が私には少し物足りない。

・俳優の無駄遣いにも思えた。ハビエル・カマラフェルナンド・テヘーロローラ・ドゥエニャス……。私も彼らの作品を多く見てきたわけじゃないけど、「この人たち、演技こんなに下手なんだっけ?」と思えてしまったんだよ。彼らの経歴に傷がついちゃいそうな、そんな作品にすら見えたぞ。

・ただ、ローラ・ドゥエニャスの演ずるアレ(アレックス)のウザさはいいね。イケてない女が勘違いして図に乗ってる姿をうまく演じていると思う。だから素晴らしくウザい。


(取り急ぎ思いつくのはこれくらい)(あとは何か思いつけばコメント欄に足します)(コメント欄で‘上方修正’することもあるから、私は)

| | Comments (3) | TrackBack (0)

Wednesday, June 24, 2009

El baño del Papa 『法王のトイレット』上映会

リンク: これからの講演会 <立教大学ラテンアメリカ研究所>.

2008年9月のラテンビートフィルムフェスティバルで上映された『El baño del Papa / 法王のトイレット』の上映会があるそうです。

この作品は昨年のLBFFではお客さんの反応の良さでは一位、二位くらいだったんじゃないかな。2004年の『ウィスキー』が話題になったときに、「ウルグアイの映画事情はとても厳しく、映画誕生以来、これまでに製作された長編映画は約60本。2002年までは映画産業は存在しないも同然だったが……略……」というのにびっくりしたものですが、『法王のトイレット』は「いいじゃん! いいじゃん!( ・∀・) ウルグアイ映画、力強いじゃん!」と感じることができる作品だと思います。

英語字幕のみの上映だそうですが、日本語あらすじが配布されるそうで理解の助けとなるでしょう。(danger 7月に入ってから事情がかわり、7/3の情報では日本語字幕つきに変更になったとのこと。danger

日時
2009年7月4日(土)17時30分より

場所
立教大学池袋キャンパス、8号館8201教室

詳細はリンク先(立教大学ラテンアメリカ研究所)で御確認ください。


くどいようですが私は昨秋のLBFFの中では『法王のトイレット』がいちばん誰に対しても薦めやすい作品だったと思っています。だからお薦めしますhappy01

| | Comments (1) | TrackBack (0)

Monday, June 22, 2009

La buena vida [チリ映画]

la buena vidaストーリー
diamondパトリシア:
都会の片隅の狭いアパートで息子をあやしている。物乞いが女手一つで一歳半の子を育てながら生き抜くのは容易なことではない。日銭を稼ぐために今日も通りに立つ。たちんぼの娼婦たちと場所をめぐって諍いになり、追い立てられる。誰のことも信じてはいない。「私に触らないで」。

diamondテレサ:
夫とは離婚した。15歳になる娘パウラは近頃は口もろくに聞いてくれない。遊びに出かけるでもなく部屋にこもっってばかり。難しい年頃だ。手に余る。別れた夫ホルヘの携帯は留守電になっている。「電話をちょうだい」とメッセージを残す。

STD予防の啓蒙活動で今日は娼婦たちにレクチャーしている。「簡単に防げるんですよ。コンドームを使うんです」。

リタ・ロペスという娼婦が手を挙げる。
「申し訳ないけど、貴女はストリートの実態ってもんがわかってないんじゃないですか。あたしたちの客がどんなだかわかってないでしょ。あたしたちの客はね、男ばっかりじゃないの。時にはケダモノの相手もしなきゃいけないの。コンドームをつける? つけるのはそりゃぁできないこともないわよ。だけどね、口でつけてくれって言われたりするわけ。どう? 貴女、ちょっと口でつけてみてよ」。

diamondエドムンド:
理容師として、またエステティシャンとして働いている。老いた母と暮らしている。父親はずいぶん昔に亡くなった。父親も理容師だった。腕も人柄もよかったと聞いている。今日は銀行にローンの相談に来た。フォードフィエスタを買いたいのだ。このあいだ40歳になった。「自分への誕生日プレゼントだよ」。

diamondマリオ:
ベルリンの音楽学校で3年間学んできた。チリに帰国してきてから仕事探しに追われている。今日はチリ交響楽団のオーディションを受けにきた。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


チリのサンティアゴを舞台に展開する película coral (群像劇)。

大都会のせわしなくほろ苦い日常の中で登場人物それぞれの人生が隣り合っている。我々の人生のすぐ隣には誰かの生活が流れているし、自分の暮らしが誰かの存在のすぐ脇をかすっているかもしれない。「袖振り合うも多生の縁」とはよく言ったもの。

でもそんなことをいちいち想像しながら暮らしている人なんてやたらといるものではないから、互いの人生が描く線は永遠にぶつからないのだろうな、ふつう。こんなに近くを行き交っているのに。

そんなもどかしさも描きつつ、ふつうの人々のふつうの暮らしの中の苛立ちや失望、怒りを丁寧に見せてくれる作品。人々の微笑みを探して待つ作品。

疲弊し硬直した社会で登場人物のめいめいがもがく様子などは、ほんの数年前までなら対岸の火事として我々の目には映ったことだろう。しかし今の日本では……他人事ではなくなっているのでは? という気分がふっと心の中に湧いて出たことが、なによりも切なかった。


……といった具合に、それぞれの登場人物のエピソードを見たまんま受け止めてもいいだろうし、そうではなくて、チリの最近2、30年間を思い浮かべながらいったい何が何を象徴しているのかと考察しながら観てももちろんいいと思います。そういう作品だと思う。私はあいにく前者のようなシンプルな見方以上のことはあまり試みない人間なのでそこ止まりなのだけどね。


(コメント欄にメモ)(後日)

| | Comments (7) | TrackBack (0)

Friday, June 19, 2009

La Chimenea de Villaverde

マドリードで開催されるイベロアメリカ映画祭についての記事。

リンク: Cultura & Ocio - Ocho películas de América Latina participan en un festival de cine en Madrid - ADN.es.

その映画祭とはLa Chimenea de Villaverde

長編では8作品が参加(数字はわたし用メモなので気にしないでください):

199 recetas para ser feliz@IMDb (7.6/13 Drama)
チリ、スペイン / 2008年 / カラー 35 mm / 90分
監督: Andrés Waissbluth
出演: Pablo Macaya, Tamara Garea, Andrea García Huidobro, Alex Brendemuhl, Jordi Dauder


4.000 euros@IMDb (9.2/10 Drama)
スペイン / 2008年 / カラー 35 mm / 98分
監督: Richard Jordan
出演: Marta Larralde, Alberto López


Los actores del conflicto (6.1/18 Comedy | Drama | War)
コロンビア、ベネズエラ / 2008年 / カラー 35 mm / 100分
監督: Lisandro Duque Naranjo
出演: Mario Duarte, Coraima Torres, Vicente Luna, Arianna Cabezas
公式: www.losactoresdelconflicto.com


Conozca la cabeza de Juan Pérez@IMDb (7.4/16 Comedy)
メキシコ / 2008年 / カラー 35 mm / 87分
監督: Emilio Portes
出演: Silverio Palacios, Dolores Heredia, José Sefami, María Aura, Carlos Cobos, Rubén Cristiani, Dagoberto Gama, Isela Vega, Ernesto Yánez, Alejandro Calva, Salomón Reyes, Ramón Álvarez, Miguel Ángel Fuentes.


Cuando me toque a mi@IMDb (8.5/11 Drama)
エクアドル / 2008年 / カラー 35 mm / 90分
監督: Victor Arregui
出演: Manuel Calisto Sánchez, Ramiro Logroño, Randi Kraup, José Alvear, David Nieto, Lalo Santi


De espaldas al mar@IMDb ( Drama)
スペイン / 2008年 / カラー 35 mm / 82分
監督: Guillermo Escalona
出演: Cristina Perales, Alejandra Moffat, Ximo Solano, Pilar Almería, Rosanna Espinós, Manolo Melero, Romano Kottow
公式: www.deespaldasalmar.com


La Ventana@IMDb (7.3/64 Drama)
アルゼンチン / 2009年 / カラー 35 mm / 78分
監督: Carlos Sorín
出演: Antonio “Taco” Larreta, María del Carmen Jiménez, Emilse Roldán, Roberto Rovira
……カルロス・ソリンで‘爺さんモノ’……私はきっとこれを好きになってしまう…。


Mentiras piadosas@IMDb (5.6/7 Comedy | Drama)
アルゼンチン、スペイン / 2008年 / カラー 35 mm / 100分
監督: Diego Sabanés
出演: Marilú Marini, Walter Quiróz, Claudio Tolcachir, Paula Ransenberg, Verónica Pelaccini, Víctor Laplace, Rubén Szuchmacher, Lydia Lamaison
公式: www.mentiras-piadosas.com.ar


El truco del manco@IMDb (7.1/51)
スペイン / 2008年 / カラー 35 mm / 91分
監督: Santiago A. Zannou
出演: Juan Manuel Montilla “El Langui”, Ovono Candela, Javier Iglesias “Gordo”, Elio Toffana, Mala Rodríguez, Juan Navarro, Diego Carrasco, Joaquín Mbomio, Fanny Gatibelza
公式: www.eltrucodelmanco.com/


Cómo no te voy a querer@IMDb ( Drama)
メキシコ / 2008年 / カラー 35 mm / 82分
監督: Víctor Jesús Avelar Martínez
出演: Alejandro Belmonte, Siouzana Melikian, Arcelia Ramírez, Daniel Martínez, Jorge Zarate, Natalia Esperón

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Saturday, May 30, 2009

Arráncame la vida [メキシコ映画]

arrancame la vidaストーリー
1932年、メキシコ、プエブラ州。カタリーナ・グスマンが町で姉や男の子たちと遊んでいるところへ男が近づいてきた。アンドレス・アセンシオというその男は30歳をこえたころだろうか。カタリーナはというと、まだ15歳であった。

アンドレスはカタリーナたちを車で家まで送ってくれた。姉が後でそっとカタリーナに尋ねる。「あの人のどこが気に入ったの? ずいぶん年上よ」。「でも、あの人の目が好きなの。手も好きだわ」。

その日からアンドレスはカタリーナの家を頻繁に訪れた。彼は俗っぽい武勇伝をあれこれと語ったものだ。カタリーナの家族の心を掴んでしまうのにそう時間はかからなかった。

アンドレスにはあちらこちらに数えきれないほどの女がいるのだとか、奴は犯罪者だとか、いろいろおぞましい噂も耳に入っては来た。いつか家族みなが後悔するだろうと言われたこともある。

「たしかに私たちは後悔することになったのです。でも、それは何年も経ってから。」


16歳のカタリーナはアンドレスに嫁ぐ。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

メキシコ版『風と共に去りぬかぜ』という印象。

大河ドラマのようでもあり(描かれているのはカタリーナの15歳から30歳までだけなので、大河ドラマというにはちょっと短いかもしれないけれど)、テレノベラてれ的でもある。イサベル・アジェンデいさをふと思い出したり、『赤い薔薇ソースの伝説』を連想したりもした。

と、とりあえず断片的な記憶をしぼって知った風な口をきいてみましたが、最終的には、あれです、『人形の家にん』だと思う。25年前に読んだだけなのでうろ覚えだけど。


私、『風と共に去りぬ』のひと、好きじゃないんだよね。16歳のときに観て「なんだろう、この女 ( `_ゝ´)」と思ったっきりだ。それ以降、大人の気持ちで見なおしていればまた違った印象を持っただろうとは強く思うのだが、あいにく機会に恵まれず、したがって「なんなんだ、この女」のまんまなのです、あのひとは。←名前が出てこないくらい。

しかし、私自身が‘メキシコ版・風と共に去りぬ’であろうかと言った本作のカタリーナは好きだよ。彼女が15の時から30の時までおおむね好印象を受けたし、幸せを噛みしめているであろう彼女の心の中を想像して涙がこぼれたくだりもある。


男と女の寂しさと悲しさと嘆きと諦めと愛と力とがうねっている作品です。


・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

(つづきはコメント欄で)

Arráncame la vida 公式
Arráncame la vida@IMDb
英題: Tear This Heart Out

観始めるときにメッセンジャーの名前表示の欄に『Arráncame la vida』と入れておいた。(観ている作品タイトルをそうやって記入しておくと、スペイン語人の友人があれこれとコメントをくれるから、いつもそうしている)

するとすぐにスペインの友人が、「Menuda frase te acabas de poner, qué dramática これまたなんちゅうフレーズを。ドラマティックだな!」というメッセージを送ってきた。

「いや、これ映画のタイトルなんだけど、……え? そんなに?」と聞いたところ、「pues significa ‘quítame la vida violentamente’. tus amigos se van a asustar. ‘私の命を奪って’じゃないか。君の友達はみんなビックリしちゃうぞ」。

・原作: Ángeles Mastrettaあんへれす

| | Comments (17) | TrackBack (0)

Tuesday, May 26, 2009

Roban computadora con guión de cine a director argentino Pablo Trapero

リンク: AFP: Roban computadora con guión de cine a director argentino Pablo Trapero.

『Leonera』とか『Familia Rodante』の監督(脚本も)の人。
新作の脚本を盗まれるのも相当に辛いけど、15年分のいろんな作業の結果を盗まれるって耐えがたいな。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Friday, May 15, 2009

El camino de San Diego [アルゼンチン映画]

camino de san diego映画冒頭の字幕より
2004年4月17日、ディエゴ・アルマンド・マラドーナは重篤な心臓疾患のためブエノス・アイレスのスイソ・アルヘンティーナ病院に収容された。それからの数日間、マラドーナの容態はアルゼンチン国民にとっての関心事であった。民衆に喜びを与えてくれた偶像が生死の境を彷徨っているこの時にできるだけそばにいたい、力づけたいと、何百何千もの人が遠く離れた地から何百キロも移動して駆けつけたものである。

タティ・ベニテスもそんな一人であったのだろう。end


danger わりと細かく書いちゃうかも)


camino de san diegoタティはミシオネス州の木こりさん。村人がタティについて語ってくれる:

「みんなタティのことは“マラドーナ”とか“10番”って呼んでたよ」
「タティはマラドーナのことなら何でも知ってた」
「マラドーナはタティにとってはアイドルであり、神だったね」

「マラドーナの人生を知りつくしてたよ。結婚式の付添人は誰だったとか、娘は生まれたときの体重は何グラムだったとかまでね」

「タトゥーをしてたな。マラドーナの。……って言うか、‘MARADONA’って名前がそばに書いてあるから『あぁ、マラドーナなんだな』ってわかるようなヤツだけどね」

「強烈だなと思ったのは、あいつ、背中にマラドーナとおんなじタトゥーを入れてたってこと。ユニフォームの背番号といっしょなの。ちょっとシャツを脱ぐじゃん? そうすると背中に“10”って刺青入ってるわけ」

「タティはボカがコリエンテスに来た時のMandiyuとの試合の入場券を持ってたね。まるで聖遺物みたいに家に飾ってあったよ」……。



より大きな地図で El Camino de San Diego を表示


待望の男の子を授かって幸せいっぱいだったまさにそのころ、木材の売れ行きがかんばしくないという理由でリストラの波がこんな森の奥まで押し寄せてきて、タティは不運にも失業する。「タティってものすごくいい奴だからさ、俺達もそりゃぁ残念だったよ」。

仲間から勧められてタティは森のもっと奥で木彫り工芸をしているシルバ爺さんの手伝いをすることになった。彫刻に使えそうな木の枝や根っこを拾い集めるのだ。そうして像が出来上がるとタティが観光客に売って売り上げの何割かをもらう。

シルバさんは、父親、祖父、曾祖父…と代々受け継いできた木彫りの極意をタティに伝授してくれた。オオハシ、ハイイロノガンモドキ、トラ、オウムなど、森のいきものたちの魂が宿っているような木を見つけられるようになれ、と。

「―――それで彼の人生が変わるなんて、いったいこのとき誰が想像し得ただろうか。」


木を探して森の中を歩いていたタティは驟雨に遭う。急いで家に帰ろうとしたその時、一本のティンボーの倒木が目に入った。土砂降りの雨の中タティはその木を凝視した。木の根の部分が人の形に見えてきたのだ。


―――マラドーナに。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆


涙が出て困った。哀しいシーンなんて全然無いって言っちゃってもいい作品だと思うんだよ。それなのに、涙がゆっくり滲み出てくるのでした。(ただ……どこかで書いたと思うけど、私の琴線だの涙腺だのはチューニングが狂っているので、どうもね…)


いきなり話が逸れるけど、セナが亡くなったとき(Ayrton Senna 1994 Imola Part4)Ayrton Senna 1994 Imola Part6)、いや、F1のことは全く知らない私だけれども、ブラジルの人たちはどれだけショックを受けているだろうかと思って、それで泣けた。悲嘆に暮れているだろうな、喪失感に打ちのめされているだろうなと思ったら彼らが可哀想になってしまって涙が出たのを覚えている。

それから数週間後にブラジルがワールドカップで優勝した時は、いや、夜中に中継を見るほどの熱意は無かった私だけれども、朝出勤前に化粧などしながらニュースでPKの映像を正座して見て優勝を確認して、ブラジルの人たちは元気が出たんじゃないだろうかと思って、それで泣けた。嬉しかっただろうな、良かったね、ほんと良かったねと思って涙が出た。一泣きしてから出勤したのを覚えている。


さて、私はマラドーナという人に対しては「民衆から愛されて甘やかされて貪られて愛され過ぎて追い詰められた人」というイメージをぼんやりと抱いてきたのだけど、この『El Camino de San Diego』を観て、彼は「縋られて祈られた人」なのだなと思った。

人々にとっては願いであり力であり……聖人だったのだなと。


タティの出会った長距離トラックのブラジル人運転手ヴァギーニョさんがおどけた調子で言う。「¡San Maradona! Lo único que me faltaba. (聖マラドーナ!と来たもんだ……いやはや…)」

作品タイトルにも『聖ディエゴへの道』とあるでしょう。まるで「El camino de Santiago サンティアゴの巡礼路」みたいにね。マラドーナが一時危篤状態に陥ったとき、“聖ディエゴ”に祈りを捧げようとスイソ・アルヘンティーナ病院まで巡礼をした人々をこの作品は描いている。


昔わたしはヒドイ女についての記事で、他人の映画の感想の抱き方が自分と違っていてもしょうがない、その事実は飲まないといけないと記したのだけれども、そりゃそうなんだけれどもやっぱり思うんだわ、この『El camino de San Diego』みたいな映画を観て何も感じない・思わない、何にも思いを馳せないと言う人がもしもいるならば、私はそういう人とはうまくやっていける自信がない、うまくやっていこうと端から思わないってさ。

| | Comments (17) | TrackBack (0)

«LOS MEJORES 13 EPISODIOS DE GOLGO 13